投資信託のメリット・デメリットを紹介、「初心者向き」の理由とは?
投資信託が初心者におすすめの理由 3つのメリット
各ファンドは、国内外の株式や債券、不動産(REIT:リート、不動産投資信託)などのさまざまな投資対象が組み入れられた詰め合わせになっていて、安定性を求めるインデックス型なのか、より大きな利益を追求するアクティブ型なのか、運用方針が明示されている。
1. 専門家が管理・運用してくれる
プロに任せることで、投資初心者ではなかなか見つけられない優良株に間接的に投資することもできる。というのも、初心者にとっては優良株を自分で選んだり、日々株価をチェックしたり、リスク管理のために幅広い分散投資を考えたり、頻繁に取り引きしたり…という作業は、時間的にも知識の面でもなかなか難しいものだ。
投資信託は、それら全ての作業をプロが代行してくれる。基本的に投資家は、定期的に届く報告書(マンスリーレポートなど)で投資環境の変化や運用状況をチェックし、運用の状況を見守っていくことになる。
2. 少額でも魅力的な投資ができる
投資信託をもう少し説明すると、 例えば一人1万円程度の少額だったとしても、100人が出資すれば100万円、1,000人が出資すれば1,000万円といった具合に、多くの投資家からお金を集めることができる。投資額がこのように大きな金額となることで、一人一人の投資額は少額でも、さまざまな銘柄に投資できるような仕組みになっているのだ。
この仕組みによって、個人で株式を購入しようとすると数十万円、もしくは100万円単位の高額でしか売買できないような有名企業の株式や、そもそも個人では買う仕組みがない海外株なども間接的に購入できる。また、100円でも1万円でも、複数の銘柄に分散投資されてリスクを抑えることができるので、効率の良い運用ができるのも初心者にとっては大きな魅力だ。
3. 分散投資でリスクを抑えた運用ができる
株式や債券、不動産などの複数の投資対象を組み合わせて1つの商品として売る投資信託は、その中でも「分散投資」の特徴を自動的に備えている。個人投資家たちは、複数銘柄の詰め合わせである投資信託を1銘柄購入するだけで「分散投資」ができるのだ。
例えば、資金10万円をA社の株式に全額投資した場合と、10万円をA社、B社、C社…というように複数社に配分した場合を考えてみる。分散して投資していると、A社の株が大暴落したとしても大きな損失が出にくく、リスクを比較的コントロールしやすくなるのだ。
投資信託は、「分散投資」以外にも「長期投資」「積立投資」で運用する仕組みも備えている。特に積立投資については「投信積立」ともいわれ、毎月一定額、自動引き落としで同じ投資信託に投資していく商品もあるので、投資プランによって活用していきたい。
投資信託のリスクとデメリット 「プロに任せれば絶対に儲かる」は間違い
1. 元本保証がない
元本割れのリスクは、投資信託の中でも投資地域や投資対象によって異なるので、購入を検討する際にはどういったリスクがあるのか、商品の特徴をしっかりと確認しよう。
2. 一般的な株式投資よりもランニングコストが高め
そのほかにも、決算ごとにかかる「監査費用」や、運用会社が株式や債券を売買するときにかかる「売買委託手数料」、換金するときにかかる「信託財産留保額」などがある。
これらの手数料の設定額は、各販売会社(金融機関)で異なる。また、同じ銘柄でも販売会社(金融機関)によって信託報酬手数料が異なるので、なるべく安く抑えるためにも複数の金融機関を比較してチェックしよう。
3. “投資の醍醐味”を求める人には不向き
また、損失が出たときに「自分で運用していれば…」と考えてしまいそうな人にも不向きといえそうだ。
初心者におすすめの投資信託。リスクやデメリットをしっかりと把握した上で、まずは各ネット証券のホームページなどで商品の情報をチェックし、期待値の高いものや自分の志向にあったものを選ぶことから始めよう。
この記事の監修者:市川雄一郎
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP(R)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。1969年生まれ。グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、金融機関の職員や顧客に対する講義や講演も行う。「日本経済新聞」「日経ヴェリタス」「朝日新聞」「東洋経済」「週刊ダイヤモンド」などへの原稿執筆・コメント提供のほか、ラジオ日経などのメディア出演も多数。主な著書に『投資で利益を出している人たちが大事にしている45の教え』(日本経済新聞出版)がある。
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