4000万円の家を買える人の年収はいくら?住宅ローン返済プラン・注意点を解説
また、返済を確実に続けていくためのポイントもお伝えしますので、マイホーム購入計画の参考にしてください。
目次
4000万円の住宅ローンを組むために必要な年収
年収倍率から考える適正年収
なお、住宅金融支援機構の2023年度調査によると、住宅の種類別の平均年収倍率は以下の通りとなっています。
【2023年度】平均年収倍率
種類 | 年収倍率 |
土地付注文住宅 | 7.6倍 |
マンション | 7.2倍 |
注文住宅 | 7.0倍 |
建売住宅 | 6.6倍 |
中古マンション | 5.6倍 |
中古戸建 | 5.3倍 |
このデータを見ると、一般的に望ましいとされている5〜6倍を超えている種類も見受けられます。年収倍率は新築住宅が高く、中古住宅や建売住宅は抑えられている傾向にあるため、購入の際は幅広く検討してみるのがおすすめです。
返済負担率から考える適正年収
金融機関では、返済負担率が25%以内に収めることを推奨しており、一般的に20〜25%が適正な範囲とされています。
なお、住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査」によると、返済負担率は「15%超〜20%以内」が最も多い結果となっています。つまり、年収700万円の場合は年間105万〜140万円です。
この数値を参考に、4000万円の住宅ローンに必要な年収を具体的に試算してみましょう。
・毎月の返済額:約11.3万円
・必要な月収(返済負担率20%以内):56.5万円以上(11.3万円÷0.20=56.5万円)
・必要な年収(概算):約680万円
家族構成や生活スタイル、将来の収支計画などを踏まえて、個々の状況に応じた判断が必要です。
年収別に見る4000万円の住宅ローン返済シミュレーション
・借入金額:4000万円
・返済方式:元利均等方式
・返済期間:35年
・頭金:なし
・支払金額:毎月一定
・ボーナス払い:なし
・金利:1.0%(固定金利を想定)
・毎月返済額:約11.3万円
返済負担率は20%以内が望ましいとされていますが、年収によって返済の余裕度がどのように変化するのか、また実際の生活にどのような影響があるのかを具体的に確認していきましょう。
年収500万円の場合の返済プランと生活への影響
この返済負担率だと、公共料金、食費、教育費など基本的な生活費を賄うのが厳しくなる可能性が高いでしょう。また、将来的な支出増加や不測の事態への備えも難しくなってしまいます。
この年収帯での4000万円の住宅ローンは避けるべきでしょう。
年収600万円の場合の返済プランと生活への影響
基本的な生活費の支払いは可能ですが、教育費や将来の支出増加を考えると、余裕のある生活はやや難しい可能性があります。計画的な家計管理が必要となるでしょう。
将来的な金利上昇も考慮に入れ、できるだけ頭金を用意するなど、借入額を抑える工夫が重要です。
年収700万円の場合の返済プランと生活への影響
基本的な生活費に加えて、ある程度の余裕を持った家計運営が可能です。教育費の増加や将来的なリフォーム費用などにも対応できる余地が生まれ、安定的な返済が見込めます。
この年収帯であれば、比較的安心して住宅ローンを組めるでしょう。
年収800万円の場合の返済プランと生活への影響
十分な生活費を確保しながら、教育費や将来の支出増加にも余裕を持って対応できるでしょう。また、毎月の収入から一定額を貯蓄に回すことも可能となり、安定した返済計画を立てられます。
この収入レベルであれば、金利上昇にも十分な余裕を持って対応できるため、安全な借り入れと言えるでしょう。
4000万円の住宅ローンを組む際の注意点
・ライフスタイルの変化に備える
・ローン破綻のリスクを理解する
額面の収入だけで判断しない
なるべく余裕を持った返済計画を立てたい方は、手取り収入をもとに返済計画を考えてみましょう。
また、残業代や賞与など変動する収入に関しては保守的に見積もって返済計画を立てたほうが、将来的に安定した返済が可能です。
ライフスタイルの変化に備える
35年という長期の返済期間中には、結婚、出産、子どもの教育費増加など、様々なライフイベントが発生します。特に子育て世代では、教育費が徐々に増加していく傾向にあり、学校選択によっては月々数万円から数十万円の支出増加も考えられます。
また、共働き世帯の場合、育児休業中の収入減少なども考慮に入れる必要があるでしょう。将来的な支出増加を見据えた資金計画を立てることが重要です。
ローン破綻のリスクを理解する
また、住宅の資産価値の下落により、売却しても借入金を返済できない「債務超過(オーバーローン)」となるリスクも理解しておきましょう。仮に債務超過となった場合、売却する際は自己資金を入れて住宅ローンを完済しなければなりません。
これらのリスクを十分理解し、余裕を持った返済計画を立てることが重要です。
4000万円の住宅ローンを無理なく返済するためのポイント
・低金利の住宅ローンを選ぶ
・金利の種類を比較する
・繰り上げ返済を検討する
・住宅ローン控除を活用する
頭金をできるだけ用意する
35年間の支払い総額で考えると、約590万円ほど減らせるため、長期で見ると大きな違いといえるでしょう。
頭金を用意するには、計画的な貯蓄が重要です。財形貯蓄や住宅積立などの制度も検討してみましょう。また、親からの資金援助も有効です。住宅取得での資金援助は最大500万円(物件によっては1,000万円)まで非課税で贈与を受けられます。
低金利の住宅ローンを選ぶ
そのため、住宅ローンを組む際は、複数の金融機関の商品を比較することが重要です。また、団体信用生命保険の保障内容や手数料なども含めた総合的なコスト比較を行い、自分に合った住宅ローンを選択しましょう。
金利の種類を比較する
それぞれの特徴を見ていきましょう。
固定金利型のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
・将来の家計設計が立てやすい | ・変動金利に比べて金利が高め |
・金利上昇リスクを回避できる | ・金利が下がっても恩恵を受けられない |
特に4000万円のローンを組む場合、金利の差が総返済額に大きく影響するため、慎重な検討する必要があります。
変動金利型のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
・初期金利が低く、返済負担が少ない | ・金利上昇時に返済額が増加する |
・金利が下がった場合の恩恵を受けられる | ・将来の返済額が予測しにくい |
金利が大きく上昇した場合、返済額の増加し家計を圧迫する恐れがあるため、自己資金などを踏まえて考える必要があります。
固定期間選択型のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
・一定期間は返済額が確定する | ・固定期間終了後の金利変動リスクがある |
・固定金利と変動金利の特徴を組み合わせられる | ・期間によって金利が異なる |
・ライフプランに合わせた期間設定が可能 | ・固定期間終了時の判断が必要 |
繰り上げ返済を検討する
例えば、毎年100万円の繰り上げ返済を行うことで、返済期間を10年以上短縮し、数百万円の利息を節約できます。
繰り上げ返済は、返済期間を短くする「期間短縮型」と、月々の返済額を減らす「返済額軽減型」のいずれかを選べるため、自身の収入状況に合わせ返済計画を立てましょう。
住宅ローン控除を活用する
具体的な活用方法は以下のとおりです。
・購入した翌年に確定申告を行う
・翌年以降は年末調整(会社員の場合)で手続きをする
年収とローン返済のバランスを見極めて、賢く家を購入
4000万円の住宅ローンは、年収倍率や返済負担率から見て、年収700万円以上が望ましい水準です。特に安定的な返済を目指す場合、年収800万円程度あれば、返済負担率20%以内に収めることができ、ゆとりのある返済計画を立てられます。
ただし、年収だけでなく、頭金や金利、繰り上げ返済なども踏まえて、総合的な観点から購入を検討しましょう。なお、住宅ローンの選択にあたっては、オリコン顧客満足度調査の結果が参考になるため、ぜひご覧ください。