交通事故の「過失割合」はどう決まる? 賠償額への影響も解説
・過去の判例がもとになる
事故後は、警察による実況見分が行われ、当事者や目撃者の証言が集められる。それらをもとに、過去の交通事故の判例に当てはめて決定される。
・保険会社同士の話し合いが基本
過失割合について、当事者同士がやりとりすることはまずない。加入している保険会社に任せるのが基本だ。双方の納得が得られなければ長引き、ときには裁判になることもある。
・加害自動車と被害自動車が完全に分けられる⇒過失割合100:0
加害自動車と被害自動車が完全に分けられる場合、過失割合は100:0。「被害事故」や「ヒャクゼロ」と呼ばれることもある。たとえば駐車場で、駐車中の自動車に自分の自動車をぶつけてしまったとする。どう考えても駐車中の自動車に非はないため、自分の過失が100で、相手の過失が0となる。
それとは逆に、信号待ちをしていた際に後ろから前方不注意の自動車に追突された場合などは、自分の過失は0で相手の過失は100となる。
・双方に同じだけ責任がある⇒過失割合50:50
たとえば信号のない交差点で出会い頭に衝突する事故などは、過失割合50:50と判定されることがある。これは「どちらにも同じだけ責任がある」ということ。自分の自動車の修理費、相手の自動車の修理費ともに半分ずつ負担することになり、支払い額も同額となる。
ちなみに、交通事故において歩行者は圧倒的弱者。そのため、歩行者と自動車の事故の場合は、自動車側の過失が多く認定される傾向にある。
※割合はすべて相手:自分
・9:1
相手方から900万円。100万円は保険でカバーするか自己負担
・5:5
相手方から500万円。500万円は保険でカバーするか自己負担
・0:10
相手方からの賠償金はなく、すべて保険でカバーするか自己負担
相手に過失があれば、その分だけ相手から支払いを受けることになる。自分の過失分については、自分の保険でカバーするか自己負担だ。
たとえば、交差点を直進しようとして、対向右折車と衝突した場合。優先されるのは直進車であるため、責任があるのは基本的には右折車だ。ただし、直進する際に対向右折車の存在を予測し、細心の注意を払っていれば、事故を回避できた可能性も否定できない。
そこで、80:20(右折車:直進車)という過失割合が認定されたとする。直進車の修理費用が20万円とすると、右折車が支払うのは8割の16万円で、残りの4万円は直進車が負担することになる。つまり4万円は直進車の過失分で、右折車が支払うべき損害賠償額から減額されているということで、これが過失相殺である。
そこで知っておきたいのが、人身傷害補償保険だ。人身傷害補償保険とは、契約している車に乗っている人のケガや死亡を補償する保険で、過失割合を加味せず、契約の範囲で損害額が支払われる。家族だけでなく、同乗している人も補償範囲となり、自動車事故以外も補償するタイプもあるので、チェックする価値はあるだろう。
交通事故では、必ずしも“どちらか一方のみが全責任を負う”とは限らない。加入する自動車保険を決める際は、“損害をどこまで補償するか”という点にも注目して検討してもらいたい。
※例として挙げた過失割合はあくまで典型例についてであり、実際はそれぞれの具体的な条件によって過失割合は異なる。