家の建て替え費用はどれくらい?土地あり注文住宅の建築費用や補助金などを解説
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建て替え費用の相場をはじめ、解体・地盤改良・本体工事・諸費用といった内訳をわかりやすく解説します。
利用できる補助金制度や住宅ローンの種類、注意すべきポイント、費用を抑えるコツなども紹介いたします。
目次
家の建て替え費用の相場
年度 | 建築資金 | 自己資金比率 |
令和6年度 | 5,214万円 | 57.1% |
令和5年度 | 5,745万円 | 42.5% |
令和4年度 | 4,487万円 | 46.7% |
令和3年度 | 3,299万円 | 55.4% |
令和2年度 | 3,055万円 | 56.1% |
※参照:国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査 報告書」
そのうち、自己資金比率は約57%となる2,235万円です。
家の建て替えにかかる費用の内訳としては、建物本体の建設費用(本体費用)が大きな割合を占めますが、建て替え前の家の解体費用や地盤整理、ライフラインの引き込み工事などの付帯費用も発生します。
さらに、建て替え中の仮住まいや税金関係も費用として把握しておきたいポイントです。
それぞれについても見ていきましょう。
家の建て替えにかかる費用の内訳
解体費用
工法 | 解体費用(目安) |
木造 | 40,000円前後/坪 |
鉄骨増 | 60,000円前後/坪 |
鉄筋コンクリート造 | 70,000円前後/坪 |
たとえば30坪の木造住宅を解体する場合、およそ120万〜150万円前後が目安となります。
ただし、建物以外の条件によっては追加費用が発生することもあります。
たとえば、古い建物でアスベスト(石綿)が使われている場合は、専門業者による除去が必要となり、別途費用がかかります。
また、重機が入れない狭小地では人力での作業が増えるため、作業効率が下がり費用が高くなる傾向にあります。
さらに、庭石やブロック塀、倉庫などの撤去も追加費用の対象です。
こうした条件を事前に業者へ正確に伝えておくことで、見積もり後の追加請求を防ぐことができます。
解体費用を抑えたい場合は、不要になった家具や家電などの家財を自分で処分しておきましょう。
また、複数の業者から相見積もりを取ることも効果的です。
費用の相場を把握しやすくなり、条件の良い業者を選びやすくなります。
さらに、自治体によっては老朽住宅の解体費用を補助する制度がある場合もあるため、着手前に確認しておくと安心です。
地盤調査・地盤改良工事費用
地盤が軟弱な場合は、不同沈下などのリスクを防ぐために地盤改良工事が必要です。
地盤調査にはいくつかの方法があり、一般的な費用相場は次の通りです。
・スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)
一般的で、費用は約5〜10万円。
・ ボーリング調査(標準貫入試験)
深い地層を調べる方法で、約20〜30万円。
・表層改良工法(地表から2mほど)
費用は約20万〜50万円。
・柱状改良工法(2〜8m程度の軟弱層に対応)
費用は約50万〜100万円。
・鋼管杭工法(8m以上の深い軟弱層に対応)
費用は約50万〜200万円。
地盤改良は追加費用がかかるものの、建物の安全性を確保するうえで欠かせない工程です。
建築計画の段階から、あらかじめ50万〜150万円程度の余裕を見込んでおくといいでしょう。
建物本体の設計・建設費用
国土交通省の「令和6年度 住宅市場動向調査」によると、土地購入資金を除いた注文住宅の建築資金は以下のように推移しています。
年度 | 建築資金 | 自己資金比率 |
令和6年度 | 4,695万円 | 38.9% |
令和5年度 | 4,319万円 | 29.2% |
令和4年度 | 3,935万円 | 29.9% |
令和3年度 | 3,459万円 | 28.1% |
令和2年度 | 3,168万円 | 26.8% |
※参照:国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査 報告書」
建て替えを検討する際は、本体工事だけでなく設計費・付帯工事費も含めた総予算を把握し、複数のハウスメーカーや工務店に見積もりを取って比較することが大切です。
仮住まいの賃貸・引っ越し費用
そのため、「仮住まい用の賃貸費用」や「引っ越し費用」が必要になります。
建て替え工事は、解体から完成まで一般的に6〜10ヶ月程度かかるのが目安です。
この期間中の家賃を想定しておく必要があり、たとえば月10万円の賃貸物件に8ヶ月住む場合、家賃だけで約80万円がかかります。
これに加えて、引っ越し費用(1回あたり10〜20万円前後)や、荷物を一時的に保管するトランクルーム代が発生するケースもあります。
建て替えでは「工事が長引く」「引き渡しが遅れる」といったこともあり得るため、余裕を持って1年分程度の仮住まい費用を見積もっておくことが安心です。
これらの費用は建築費用とは別枠になるため、トータル予算を立てる際には忘れずに計上しておきましょう。
その他諸費用(税金、登記費用、保険料など)
項目 | 内容・相場感 |
印紙税 | 新たに工事請負契約書・住宅ローン契約書を結ぶため、その都度印紙が必要。通常1万円〜3万円前後。 |
登録免許税 | 新築建物の登記(表題登記・所有権保存登記)が必要。建物部分は新規扱いのため、再度発生。土地に関しては名義が変わらなければ不要。 |
不動産所得税 | 建て替えは「新築」として扱われるため、新たに課税対象。ただし、旧住宅解体後3年以内に建て替えた場合などは軽減措置あり(自治体による)。 |
司法書士(登記費用) | 所有権保存登記やローンの抵当権設定登記など、新築時と同様に発生。2〜8万円前後。 |
火災・地震保険 | 建物が新しくなるため、旧保険契約は一度解約し、新しい建物で再契約。年間6万円前後が一般的。 |
これらは見落とされがちですが、総額で数十万円になることもあるため、あらかじめ予算に含めておくことが重要です。
家の建て替え時に使える補助金制度
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条件に該当する場合は、制度の利用も視野に入れましょう。
家の建て替え時に使える補助金制度
解体費用に関する補助金
建物の建て替えを検討する場合は、物件が所在する各自治体の公式サイト等を確認してみましょう。
補助金の主な対象は、空き家や築年数の古い住宅など、安全性や景観の面で問題があると判断された建物です。
また、自治体によってはブロック塀の解体費用も補助対象となる場合があります。
老朽化したブロック塀は地震時に倒壊の危険があるため、防災対策の一環として支援が行われています。
たとえば、東京都渋谷区では「老朽建築物の除却・建替え支援助成制度」を設けており、老朽木造住宅の解体にかかる費用の一部を助成対象です。
補助内容や対象条件は自治体によって異なるため、建て替えの計画を立てる際には事前に地域の補助制度を調べておくことが大切です。
耐震化に関する補助金
これらは国や自治体が実施しており、主に耐震診断・補強設計・耐震改修工事の費用を一部助成する仕組みです。
補助の対象となるのは、耐震性が不足している築年数の古い住宅や木造住宅が中心で、自治体によっては建て替え費用の一部を支援するケースもあります。
また、ブロック塀の撤去や補強など、防災性を高める工事が対象となる場合もあります。
申請は工事着手前が原則となるケースが多いため、計画段階で自治体の制度内容を確認し、早めに申請準備を進めることが大切です。
環境配慮(ZEHなど)に関する補助金
補助金額の目安は、ZEH住宅で55万円、ZEH+住宅で100万円程度です。
さらに、蓄電システムや高性能断熱材などを導入する場合は、追加の補助が受けられる場合もあります。
また、ZEH以外にも、省エネ給湯器・太陽光発電設備・蓄電池・合併浄化槽など、再生可能エネルギーや環境配慮型設備が対象となるケースがあります。
建て替えや新築を検討する際は、これらの制度を活用することで、初期費用を抑えつつ、長期的な光熱費の削減や環境負荷の軽減につなげることができます。
建て替えで使える住宅ローンはある?
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まず、既存の家を解体してから新築を建てるため、工事費の支払いタイミングに気をつける必要があります。
多くの住宅ローンは建物完成後に融資が実行されるため、解体費や着工金を先に支払わなければなりません。
この場合、「つなぎ融資」を利用すると、工事の進行に合わせて金融機関が一時的に資金を立て替えてくれます。
また、旧住宅ローンの残債がある場合は返済負担率が高くなり、新しいローンの借入可能額が制限されることがあります。
そのため、金融機関によっては残債の完済を求められる場合もあります。
さらに、建て替えは住宅ローンの対象となりますが、リフォームの場合は「リフォームローン」となり、一般的に返済期間が短く金利が高い傾向があります。
どちらのローンを利用するかで条件が大きく異なるため、事前に比較検討が必要です。
なお、親世代と子世代が協力して返済する「親子リレーローン」という選択肢もあり、長期の返済計画を立てたい場合や、借入額を増やしたい場合に有効です。
建て替えを進める際は、解体費・仮住まい費用・諸経費を含めた総予算を早めに試算し、つなぎ融資やローン条件を金融機関に確認しておくことが重要です。
家を建て替える際の注意点
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代表的な部分は事前に把握しておくと安心です。
家を建て替える際の注意点
再建築不可物件だと建て替えできない
再建築不可物件とは、一度更地にすると新しい家に建て替えられない土地を指し、道路に接していなかったり、接している道路の幅が2m未満だったりする場合があてはまります。
再建築不可物件では建て替えできないため、建築確認申請が不要な範囲のリフォームをしたり、接道義務を果たす土地に改良したりすることになります。
建て替えの解体をする前に、必ず確認を行うようにしてください。
土地の法的制約を確認する
建物は自由に建てられるわけではなく、法律で定められた条件に従う必要があります。
代表的なものが「用途地域」です。
用途地域とは、土地の使い方を定めた都市計画上の区分で、「住宅専用地域」「商業地域」「工業地域」など、全部で13種類に分かれています。
これにより、建てられる建物の種類や高さ、延べ床面積などが制限されるのです。
制約は自治体の都市計画図などで確認できるため、建て替えを検討する際は、用途地域・建ぺい率・容積率を事前に調べ、設計プランに反映させることが重要です。
家の建て替えに伴う手間と費用が発生する
また、建て替えは工事期間が長いこと自体がデメリットといえます。
木造住宅でおおよそ4〜6ヶ月、鉄筋コンクリート造(RC造)では6〜8ヶ月ほどかかるのが一般的です。
この間は仮住まいでの生活が続くため、時間的・経済的な負担が大きくなります。
引越し費用はもちろん、仮住まいの家の家賃もかかります。
一時的に親族の家などに身を寄せる方法もありますが、新居の施工期間は長期に及ぶため、現実的に難しい場合が多いでしょう。
家の建て替えには、一定の手間と費用負担を見込んでおく必要があるので注意してください。
さらに、建て替えは新築と同じ扱いになるため、登記登録や建築確認申請、工事請負契約、住宅ローン契約、近隣説明などの手続きが必要です。
打ち合わせの回数も多く、スケジュール調整や書類準備などが煩雑になりがちです。
家の建て替えには費用だけでなく、時間と手間もかかることを理解したうえで、余裕を持ったスケジュールと資金計画を立てることが大切です。
既存の家より小さくなる可能性がある
家の建て替えを行う際、旧法基準で建てられていた既存の家が現在の法令には適合せず、結果としてこれまでより床面積が小さくなったり、高さが制限されたりする可能性があるので注意しましょう。
たとえば「用途地域」が住宅地の場合、周囲の環境を守るために建ぺい率(敷地に対して建物を建てられる面積の割合)や容積率(敷地面積に対する延べ床面積の割合)が厳しく設定されています。
建ぺい率や容積率を超えて建てることはできないため、同じ土地でも以前より小さい建物しか建てられないケースもあります。
近隣住民への配慮をする必要がある
基礎部分の解体は大きな音や振動、粉塵が発生し、近隣で暮らす住民に対して影響を与えます。
そのため、建て替えのプロセスでは「近隣説明(工事説明・同意取得)」が必須のステップです。
工事前に近隣住民へ工事内容や工期、騒音・車両の出入りなどについて説明し、理解を得ておくことが求められます。
施工会社によっては、説明会や文書による案内を代行してくれる場合もあります。
同じ土地に住み続けられるのが家の建て替えのメリットではありますが、一時的な工事とはいえ近隣住民とのトラブルになると、今後の生活にマイナスの作用をしかねません。
事前告知や挨拶など、最大限の配慮を欠かさないようにしましょう。
建て替えとリフォームならどっちを選ぶべき?
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基礎や柱の劣化、耐震性、シロアリ被害がある場合は建て替えが安心です。
一方で、構造がしっかりしていれば性能や価値を高めるりリフォームやリノベーション(大規模改修)で対応できます。
また、「あと何年住むか」「将来の家族構成(子や孫への引き継ぎ、二世帯化などの可能性)」も重要な判断材料です。
費用の目安は、リフォームで500万円前後、リノベーションで1,000万〜2,000万円前後、建て替えで1,500万〜2,000万円以上が一般的です。
建て替えかリフォームのどちらを選ぶべきか、それぞれ見ていきましょう。
建て替えを選んだほうが良いパターン
基礎や柱・土台にシロアリ被害や腐食、地盤沈下などの問題があると、部分的な修繕では対応できません。
また、耐震性や断熱性を高めたい、間取りを大幅に変えたい場合(水回りの移動、階段の移設など)も建て替えが適しています。
さらに、リフォーム費用が高額で建て替えと大差ない場合や、将来子や孫に家を引き継ぎたい場合は、長期的に見て建て替えのほうが安心で経済的といえます。
リフォームを選んだほうが良いパターン
まず、予算を優先したいときにはリフォームが最適です。
必要な部分だけを改修できるため、建て替えより費用を大きく抑えられます。
工期を短くしたい、住みながら工事を進めたい場合にも向いています。
水回りや内装など、範囲を絞れば引っ越しせずに施工することも可能です。
また、基礎や構造躯体に大きな問題がない場合は、既存の建物を活かすことで十分な耐久性を保てます。
壁紙やキッチン、水回りの交換など、部分的な改修で満足できるケースも多いです。
さらに、再建築不可物件のように法律上建て替えができない土地では、リフォームやリノベーションが現実的な選択肢になります。
このように、建物の状態が良好で、コストや期間を重視したいときは、リフォームのほうが合理的で現実的な選択といえます。
建て替えを検討する際に気になる疑問
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建て替えを検討する際に気になるポイント
家の建て替えは建築何年?
これは、設備や内装の老朽化が進み、耐震性や断熱性能が現行基準に合わなくなる時期でもあるためです。
木造住宅の法定耐用年数は22年と定められていますが、これはあくまで税務上の目安です。
実際の住まいの寿命は、メンテナンスの頻度や修繕の質によって大きく変わります。
しっかり手入れされていれば、築40年を超えても安全に住み続けられる場合もあります。
ただし、建て替えの判断は年数だけでなく、耐震性(旧耐震基準かどうか)や断熱性、シロアリ被害、構造躯体の劣化状況などを総合的に見て行うことが大切です。
建物診断(ホームインスペクション)を活用して現状を把握し、改修で対応できるか、それとも建て替えが必要かを専門家と相談すると良いでしょう。
建て替えの費用を抑える方法はある?
国や自治体の補助金・助成金については、老朽家屋の解体費用、耐震改修、ZEH(ゼロ・エネルギー住宅)など、省エネ性能を高める建築に対して補助を受けられる場合があります。
間取りについては、壁や仕切りを減らし、凹凸の少ない四角い形状にすると、構造が簡素になり工事費が下がります。
ほか、建材をリーズナブルなものにするのもポイントです。
たとえば、無垢材よりも集成材を選ぶことで、見た目や耐久性を保ちながらコストを削減できます。
解体費用の見直しの際には、不要な家財を自分で処分したり、複数の業者に相見積もりを取ったりすることで、費用を数十万円単位で抑えられることがあります。
こうした工夫を組み合わせれば、品質を保ちながら無理のない予算で建て替えを実現することが可能です。
建て替え工事にかかる期間の目安は?
構造によっても差があり、木造住宅で約4〜6ヶ月、鉄筋コンクリート造(RC造)では約6〜8ヶ月が目安です。
主な工程ごとの期間は次の通りです。
・解体工事:30〜45日
・基礎工事:15〜30日
・上部(建物)工事:60〜90日
・内装・設備工事、仕上げ作業:30〜60日
そのため、計画から入居までを含めると、最短でも半年、長ければ10ヶ月以上かかるケースもあります。
スケジュールに余裕を持って進めることが大切です。
建て替え前に必要な費用感を把握しておこう!
建て替えを検討する際は、建物の劣化状況や耐震性、ライフプランを踏まえたうえで、リフォームとの比較を行うことが重要です。
また、補助金や助成金の活用、間取りの工夫、相見積もりの取得などによって、費用を抑える方法もあります。
工事期間や仮住まい費用、登記・諸費用なども含め、総合的な計画を立てることで、無理のない建て替えが実現します。
信頼できるハウスメーカー・工務店を選び、納得のいく住まいづくりを進めましょう。
監修者岡ア 渉
国立大学卒業後新卒で大手不動産仲介会社に入社。約3年間勤務した後に独立。宅地建物取引士・FP2級の資格を保有し、現在はフリーランスのWebライターとして活動中。不動産営業時代は、実需・投資用の幅広い物件を扱っていた経験から、Webライターとして主に不動産・投資系の記事を扱う。さまざまなメディアにて多数の執筆実績あり。
■保有資格
FP2級
宅地建物取引士