火災保険の選び方は?必要な補償内容や金額はこう決めるのが正解

火災保険の選び方は?必要な補償内容や金額はこう決めるのが正解

火災保険は、火事だけでなく風水災などの自然災害、盗難などさまざまなリスクに備えるための保険です。しかし、補償範囲や保険金額の設定方法にはいくつかの選択肢があり、自身の住まいに合った内容を選ぶことが重要になります。

本記事では、火災保険の補償内容や、建物と家財の保険金額の決め方、契約期間の選び方など、失敗しないためのポイントを解説します。また、万が一の損害をしっかり補償するために検討したい特約や、地震保険の必要性についても詳しく紹介します。

ご自身にとって最適な火災保険を選びの参考にしてください。

mokuji目次

  1. 火災保険の補償内容は?火事以外の備えにも
  2. 火災保険はどう決める?6つのポイント
    1. 補償対象|建物・家財・両方の3タイプ
    2. 構造級別|M構造・T構造・H構造の3タイプ
    3. 補償範囲|必要な補償内容を検討
    4. 保険金額|建物の保険金額の決め方
    5. 保険金額|家財の保険金額の決め方
    6. 補償期間|1年契約から5年契約
  3. 地震保険への加入も検討しよう
    1. 地震保険とは?
    2. 地震保険の必要性
  4. 補償は足りている?おすすめの特約5選
    1. 個人賠償責任補償特約
    2. 臨時費用保険金補償特約
    3. 新価保険特約
    4. 類焼損害特約
    5. 携行品損害補償特約
  5. 火災保険の選び方をチェックして、加入を検討しよう!

火災保険の補償内容は?火事以外の備えにも

火災保険の補償内容は?火事以外の備えにも

火災保険は名前から火災による損害のみを補償すると思われがちですが、実はさまざまな損害にも対応しています。

基本的な補償には「火災」「落雷」「破裂・爆発」が含まれており、これに加えて「風災」「雹(ひょう)災」「雪災」などの自然災害による被害も補償対象となります。さらに保険会社や商品によっては、「水災」「盗難」「水漏れ」「破損・汚損」などをオプション補償として追加できる場合があります

ただし、地震、噴火またはこれらによって生じた津波などの損害は火災保険では補償されず、別途「地震保険」への加入が必要です。火災保険は建物の損害はもちろん、家電や家具などの家財に生じた損害も対象としているため、私たちの暮らしを守る重要な役割を担っています。

火災保険はどう決める?6つのポイント

火災保険はどう決める?6つのポイント

火災保険を選ぶ際には、次の6つポイントを押さえておく必要があります。
これらのポイントを一つひとつ確認していくことで、ご自身にとって最適な火災保険を選ぶことができるでしょう。

以下では、それぞれのポイントについて解説します。

補償対象|建物・家財・両方の3タイプ

火災保険の補償対象は、「建物のみ」「家財のみ」「建物+家財」の3タイプから選ぶことができます。賃貸物件の場合は建物部分が所有者の火災保険でカバーされているため「家財のみ」を選択します。一方、持ち家の場合は3つの選択肢すべてが候補となりますが、「建物+家財」を検討するのがよいでしょう。

建物の補償対象には、建物本体だけでなく、同じ敷地内にある門、塀、物置なども含まれる場合があります。家財は家具やテレビなどの家電、衣類など、建物内にあり動かせるものが対象です。火災により家財が損害を受けると、一度に買い直す費用は予想以上に高額になることがあるため、家財保険の加入も重要となります。

構造級別|M構造・T構造・H構造の3タイプ

火災保険の保険料は、建物の構造によって大きく異なります。住宅物件の構造級別は「M構造」(マンション構造)、「T構造」(耐火構造)、「H構造」(非耐火構造)の3つに分類されます。耐火性が強いほど保険料は安くなり、「M構造」「T構造」「H構造」の順に保険料が高くなる傾向があります。

構造級別の判定には、建物が造られた素材(木造、鉄骨造、コンクリート造など)と、建築基準法等の法令上の建物性能(耐火建築物・準耐火建築物・省令準耐火建物など)が考慮されます。自分の住まいがどの構造級別に該当するかは、納税や不動産取引の書類、建築確認申請書類などで確認できます。

正確な構造級別の把握は、適切な保険料算定に欠かせない要素です。

補償範囲|必要な補償内容を検討

火災保険の補償範囲は「基本補償」と「オプション補償」で構成されています。基本補償には火災、落雷、破裂・爆発が必ず含まれており、保険会社によっては風災、雹(ひょう)災、雪災なども基本補償に含まれることがあります。これに対し、水災、盗難、水漏れ、破損・汚損などはオプション補償として追加することが可能です。

すべてのオプションを追加すれば広範囲の損害に備えられますが、その分保険料も高くなります。実際に補償範囲を決める際には、居住地域の地形や環境を考慮することが大切です。

たとえば河川が近くにある地域なら水災のオプションを検討し、自治体が公表するハザードマップも参考にしながら、必要な補償を選ぶとよいでしょう。

保険金額|建物の保険金額の決め方

建物の保険金額を決めるためには、まず建物の評価額を適切に算出する必要があります。評価額には「新価」と「時価」の2つの考え方がありますが、最近では新価(再調達価額)を基準とすることが一般的です。

新価とは、今と同じ建物を新たに購入するために必要な金額で、時価は経年劣化などによる価値減少を差し引いた現在の価値を指します。建物の評価額は新築か中古かによって算出方法が異なります。新築の場合は建物購入時の金額がそのまま評価額となり、中古の場合は建築時の価額に所定の係数(年次別指数法)を掛けたり、構造ごとの平均単価に延床面積をかけたりして計算します。

保険金額は多すぎも少なすぎもよくないため、新価ちょうどに設定するのが基本と言えるでしょう。

保険金額|家財の保険金額の決め方

家財の保険金額は、生活用動産である家具、家電、衣類などが対象となります。

家財の評価額は家族構成や年齢、住まいの広さなどによって大きく異なりますが、一般的には保険会社が提供する「家財簡易評価表」を参考に決めることができます。

財簡易評価表は、各保険会社ごとに異なります。
建物の専有面積での簡易評価額の表(例)
建物所有形態 33u未満 33u以上
66u未満
66u以上
99u未満
99u以上
132u未満
132u以上
賃貸物件 560万円 920万円 1,160万円 1,510万円 1,840万円
所有物件 340万円 620万円 860万円 1,100万円 1,360万円
家族構成での簡易評価額の表(例)
世帯主の年齢 2名
(大人のみ)
3名
(大人2名・子ども1名)
4名
(大人2名・子ども2名)
5名
(大人2名・子ども3名)
独身世帯
25歳前後 490万円 580万円 670万円 760万円 300万円
30歳前後 700万円 790万円 880万円 970万円
40歳前後 1,130万円 1,220万円 1,310万円 1,390万円
50歳前後
(含以上)
1,550万円 1,640万円 1,730万円 1,820万円
これらの表を参考にしながら、自分の家の実態と照らし合わせて適切な保険金額を設定すると良いでしょう。なお、1点または1組で30万円を超える貴金属などは「明記物件」として申告が必要です。

補償期間|1年契約から5年契約

火災保険の保険期間は基本的に1〜5年の間で設定することができます。契約期間が長いほど保険料の割引率が高くなり、1年ごとに同じ契約を5回更新するよりも、最初から5年契約にしたほうが保険料は安くなります。

長期契約のメリットは、トータルの保険料がリーズナブルになることと更新の手間が省けることです。

5年契約の一括払いの場合、1年契約と比べて約10%の保険料が節約できる(実際の割引率は、保険会社・保険商品ごとに異なります)とされています。一方で短期契約の場合、1回分の保険料は安いものの、5年間でみると長期契約より高くなる可能性があります。

ただし、更新の機会が増えるため、その都度補償内容を見直すことができるというメリットもあります。

引っ越しの予定がなければ長期契約を、生活環境の変化が予想される場合は短期契約を検討するとよいでしょう。

地震保険への加入も検討しよう

地震保険への加入も検討しよう

火災保険を選ぶ際には、地震による被害への備えも重要な検討事項です。日本は地震大国であり、いつどこで大きな地震が発生してもおかしくありません。

火災保険だけでは地震による損害はカバーできないため、地震保険への加入も併せて検討するようにしましょう。

地震保険とは?

地震保険は、地震や噴火、またはこれらによる津波を原因とした火災、損壊、流失、埋没などによって生じた損害を補償する保険です。一般の火災保険では地震による損害は補償されないため、地震リスクへの備えには地震保険への加入が必要となります。

地震保険は火災保険に付帯する形で契約し、保険期間は1年または長期(最長5年)で設定できます。地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30〜50%の範囲内で設定され、建物は5,000万円、家財は1,000万円が上限です。

損害の程度によって「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4区分に分けられ、それぞれ保険金額の100%、60%、30%、5%が支払われます。

地震保険の必要性

日本列島は世界の地震の約1割が集中する地震大国です。地震保険への加入を検討する大きな理由は、火災保険だけでは地震や津波による損害をカバーできないことにあります。特に近年は、地震保険の付帯率が年々増加しており、2010年度の48.1%から2023年度には69.7%まで上昇しています。

地震による被害は予測困難で甚大なものとなりやすく、住宅の再建には多額の費用がかかります。地震保険は、地震後の住宅ローンの支払いや生活再建のための重要な資金となります。また、地震保険料は所得控除の対象となるため、税制面でもメリットがあります。

東日本大震災以降、地震に対する意識が高まっていることからも、地震保険への加入は真剣に検討すべき選択肢となっています。

補償は足りている?おすすめの特約5選

補償は足りている?おすすめの特約5選

火災保険の基本的な補償内容に加えて、特約をつけることでさらに手厚い保障を得ることができます。特約は追加の保険料が必要になりますが、万が一の事態に備えるためには重要な選択肢です。

ここでは、特に検討する価値のある5つの特約をご紹介します。

個人賠償責任補償特約

個人賠償責任補償特約は、日常生活において、契約者やその家族が他人にケガを負わせたり、他人の物を壊したりして法律上の損害賠償責任を負った場合に補償する特約です。火災による類焼で重大な過失があった場合の隣家への賠償や、水漏れによる階下の住人への損害賠償なども対象となります。

この特約は自転車による事故や、飼い犬が他人に噛みついてケガをさせた場合なども補償します。契約者本人だけでなく同居の家族や、別居の未婚の子どもも補償対象となるケースが多いため、家族全体をカバーする安心感があります。

日常生活において発生する予測不能な賠償リスクに備えるために、ぜひ検討したい特約の一つと言えるでしょう。

臨時費用保険金補償特約

臨時費用保険金補償特約は、火災などで住宅や家財に損害が生じた際、保険金とは別に臨時費用として保険金額の一定割合が上乗せされる特約です。一般的には損害保険金の10%(上限100万円程度)が支払われます。

この特約で受け取った臨時費用は、使い道に制限がなく、被災後の仮住まいの費用や、損害を受けた周辺の修復費用、被災によるケガの治療費、引越費用など、さまざまな用途に活用できます。

火災や災害で住まいが被害を受けると、目に見える損害以外にも予期せぬ出費が多く発生するため、こうした臨時費用の保障があると安心です。

新価保険特約

新価保険特約は、火災保険の保険金の算出方法を「時価」ではなく「新価」とするための特約です。「時価」は経年劣化分を差し引いた金額であるのに対し、「新価」は同等の建物や家財を新たに購入するための金額(再調達価額)となります。

たとえば築15年の住宅が全焼した場合、時価計算では建物の価値は大きく減少しているため、保険金だけでは同じ住宅を再建できません。

一方、新価計算なら再建に必要な金額が保険金として支払われるため、同等の住宅を再建することが可能になります。近年の火災保険は新価(再調達価額)がデフォルトとなっているケースが多いものの、契約前に必ず確認しておくことが重要です。時価計算の場合は、この特約への加入を検討すべきでしょう。

類焼損害特約

類焼損害特約は、自分の住居から出火し、隣家などを類焼させてしまった場合に、被害者の建物や家財の損害を補償する特約です。日本では失火責任法により、重大な過失がない限り、出火元は類焼の賠償責任を負いませんが、道義的な面から類焼先への補償を考えるなら有効な特約となります。

この特約の特徴は、類焼先の住民が火災保険に加入していない場合や、加入していても損害をカバーしきれない場合に、差額分が補償される点です。ただし、類焼先が火災保険に加入している場合は、まずそちらから補償されるため、この特約が発動するケースは限られています。

また、重大な過失による失火の場合は個人賠償責任保険から保険金が支払われることも考慮して、加入を検討するとよいでしょう。

携行品損害補償特約

携行品損害補償特約は、家財を自宅の外に持ち出したときに、偶然の事故によって損害が発生した場合に補償する特約です。通常、火災保険の家財保険は自宅内の家財が対象ですが、この特約をつけることで外出先での家財の損害もカバーできるようになります。

補償の対象となるのは、カメラなどの持ち運び可能な家財です。ただし、自動車や自転車、ノートパソコン、スマートフォン、メガネなどの身体補助器具、30万円を超える貴金属や美術品は一般的に対象外となっています。

また、保険金額は1個または1組当たり10万円程度を上限とするケースが多いため、高額な持ち物を外出時に携行する機会が多い方は、この特約の加入を検討する価値があるでしょう。

火災保険の選び方をチェックして、加入を検討しよう!

火災保険の選び方について、補償対象や構造級別の判定方法、必要な補償範囲の見極め、建物・家財の保険金額の決め方、契約期間の選択など重要なポイントを解説しました。

地震保険の必要性や、個人賠償責任補償特約や臨時費用保険金補償特約などのおすすめ特約についても触れました。これらの知識を活用して、ご自身の住まいの環境や必要な補償を見定め、適切な火災保険を選ぶことが大切です。保険会社によって補償内容や保険料は異なりますので、複数の保険会社の商品を比較検討し、バランスの取れた火災保険に加入しましょう。

オリコン顧客満足度ランキングでは、火災保険の加入者へのアンケート調査をもとに算出した「火災保険 顧客満足度ランキング」を発表しています。

火災保険への加入を検討される際はこちらもぜひご参考いただき、自分に合ったより良い選択肢を見つけてみてください。

※本記事では一般的な例をもとに情報をまとめています。各社の商品やプランによっては当てはまらないケースもあります。また、情報は公開日現在のものです。各種状況や法令情報等につきましては、公的機関等で最新情報をご確認ください。
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