火災保険と家財保険の違いは?補償内容や賃貸契約における必要性を知ろう

火災保険と家財保険の違いは?補償内容や賃貸契約における必要性を知ろう

火災保険と家財保険はどちらも災害や事故による損害を補償する保険ですが、その補償対象や目的には明確な違いがあります。

火災保険は主に建物自体を守るための保険であるのに対し、家財保険は室内にある家具や家電、貴重品などを補償するものです。特に賃貸住宅では、家財保険に加入することで自分の持ち物を守るだけでなく、借家人賠償責任保険や個人賠償責任保険といった付帯補償で万が一のトラブルにも備えられます。

本記事では、火災保険と家財保険の違い、また賃貸契約時に家財保険がなぜ必要なのかを解説します。補償内容の選び方や加入時の注意点についても紹介するので、ご自身の住まいに合った保険を選ぶための参考にしてください。

mokuji目次

  1. 火災保険と家財保険の違いについて
    1. 家財保険は火災保険の補償のひとつ
  2. 家財保険の補償内容は?
    1. 家財保険で補償対象となるケース
    2. 家財保険で補償対象となる家財
    3. 家財保険の補償金額の目安は?
  3. 賃貸住宅契約時に家財保険は必要?
    1. 重要なのは付帯する「借家人賠償責任保険(特約)」
    2. 他の住人への損害をカバーする「個人賠償責任保険」も
  4. 家財保険加入時の注意点
    1. 引っ越しで二重に加入していないか確認する
    2. 家財の補償に見合う保険金額か検討する
    3. 必要な補償内容だけに絞り込む
    4. 地震に備えるなら地震保険に加入する
  5. 火災保険と家財保険の違いを理解して正しく加入しよう

火災保険と家財保険の違いについて

火災保険と家財保険の違いについて

火災保険と家財保険の違いは、補償の対象範囲です。火災保険は建物と家財の両方を補償しますが、家財保険は家財のみが対象となります。

火災保険は、単に火災だけではなく、台風、落雷、空き巣などさまざまな災害やトラブルによる被害を幅広く補償してくれる保険です。

補償対象は「建物」と「家財」に分かれており、契約時には「建物のみ」を補償する契約、「家財のみ」を補償する契約、そして「建物と家財の両方」を補償する契約の3パターンから選ぶことができます。

家財保険は火災保険の補償のひとつ

家財保険とは、火災保険の中で「家財」を補償対象とする契約のことです。

例えば持ち家の場合、所有者は建物と家財の両方を補償する火災保険に加入するのが一般的です。

一方、賃貸物件では、建物本体の火災保険は通常、貸主(大家)が加入します。そのため、借主(賃借人)が加入するのは、家財を補償する「家財保険」となります。

賃貸で部屋を借りる際、建物や共用部分の補償は大家や管理組合の保険でカバーされています。そのため、借主は自分の家具などの家財を守るために家財保険へ加入します。

家財保険の補償内容は?

家財保険の補償内容は?

家財保険は火災だけでなく、さまざまな災害やトラブルから家財を守るための保険です。一般的に「家財」とは、住居内の家具や家電製品、衣類、食器などの生活用品を指します。

ここでは、どのようなケースで補償を受けられるのか、どの家財が補償対象になるのか、そして補償金額はどのように決めればよいのかを解説します。

家財保険で補償対象となるケース

家財保険が適用される具体的なケースには以下のようなものがあります。

事故原因

補償対象となる事例

火災

・自宅から出火して家具が焼失した場合
・隣家からの延焼で家電製品が損傷した場合

落雷

・落雷により電子機器が故障した場合

風災

・台風で窓ガラスが割れ、雨で家具が濡れた場合
・暴風で飛ばされたものが窓を壊し、家財が損傷した場合

水濡れ

・給排水管の事故で水漏れし、家財が水浸しになった場合

盗難

・空き巣に入られ、家財が盗まれた場合
・泥棒により家財が壊された場合

一方で、地震による火災や倒壊、故意または重大な過失による損害、戦争・内乱による損害などは、一般的な家財保険では補償されません。これらのリスクには別途対策が必要です。

家財保険で補償対象となる家財

家財保険で補償される家財と補償対象外となる家財は以下のとおりです。

【補償対象となる家財】

  • 家具(テーブル、ソファ、ベッドなど)
  • 家電製品(テレビ、冷蔵庫、洗濯機など)
  • 衣類・寝具
  • 食器・調理器具
  • 書籍・CD・DVDなど
  • 自転車(125cc以下の原動機付自転車を含む)

【補償対象外となる家財】

  • 通貨、有価証券、預貯金証書
  • 印紙、切手
  • クレジットカード、プリペイドカード、電子マネー
  • プログラム、データなどの無体物
  • 自動車(自動三輪車および自動二輪車を含む)
  • 1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・美術品(特別な申告をしない限り)
家財保険で高額品(30万円超)を補償するには、契約時に「明記物件」として申告する必要があります。申告がない場合は補償の対象外となる可能性があるため注意しましょう。

家財保険の補償金額の目安は?

家財保険の補償金額を決める際には、自分が所有する家財の総額を把握することが重要です。保険会社では家財の評価方法として以下のような方法を提供しています。

評価方法

特徴

簡易評価

世帯主の年齢、家族構成、住居の広さなどから家財の総額を簡易的に算出する方法

積算評価

家財の価値を一つひとつ積み上げて計算する方法

多くの場合、算出の手間がかからない簡易評価が用いられます。保険会社が提供する簡易評価の目安は次のようなものがあります。
  • 大人2人・子ども2人(世帯主33〜37歳)の4人家族:1,100万円前後
  • 夫婦のみ(世帯主30歳前後):700万円前後
  • 単身(25歳前後):300万円前後
ご自身の家財をより正確に評価するには、キッチン、クローゼット、リビングなど設置場所や収納場所ごとに持ち物をリストアップすると、抜け漏れが少なく整理しやすくなります。そのうえで、必要なものと不要なものを取捨選択することが大切です。

すべてを補償対象にすると保険金額が高くなるので、本当に補償が必要な家財を見極め、適切な補償金額を設定しましょう。そうすることで、万が一の際にも過不足なく十分な保障を受けられます。

賃貸住宅契約時に家財保険は必要?

賃貸住宅契約時に家財保険は必要です。

賃貸物件を 契約する際に、不動産会社から火災保険や家財保険への加入を求められることが多いでしょう。「自分の持ち物にはそれほど価値がないから、家財保険は必要ないのでは?」と考える方もいるかもしれません。

しかし、賃貸契約における火災保険(家財保険)の重要性は、自分の家財を守ることだけではありません。特に重要なのは、家財保険にセットで付帯される特約です。

これらの特約がどのような役割を果たすのか、そしてなぜ賃貸住宅で家財保険が必要なのかを解説します。

重要なのは付帯する「借家人賠償責任保険(特約)」

「借家人賠償責任保険(特約)」とは、借りている物件で火災や水漏れなどの事故が発生し、部屋や建物に損害を与えてしまった際に、大家への損害賠償金を補償する保険です。多くの賃貸物件では、この借家人賠償責任保険が付帯した火災保険への加入が契約条件となっています。

賃貸契約では、借主には「善管注意義務」と呼ばれる、物件を適切に管理しながら使用する義務があります。たとえ故意や過失がなくても、例えば洗濯機用の配水管の破損し、水浸しになった場合などは、この義務に違反して損害を発生させたとみなされることがあるのです。

このような場合、高額な修繕費や賠償金が発生する可能性がありますが、借家人賠償責任保険に加入していれば、これらの費用は補償されます。

他の住人への損害をカバーする「個人賠償責任保険」も

借家 人賠償責任保険が大家への賠償責任をカバーするのに対し、「個人賠償責任保険」は第三者への賠償責任を補償する保険です。例えば、マンションで水漏れを起こし、階下の住人の家財に損害を与えた場合、その損害分を補償する必要があります。

このようなケースでは、借家人賠償責任保険では対応できないため、自分の所有物以外を補償する個人賠償責任保険が重要になります。個人賠償責任保険は家財保険の特約として付けられるほか、自動車保険や医療保険の特約としてすでに加入していることもあります。

重複して加入すると不要な保険料が発生するため、契約前に他の保険で個人賠償責任保険に加入していないか確認することをおすすめします。

家財保険加入時の注意点

家財保険加入時の注意点

家財保険に加入する際には、いくつかの重要なポイントに注意が必要です。適切な保険を選べば、万が一の際に十分な補償を受けられるだけでなく、無駄な保険料の支払いも防げます。

ここでは、家財保険に加入する際のチェックポイントを紹介します。

引っ越しで二重に加入していないか確認する

引っ越しの際に見落としがちなのが、既存の火災保険(家財保険)の解約手続きです。火災保険の契約期間は1年から10年とさまざまで、例えば2年契約の場合、契約期間内に引っ越しても自動的には解約されません。

新居で火災保険に加入する際、解約を忘れると二重に保険料を支払うことになってしまいます。家財保険は補償の対象となる家財の評価額を上限としているため、たとえ二重に加入しても補償額が増えるわけではありません。 引っ越し前に現在の火災保険の契約状況を確認し、必要に応じて解約手続きを行いましょう。

家財の補償に見合う保険金額か検討する

火災保険会社が提案する家財の保険金額は、家族構成や世帯主の年齢などに応じた目安として設定されるのが一般的です。例えば「家族2名・世帯主40歳で1,130万円」といった形で提示されることがあります。

しかし、これはあくまで目安であり、実際の家財の価値とは大きく異なる場合もあります。一人暮らしで家財も少ない場合は、提示額よりも低い補償額で十分なケースも少なくありません。

適切な保険金額を設定すれば、保険料も抑えられます。自分にとって本当に必要な家財を見極めながら、慎重に検討しましょう。

必要な補償内容だけに絞り込む

賃貸住宅用の火災保険(家財保険)には、さまざまな特約がセットになっていることが多いですが、すべてが必要とは限りません。例えば、個人賠償責任保険は自動車保険や医療保険などの特約として付帯できるため、すでに別の保険で加入している場合は重複してしまいます。

補償内容が複雑になるほど保険料は高くなる傾向があるため、不要な特約を外し、シンプルな内容にすることで保険料を抑えられます。契約前に現在加入している保険の内容を確認し、必要な補償のみを選びましょう。

地震に備えるなら地震保険に加入する

火災保険(家財保険)では、地震や噴火、津波による火災や損壊などの損害は補償されません。地震による被害に備えるには、別途地震保険に加入する必要があります。ただし、地震保険は単独では加入できず、火災保険とセットでの契約が欠かせません。

賃貸向けの火災保険でも、「地震保険」を付帯すれば補償を受けられます。さらに、地震保険は保険料控除の対象となるため、税金の還付を受けられる制度もあります。地震のリスクが高い地域にお住まいの方は、加入を検討する価値があるでしょう。

火災保険と家財保険の違いを理解して正しく加入しよう

火災保険と家財保険は別のものではなく、家財保険は火災保険の補償一部です。特に賃貸住宅では、建物本体の火災保険は大家が加入しているため、借主は家財を補償する家財保険に加入することになります。

また、賃貸住宅では借家人賠償責任保険や個人賠償責任保険といった特約も重要です。家財保険を選ぶ際は、自分の家財の価値に見合った保険金額を設定し、必要な補償に絞ることで、無駄なく効果的に活用できます。さらに、地震のリスクがある地域では、地震保険の加入も検討すると安心です。

オリコン顧客満足度ランキングでは、火災保険の加入者へのアンケート調査をもとに算出した「火災保険 顧客満足度ランキング」を発表しています。

火災保険への加入を検討される際はこちらもぜひご参考いただき、自分に合ったより良い選択肢を見つけてみてください。

※本記事では一般的な例をもとに情報をまとめています。各社の商品やプランによっては当てはまらないケースもあります。また、情報は公開日現在のものです。各種状況や法令情報等につきましては、公的機関等で最新情報をご確認ください。
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