火災保険の選び方は?必要な補償内容や金額はこう決めるのが正解
本記事では、火災保険の補償内容や、建物と家財の保険金額の決め方、契約期間の選び方など、失敗しないためのポイントを解説します。また、万が一の損害をしっかり補償するために検討したい特約や、地震保険の必要性についても詳しく紹介します。
ご自身にとって最適な火災保険を選びの参考にしてください。
目次
火災保険の補償内容は?火事以外の備えにも
基本的な補償には「火災」「落雷」「破裂・爆発」が含まれており、これに加えて「風災」「雹(ひょう)災」「雪災」などの自然災害による被害も補償対象となります。さらに保険会社や商品によっては、「水災」「盗難」「水漏れ」「破損・汚損」などをオプション補償として追加できる場合があります。
ただし、地震、噴火またはこれらによって生じた津波などの損害は火災保険では補償されず、別途「地震保険」への加入が必要です。火災保険は建物の損害はもちろん、家電や家具などの家財に生じた損害も対象としているため、私たちの暮らしを守る重要な役割を担っています。
火災保険はどう決める?6つのポイント
以下では、それぞれのポイントについて解説します。
補償対象|建物・家財・両方の3タイプ
建物の補償対象には、建物本体だけでなく、同じ敷地内にある門、塀、物置なども含まれる場合があります。家財は家具やテレビなどの家電、衣類など、建物内にあり動かせるものが対象です。火災により家財が損害を受けると、一度に買い直す費用は予想以上に高額になることがあるため、家財保険の加入も重要となります。
構造級別|M構造・T構造・H構造の3タイプ
構造級別の判定には、建物が造られた素材(木造、鉄骨造、コンクリート造など)と、建築基準法等の法令上の建物性能(耐火建築物・準耐火建築物・省令準耐火建物など)が考慮されます。自分の住まいがどの構造級別に該当するかは、納税や不動産取引の書類、建築確認申請書類などで確認できます。
補償範囲|必要な補償内容を検討
すべてのオプションを追加すれば広範囲の損害に備えられますが、その分保険料も高くなります。実際に補償範囲を決める際には、居住地域の地形や環境を考慮することが大切です。
たとえば河川が近くにある地域なら水災のオプションを検討し、自治体が公表するハザードマップも参考にしながら、必要な補償を選ぶとよいでしょう。
保険金額|建物の保険金額の決め方
新価とは、今と同じ建物を新たに購入するために必要な金額で、時価は経年劣化などによる価値減少を差し引いた現在の価値を指します。建物の評価額は新築か中古かによって算出方法が異なります。新築の場合は建物購入時の金額がそのまま評価額となり、中古の場合は建築時の価額に所定の係数(年次別指数法)を掛けたり、構造ごとの平均単価に延床面積をかけたりして計算します。
保険金額|家財の保険金額の決め方
家財の評価額は家族構成や年齢、住まいの広さなどによって大きく異なりますが、一般的には保険会社が提供する「家財簡易評価表」を参考に決めることができます。
財簡易評価表は、各保険会社ごとに異なります。
建物所有形態 | 33u未満 | 33u以上 66u未満 |
66u以上 99u未満 |
99u以上 132u未満 |
132u以上 |
---|---|---|---|---|---|
賃貸物件 | 560万円 | 920万円 | 1,160万円 | 1,510万円 | 1,840万円 |
所有物件 | 340万円 | 620万円 | 860万円 | 1,100万円 | 1,360万円 |
世帯主の年齢 | 2名 (大人のみ) |
3名 (大人2名・子ども1名) |
4名 (大人2名・子ども2名) |
5名 (大人2名・子ども3名) |
独身世帯 |
---|---|---|---|---|---|
25歳前後 | 490万円 | 580万円 | 670万円 | 760万円 | 300万円 |
30歳前後 | 700万円 | 790万円 | 880万円 | 970万円 | |
40歳前後 | 1,130万円 | 1,220万円 | 1,310万円 | 1,390万円 | |
50歳前後 (含以上) |
1,550万円 | 1,640万円 | 1,730万円 | 1,820万円 |
補償期間|1年契約から5年契約
長期契約のメリットは、トータルの保険料がリーズナブルになることと更新の手間が省けることです。
5年契約の一括払いの場合、1年契約と比べて約10%の保険料が節約できる(実際の割引率は、保険会社・保険商品ごとに異なります)とされています。一方で短期契約の場合、1回分の保険料は安いものの、5年間でみると長期契約より高くなる可能性があります。
ただし、更新の機会が増えるため、その都度補償内容を見直すことができるというメリットもあります。
地震保険への加入も検討しよう
火災保険だけでは地震による損害はカバーできないため、地震保険への加入も併せて検討するようにしましょう。
地震保険とは?
地震保険は火災保険に付帯する形で契約し、保険期間は1年または長期(最長5年)で設定できます。地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30〜50%の範囲内で設定され、建物は5,000万円、家財は1,000万円が上限です。
損害の程度によって「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4区分に分けられ、それぞれ保険金額の100%、60%、30%、5%が支払われます。
地震保険の必要性
地震による被害は予測困難で甚大なものとなりやすく、住宅の再建には多額の費用がかかります。地震保険は、地震後の住宅ローンの支払いや生活再建のための重要な資金となります。また、地震保険料は所得控除の対象となるため、税制面でもメリットがあります。
東日本大震災以降、地震に対する意識が高まっていることからも、地震保険への加入は真剣に検討すべき選択肢となっています。
補償は足りている?おすすめの特約5選
ここでは、特に検討する価値のある5つの特約をご紹介します。
個人賠償責任補償特約
この特約は自転車による事故や、飼い犬が他人に噛みついてケガをさせた場合なども補償します。契約者本人だけでなく同居の家族や、別居の未婚の子どもも補償対象となるケースが多いため、家族全体をカバーする安心感があります。
日常生活において発生する予測不能な賠償リスクに備えるために、ぜひ検討したい特約の一つと言えるでしょう。
臨時費用保険金補償特約
この特約で受け取った臨時費用は、使い道に制限がなく、被災後の仮住まいの費用や、損害を受けた周辺の修復費用、被災によるケガの治療費、引越費用など、さまざまな用途に活用できます。
新価保険特約
たとえば築15年の住宅が全焼した場合、時価計算では建物の価値は大きく減少しているため、保険金だけでは同じ住宅を再建できません。
一方、新価計算なら再建に必要な金額が保険金として支払われるため、同等の住宅を再建することが可能になります。近年の火災保険は新価(再調達価額)がデフォルトとなっているケースが多いものの、契約前に必ず確認しておくことが重要です。時価計算の場合は、この特約への加入を検討すべきでしょう。
類焼損害特約
この特約の特徴は、類焼先の住民が火災保険に加入していない場合や、加入していても損害をカバーしきれない場合に、差額分が補償される点です。ただし、類焼先が火災保険に加入している場合は、まずそちらから補償されるため、この特約が発動するケースは限られています。
また、重大な過失による失火の場合は個人賠償責任保険から保険金が支払われることも考慮して、加入を検討するとよいでしょう。
携行品損害補償特約
補償の対象となるのは、カメラなどの持ち運び可能な家財です。ただし、自動車や自転車、ノートパソコン、スマートフォン、メガネなどの身体補助器具、30万円を超える貴金属や美術品は一般的に対象外となっています。
また、保険金額は1個または1組当たり10万円程度を上限とするケースが多いため、高額な持ち物を外出時に携行する機会が多い方は、この特約の加入を検討する価値があるでしょう。
火災保険の選び方をチェックして、加入を検討しよう!
地震保険の必要性や、個人賠償責任補償特約や臨時費用保険金補償特約などのおすすめ特約についても触れました。これらの知識を活用して、ご自身の住まいの環境や必要な補償を見定め、適切な火災保険を選ぶことが大切です。保険会社によって補償内容や保険料は異なりますので、複数の保険会社の商品を比較検討し、バランスの取れた火災保険に加入しましょう。
オリコン顧客満足度ランキングでは、火災保険の加入者へのアンケート調査をもとに算出した「火災保険 顧客満足度ランキング」を発表しています。
火災保険への加入を検討される際はこちらもぜひご参考いただき、自分に合ったより良い選択肢を見つけてみてください。
※本記事では一般的な例をもとに情報をまとめています。各社の商品やプランによっては当てはまらないケースもあります。また、情報は公開日現在のものです。各種状況や法令情報等につきましては、公的機関等で最新情報をご確認ください。