2017年02月21日 09時30分

自然災害では自動車保険が使えない? 補償対象と対象外の事例をチェック

地震や噴火など自然災害のとき、自動車保険の補償内容はどうなっているのか? [拡大する]

地震や噴火など自然災害のとき、自動車保険の補償内容はどうなっているのか?

 災害大国といわれる日本。世界に占める日本の国土面積は0.25%程度だが、その被害額は18.3%にものぼる(平成18年版防災白書)。災害時にはさまざまな損害が心配だが、そのうちの一つでもあるマイカーへの損害リスクに備えるには、自動車保険で十分なのだろうか。自然災害に対する自動車保険の補償内容をみていこう。

▼地震・噴火・津波は対象外

 自動車保険において、基本的に「地震、噴火、またはこれらによる津波」(以下、地震等)によって発生した損害や傷害には保険金が支払われない。ただし、特約によって一部を補償することはできる。例えば「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」では、これらの災害によって契約している車が全損(車の修理費がその車の時価を超えるような損害)になった場合に、一時金が支払われる。ただし、地震等の自然災害時における一時金の特約は、特約自体扱っていない保険会社もあれば、保険会社によって名称や支払事由の詳細が異なるのでしっかり確認しておこう。

 とはいえ、当特約で補償できるのは臨時の費用程度で、車の買い替えまでは難しい。地震等の災害で車に損害が出た場合は、多くを自己資金で賄う必要があるだろう。保険で十分に備えることができないケースに備えて、例えば普段から倒壊による被害が少なそうなスペースに駐車するなど、被害を少なくする“減災”にも心がけておきたい。

 ちなみに、平成28年に発生した熊本地震では、車中泊で避難していた人も少なくない。家ではスペースをとる防災グッズだが、自動車であれば邪魔にならず、万が一のときにも役立つ。地震等が発生したときに、自動車は被災後の生活を支えてくれるものの一つだ。

▼風水害などは補償の対象

 一方、強風や豪雨、高潮など、地震等以外の「風水害」に該当する自然災害は、基本的に補償の対象とされており、車両保険に入っていれば、車の損害に対して保険金が支払われる。例えば、洪水により川が氾濫し車が水没してしまったり、台風や突風などで物が飛んできて車が破損してしまったり、あるいは雹(ひょう)やあられで窓ガラスが割れた場合でも、基本的にこれらすべてが対象となる。

 また、車両保険以外にも、例えば突風で車のドアが急に開き、隣に駐車していた車に傷をつけたような場合、対物賠償保険で相手の修理費が補償される可能性がある。

 ただし、これらを原因として保険金を受け取ると、等級は下がってしまう。車両保険に関わる事故のみの場合、主に1等級ダウン事故とされ、同じ補償内容であれば次回更新から保険料は値上がりする。各社、等級が高いほど保険料は割り引かれるため、損害額によっては自動車保険を使わずに自己資金で修理したり、他の保険を利用したりすることで、長期的な視野で考えたときに出費が少なく済むケースもある。自動車保険を請求する前に今後の保険料を確認しておこう。

 自然災害は予期することができず、発生したら誰でも動揺してしまうだろう。一方、保険金は請求しなければ受け取ることはできない。保険の補償内容を前もって知っておくことは、災害時の冷静な判断に繋がり、減災対策ともいえるのではないだろうか。

<記事/松原季恵(マイアドバイザー登録FP)>
CFP(R)、銀行、損害保険会社での勤務経験を経て、FPとなる。生損保商品や住宅ローンに詳しく、現在は執筆・セミナー・相談を通じてお客様サイドに立った情報提供をしている。

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