地震に強い家を建てるハウスメーカーは?特徴や比較ポイントを解説

地震に強い家を建てるハウスメーカーは?特徴や比較ポイントを解説

地震大国・日本では、全世界の中でマグニチュード6.0以上の地震が17.9%も発生しています(2011〜20年、一般財団法人国土技術研究センター調べ)。そのような日本で家を建てる際には、「地震に強い家」を建てる確かな技術を持つハウスメーカーを選びたいところです。

この記事では、地震に強い家を建てるハウスメーカーの種類と地震に強い家の特徴のほか、比較のポイントや注意点などについて解説します。

地震に強い家のハウスメーカー

地震に強い家を建てるハウスメーカーには、どのような会社があるのでしょうか。
ここでは、オリコンが発表する「ハウスメーカー 注文住宅 顧客満足度ランキング」をもとに、地震に強い家を建てるハウスメーカーをご紹介します。

スウェーデンハウス

スウェーデンハウスは、「モノボックス?構造」を採用する注文住宅が特徴のハウスメーカーです。
モノボックス?構造とは、強度に優れた木質壁パネルを強固な接合金物で接合し、地震の揺れを点ではなく面で受け止める構造のこと。これにより、実大振動実験で震度6以上の振動を19回も受けても、構造上の損傷がなかったという結果を、免震・制震構造なしで実現しています。

また、スウェーデンハウスの注文住宅は耐震性能だけでなく、木製サッシ3層ガラス窓による機能性・デザイン性や高い気密性・断熱性能にも定評があります。
(情報は2024年3月15日時点)
参照:スウェーデンハウス「耐震性能ASEISMIC

スウェーデンハウスについては、下記の記事をご覧ください。
スウェーデンハウス ハウスメーカー 注文住宅の評判・口コミ

積水ハウス

積水ハウスが作る家は高い耐震性能を誇り、阪神・淡路大震災や東日本大震災、熊本地震において全壊・半壊ゼロ(地盤移動および津波によるものは除く)という実績を持っています。

その秘密のひとつは、木造住宅の躯体(柱)とコンクリートの基礎の接合部を土台部分を介さず直結させた独自技術です。この「基礎ダイレクトジョイント」によって、どの方向からの力にも耐える強い構造を実現しました。

また、軽量鉄骨住宅に組み込まれた震度7級の地震への対応を想定した独自の制震構造「シーカス」も特徴のひとつです。内部に組み込まれた「シーカスダンパー」が、地震の揺れのエネルギーを熱エネルギーに変換し吸収します。さらに、工業化住宅として型式適合認定を取得した鉄骨住宅の構法「ダイナミックフレーム・システム」は、高い安全性と設計自由度を両立した独自技術です。
(情報は2024年3月15日時点)
参照:積水ハウス「耐震性能」

積水ハウスについては、下記の記事をご覧ください。
積水ハウス ハウスメーカー 注文住宅の評判・口コミ

ヘーベルハウス

旭化成ホームズの住宅ブランドであるヘーベルハウスは、1970年代、日本に鉄骨+ALCコンクリート・ヘーベルを使った耐久性の高い住宅を実現させたハウスメーカーです。

ヘーベルとは「縦壁」の意味で、ALC(Autoclaved Lightweight aerated Concrete:軽量気泡コンクリート)素材を使った壁面のパネルは、軽量ながら高い強度と防火性・耐火性を誇ります。地震の揺れで躯体が変形した場合、このALCパネルが独自の「ロッキング機構」によって揺れに追従。パネルの損傷や脱落を防ぐ仕組みを採用しています。
また、制震装置を組み込んだ地震の揺れに強い鉄骨躯体も、ヘーベルハウスの特徴です。
(情報は2024年3月15日時点)
参照:ヘーベルハウス「地震に強く」

ヘーベルハウスについては、下記の記事をご覧ください。
ヘーベルハウス ハウスメーカー 注文住宅の評判・口コミ

住友林業

住友林業は、高品質の注文住宅が人気のハウスメーカーです。木造住宅ではあるものの、柱幅が通常の約5倍もあるビッグコラム(大断面集成柱)を採用した「ビッグフレーム(BF)構法」によって、鉄骨住宅に負けない、震度7の地震にも耐えうる耐震等級3の強度を実現しています。

加えて、?剛性・?減衰ゴムを採?した「地震エネルギー吸収パネル」により、地震の揺れによる躯体の変形を最大約70%抑えることにも成功しています。この?剛性・?減衰ゴムは、全国の超高層ビルや橋梁でも用いられており、振動を抑える性能は折り紙付きです。
(情報は2024年3月15日時点)
参照:住友林業「耐震性」

住友林業については、下記の記事をご覧ください。
住友林業 ハウスメーカー 注文住宅の評判・口コミ

一条工務店

地震に強い家を建てるなら、一条工務店もおすすめのハウスメーカーといえるでしょう。
ハウスメーカーの中でいち早く産学協同による実大振動実験を開始させた一条工務店は、一般的な基準よりも厳しい自社基準で高耐久・高耐震な基礎を採用しています。

また、2×6工法によって建てる箱型の木造住宅「i-smart(アイ・スマート)」では、「ツインモノコック構造」を採用。耐震等級3の高い耐震性能を誇りながら、断熱性能や気密性能、耐火性能なども両立しています。
なお、一条工務店では、仮に建物が倒壊した場合でも人命を確保する「木質耐震シェルター」を、既存の住宅用に提供中です。
(情報は2024年3月15日時点)
参照:一条工務店「耐震性」

一条工務店については、下記の記事をご覧ください。
一条工務店 ハウスメーカー 注文住宅の評判・口コミ

地震に強い家の特徴

地震に強い家の特徴

地震に強い家は、共通したいくつかの特徴を備えています。ここでは、地震に強い家の特徴について解説します。

地盤が強い土地に建っている

地震に強い家の特徴として、地盤が強い土地に建っていることが挙げられます。強い地盤は、地震に強い家にとって極めて重要な要素です。反対に、地盤が弱い土地に家を建てると地盤沈下を起こしたり、年月の経過や地震の揺れで家が傾いたりするおそれがあります。

家を建てる際には、岩盤や砂れきを多く含む硬質地盤の土地を選ぶようにしましょう。水害などの被害を避けるためにも、ハザードマップを確認しておくことも大切です。
土地購入後や施工前に地盤調査を行い、地盤が強くないことがわかった場合には、地盤改良工事を行う必要があります。地盤調査は土地購入後でしか行えない点に注意してください。

耐震等級3である

耐震等級とは、地震に対する家の強度を示す指標のことです。耐震等級は3段階設けられており、数字が高いほど住宅の安全性は高まります。

ちなみに耐震等級1は、数百年に一度発生する規模の地震(震度6強〜7相当)で倒壊・崩壊しない耐震性能で、建築基準法で定められている建物の最低基準です。基本的に、一般住宅は耐震等級1ですが、大地震で倒壊・崩壊はしなくても損傷する可能性はあります。

耐震等級3だと、耐震等級1の想定する地震力の1.5倍以上の地震にも耐えられる強度となり、例えるなら警察署や消防署など、防災拠点レベルの耐震性能を有しています。耐震等級3の新築住宅であれば、地震に強い家といえるでしょう。

耐震・制震・免震構造である

地震に強い家は、地震の揺れに対する構造に特徴があります。
具体的には、建物の構造を強化して揺れに耐えられるようにした「耐震構造」や、建物の構造部に制御装置(ダンパー)を組み込んで揺れを吸収する「制震構造」のほか、建物と基礎とのあいだに緩衝装置(積層ゴム)を設置し、揺れを緩和する「免震構造」があります。

どれを採用しているかはハウスメーカーによって異なるものの、これらの構造を採用している家は、概して地震に強いといえるでしょう。なお、建築にかかるコストは耐震構造が最も安く、制震、免震の順に高くなります。

家の形状がシンプルな四角形である

家の形状は、地震に対して重要な要素です。十分な数の壁が配置されており、上から見た際に正方形や長方形に近い形状が、最適といわれています。
一方で、でこぼこがあったり開口部が多かったり、あるいは1階部分に車庫のある複雑な構造の家だと、地震に対する強度は低下してしまうので注意が必要です。

地震に強い家のハウスメーカーを比較するポイント

地震に強い家を建てるハウスメーカーを選ぶ際には、下記のようなポイントが挙げられます。

耐震等級

耐震等級は、地震に対する家の損傷の生じにくさを表しています。耐震等級は下記のとおり3段階に分けられていますが、地震に強い家の場合、耐震等級3となるのが一般的です。

■耐震等級の段階

等級

耐震性

耐震等級3

建築基準法で想定するレベルの1.5倍の地震力に対抗できる耐震性

耐震等級2

建築基準法で想定するレベルの1.25倍の地震力に対抗できる耐震性

耐震等級1

建築基準法レベルの耐震性

構造・工法

注文住宅の構造・工法には、いくつかの種類があります。主な構造・工法は下記のとおりです。

■注文住宅の主な構造・工法

構造

工法

木造

木造軸組工法(在来工法)
木造枠組壁工法(2×4工法)
木質系プレハブ工法

鉄骨造

軽量鉄骨軸組工法(ブレース工法)
重量鉄骨ラーメン工法
鉄鋼系プレハブ住宅

鉄筋コンクリート造
(RC造)

RC工法

※参照:一般財団法人日本木材総合情報センター「住宅の種類と木造住宅」一般社団法人プレハブ建築協会「プレハブ住宅について」

柱と梁で支える日本古来の在来工法に比べ、パネルの「面」で支える2×4工法は耐震性能に優れているといわれているもの、在来工法でも高い耐震性能を持つ住宅もあります。また、木造より鉄骨造のほうが耐震性能は高い傾向がありますが、しなやかで軽い木造のほうが地震の揺れに耐えやすいともいえるのです。

構造・工法にはそれぞれの利点があり、ハウスメーカーによっても地震の揺れに対する考え方が異なります。設計自由度や工期、費用などもそれぞれ一長一短があるため、予算や地震に対する考え方、建てたい家のイメージなどを鑑みて、それぞれのバランスをとりながらハウスメーカーを比較検討するようにしてください。

保証期間

住宅には、法律により「10年保証」が最低限の保証制度として定められています。ただし、ハウスメーカーによっては、主要となる構造部分に30年の保証期間を設けていたり、24時間365日体制でコールセンターを設け、アフターメンテナンス体制を整えていたりするのです。

新築時には地震に強い家も、経年劣化や度重なる地震によって耐震性能が低下するため、保証期間やメンテナンス体制が充実しているハウスメーカーを選ぶことをおすすめします。

地震に強い家を建てる際の注意点

地震に強い家を建てる際の注意点

地震に強い家を建てる際には、気をつけておきたいポイントがあります。最後に、地震に強い家を建てる際の注意点についてご紹介しましょう。

ハウスメーカーによって、地震に強い家の定義が異なる

ハウスメーカーによって、地震に強い家の定義や解釈は異なります。
例えば、あるメーカーは優れた制震構造を持っていたり、別のメーカーは耐震構造と免震構造を組み合わせていたりします。また、耐震構造と制震構造を備えた地震に強い家をアピールするハウスメーカーもあるのです。

それぞれのハウスメーカーは、独自の研究開発による地震に強い家のセールスポイントを持っています。パンフレットや文字情報だけでは判断が難しいので、実際にモデルハウスを見学したり、内部構造や実大振動実験映像を見せてもらったりして、ハウスメーカーを決めるようにしましょう。

耐震等級3相当には注意が必要

住宅の性能については、表示の共通ルールである「日本住宅性能表示基準」が定められています。これは、2000年に定められた住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)にもとづく制度です。国土交通省が認定した第三者機関である登録住宅性能評価機関が評価し、住宅性能を認定します。

注意したいのは、この性能評価を行うかどうかは任意であることです。「耐震等級3相当」とうたっている家は評価を受けていないことを意味しており、実際には「耐震等級3」の性能を有していない可能性もあるので、注意が必要です。

建築費用が高額になる

地震に強い家は、建築にかかる費用も高額になる傾向があります。
まず、地盤調査後に地盤が弱いことがわかった場合、地盤改良工事が必要です。強い地盤を作るための費用(数十万〜数百万円)が発生します。

また、耐震構造や制震構造、免震構造の家を建てるには、数十万から数百万円の追加費用がかかる点にも注意が必要です。「耐震構造<制振構造<免震構造」の順番で高コストになるので、予算内でどのように対策するかを十分に検討しましょう。

間取りに制限がかかる可能性もある

地震に強い耐震等級3の家を建てようとすると、注文住宅といっても間取りに制限がかかる可能性があるので注意しましょう。

なぜなら、耐震等級3の家には地震に強い耐力壁の量や柱・梁の太さ、窓の位置などにさまざまな規定があり、そのしわ寄せが間取りにかかることが起こりうるからです。希望の間取りでの建築を断念せざるをえない場合もあるので、耐震性能と間取りとのバランスを適切に判断するようにしてください。

地震に強い家を建てるには、耐震等級や考え方を参考にしてハウスメーカーを選ぼう

地震に強い家を建てる際には、地盤の強い土地に耐震等級3の住宅を建てたいところです。ただし、ハウスメーカーによって耐震に対する考え方が異なるほか、木造や鉄骨などの構造や耐震・制震・免震構造かどうかで建築にかかる費用が変わってくる点に注意してください。
この記事で紹介したハウスメーカーは、各社の独自技術によって地震に強い家を提供しています。耐震等級や地震に対する考え方を参考にしながら、気になるハウスメーカーに相談してみてはいかがでしょうか。

オリコンでは、日本最大級の規模で調査を行い、毎年「ハウスメーカー 注文住宅 満足度ランキング」を発表しています。デザインや金額の納得感、モデルハウス、営業担当者の対応など、さまざまな視点でのランキングを確認できますので、ハウスメーカー選びの参考にしてください。

【2024年】ハウスメーカー 注文住宅 満足度ランキング|オリコン顧客満足度

ハウスメーカー 注文住宅オリコン顧客満足度ランキング

  • 1位

    80.8

    スウェーデンハウス

  • 2位

    78.3

    積水ハウス

  • 3位

    78.2

    ヘーベルハウス

  • 4位

    78.1

    住友林業

  • 5位

    77.1

    一条工務店

  • 6位

    76.8

    パナソニック ホームズ

  • 6位

    76.8

    三井ホーム

  • 8位

    76.4

    セキスイハイム

  • 9位

    76.2

    大和ハウス

  • 10位

    75.9

    ミサワホーム

  • 11位

    75.6

    トヨタホーム

  • 12位

    75.0

    イシンホーム

  • 13位

    74.8

    アイ工務店

  • 13位

    74.8

    住友不動産

  • 15位

    74.4

    クレバリーホーム

  • 16位

    73.1

    アキュラホーム

  • 17位

    73.0

    住宅情報館

  • 17位

    73.0

    富士住建

  • 17位

    73.0

    ユニバーサルホーム

  • 20位

    72.9

    イシカワ

  • 21位

    72.7

    アイフルホーム

  • 22位

    72.6

    桧家住宅

  • 23位

    71.9

    タマホーム

  • 23位

    71.9

    日本ハウスホールディングス

  • 25位

    71.2

    ヤマダホームズ

  • 26位

    70.1

    秀光ビルド

  • 27位

    69.3

    アイダ設計

  • 28位

    67.9

    オープンハウス・アーキテクト

オリコン日本顧客満足度ランキングの調査方法について

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