火災保険と地震保険の違いとは?補償内容や保険料をわかりやすく比較

火災保険と地震保険の違いとは?補償内容や保険料をわかりやすく比較

火災保険と地震保険の違いが分からず、どちらにどこまで備えればよいのか迷っていませんか。本記事では、火災保険と地震保険の補償の対象や保険金額、支払方法、税制上の扱いまで整理し、両者の役割を比較しています。

住宅ローン返済中の方や、地震への備えを真剣に考えたい人は、自分に合った選択を判断できるようになるためにこの記事を役立ててください。
トータルマネーコンサルタント 新井智美

監修者トータルマネーコンサルタント 新井智美

マネーコンサルタントとしての個人向け相談、NISA・iDeCoをはじめとした運用にまつわるセミナー講師のほか、金融メディアへの執筆および監修に携わっている。

mokuji目次

  1. 火災保険と地震保険の違いを5つのポイントで比較
    1. 【補償内容】火災保険は地震が原因の損害をカバーできない
    2. 【保険金額】地震保険の上限は火災保険の50%まで
    3. 【支払われ方】火災保険は「実損払い」、地震保険は「定額払い」
    4. 【保険料】火災保険は会社ごと、地震保険は一律
    5. 【所得控除】地震保険料は年末調整・確定申告の対象
  2. 地震保険に入る必要はある?判断のポイント
    1. 住宅ローン返済中なら加入がおすすめ
  3. 地震保険の加入・見直しのタイミングと注意点
  4. 火災保険と地震保険の違いをチェックして万が一に備えよう

火災保険と地震保険の違いを5つのポイントで比較

火災保険と地震保険の違いを5つのポイントで比較

火災保険と地震保険は同じ、「住まいを守る保険」ですが、補償の仕組みや目的が大きく異なります。まずは、主な違いを以下の5つのポイント(補償内容、保険金額、支払われ方、保険料、所得控除)で整理します。

比較ポイント

火災保険

地震保険

補償内容

火災、風災、水災、盗難、破損など
※地震を原因とする損害は対象外

地震・噴火・津波を原因とする火災、損壊、埋没、流出

保険金額

建物や家財の評価額(再調達価額)を上限に設定可能

火災保険金額の30〜50%の範囲内
※建物5,000万円、家財1,000万円が上限

保険金の支払い

実際の損害額が支払われる
(実損払い)

損害の程度(全損・大半損・小半損・一部損)に応じた一定額が支払われる(定額払い)

保険料

保険会社やプランによって異なる
(独自に設定可能)

どの保険会社で契約しても一律
(政府と共同運営のため)

所得控除

対象外
(平成18年の改正で廃止)

対象
(地震保険料控除が受けられる)

なお、地震保険は民間保険会社と政府が共同で運営している制度のため、単独では契約できません。必ず火災保険とあわせて加入しましょう。

【補償内容】火災保険は地震が原因の損害をカバーできない

火災保険と地震保険の大きな違いは「補償の対象」です。

たとえば火災保険は、火事や落雷、台風、豪雨などによる損害を補償しますが、地震・噴火・津波が原因の損害は対象外です。地震が原因で発生した火災も、原則として火災保険では補償されません

この点を誤解している人は少なくありません。「火災保険に入っているから大丈夫」と思っていても、地震が原因であれば補償されないことをしっかりと理解しておきましょう。

一方、地震保険は、地震・噴火・津波による建物の倒壊や焼失、流出などを補償します。火災保険では補えない地震リスクに備える、唯一の公的制度に基づく保険です。
火災保険の補償内容

種類

内容

火災・破裂・爆発、落雷

失火・延焼・ボヤなどの火災、ガス漏れなどによる破損・爆発の損害、落雷による損害を補償

風災・雹災・雪災

台風等の強風による損害、雹や霰による損害、豪雪の際の雪の重み、雪の落下などによる事故または雪崩により生じた損害を補償

水災

台風、暴風雨、豪雨などによる洪水、高潮、土砂崩れなどにより生じた損害を補償(床上浸水、建物の損害割合が一定以上などの支払基準を満たす必要あり)

水濡れ

給排水設備の故障や他人の戸室で生じた事故による水濡れ損害を補償

物体の落下・飛来・衝突

車の飛び込みや飛び石など建物外部から物体が落下・飛来・衝突したことにより生じた損害を補償

盗難

家財の盗難や盗難に伴う鍵や窓ガラス等の建物の損害を補償

騒擾・集団行動等に伴う暴力行為

集団行動などに伴う暴力行為・破壊行為による損害を補償

破損・汚損など

子どもが室内でボールを投げ、窓ガラスが破損してしまった等、突発的な事故によって生じた建物や家財の損害を補償

地震保険は、火災保険では補償されない地震・噴火・津波による損害を補償します。地震保険で補償される主な損害は以下の通りです。
地震保険の補償内容

種類

内容

地震による倒壊・損傷

地震の揺れによって建物が倒壊・破損した場合の損害を補償

地震による火災

地震が原因で発生した火災による建物・家財の損害を補償(火災保険では補償されない)

地震による地盤沈下・傾斜

地震による地盤沈下や地割れで建物が傾いたり、損傷を受けた場合の損害を補償

津波による流失・浸水

地震が原因で発生した津波により建物が流されたり、浸水した場合の損害を補償

噴火による損害

火山の噴火により、噴石の落下や溶岩流による建物・家財の損害を補償

地震・噴火による土砂災害

地震や噴火による土砂崩れで建物が埋没・破損した場合の損害を補償

地震保険は、火災保険ではカバーできない「地震による倒壊・火災・津波被害」などを補償する唯一の手段だと言えるでしょう。

【保険金額】地震保険の上限は火災保険の50%まで

設定できる保険金額にも違いがあります。

火災保険では、建物の再調達価格を基に保険金額を決めます。再調達価格とは、同じ建物を新たに建て直すために必要な金額のことです。

地震保険の保険金額は、火災保険金額の30%〜50%の範囲内でしか設定できません。さらに、建物は5,000万円、家財は1,000万円が上限と定められています。

これは、地震保険が「全額補償」を目的としていないためです。制度の目的は「被災後の最低限の生活再建を支えること」のため、再建費用を全て補償する設計にはなっていません

【支払われ方】火災保険は「実損払い」、地震保険は「定額払い」

保険金の支払い方法も、火災保険と地震保険では異なります。

火災保険は、実際に発生した損害額に基づいて保険金が支払われる「実損払い」が基本です。損害額は、修理費用などの見積もりを基に計算します。

一方、地震保険は、損害の程度をまず「全損」「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4つの区分に分け、それぞれの区分に応じて保険金額の100%・60%・30%・5%が支払われます。

実際の修理費がいくらかではなく、認定区分に応じて支払額が決まる仕組みが、火災保険と異なる点です。
【建物】
損害基準 保険金額
全損 主要構造部の損害額が建物の時価50%以上、または焼失もしくは流出した床面積が延床面積の70%以上の場合 保険金額の100%
大半損 主要構造部の損害額が建物の時価の40%以上50%未満、または焼失もしくは流出した床面積が延床面積の50%以上70%未満の場合 保険金額の60%
小半損 主要構造部の損害額が建物の時価の20%以上40%未満、または焼失もしくは流出した床面積が延床面積の20%以上50%未満の場合 保険金額の30%
一部損 主要構造部の損害額が建物の時価の3%以上20%未満、または建物が床上浸水もしくは地盤面より45cmを超える浸水を受けた場合 保険金額の5%
【家財】
損害基準 保険金額
全損 損害額が家財全体の時価の80%以上の場合 保険金額の100%
大半損 損害額が家財全体の時価の60%以上80%未満の場合 保険金額の60%
小半損 損害額が家財全体の時価の30%以上60%未満の場合 保険金額の30%
一部損 損害額が家財全体の時価の10%以上30%未満の場合 保険金額の5%
参考:財務省|地震保険制度の概要

【保険料】火災保険は会社ごと、地震保険は一律

火災保険の保険料は、建物の構造や所在地、専有面積、選択した補償内容など、さまざまな要素によって決定されます。各保険会社が独自に保険料を設定できるため、同じような補償内容でも会社によって保険料が異なることがあります

一方、地震保険の保険料は全保険会社で統一されており、建物の構造と所在地によって決まります。

たとえば、同じイ構造(鉄筋コンクリート造)の建物でも、地域によって保険料は以下のとおり大きく異なります(保険金額1,000万円あたり保険期間1年につき) 。
都道府県 構造の区分
イ構造(鉄筋やコンクリート造) ロ構造(木造)
北海道・青森県・岩手県・秋田県・山形県・栃木県・群馬県・新潟県・富山県・石川県・福井県・長野県・岐阜県・滋賀県・京都府・兵庫県・奈良県・鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県・福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・鹿児島県 7,300円 11,200円
宮城県・福島県・山梨県・愛媛県・三重県・大阪府・和歌山県・香川県・愛媛県・宮崎県・沖縄県 11,600円 19,500円
茨城県・徳島県・高知県 23,000円 41,100円
埼玉県 26,500円
千葉県・東京都・神奈川県・静岡県 27,500円
参考:財務省|地震保険の基本料率(令和4年10月1日以降保険始期の地震保険契約)

地震保険には保険期間による保険料の違いもあります。長期契約の場合、以下のような係数で保険料が計算されます。

2年契約:1.90 / 3年契約:2.85 / 4年契約:3.75 / 5年契約:4.70

また 、建物の免震・耐震性能に応じて保険料の割引制度があり、最大で50%の割引を受けられる場合もあります。

【所得控除】地震保険料は年末調整・確定申告の対象

火災保険料は所得控除の対象外ですが、地震保険料は所得控除の対象です。地震保険料控除として、以下の金額が所得から控除されます。
年間で支払った保険料 控除額
所得税 5万円以下 支払金額の全額
5万円超 一律5万円
住民税 5万円以下 支払金額×1/2
5万円超 一律2万5,000円
これらの控除は、勤務先での年末調整または確定申告で受けられます

このように火災保険と地震保険には大きな違いがありますが、それぞれの特徴を理解し、自身の住まいのリスクに応じて適切な保険を選択することが大切です。

地震保険に入る必要はある?判断のポイント

地震保険に入る必要はある?判断のポイント

地震保険に加入する必要性は高いと言えます。なぜなら、日本は世界でも地震が多い国だからです。内閣府の防災情報 でも、大規模地震への備えの重要性が繰り返し示されています。

もちろん公的支援(被災者生活再建支援制度 )も用意されていますが、補償されるのは最大300万円です。

特に以下に当てはまる人は、加入を強く検討することをおすすめします。
・住宅ローンの残債が多い
・貯蓄だけでは再建が難しい
・持ち家を家族の生活基盤として守りたい
また、マンションの場合は、専有部分と共用部分で加入状況が異なります。管理組合が加入する共用部分の地震保険と、自分の専有部分の補償内容をあわせて確認しておきましょう

住宅ローン返済中なら加入がおすすめ

住宅ローンの返済が残っている場合、地震保険の重要性はより高まります。なぜなら、地震で家が倒壊しても、住宅ローンは原則として免除されないからです。

そのため、住めなくなった家のローンを払いながら、新たな住まいの費用も負担することになるケースも考えられます。

被災者生活再建支援金などの公的支援は最大300万円です。再建費用や残債額によっては大きく不足することもあるでしょう。その不足分を補う手段として、地震保険は有効な選択肢の一つです。

地震保険の加入・見直しのタイミングと注意点

地震保険の加入・見直しのタイミングと注意点

地震保険は、火災保険と同時に加入するのが一般的です。ただし、契約途中でも追加で加入できます。これを「中途付帯」といいます。

ただし、中途加入する場合、2025年9月1日以降は、保険期間については火災保険の満期に合わせる内容に改定されました。また、制度は段階的に見直されており、保険料や料率も定期的に改定されています 。

さらに、地震保険料には税制上の優遇があります。所得税では最大5万円 、住民税では最大2万5,000円 までが控除(地震保険料控除)の対象です。

年末調整や確定申告で申請すれば税負担を軽くできるため、このような控除制度も踏まえたうえでの加入検討がおすすめです。

火災保険と地震保険の違いをチェックして万が一に備えよう

火災保険と地震保険は、それぞれ異なる補償範囲を持つ保険です。火災保険は火災や自然災害による損害を幅広く補償できますが、地震による被害は対象外です。

一方、地震保険は火災保険単独では補償されない地震・噴火・津波による損害をカバーします。ただし、地震保険は火災保険とセットで加入する必要があるため、単独では契約できません。

日本は世界有数の地震多発国であり、過去にも大地震による甚大な被害が発生しています。災害に備えるためにも、火災保険と地震保険の違いをしっかり理解し、自宅のリスクに合った保険を選びましょう。

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※本記事では一般的な例をもとに情報をまとめています。各社の商品やプランによっては当てはまらないケースもあります。また、情報は公開日現在のものです。各種状況や法令情報等につきましては、公的機関等で最新情報をご確認ください。
トータルマネーコンサルタント 新井智美

監修者トータルマネーコンサルタント 新井智美

マネーコンサルタントとしての個人向け相談、NISA・iDeCoをはじめとした運用にまつわるセミナー講師のほか、金融メディアへの執筆および監修に携わっている。

現在年間200本以上の執筆・監修をこなしており、これまでの執筆・監修実績は3,000本を超える。

(保有資格)
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
・CFP®
・DC(確定拠出年金)プランナー
・住宅ローンアドバイザー
・証券外務員

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