2018年03月23日 08時50分

給与天引きで老後資金を貯める 「職場つみたてNISA」とは

「つみたてNISA」の新しい活用法「職場つみたてNISA」について解説する(画像はイメージ) [拡大する]

「つみたてNISA」の新しい活用法「職場つみたてNISA」について解説する(画像はイメージ)

 2018年から導入された「つみたてNISA」に、新しい活用法「職場つみたてNISA」がある。これは、職場の給与天引きなどを利用してつみたてNISA口座に投資商品を購入する仕組みのこと。従業員は、自ら金融機関で開設手続きをする必要がなく、給与から自動で積立てられるため、手間をかけずに資産形成に役立てることができる。現役世代なら知っておきたい新制度「職場つみたてNISA」について解説する。

■通常のNISAを利用した「職場NISA」との違い

 実は、職場つみたてNISAができる以前から、通常のNISAを利用した「職場NISA制度」は存在していた。職場を通じてNISA口座を開き、年間120万円を限度に投資した商品の運用益が非課税になる仕組みだ。しかし、導入企業が金融機関を決めるため、従業員は取扱商品などを比較・検討して自分自身で金融機関を選ぶことができないというデメリットもある。

 その一方、つみたてNISAでは、購入できる商品があらかじめ金融庁によって「長期・積立投資にふさわしい」とされる商品に絞られている。たとえ、提携する金融機関を従業員が選べなかったとしても、職場つみたてNISAであれば、商品のコストはどこの金融機関であっても一様に低く抑えられている。この点を踏まえれば、職場つみたてNISAは従来の制度よりも安心して資産形成に臨むことができる制度だと言えるだろう。

■民間企業へのさらなる広がりに期待

 どれくらいの民間企業が職場つみたてNISAを導入しているのか、日本証券業協会へ問い合わせたところ、詳細なデータは公表していないが、すでに複数の企業が制度を導入しているとのことだった。なかには、複数の金融機関と提携し、その中から従業員が口座開設する金融機関を選択できるようにしている企業もあるそうだ(2018年3月16日時点)。

 職場つみたてNISAは、制度の生みの親である金融庁で、2018年1月にいち早く導入された。政府は、国民に広くつみたてNISAを普及させるため、まずは国家公務員に対して職場つみたてNISAの枠組みを導入するなど、率先して取り組んで行く姿勢を示している。今後、政府の思惑通り各省庁へと普及していけば、地方公務員、民間企業へのさらなる広がりも期待できる。

 つみたてNISAは少子高齢化の進む日本で、国民が安心して老齢期を過ごすため、安定的な資産形成を促すために制定された制度だ。それを身近な職場を通じて利用できる職場つみたてNISAなら、仕事などで忙しく、投資に馴染みのない現役世代にも取り組みやすいだろう。これらを契機に、うまく家計の資産を増やすことができるのか、注目したい。

(フリーライター・永井志樹子)

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