車の買取で契約後に減額交渉された場合の対策!原因や責任についても徹底解説
本記事では、契約後に減額される原因や交渉のタイミングを解説し、適切な対処法を紹介します。
車の売却を検討している方や、契約後に減額を告げられて悩んでいる所有者にとって、トラブルを回避し安心して取引するための実践的な知識が得られます。
目次

監修者高見 陽子
ファイナンシャルプランナー/金融・法律ライター
元大手銀行で個人営業を担当。現在は資産形成・相続・ライフプランなどの執筆や監修を行い、コンテンツ制作やSNSを通じた情報発信を支援している。
車の買取で契約後に減額されるケース
車買取会社が車を引き取って詳しく調べた結果、査定時には見つけられなかった問題点が発見される場合があるためです。
具体的には、どのようなときに減額される可能性があるのでしょうか。想定される主なケースをご紹介します。
車の買取で契約後に減額されるケース5つ
修復歴があった
修復歴とは、車の骨格部位を修理した履歴のことで、「事故車」として扱われ、査定額に大きな影響を与えます。
仮に売却時に修復歴を隠しても、車買取会社は整備工程で不具合をチェックするため、発覚する可能性は高いでしょう。
実際に修復歴が見つかれば、査定額が不適切と判断され、減額対象となるケースがあります。
故障が見つかった
車買取会社は引き取り後に整備を行うため、その過程で新たな不具合が判明することもあります。
査定では状態を細かく確認しますが、すべての故障を把握できるとは限りません。
そのため、引き渡し後に不具合が発覚するケースは十分にあり得ます。
冠水歴があった
台風や大雨などの災害により、車が水没してしまうケースなどもそのひとつです。
車は一度水に浸かると、一見トラブルは見受けられない場合でも後に電気系統に故障が生じるリスクが高まります。
査定への影響は水没の深さによって異なり、JAAI(日本自動車査定協会)の「商品価値加減点」では以下の基準が示されています。
・フロアまで浸水:商品価値の約3割減
・クッション上部まで浸水:約4割減
・ダッシュパネルより上まで浸水:約5割減
水没歴は査定士がチェックしても見落とすことがあり、その場合でも後の整備や点検でエンジン内部などから判明する可能性があります。
発覚した際には、買取価格が修正(減額)されるケースがある点に注意が必要です。
喫煙などによるにおいが取れない
特にタバコやペット、飲食物のにおいはシートや天井にしみ込みやすく、頻繁に喫煙したりペットを乗せたりしている車は注意が必要です。
査定時に消臭対策をしていても、引き取り後の整備段階で残ったにおいが強くなることがあり、車内クリーニングが必要になれば費用が発生し、査定額の減額につながるケースもあります。
車買取会社は買い取った車を中古車として販売しますが、消臭処置をしてもにおいが完全に取れなければ、販売価格を下げざるを得ません。
市場価格が査定額を下回れば利益が出ないため、売り手に対して減額交渉を行うことがあるのです。
車買取の契約後に減額交渉されるタイミング
これは再査定で不具合が見つかり、「減額する」という流れになるためで、入金後だと業者も請求しづらいためです。
ただし、引き取った車を整備するタイミングによっては、数ヵ月後に減額交渉の連絡が入る場合もあります。
このとき、売り手が把握していない不具合が理由になるケースもあり、納得できないこともあるでしょう。
さらに、悪質な業者の中には、意図的に期間を空けて減額交渉をしてくる場合もあります。
そのため、減額交渉を受けた際には通知時期・理由・再査定の根拠を契約書と照合して確認することが重要です。
それでは、実際に減額交渉をされた場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。
次章では、具体的な対処法について詳しく解説します。
車買取会社から減額交渉された際の対処法
慌てて減額に応じてしまうと、納得できないまま契約を進めて後悔する可能性があります。
減額交渉に応じるべきかどうかは、査定時に車の状態を正直に伝えていたかが大きな判断基準となります。
ただし、実際には契約条項や不具合の内容によって対応は異なり、一概に「応じる必要はない」とは言えません。
そのため、契約内容を確認し、キャンセル可否や修理対応などを契約条件に基づいて判断することが重要です。
ここからは、減額交渉をされた場合に取るべき具体的な対処法について解説します。
減額交渉された際の対処法4つ
減額理由を詳しく聞く
その際、説明だけでなく「写真」「診断結果」「修理見積」「再査定報告書」などの根拠となる資料も必ず提示してもらうと良いでしょう。
たとえば、修復歴について査定時に伝えていたにもかかわらず、修復歴があることを理由に減額を申し入れてくるのであれば、車買取会社に異議を唱えてもいいかもしれません。
売り手が気づいていなかった不具合が新たに発覚したのであれば、故意ではなく、査定の時点で不具合を把握していなかったことを明確に伝える必要があります。
売り手に落ち度がない場合は減額を受け入れない
ただし、車買取の契約書に、減額が許される理由が記載されている場合があるため、注意が必要です。
例えば、「車を引き取った後に整備を実施した結果、重大な不具合が発見された際には査定額を減額する」といった条項が設けられている場合があります。
買取契約を締結する際は、契約書の内容をしっかりと確認することが大切です。
納得できない場合は契約をキャンセルする
「契約後7日以内はキャンセル可能」などの猶予期間が記載されている場合があります。
また、クーリング・オフなど特約があるかどうかなど、違約金の条件についても併せて確認してください。
ただし、車の買取契約では法律上のクーリング・オフは適用されないため、各業者が独自に設定したキャンセル規定を必ず確認しておきましょう。
相談窓口に連絡する
当事者同士での話し合いは平行線になりがちなため、専門機関を頼るのが効果的です。
まずは、中古車売買のトラブルも扱う消費生活センター(または国民生活センター)に電話してみてください。
売り手に非がなければ減額に応じなくてもよい理由を教えてもらえます。
さらに、相談している事実を業者に伝えることで抑止力として働くこともあるでしょう。
解決が難しい場合には、助言・情報提供に加え、事業者への連絡やあっせんを行ってもらえる可能性もあります。
また、車買取の事業者団体である一般社団法人日本自動車購入協会(JPUC)でも相談窓口を設けているので、困ったときは活用しましょう。
・消費生活センターまたは国民生活センター
・一般社団法人日本自動車購入協会(JPUC)
・弁護士
車買取会社と話し合い、交渉することが先決ですが、それでも解決が難しいと感じた場合には、こうした相談先を活用するのもひとつの方法です。
車買取の契約後に減額されるトラブルを避けるポイント
車の買取契約後に減額されるトラブルを避けるには、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。
以下では、車買取における減額のトラブルを避けるためのポイントを紹介します。
トラブルを避けるポイント
車の修復歴や不具合を正確に伝える
売り手が把握している情報は、点検記録簿に記載がなくても漏れなく伝える必要があります。
日頃の運転で気になることがあれば、些細な点でも正直に伝えましょう。
査定額が下がるのを恐れて修復歴やエンジン不具合を隠すと、後から減額請求された際に責任を問われる可能性があります。
事故で修理したことがある場合は、修復歴かどうか判断できなくても「修理歴がある」と伝えておけば問題ありません。
また、中古車を購入している場合は、前の所有者の事故歴など分からない点もあります。
その場合は、「中古車なので前のことは分からない」と素直に伝えることが望ましいでしょう。
複数の車買取会社で査定を受ける
1社だけでは提示額が適正かどうか判断できず、高いのか安いのか見極めが難しくなります。
減額トラブルの多くは、最初に高い査定額を提示して契約を結び、引き取り後に減額交渉をするという手口です。
特に、他社より極端に高すぎる査定額を提示する業者は、後で減額交渉してくる可能性があるため注意が必要です。
査定額が高いからといってすぐに飛びつかず、複数社の査定額を冷静に比較して判断することが、トラブルを防ぐ最も有効な方法といえるでしょう。
信頼できる買取業者を選ぶ
ホームページで過去の買取件数や買取額などを調べ、信頼できる業者かどうかを見極めましょう。
査定の正確さはもちろん、減額の説明を丁寧に行ってくれる業者なら安心して任せられます。
さらに、実際に利用したユーザーの口コミも参考になります。
「オリコン顧客満足度ランキング 車買取会社」では、各社の「良かった点・気になった点」が掲載されており、利用者の生の声を確認できます。
口コミを見る際は、良い意見だけでなくマイナス面もチェックすることが大切です。
総合的に判断することで、後悔のない業者選びにつながります。
減額条件を事前に確認する
たとえば、売買契約成立後は、いかなる理由でも減額はしないと公言している買取業者もあります。
査定時にはどうしても査定額ばかりが気になってしまい、減額やキャンセルなどについて聞きそびれる方も多いです。
後でトラブルに巻き込まれないように、そもそも減額になるのか、なるとすればどのようなケースかを査定時に詳しく聞いておくことが大事です。
また、中古車市場での車の価格は刻々と変動するので、車の引き渡し日が遅れるとその分査定額が減額になると契約書に明記している場合もあります。
査定時に複数人で立ち会う
車に詳しい人が同行していれば、自分では気づかない点を質問してくれたり、伝え忘れた内容を補足してくれることがあります。
また、同席者がいることで査定士とのやり取りを複数人で確認でき、後で「言った・言わない」のトラブルを防げる点も大きなメリットです。
同席者も説明に納得できれば安心感が高まり、契約後の不安やトラブルの発生を避けやすくなるでしょう。
契約書の記載事項、買取契約後のキャンセルについて確認する
特に、キャンセル猶予期間が設けられているか、違約金はいくらかかるのかは必ずチェックしておきましょう。
契約後に減額交渉などのトラブルが発生した場合、キャンセルできる余地を把握しておかなければなりません。
一部の売買契約ではクーリングオフが適用されますが、車の売却にはクーリングオフは適用されません。
そのため、多くの契約書には「キャンセル時に違約金が発生する」と書かれているのが一般的です。
違約金の金額は業者ごとに異なるため、忘れずに確認しておきましょう。
また、契約解除に関してキャンセル料の規定がある場合でも、後から減額されるケースでは内容次第でキャンセル料を相談できる可能性があります。
契約後の減額を避けるためにも車買取会社の選定は慎重に行おう
契約後の減額交渉をできる限り避けるためにも、査定の際は車の状態を正しく申告しましょう。
また、車買取会社の評判や口コミを確認して、信頼できるかどうかを見極めることも大切です。
オリコンでは、日本最大級の規模で調査を行い、毎年「車買取会社 オリコン顧客満足度ランキング」を発表しています。
売却手続きや売却サポートのほか、担当者の接客力など、さまざまな視点で車買取会社を比較検討できますので、ぜひ参考にしてください。

監修者高見 陽子
ファイナンシャルプランナー/金融・法律ライター
元大手銀行で個人営業を担当。現在は資産形成・相続・ライフプランなどの執筆や監修を行い、コンテンツ制作やSNSを通じた情報発信を支援している。