建売住宅のメリット・デメリット!注文住宅との違いも解説

建売住宅のメリット・デメリット!注文住宅との違いも解説

マイホーム探しを進める中で、選択肢のひとつとしてよく挙がるのが建売住宅です。

建売住宅は、土地と建物がセットで販売されている住宅のことで、価格や入居時期があらかじめ明確になっているのが特徴です。

一方で、「建売住宅のメリットは?」「デメリットもあるのでは?」と気になる方も少なくありません。

さらに、注文住宅や分譲住宅とどう違うのかが分かりにくく、判断に迷う人も多いでしょう。

この記事では、建売住宅の基本的な特徴をはじめ、購入前に知っておきたいメリット・デメリットのポイント、注文住宅・分譲住宅との違い、そして契約前に注意したい点までを整理して解説します。

これからマイホーム購入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

mokuji目次

  1. 建売住宅とは
    1. 注文住宅との違い
    2. 分譲住宅との違い
  2. 建売住宅のメリット
    1. 注文住宅に比べて価格が安い
    2. 完成物件を実物で確認できる
    3. 契約から入居までの期間が短い
    4. 土地探しや各種手続きの手間が少ない
  3. 建売住宅のデメリット
    1. 設計・間取り・デザインの自由度が低い
    2. 建築過程を直接確認できない
    3. 隣の家との距離が近いケースが多い
    4. 土地の場所や形状を選べない
  4. 建売住宅と注文住宅の違いを徹底比較
    1. 価格・総費用の違い
    2. 設計・間取りの自由度の違い
    3. 入居までの期間の違い
    4. 品質・性能の違い
    5. 土地の選択肢の違い
  5. 建売住宅・注文住宅それぞれに向いている人の特徴
    1. 建売住宅が向いている人
    2. 注文住宅が向いている人
  6. 建売住宅を購入する際の注意点
    1. 立地・周辺環境は時間帯を変えて確認する
    2. 標準設備の範囲を細かく確認する
    3. 住宅性能表示の有無を確認する
    4. 諸費用を含めた総額で予算計画を立てる
    5. 将来のメンテナンス費用も考慮する
  7. 理想の住まい実現には信頼できるハウスメーカー選びから
矢野 翔一

監修者矢野 翔一

有限会社アローフィールド代表取締役社長。
不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

建売住宅とは

建売住宅とは

建売住宅とは、土地と建物がセットで販売されている住宅のことを指します。

すでに建物が完成している、もしくは完成を前提に販売されるため、購入後すぐに入居できる点が特徴です。

一見すると、注文住宅や分譲住宅と混同されがちですが、それぞれ土地の扱い方や設計の自由度などに明確な違いがあります。

ここからは、注文住宅・分譲住宅との違いについてわかりやすく解説していきます。

建売住宅と注文住宅、分譲住宅の違い

注文住宅との違い

注文住宅とは、購入者が用意した土地に、ハウスメーカーや工務店と相談しながら、間取りやデザイン、設備などをゼロから自由に決めて建てるオーダーメイドの住宅のことです。

建売住宅と注文住宅には、以下のような違いがあります。
建売住宅と注文住宅の違い

項目

建売住宅

注文住宅

土地の扱い方

土地と建物をセットで購入

購入者自身が土地を用意(購入または所有)する必要がある

設計の自由度

間取りや設備がすでに決まっている

施主の希望を反映して、間取り、デザイン、設備などを自由に決められるオーダーメイドの住宅

住宅ローンの手続き

土地と建物を一括で支払うため、住宅ローンの手続きが一度で済む

・土地の購入代金と建物の建築費用を別々に支払う必要がある

・つなぎ融資などの手続きが別途必要になる場合がある

このように、建売住宅は自由設計の注文住宅と比べて自由度は低いものの、価格が明確かつ抑えられており、予算内で効率的に家を手に入れたい方にとっては大きな魅力があります。

分譲住宅との違い

建売住宅と分譲住宅は、どちらも土地と建物がセットで販売される住宅であり、基本的には同じ意味で使われることがほとんどです。

ただし、不動産会社や立地によって呼び方が変わる場合があります。

主な理由は以下の2つです。
●販売会社の規模による違い
分譲住宅:大手ハウスメーカーやデベロッパーが手がける計画的に開発された住宅地の物件

建売住宅:中小の工務店などが手がける物件

●立地による違い
分譲住宅:住宅建築のために整備された「分譲地」に建てられた住宅

建売住宅:それ以外の場所に単独で建てられた住宅を

建売住宅の多くは分譲地に建てられることから、両者はほぼ同義の言葉として広く使われています。

建売住宅のメリット

建売住宅のメリット

建売住宅には、注文住宅にはない多くのメリットがあります。

ここでは、建売住宅が持つ主なメリットを4つ解説します。

建売住宅のメリット4つ

注文住宅に比べて価格が安い

建売住宅は、注文住宅に比べて購入費用が安く抑えられる傾向があります。

その理由は、コスト削減につながる効率的な販売・施工の仕組みが整っているからです。

具体的に、価格が安くなる主な要因は以下の通りです。
■建売住宅の価格が安くなる主な要因

●設計の打ち合わせが不要なため、設計・営業担当の人件費を削減できる

●建材・設備をまとめて一括購入することでコストダウンが可能

●規格住宅として同じ仕様で建てるため、申請や設計の手間が省ける

●仲介業者を挟まない販売方式で、仲介手数料がかからない場合もある
また、実際の購入資金にも違いがあります。

国土交通省の「令和4年度住宅市場動向調査」によると、建売住宅と土地付き注文住宅の購入資金の差はおよそ1,222万円にものぼります。
●建売住宅(分譲戸建住宅)の平均購入資金:4,214万円

●土地付き注文住宅の平均購入資金:5,436万円
しかし、価格が安いからといって建物の品質が劣るということではありません

建売住宅も建築基準法や住宅性能評価制度に則って建てられており、一定水準の耐震性や断熱性能は確保されています。

参照:政府統計の総合窓口「【訂正版】令和4年度住宅市場動向調査_報告書

完成物件を実物で確認できる

建売住宅は、多くの場合すでに建物が完成した状態で販売されるため、購入前に実物を内見できます

これにより、以下のようなメリットが生まれます。
●間取り図だけではわかりにくい部屋の広さや天井の高さ、生活動線を実際に体感できる

●日当たりの良さや風通し、窓からの眺めなどを自分の目で確認できる

●内装の色合いや素材感、設備の使い勝手などを直接確認できる
注文住宅で起こりがちな「完成したらイメージと違った」という失敗を防げるのは、大きな魅力です。

賃貸物件を探すときのように、実際の部屋を見てから契約を決められる安心感があります。

契約から入居までの期間が短い

すでに完成している物件であれば、住宅ローンの審査や契約手続きが済み次第、すぐに入居できます。

一般的には、契約から1〜2か月程度で新生活をスタートすることが可能です。

一方、注文住宅は土地探しから始まり、設計の打ち合わせ、建築工事と多くの工程を経るため、入居までに半年から1年以上かかるのが一般的です。

子どもの入学や転勤など、引越しの時期が決まっている方にとって、スピーディーに入居できる建売住宅は非常に魅力的な選択肢といえるでしょう。

土地探しや各種手続きの手間が少ない

建売住宅は、購入者が自ら土地を探す必要がありません

土地と建物がセットになっているため、土地勘のない場所で家を探す場合や、仕事で忙しく土地探しに時間をかけられない方にとっては大きな負担軽減となります。

また、土地と建物の売買契約が一度で済むため、手続きがシンプルです。

注文住宅のように土地の契約と建物の建築請負契約を別々に行う必要がなく、住宅ローンもまとめて組めるため、煩雑なプロセスを避けられます。

この手軽さは、分譲マンションの購入に近い感覚といえるかもしれません。

建売住宅のデメリット

建売住宅のデメリット

多くのメリットがある一方で、建売住宅にはいくつかのデメリットも存在します。

これらのデメリットを理解した上で、ご自身のライフスタイルと照らし合わせることが、後悔のない家選びにつながります。

建売住宅のデメリット4つ

設計・間取り・デザインの自由度が低い

建売住宅は、すでに設計が完了しているため、購入者の希望で間取りやデザインを自由に変更することは基本的にできません

多くの人に受け入れられるよう、万人向けの標準的な間取りやデザインが採用されることが多く、個性的な住宅を求める方には物足りなく感じられる可能性があります。

たとえば、「吹き抜けのあるリビングにしたい」「趣味のための特別な部屋が欲しい」といった具体的なこだわりを反映するのは難しいでしょう。

建築過程を直接確認できない

建物が完成した状態で販売されることが多い建売住宅では、工事の過程を自分の目で確認することができません

特に、建物の安全性に直結する土地の地盤改良工事や、建ってからでは見えなくなる基礎・構造部分の施工状況を確認できない点に不安を感じる方もいるかもしれません。

ただし、現在の新築住宅には「住宅瑕疵担保履行法」に基づき、引き渡しから10年間の保証が義務付けられています。

万が一、構造耐力上主要な部分や雨水の侵入を防止する部分に欠陥が見つかった場合、売主の責任で補修されるため、過度な心配はいりません。

隣の家との距離が近いケースが多い

分譲地では、限られた土地を効率的に利用して複数の住宅を建てるため、隣の家との距離が近くなる傾向があります。

これにより、日当たりや風通しが影響を受けたり、隣家の生活音が気になったりする可能性が考えられます。

プライバシーや騒音の観点から、隣家との距離感を重視する方は、購入前に必ず現地を訪れ、窓の位置や周辺環境を自分の目で確認することが重要です。

土地の場所や形状を選べない

建売住宅は土地と建物がセットになっているため、購入者はその土地の場所や形状を選ぶことができません

「もう少し駅に近い方が良かった」「庭を広く取りたかった」といった希望があっても、提示された区画の中から選ぶしかありません。

立地条件に強いこだわりがある場合、希望に合う建売住宅が見つからない可能性もあります。

そのため、場合によっては注文住宅を選び、土地探しから始めることも検討するとよいでしょう。

建売住宅と注文住宅の違いを徹底比較

建売住宅と注文住宅の違いを徹底比較

ここまでの解説を踏まえて、建売住宅と注文住宅の違いを一覧表にまとめました。

それぞれの項目の違いが購入者にとってどのような意味を持つのかを理解することで、自分にとって最適な住まいの選択肢が見えてくるでしょう。
建売住宅と注文住宅の違い

比較項目

建売住宅

注文住宅

価格・費用

比較的安い(総額が明確)

比較的高くなりやすい(予算オーバーの可能性)

設計の自由度

低い(完成品を購入)

高い(ゼロから自由に設計可能)

入居までの期間

短い(最短1〜2か月)

長い(半年〜1年以上)

品質・性能

一定の品質(現物で確認可能)

施工会社により変動(建築過程を確認可能)

土地の選択肢

選べない(建物とセット)

自由に選べる(土地探しが必要)

手間・労力

少ない

多い

建売住宅と注文住宅の違い

価格・総費用の違い

比較表の通り、建売住宅は販売価格が明確で、購入前に総額を把握しやすいのが特徴です。

規格化された建材の大量仕入れや工期の短縮により、コストが抑えられています。

一方、注文住宅はこだわりを追求するほど費用が上がりやすく、最終的に予算をオーバーする可能性があるので注意が必要です。

ただし、住宅購入では建物本体の価格だけでなく、税金などの諸費用や将来のメンテナンス費用もかかります。

長期的な視点でトータルコストを考えることが重要です。

設計・間取りの自由度の違い

設計の自由度は、建売住宅と注文住宅の最も大きな違いです。

建売住宅は「完成品を購入する」スタイルなので、基本的には仕様の変更はできません

一方、注文住宅は「ゼロから自由に設計できる」ため、家族のライフスタイルや趣味に合わせて、理想の住まいを形にできます

どちらが良いかは個人の価値観によります。

「間取りに強いこだわりはないので、プロが設計した暮らしやすい家がいい」と考えるなら建売住宅、「家づくりのプロセスを楽しみながら、唯一無二の空間を作りたい」と考えるなら注文住宅が向いているでしょう。

入居までの期間の違い

入居までの期間は、建売住宅が「最短1〜2か月」と短いのに対し、注文住宅は「半年〜1年以上」と長期間に及びます。

それぞれの引き渡しまでの流れは、以下の通りです。
引き渡しまでの流れ

建売住宅

注文住宅

1. 物件探し
2. 契約
3. ローン審査
4. 引き渡し

1. 土地探し
2. 施工会社選定
3. 設計打ち合わせ
4. 建築工事
5. 引き渡し

建売住宅は入居時期の目途が立てやすいことから、新生活の計画もスムーズに進められます。

注文住宅は、家づくりにじっくり時間をかけたい方向けといえます。

品質・性能の違い

「建売は品質が低い」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、現在ではその差はほとんどありません

どちらの住宅も建築基準法という同じ法律に基づいて設計・建築されており、法的な安全性は確保されています。

特に2003年以降は「完了検査」が義務化され、図面通りに建てられているか確認されるようになったため、建物の品質は大きく向上しました。

品質を左右するのは、建売か注文かという違いよりも、どの施工会社が建てるかという信頼性の問題が大きいです。

そのため、施工会社の実績や評判、アフターサービスの内容などを確認し、信頼できる施工会社を選びましょう

土地の選択肢の違い

土地の選択肢には、建売住宅と注文住宅で大きな違いがあります。

建売住宅は「建物と土地がセット」で販売されるため、購入者が土地を自由に選ぶことはできません。

一方、注文住宅では自分の希望に合わせて「自由に土地を選べる」点が特徴です。

このように見ると、注文住宅のほうが柔軟で優れているように思えるかもしれません。

しかし実際には、建売住宅を手がける不動産会社は、一般に市場に出回る前の好立地な土地を優先的に確保しているケースも多くあります。

建売住宅でも立地条件の良い物件が選べる場合があるのです。

注文住宅で理想の土地を見つけるには、不動産会社との交渉や情報収集に時間と労力をかける必要があるため、土地探しの負担は建売住宅より大きくなる傾向があります。

購入までのスムーズさや手間の面では、建売住宅に利点があるともいえるでしょう。

建売住宅・注文住宅それぞれに向いている人の特徴

建売住宅・注文住宅それぞれに向いている人の特徴

建売住宅と注文住宅には、それぞれ異なるメリットとデメリットがあります。

そのため、「どちらが正解か」ではなく、「自分にとって最適なのはどちらか」を考えることが大切です。

ここでは、建売住宅・注文住宅に向いている人の特徴を具体的に紹介します。

どちらにも該当する要素がある場合は、柔軟な選択肢として「セミオーダー住宅」などの中間的な選択も検討するとよいでしょう。

建売住宅・注文住宅それぞれに向いている人の特徴

建売住宅が向いている人

以下のような方は、建売住宅を検討するのがおすすめです。
●コストを抑えたい
●早く入居したい
●実物を見て決めたい
●家づくりに時間をかけられない
●間取りやデザインに強いこだわりがない
たとえば、共働きで多忙な夫婦や、転勤・子どもの入学などで早急に住まいを決める必要があるご家庭には、建売住宅は現実的で有効な選択肢です。

完成済みの物件を内見してから購入できるため、「住んでみたら思っていたのと違った」といった失敗も少なく、スムーズに新生活を始められます。

また、あらかじめ設計された間取りは多くの人にとって暮らしやすいよう最適化されており、細部に強いこだわりがなければ十分に満足できる仕上がりとなっている場合がほとんどです。

建売住宅を選ぶのは妥協ではなく、時間・予算・生活スタイルに合わせた効率的な選択といえるでしょう。

注文住宅が向いている人

一方で、以下のような方は注文住宅の方が満足度の高い家づくりができるでしょう。
●設計やデザインにこだわりたい
●家づくりのプロセスを楽しみたい
●住みたい土地の場所が決まっている
●建築過程を自分の目で確認したい
住まいに対して明確な理想やビジョンを持っている方にとって、注文住宅はその希望を最も反映しやすい選択肢です。

たとえば、「家事導線に配慮した間取りにしたい」「書斎や趣味部屋が欲しい」といった要望を、設計段階から建築士やハウスメーカーと相談しながら形にできます。

また、土地の場所に強いこだわりがある方や、住宅が完成するまでの工程を自分で確認して納得したい方にも適しています。

施工中に現場を訪れ、基礎や構造などの安全性を自分の目で確かめられる安心感は、注文住宅ならではの魅力といえるでしょう。

ただし、設計・施工には時間がかかり、費用も予算を超える可能性があるため、ある程度の時間的・経済的な余裕が必要になります

それでも「世界に一つだけの理想の住まいをつくりたい」という思いがある方には、注文住宅は大きな満足と達成感をもたらしてくれるはずです。

建売住宅を購入する際の注意点

建売住宅を購入する際の注意点

建売住宅は完成した実物を見て購入できるのが大きなメリットです。

しかし、その手軽さゆえに見落としやすいポイントも少なくありません。

購入前に冷静な目でチェックしておくことで、入居後の「こんなはずじゃなかった」という後悔を防ぐことができます。

ここでは、建売住宅を購入する際に、必ず確認しておきたい5つの注意点を解説します。

建売住宅を購入する際の注意点5つ

立地・周辺環境は時間帯を変えて確認する

家を購入する際、間取りや設備ばかりに目が向き、周辺環境の確認を後回しにしてしまうケースは少なくありません。

しかし、立地や周囲の住環境は日々の暮らしに直結する重要なポイントです。

そのため、以下の観点を意識しながら、朝・昼・夕方・夜など複数の時間帯で現地を訪れ、実際の様子を確認することが大切です。
■下見時に確認する内容

近隣住民の様子:どのような人が住んでいるか
生活利便施設:学校、公園、病院、スーパーなどへのアクセス
治安・安全性:街灯の有無、人通りの多さ
騒音レベル:道路の交通量、周辺の音環境
災害リスク:ハザードマップで洪水や土砂災害の危険度を確認
夜間の確認は特に重要です。日中とは違い、街灯の明るさや人通りの多さによっては、防犯面で不安を感じやすくなることがあります。

安心して暮らせるかどうかを判断するためにも、夜の雰囲気を実際に自分の目で確かめておくことが大切です。

標準設備の範囲を細かく確認する

建売住宅では、標準仕様として含まれている設備の範囲を確認しておく必要があります。

一見すると「完成している家」に見えても、以下のような生活必需品がオプション扱いになっている場合があります。
■オプション扱いになる可能性のある項目

●カーテンレール
●テレビアンテナ
●網戸
●外構(フェンス、ポスト、門扉など)
また、床下点検口や屋根裏点検口といった将来的なメンテナンスに必要な設備があるかどうかも確認が必要です。

契約前に、どこまでが「標準」で、どこからが「オプション」なのかを明確にしておきましょう。

住宅性能表示の有無を確認する

建売住宅を購入する際には、「住宅性能表示制度」が導入されているかどうかを確認することも大切です。

住宅性能表示制度は、住宅の性能を国が定めた統一基準に基づいて評価・表示するもので、購入者が住宅の品質を比較しやすくするために設けられています。

住宅性能表示制度には、以下の2種類の評価書があります。
設計住宅性能評価書:設計図面に基づき、耐震性や断熱性などの性能を評価したもの

建設住宅性能評価書:実際の建築現場で検査を行い、図面通りに建てられているかを評価したもの
この2つの評価書がそろっている住宅は、品質面での信頼性が高いだけでなく、住宅ローンの金利優遇や税制上の優遇措置(住宅ローン控除など)を受けられる可能性があるというメリットもあります。

購入前には、これらの評価書の有無や内容をしっかりと確認し、将来の安心と経済的なメリットの両面で納得できる選択を心がけましょう。

諸費用を含めた総額で予算計画を立てる

建売住宅の価格表示は、物件本体の価格であることが多く、諸費用が別途かかることに注意が必要です。

諸費用は一般的に「物件価格の6〜9%程度」が目安とされており、次のような費用が含まれます。
●登記費用
●ローン手数料
●火災保険料
●水道負担金
●外構費 など

契約前には、諸費用の内訳を明記した見積書を取り寄せて総額を把握し、無理のない資金計画を立てることが重要です。

将来のメンテナンス費用も考慮する

住宅は購入して終わりではなく、長く住み続けるためには定期的なメンテナンスが必要です。

建売住宅は購入費用を抑えられる傾向がありますが、使用されている建材や設備のグレードによっては、注文住宅に比べて早めのメンテナンスが必要になる可能性もあります。

新築住宅には10年間の瑕疵保証がついていますが、それ以降の保証延長には、有償の点検や指定された修繕工事が必要となるのが一般的です。

外壁や屋根の塗装、給湯器などの設備交換といった将来かかる費用も念頭に置き、長期的な視点でトータルコストを比較検討することが大切です。

理想の住まい実現には信頼できるハウスメーカー選びから

建売住宅には「実物を見てから購入できる」「入居までの期間が短い」といった大きなメリットがあります。

一方で、設計の自由度が限られることや、土地選びに制限があるなど、デメリットや注意点も存在します。

注文住宅と建売住宅のどちらを選ぶべきかは、住まいに求める優先順位やライフスタイルによって変わってきます。

大切なのは、どちらを選ぶにしても「信頼できるパートナーを見つけられるか」という点です。

特に建売住宅を購入する際には、販売会社(またはハウスメーカー)の実績や信頼性、対応力を確認しておくことが重要です。

物件の品質やアフターサービスに直結するため、「価格の安さ」だけで選ぶのではなく、安心して任せられる企業を選ぶことが後悔しない家づくりにつながります。

なお、オリコンでは、実際に住宅を購入・建築した人を対象にした満足度調査をもとに、ハウスメーカーをランキング形式で紹介しています。

家づくりの第一歩として、ぜひ参考にしてください。
矢野 翔一

監修者矢野 翔一

関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。
不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

(保有資格)
・2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)
・宅地建物取引士
・管理業務主任者

公式サイト:https://www.arrow-field-ltd.com/

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