個人向けテレマティクス保険、4社6商品の違いを徹底比較
■テレマティクス保険とは?
実際の運転データと連携、”安全運転をサポートする”自動車保険
国内でもテレマティクス保険の選択の幅が広がっている
■4社6商品を比較、選ぶポイントは?
ポイント? 運転スコアによる特典反映(保険料割引・キャッシュバック、ポイント付与)
ポイント? テレマティクス技術を活用したサービス・機能
ポイント? 従来型保険に「特約」として付けるタイプも
■独自路線で選ぶテレマティクス保険
“事故のない社会”に貢献する 新しいコンセプトの自動車保険
コネクテッドカー対応 自動車メーカー提供のテレマティクス保険
従来型保険に“特約”付帯でテレマティクス技術活用のサービスを体感
■各社のテレマティクス保険を比較
■まとめ
テレマティクス保険とは?
実際の運転データと連携、”安全運転をサポートする”自動車保険
保険料に関する特典以外にも、運転データと連携した「安全運転をサポートするサービス」を各商品提供しています。
安全運転を心掛ける機会が大幅に増えるため、社会全体として見た場合に事故率が低減する可能性が高まることも期待されています。
国内でもテレマティクス保険の選択の幅が広がっている
現在、国内でのテレマティクス保険の加入状況は、自動車保険全体の5.3%(2021年)となっています(矢野経済研究所調べ)。スマートフォンによるアプリ連携やドライブレコーダー、手軽な専用車載デバイスの普及といった影響を受け、各自動車保険会社が多様なサービスを提供できるようになりました。
例えば運転診断レポートで安全運転への意識を高めたり、安全運転をすることでポイントをためて特典がもらえたりするといったサービス展開もあり、今後ますます市場が拡大していくことが期待されています。
4社6商品を比較、選ぶポイントは?
運転データの保険料への反映の仕組みや提供サービスは各社異なるので、比較して自分に合った自動車保険を選びたいところです。では、実際にテレマティクス保険が気になり始めたら、どういった点を見ていけばよいのでしょうか。ここでテレマティクス保険を比較・検討するにあたり、押さえておきたいポイントを紹介していきます。
ポイント1 運転スコアによる特典反映(保険料割引・キャッシュバック、ポイント付与)
保険料割引型では、これらのデータに基づいて保険料が算出され、契約する保険によって翌月の保険料が割り引かれるもの、翌年の保険料が割り引かれるもの、払った保険料からキャッシュバックされるものなどがあります。
ポイント付与型の場合、保険料の割引は行われませんが、安全運転スコアや保険会社が設定している取り組みに応じて”ポイント”を獲得できます。たまったポイントはプレゼント特典などと交換することが可能です。
特に運転特性にPHYD型では、急発進や事故回避のための急ブレーキや急ハンドルといったデータに基づいて安全運転スコアが算出され、保険料割引、キャッシュバック、ポイント付与に反映されるので、常日頃から安全運転を意識する人が増えるでしょう。
なお、「イーデザイン損害保険」はポイント制度を、「ソニー損害保険」はキャッシュバック制度を、「損保ジャパン」は保険料割引制度を採用しています。また、「あいおいニッセイ同和損害保険」ではタイプ別に3つの保険を提供しており、いずれも保険料割引とポイント制度が採用されています。
保険料割引やキャッシュバックなど直接的に反映するタイプがいいのか、保険料に直接的には影響しないが安全運転に特典が付与されるポイント型がいいのかが選ぶ際のポイントになってくるでしょう。
ポイント2 テレマティクス技術を活用したサービス・機能
例えば、日頃の運転において収集されたデータを基に運転傾向を分析し、その結果をレポートとして確認できます。ドライバーの特性に合わせてどのような運転を心掛ければ安全運転スコアが向上するかを知ることができるので、安全運転技術の向上にも期待を持てます。
また、万が一事故を起こしてしまったとき、混乱してしまう場面も想定されるでしょう。テレマティクス保険では、緊急時に心強いサポートの提供も充実しているものが多いです。
例えば、車載センサーが衝撃を検知し、専用アプリからワンタップで保険会社のオペレーターとつながったり、修理希望までサジェストしてくれたりと、迅速な対応をサポートしてくれる保険商品もあります。なかには、スマホアプリを介さずに専用のドラレコを通じてコールセンターに自動通報してくれるものも。
このほか、自動車保険会社によっては、事故時に初期対応状況を事前登録した家族へ自動通知サービスを提供するなど、テレマティクス技術を活用したサービスは各社さまざまです。自分に合ったサービス内容を提供する保険商品を見つけるのもポイントになってくるでしょう。
提供サービスの例
●運転傾向を分析したレポート作成
●衝撃検知による自動通報、ワンタップ通報
●事故時の初期対応サポート
●家族への事故時の自動通知サービス
ポイント3 従来型保険に「特約」として付けるタイプも
例えば「損保ジャパン」の「つながるドラレコ Driving!(旧称:DRIVING!)」の場合は、特約として付帯されるサービスとなっています。
独自路線で選ぶテレマティクス保険
“事故のない社会”に貢献する 新しいコンセプトの自動車保険
イーデザイン損害保険が提供する「&e」では、“事故のない社会”の実現のために運転データを活用したプロジェクト「SAFE DRIVE WITH」が展開されています。
収集したデータから事故が起きやすいエリアを分析するなどの、事故予防に活用する取り組みが行われており、同社のテレマティクス保険は社会貢献性が高いものとなっています。
このほかにも、「&e」ではウェアラブル端末との連携による心拍・睡眠などの計測データや、気圧・天候データとの組み合わせで運転に影響が出るような体調の変化を知らせるなど、健康面からも事故を予防する取り組みが行われています。
コネクテッドカー対応 自動車メーカー提供のテレマティクス保険
トヨタの場合は、あいおいニッセイ同和損保との協同で「トヨタコネクティッドカー保険」(取り扱い開始当時の名称は、「運転挙動反映型テレマティクス自動車保険」)を2018年より提供していましたが、2021年10月より新たに東京海上日動、三井住友海上、損保ジャパンで取り扱いを開始しました。
ホンダの場合は、Hondaコネクト保険を損保ジャパン・東京海上日動・三井住友海上と協同で、日産においては損保ジャパン・東京海上日動との協同の「日産カーライフ保険プラン」におけるテレマティクス保険を、それぞれ2022年秋から提供開始します。
いずれも、車載通信機から走行距離や運転特性を把握することで運転データをスコア化し、そのスコアに応じて保険料の割引が適用されるといったメリットがあります。
従来型保険の“特約”で、テレマティクス技術活用サービスを体感
東京海上日動火災保険の「ドライブエージェントパーソナル」や日新火災海上保険の「ドライビングサポート24プラス」、三井住友海上火災保険の「GK 見守るクルマの保険(ドラレコ型)」などが該当し、事故発生時に自動で保険会社のオペレーターと通信したり、事故映像を自動で送信したりすることで、事故対応をスムーズに行うことが可能となります。
事故への対応だけでなく、ドライブレコーダーを活用して、車線の片寄り警告や車両接近警告といった事故を未然に防ぐための安全運転サポート機能が提供されています。
各社のテレマティクス保険を比較
保険会社名 | あいおいニッセイ同和損害保険 | あいおいニッセイ同和損害保険 | あいおいニッセイ同和損害保険 | イーデザイン損害保険 | ソニー損害保険 | 損保ジャパン |
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商品名 | タフ・つながる車の保険(※) | タフ・見守る車の保険プラス (ドラレコ型) |
タフ・見守る車の保険プラスS | &e(アンディー) | 安全運転でキャッシュバックプラン (旧:GOOD DRIVE) |
つながるドラレコ Driving!(※) (旧:DRIVING!) |
保険料割引・特典 | 保険料割引、ポイント制度 | 保険料割引、ポイント制度 | 保険料割引、ポイント制度 | ポイント制度 | 保険料キャッシュバック | 保険料割引 |
・走行距離と運転特性に応じた保険料。 ・安全運転スコアにより、【運転分保険料】が最大80%割引(運転特性毎月割引)。さらに契約2年目以降の加入者は、前年の運転スコアにより【基本保険料】が最大5%割引(運転特性割引)。 ・安全運転の取り組みでたまるポイント制度「ADテレマイレージ」 |
・契約2年目以降の加入者は、前年の運転スコアにより最大8%割引(運転特性割引)。 ・安全運転の取り組みでたまるポイント制度「ADテレマイレージ」 |
・契約2年目以降の加入者は、前年の運転スコアにより最大8%割引(運転特性割引)。 ・安全運転の取り組みでたまるポイント制度「ADテレマイレージ」 |
安全運転の取り組みでたまるポイント制度「ハート」 | 安全運転スコアに基づいて、保険料のうち、リスクに応じた部分について最大30%のキャッシュバック | 過去1年分の走行情報を基に翌年度に割引適用。適用される場合は5% | |
デバイス | 専用スマホアプリ | 専用ドラレコ 専用スマホアプリ |
専用の通信車載機 専用スマホアプリ |
専用IoTセンサー 専用スマホアプリ |
専用デバイス 専用スマホアプリ |
専用ドラレコ 専用スマホアプリ |
主な提供サービス【事故対応】 | ||||||
衝撃検知による コールセンターへの自動通報 |
○ 検知した衝撃の大きさにより、自動または手動通報 |
○ 検知した衝撃の大きさにより、ドラレコを通じて自動または手動通報 |
○ 検知した衝撃の大きさにより、車載器、またはスマホを通じて自動または手動通報 |
○ 衝撃検知の際に、スマホから1タップで事故連絡 |
△ 専用デバイス付属の緊急ボタンをプッシュ |
○ 検知した衝撃の大きさにより、ドラレコを通じて自動または手動通報 |
事故情報のAI分析 | ○ コネクテッドカーから得られる走行データなどを活用しデータ分析 |
○ ドラレコ映像のAI分析 |
× | ○ センサーの情報、GPSから事故状況再現動画を作成 |
× | × |
事故時に登録家族への 情報メール自動送信 |
○ | ○ | ○ | × | × | × |
主な提供サービス【安全運転サポート】 | ||||||
運転レポート作成 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
危険運転検知アラート | ○ | ○ | × | × | × | ○ |
安全運転の取り組み によるポイント付与 |
○ 特典を獲得できるポイント「ADテレマイレージ」 |
○ 特典を獲得できるポイント「ADテレマイレージ」 |
○ 特典を獲得できるポイント「ADテレマイレージ」 |
○ 特典を獲得できるポイント「ハート」 |
× | × |
その他 | 安全運転を支援する脳トレをスマホで提供 | 安全運転を支援する脳トレをスマホで提供 | 安全運転を支援する脳トレをスマホで提供 | ・専用アプリに安全運転テーマを定期配信 ・蓄積した加入者の運転データの分析を”事故のない社会”を目指す「SAFE DRIVE WITH」プロジェクトに活用 |
ドラレコとスマホの連携による、駐車位置の把握機能 | |
備考 | (※)契約する車が、同社指定の車載通信機が装備されたコネクテッドカーであり、運転特性情報などが自動で送信できる状態にあるなどの条件を満たした車種が対象 | (※)「ドライブレコーダーによる事故発生時の通知等に関する特約」を適用する加入者が対象となる。 |
まとめ
興味を持った人はぜひ、各社の保険内容を比較して、自分のカーライフにあった自動車保険を検討してみましょう。