空き家でも火災保険は必要?空き家のリスクや、保険の選び方も解説

空き家でも火災保険は必要?空き家のリスクや、保険の選び方も解説

空き家にも火災保険が必要なのでしょうか?住んでいない家に保険をかける必要はないと思うかもしれません。しかし、空き家特有のリスクや放置によるトラブルを考えると、火災保険の重要性はむしろ高いといえます。

放火による火事や自然災害で受ける被害、老朽化による家の倒壊など、空き家を取り巻くリスクは多岐にわたります。

この記事では、空き家に火災保険をかけるメリットや適した保険の選び方、保険料を抑える方法について詳しく解説します。空き家の管理や防災対策に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。

mokuji目次

  1. 空き家に火災保険は必要なのか?
    1. 空き家に火災保険は必要!
    2. 放火・自然災害・老朽化、空き家特有のリスクをカバー
    3. 空き家を放置することで起こりうる問題
  2. 空き家でも火災保険に加入するメリット
    1. 財産の保護
    2. 近隣トラブルの予防
  3. 空き家に適した火災保険の選び方
    1. 通常の火災保険と空き家向け保険の違い
    2. 補償範囲を確認するポイント
    3. 特約で空き家のリスクをカバーする
  4. 空き家の状態で保険料が異なる
    1. 専用住宅
    2. 併用住宅
    3. 一般物件
  5. 空き家の火災保険料を抑えるための具体的な方法
    1. 数年間空き家の予定である場合は複数年契約をする
    2. 補償内容を限定すれば保険料を安く抑えられる
  6. 空き家に火災保険をかける際のよくある質問
    1. 築年数が古い空き家でも加入できる?
    2. 解体予定の空き家でも保険に加入するべき?
    3. 親の住んでいた空き家を相続した場合の注意点は?
  7. 空き家の火災保険でリスクに備え、安心の管理を

空き家に火災保険は必要なのか?

空き家に火災保険は必要なのか?

空き家には人が住んでいる住宅とは異なる特有のリスクが存在します。以下では、火災保険の必要性と空き家のリスクについて解説します。

空き家に火災保険は必要!

空き家であっても、火災保険への加入は欠かせません。誰も住んでいないからこそ、火災のリスクが一般の住宅よりも高まることがあります。

例えば火災が発生した場合、建物の解体費用や焼け残った家財の処分費用などで、数十万円から数百万円規模の出費が必要になることもあります

また、空き家の所有者は自然災害や不可抗力による火災で近隣に被害を与えた場合、通常は賠償責任を問われません。しかし、適切な管理を怠り建物の老朽化が進んだ結果、倒壊などの事故が発生すると、管理責任者として損害賠償を求められる可能性があります。

火災保険に加入していれば、こうした予期せぬ出費に備えることができます。保険金で解体費用や家財の処分費用、見舞金などをカバーできる可能性があるため、空き家の所有者にとって大きな安心材料となるでしょう。

放火・自然災害・老朽化、空き家特有のリスクをカバー

人の出入りがない空き家は、放火の標的になりやすい傾向があります。特に、新聞紙やゴミが散乱しているなど管理が行き届いていない空き家は、放火犯に狙われやすいといわれています。

また、台風や豪雨などの自然災害による被害も深刻です。空き家は定期的な換気や清掃が行われにくいため老朽化が進みやすく、強風で屋根や外壁が損壊したり、集中豪雨によって浸水したりといったリスクが高まります。

実際に、築55年のアパートが約30年間空き家となっていたケースでは、強風と大雨の影響で屋根や外壁の一部が落下する被害が報告されています。

空き家を放置することで起こりうる問題

空き家を放置することで、さまざまな問題が発生する可能性があります。特に注意すべきなのが漏電による火災リスクです。築年数の古い空き家では、配線機器の老朽化や劣化により、漏電火災が起きやすくなります。

さらに、ネズミによる被害も深刻です。空き家に住み着いたネズミが配線をかじり、電線がむき出しになることで漏電を引き起こし、火災につながるケースも少なくありません。

このように、空き家特有の問題は多岐にわたります。適切な管理と火災保険への加入で、リスクに備えることが重要です。

空き家でも火災保険に加入するメリット

空き家でも火災保険に加入するメリット

空き家の所有者にとって、火災保険への加入は重要な意味を持ちます。なぜなら、以下のような大きなメリットが得られるからです。

財産の保護
近隣トラブルの予防

これらのメリットについて、具体的に見ていきましょう。

財産の保護

所有する空き家で火災が発生すると、予想以上の費用負担が発生する可能性があります。焼け残った建材は再利用が難しく、火災後の解体費用は通常の解体よりも高額になるのが一般的です。

さらに、解体費用に加えて消火活動によって使用不能になった家具や家電の処分費用も必要です。被害の規模によっては、数百万円から数千万円もの出費を強いられるケースもあります

しかし火災保険に加入していれば、こうした費用を保険金でまかなえます。建物の解体費や家財の処分費用などをカバーする保険プランを選ぶことで、予期せぬ出費から財産を守ることが可能です。

近隣トラブルの予防

すでに説明したとおり、空き家の所有者は、自然災害や不可抗力による火災で近隣に被害を及ぼした場合、通常は賠償責任を問われません。

しかし、適切な管理を怠り老朽化が進むと、倒壊や火災のリスクが高まり、責任を追及される可能性があります。特に、不審火や放火の標的になりやすく、ひとたび火災が発生すれば、延焼による被害が懸念されます

火災保険に加入すれば、こうしたリスクに備えられるだけでなく、万が一の際に迅速な補償を受けることが可能です。特に類焼損害補償特約失火見舞費用補償特約を付帯すれば、近隣への延焼被害も補償され、トラブルの未然防止につながります。

さらに適切な管理を行っている証明にもなり、近隣住民との信頼関係の維持にも役立ちます。

火災保険の加入は、空き家のリスクを軽減し、所有者の経済的負担を最小限に抑える重要な対策といえるでしょう。

空き家に適した火災保険の選び方

空き家に適した火災保険の選び方

空き家に適した火災保険を選ぶ際のポイントは3つあります。

通常の火災保険と空き家向け保険の違い
補償範囲を確認するポイント
特約で空き家のリスクをカバーする

以下では、具体的な選び方のポイントを解説します。

通常の火災保険と空き家向け保険の違い

通常の火災保険と空き家向け保険の違いは、主に「補償内容」と「保険料の設定」にあります。

通常の火災保険は、人が日常的に生活する住宅を対象とした「住宅物件」において、火災・風災・水害・盗難など幅広いリスクを補償します。居住者がいることで異常を早期発見でき、被害を最小限に抑えられるため、保険料も比較的手頃です。

一方、空き家向け保険は、長期間人が住んでいない建物を対象とした「一般物件」に適用されます。管理が行き届かず、火災や倒壊のリスクが高いため、保険会社はより高いリスクと判断し、保険料も高くなる傾向があります

また補償範囲は限定され、水害や盗難が対象外となるケースも少なくありません。

ただし、転勤などの理由で一時的に空き家となっている場合や、別荘として定期的に使用し、家財が常時備えられている場合は、「住宅物件」として扱われる可能性もあります。

住宅物件として認められれば保険料を抑えられるため、複数の保険会社に相談することをおすすめします。

補償範囲を確認するポイント

通常の火災保険と空き家向け保険では、基本的な補償内容に大きな違いはありません。しかし、空き家特有のリスクに対応した補償を選ぶことが特に重要です。

一般的な火災保険では、火災による損害に加え、落雷や台風等による窓ガラスや屋根の破損、水災による床上浸水など、さまざまな災害に対応しています。

補償範囲を広げると保険料は高くなりますが、空き家の立地環境に応じて必要な補償を選択すれば、保険料を適切に抑えることが可能です。例えば、河川から離れた場所にある空き家であれば、水災補償を外すことで無駄なコストを削減できます。

特約で空き家のリスクをカバーする

空き家特有のリスクに備えるため、いくつかの特約の付帯を検討しましょう。特に重要なのが、類焼損害補償特約失火見舞費用補償特約です。

これらの特約を付帯することで、火災が近隣に延焼した場合の損害賠償や見舞金を補償できます。

法律上の賠償責任が発生しなくても、近隣住民が火災による損害を受けたり、不便を強いられたりした場合、適切な対応をすることは良好な関係を維持するために重要です。

火災保険の基本補償に加え、こうした特約を組み合わせることで、より手厚い補償体制を整えることができます。

空き家の状態で保険料が異なる

空き家の状態で保険料が異なる

火災保険の加入時には、空き家の使用状況や使用頻度によって物件が3つに分類され、それぞれで保険料が異なります。

専用住宅、併用住宅、一般物件の順に保険料が高くなりますので、自身の空き家がどの分類に該当するのか確認しておく必要があります。

専用住宅

年末年始やお盆などの帰省時期に利用している空き家は、「専用住宅」として分類されます。実際の使用頻度が少なくても、家電や家具が整っており、すぐに人が住める状態であれば、専用住宅として判断される場合もあります。

3つの分類の中で最も保険料が安く設定されているのが特徴です。

併用住宅

家としての基本的な機能は備えているものの、家具や家電が十分に揃っておらず、すぐには居住できない状態の空き家は「併用住宅」として判断されます。保険料は専用住宅より高めですが、一般物件より安く抑えることができます。

一般物件

専用住宅や併用住宅の条件を満たさない建物は、すべて「一般物件」に分類されます。外壁やお風呂、キッチンなどが使用できない状態の建物も一般物件に該当します。3つの分類の中で最も保険料が高くなります

空き家の火災保険料を抑えるための具体的な方法

空き家の火災保険料を抑えるための具体的な方法

火災保険は空き家にとって重要な備えですが、一般物件として加入すると保険料が高額になりがちです。しかし、契約方法や補償内容を工夫することで、保険料を適切に抑えることができます。

以下では、具体的な保険料の節約方法をご紹介します。

数年間空き家の予定である場合は複数年契約をする

空き家の利用計画が数年先まで決まっている場合は、複数年契約を検討しましょう。保険会社によっては、長期契約を選択することで保険料の割引が適用されることがあります

また、火災保険の補償金額は建物の評価額に基づいて設定されます。解体予定の空き家であれば解体時に必要な費用を考慮した金額に設定することで、保険料を適切な水準に抑えることが可能です。

補償内容を限定すれば保険料を安く抑えられる

空き家の立地環境に応じて必要な補償を見極めることで、保険料を抑えられます。例えば、河川や海が近くにない場合は洪水や高潮の補償を外し、袋小路の奥にある空き家であれば自動車の衝突に関する補償を除外することが可能です。

周囲の環境を考慮し、本当に必要な補償だけ選択することで、無駄のない保険料設定を実現できます。保険に加入する際は、所有する空き家に不要な補償が含まれていないかを確認することが重要です。

空き家に火災保険をかける際のよくある質問

空き家に火災保険をかける際のよくある質問

空き家の火災保険について、特に問い合わせの多い質問についてお答えします。

築年数が古い空き家でも加入できる?

築年数が古い空き家でも火災保険に加入できる可能性はありますが、加入条件が厳しくなる傾向にあります。さらに、管理が行き届いていないボロボロの廃屋状態の空き家は、火災保険への加入を断られる可能性が高くなります

火災保険に加入するためには、最低限の維持管理が必要です。

保険会社によって加入できる空き家の状態の基準は異なるため、複数の保険会社で見積もりを取ることをおすすめします。また、保険料は建物の状態によっても変動するため、適切な維持管理を行うことで、加入の選択肢を広げることが可能です。

解体予定の空き家でも保険に加入するべき?

解体予定の空き家であっても、火災保険への加入は必要といえるでしょう。自然災害や不可抗力による火災で近隣に被害を及ぼした場合、補償を受けることで近隣とのトラブルを防ぐことができるためです。

さらに、火災により燃え残った部分の処分には特別な費用がかかります。通常なら「木くず」として分別・再利用できる資材も、火災で消失すると「廃棄物」となり、処分費用が割高になるケースがあります。

火災保険に加入することで、こうした予期せぬ出費に備えることが可能です。

親の住んでいた空き家を相続した場合の注意点は?

親が住んでいた当時の火災保険をそのまま継続している場合は注意が必要です。空き家になったことを保険会社に通知せずに保険料を支払い続けても、火災が発生した際に保険金が支払われない可能性があります

相続時には必ず保険会社に連絡し、所有者や住所の変更を届け出る必要があります。また、今後住む予定がない場合は加入対象となる保険の種類が変わる可能性があるため、事前に確認し、必要に応じて保険の切り替えを検討しましょう。

空き家の火災保険でリスクに備え、安心の管理を

空き家は放火や自然災害、老朽化など、通常の住宅とは異なるリスクを抱えています。

そのため、適切な火災保険への加入が欠かせません。空き家の状態や使用状況によって保険料は変動しますが、必要な補償内容を見極めて保険プランを工夫することで、コストを適切に抑えることが可能です。

予期せぬ事態に備え、火災保険に加入して定期的な管理を行うことで、空き家の所有に関する不安を軽減できます。本記事を参考に、ご自身の空き家に最適な火災保険を選ぶ際の判断材料としていただければ幸いです。

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※本記事では一般的な例をもとに情報をまとめています。各社の商品やプランによっては当てはまらないケースもあります。また、情報は公開日現在のものです。各種状況や法令情報等につきましては、公的機関等で最新情報をご確認ください。
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