NISAのつみたて投資枠は銀行と証券会社のどっちがいい?特徴を比較

NISAのつみたて投資枠は銀行と証券会社のどっちがいい?

NISAのつみたて投資枠(旧つみたてNISA)を利用するためには、銀行や証券会社でNISA口座を開設する必要があります。NISA口座は1人1口座しか開設できないため、自分に合った金融機関を選ばなければなりません。

本記事では、NISAのつみたて投資枠を利用して投資を始めたい人向けに、銀行と証券会社のNISA口座の違いや、それぞれに向いている人の特徴、金融機関の変更などについて解説します。「NISAが気になっているけれど、よくわからない」という方は、ぜひ参考にしてください。

NISAについては、下記の記事をご覧ください。
新NISAはいつから?2024年からの変更ポイントと注意点を解説

NISAは銀行でも証券会社でも口座開設できる

NISA口座は、銀行でも証券会社でも開設が可能です。NISAに対応している金融機関の中から、自分に合ったところを選んで口座開設しましょう。

そもそもNISAは、2014年にスタートした「一定の枠内での投資による利益が、全額非課税になる」という制度です。通常、投資の利益には20.315%の税金がかかりますが、NISA口座での投資で利益が出た場合は非課税になります。

NISAは当初、一般NISAのみでしたが、その後2018年に積立投資に限定した「つみたてNISA」という制度ができました。2024年には、一般NISAとつみたてNISAが一本化され、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という2つの枠で構成される制度になっています。
<新しいNISAの2つの枠>
・つみたて投資枠:一定の要件を満たす投資信託などに、積立形式で投資できる枠
・成長投資枠:株式やETF、投資信託などへの投資ができる枠
2023年までは、一般NISA口座とつみたてNISA口座のどちらか1つしか開設できませんでした。2024年以降は、NISA口座を開設すれば、つみたて投資枠と成長投資枠の両方に投資できます。

成長投資枠は、つみたて投資枠よりも幅広い対象に投資が可能です。一方、つみたて投資枠は、長期の分散投資に適した銘柄に対象が限定されています。そのため、つみたて投資枠は、長い目でゆるやかに資産形成を目指したい投資初心者の方などに最適です。

なお、NISA口座での投資利益は、どの金融機関で口座を開設するかにかかわらず非課税となります。しかし、金融機関によって投資できる対象などが異なる点に注意しなければなりません。
安易に金融機関を決めてしまうと、希望に沿った投資ができない可能性があります。金融機関ごとの特色を知った上で、自分に合う金融機関を選択してください。

投資信託については、下記の記事をご覧ください。
投資信託とは?始め方やメリット・デメリット、注意点を解説

NISAのつみたて投資枠における銀行と証券会社の違い

NISAのつみたて投資枠における銀行と証券会社の違い

NISAのつみたて投資枠で投資を行うためには、銀行か証券会社でNISA口座を開設しなければなりません。証券会社は、さらに対面型とネット証券に分けられ、それぞれ特徴が異なります。「銀行」「対面型証券会社」「ネット証券」の3種類の中から、適した金融機関を選択してください。

なお、NISA口座の開設手数料は、どの金融機関でも無料です。また、販売手数料も、つみたて投資枠の対象銘柄になっている投資信託ではかかりません。ただし、銘柄に応じた信託報酬は別途かかります。
NISA口座のつみたて投資枠で投資を行う場合を想定して、それぞれの特徴を比較したのが下記の表です。

■銀行、対面型証券会社、ネット証券の特徴

分類

取扱銘柄数

信託報酬

積立頻度

最低積立金額

クレジットポイント還元

株の取引

サポート

銀行

少なめ

低い銘柄の選択肢が限られる

選択肢が限られる

ネット証券に比べると高め

基本的になし

できない

専任担当者に対面で投資相談可

対面型証券会社

普通

低い銘柄の選択肢が限られる

選択肢が限られる

ネット証券に比べると高め

基本的になし

できる

専任担当者に対面で投資相談可

ネット証券

多め

低い銘柄を選びやすい

複数の選択肢から選べる

100円からというケースもある

あり

できる

投資相談ができるのは一部

※表は横にスクロールできます。
これらの点について、銀行、対面型証券会社、ネット証券の違いは、下記のようになります。

取扱銘柄数

つみたて投資枠では一定の条件に合致する投資信託などへの投資が可能で、取扱銘柄は金融機関によって異なります。取扱銘柄数が多い順に並べると、ネット証券、対面型証券会社、銀行となるのがおおよその傾向です。
主な銀行、対面型証券会社、ネット証券の取扱銘柄数の一覧にまとめたのが下記の表です。

■主な銀行、対面型証券会社、ネット証券の取扱銘柄数一覧
※2024年3月時点

分類

金融機関名
※代表的な金融機関を一例として抜粋

つみたてNISA対象取扱銘柄数

銀行

三菱UFJ銀行

24銘柄

銀行

三井住友銀行

4銘柄

対面型証券会社

野村證券

19銘柄

対面型証券会社

SMBC日興証券

149銘柄

ネット証券

SBI証券

224銘柄

ネット証券

楽天証券

222銘柄

取扱銘柄数が多ければ、それだけ多くの選択肢の中から投資先を選べます。一方、「多すぎて選ぶのが難しい」と感じる人もいるかもしれません。希望に応じて選択してください。

なお、あらかじめ投資したい商品が決まっている場合は、取り扱いがあるかどうかを調べてから口座を開設する必要があります。

信託報酬

信託報酬とは、投資信託を保有しているときに発生するコストです。保有している金融商品から自動で差し引かれるため、現金で支払う必要はありません。
似た投資先に投資する投資信託であっても、銘柄によって信託報酬は異なります。運用方針や過去の運用実績などだけでなく、信託報酬もあわせて比較しましょう。

信託報酬が低い投資信託の銘柄は、ネット証券会社が多く取り扱う傾向があります。また、取扱銘柄数が多い金融機関は選択肢が多いため、信託報酬が低い銘柄の数も多くなります。
参考として、主な銀行、対面型証券会社、ネット証券の取扱銘柄のうち、信託報酬0.1%以下の銘柄数は、下記のとおりです。

■主な銀行、対面型証券会社、ネット証券の信託報酬0.1%以下の銘柄数
※2024年3月時点

分類

金融機関名
※代表的な金融機関を一例として抜粋

信託報酬0.1%以下の銘柄数

銀行

三菱UFJ銀行

5銘柄

銀行

三井住友銀行

1銘柄

対面型証券会社

野村證券

7銘柄

ネット証券

SBI証券

16銘柄

ネット証券

楽天証券

16銘柄

積立頻度

つみたて投資枠では、定期的に一定額の投資商品を積立形式で購入しますが、選べる積立頻度も金融機関によって異なります。ネット証券では「毎日」や「毎週」といった頻度で購入することも可能ですが、銀行や対面型の証券会社は「毎月」のみというケースが多い傾向です。
下記の表は、主な銀行、対面型証券会社、ネット証券で選択できる積立頻度です。

■主な銀行、対面型証券会社、ネット証券で選択できる積立頻度
※2024年3月時点

分類

金融機関名
※代表的な金融機関を一例として抜粋

積立頻度

銀行

三菱UFJ銀行

毎月

銀行

三井住友銀行

毎月

対面型証券会社

野村證券

毎月

対面型証券会社

SMBC日興証券

毎月

ネット証券

SBI証券

毎日、毎週、毎月

ネット証券

楽天証券

毎日、毎月

最低積立金額

NISAのつみたて投資枠で設定できる最低積立金額は、金融機関によって異なります。ネット証券は100円からの場合が多く、都合にあわせて設定しやすいといえます。一方、対面型の証券会社や銀行は、ネット証券よりも最低積立金額が高い傾向です。
主な銀行、対面型証券会社、ネット証券の最低積立金額は、下記の表のとおりです。

■主な銀行、対面型証券会社、ネット証券の最低積立金額
※2024年3月時点

分類

金融機関名
※代表的な金融機関を一例として抜粋

最低積立金額

銀行

三菱UFJ銀行

1,000円

銀行

三井住友銀行

1万円

対面型証券会社

野村證券

1,000円

対面型証券会社

SMBC日興証券

1,000円

ネット証券

SBI証券

100円

ネット証券

楽天証券

100円

クレジットカードのポイント還元

ネット証券の中には、特定のクレジットカードで積立ができる金融機関もあり、そのような金融機関を選べばNISAで資産形成をしつつポイントを貯められます。対面型の証券会社や銀行では、クレジットカードでの積立はできないケースがほとんどです。

例えば、SBI証券は三井住友カードで積立を行うことでVポイントが貯まり、楽天証券は楽天カードで積立を行うと楽天ポイントが貯まります。いずれも2024年3月時点での情報ですが、SBI証券については、Vポイントの付与率や付与条件が2024年10月10日積立設定締切分(2024年11月1日(金)買付分)以降から改定されることが発表されました。クレジットカートのポイント還元は、条件が変わるケースもあることに注意してください。

株の取引

2024年からの新NISAでは、積立形式のつみたて投資枠と、株式などへの投資ができる成長投資枠の両方を利用できるようになりました。ただし、株式投資ができるのは証券会社のみで、銀行では株取引の仲介はできますが、銀行に開設した口座から直接、株取引をすることはできません。
そのため、成長投資枠の併用を考えている場合は、対面型証券会社かネット証券を選ぶことが必要です。

株取引には原則として手数料がかかりますが、ネット証券では、一部の取引手数料が無料になっているケースもあります。

サポート

銀行、対面型証券会社とネット証券では、利用できるサポートが異なります。銀行や対面型の証券会社では、専任担当者がついて店舗で直接担当者に不安な点や疑問点を相談できますが、ネット証券の相談窓口は、メールフォームやチャット、電話などで、対面の相談窓口は基本的にはありません。

また、相談内容も操作方法が主で、基本的に銘柄の選び方などの投資相談には対応していないのが一般的です。
ただし、一部のネット証券では、提携先の金融商品仲介業者に投資相談できるコースを設けていたり、株式投資に関する相談窓口を設けていたりするケースもあります。

銀行・対面型証券会社でのNISA口座開設に向いている人の特徴

銀行・対面型証券会社でのNISA口座開設に向いている人の特徴

NISA口座を開設する場合、サポート体制に強みがある銀行や対面型証券会社は、下記のように口座開設から運用中まで親身に相談にのってほしい人に向いています。
<銀行・対面型証券会社でのNISA口座開設に向いている人>
・投資をしたことがないため、詳しい説明を聞きたい人
・NISAについていろいろと質問をしながら手続きを進めたい人
・銘柄の選び方などについてもアドバイスが欲しい人
・口座開設方法がよくわからないので、対面で説明してほしい人
・インターネットをあまり利用しておらず、ネット証券は不安という人
銀行や対面型証券会社であれば、担当者から説明を受けたり、質問に答えたりしてもらいながら手続きを進められるため、安心です。

銀行か対面型証券会社かは、下記のポイントで検討するのがおすすめです。
<銀行での口座開設が向いている人>
・ローンなども含め、総合的なライフプランの相談がしたい人
・貯金と投資のバランスのとり方など、資産運用全般の相談がしたい人
・現在、銀行口座を保有している金融機関でNISA口座も開設したい人
<対面型証券会社での口座開設が向いている人>
・将来的にNISA以外の投資もする可能性がある人
・対面での案内を希望していて、なおかつ取扱銘柄数がある程度多い金融機関を選びたい人
・投資したい銘柄が決まっているが、銀行では取り扱いがないという人
銀行では、NISAだけでなく住宅ローンなども取り扱っているため、総合的なライフプランの相談ができます。
一方、対面型の証券会社には、銀行よりも取扱銘柄が多く株取引もできるという強みがあります。

自身の状況や、金融機関に求めるサービスを踏まえて選択しましょう。

なお、銀行や対面型証券会社の中でも、金融機関ごとにそれぞれ特徴が異なります。サービス内容を見比べたり、口座を保有している銀行で相談したりして検討してください。

ネット証券でのNISA口座開設に向いている人の特徴

ネット証券でNISA口座を開設するのに向いている人は、下記のような人です。
<ネット証券でのNISA口座開設に向いている人>
・豊富な銘柄の中から、自由に投資を行いたい人
・インターネットなどでみずから情報収集をして投資判断ができる人
・できるだけコストを抑えて投資を行いたい人
・NISAでもクレジットカードのポイントを貯めたい人
インターネット上での取引に抵抗がなく、設定方法や銘柄の選び方などを自分で調べられる人は、自由度の高いネット証券が適しています。
また、取扱銘柄数が多いことから信託報酬が低い銘柄の選択肢も多く、成長投資枠を併用して株取引する場合の手数料も抑えられ、クレジットカードのポイントが付与されるケースもあるため、できる限りコストを抑えてリターンを得たい人にも最適です。

NISAの金融機関の変更に関する注意点

NISAの金融機関の変更に関する注意点

NISA口座を開設した後、「金融機関を変えたい」と思った場合は変更が可能です。

例えば、「最初は不安があったので銀行や対面型証券会社で口座を開設したが、慣れてきたのでネット証券会社に変えたい」といった場合、変更手続きをすればネット証券会社での取引に切り替えられます。ただし、NISA口座の金融機関変更には、下記のような注意点があります。

変更できるタイミングが限定される

NISA口座の金融機関は、1年に1回しか変更できません。また、変更手続は変更を希望する年の、前年10月1日〜9月30日に行う必要があります。さらに、変更を希望する年の1月1日以降にNISA口座で取引をしてしまうと、変更ができなくなってしまう点にも注意が必要です。

つまり、NISA口座の変更を当年中に行うためには、9月30日までの手続きが必要で、なおかつ年内にNISA口座で取引をしていないことが条件になります。

つみたて投資枠で投資をしている場合、その年に積立をしてしまうと当年中の変更ができなくなるため、事前に自動積立設定の解除などを行っておきましょう。
10月1日以降に手続きをしたり、年内にNISA口座での取引をしたりしている場合、金融機関の変更は翌年以降になってしまうため注意してください。

保有資産の移動はできない

NISA口座を変更したとしても、元の金融機関のNISA口座で購入した投資商品を移動することはできません。そのまま元の金融機関のNISA口座で管理を続けることになります。
売却するまでは、両方の金融機関の口座を管理しなければなりません。

手続きに手間と時間がかかる

NISA口座を変更するためには、元々口座を開設していた金融機関での手続きと、変更後の金融機関でのNISA口座開設手続きが必要です。それぞれの金融機関と書類をやりとりする必要があるため、手間と時間がかかります。

NISAの金融機関の変更については、下記の記事をご覧ください。
新NISAで証券会社は変更できる?手続きの方法と注意点

自分に合った金融機関でNISA口座を開設しよう

つみたて投資枠でNISAをするためには、まずNISA口座を開設しなければなりません。銀行や対面型証券会社、ネット証券の中から、自分に合った金融機関を選ぶことが大切です。
NISA口座を開設できる金融機関は、それぞれ異なる特徴とメリット・デメリットがあるため、複数の項目を比較して検討しましょう。項目ごとの優先順位をつけておくと、希望に合う証券会社を見つけやすくなります。

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