資産運用は70代でも必要?目標の考え方やおすすめの運用方法を解説

資産運用は70代でも必要?目標の考え方やおすすめの運用方法を解説

70代に入ってからも資産運用に取り組んだほうがいいのか、預貯金を取り崩して生活していくべきなのか、迷っていませんか?経済的にゆとりのある充実した老後生活を送りたいと考えている人や、子供や孫への相続・贈与をどうするべきか検討中の人もいるでしょう。

今回は、70代以降も資産運用が必要なのか、どのような考え方で資産を管理していくべきなのか、わかりやすく解説します。70代から資産運用に取り組む際に押さえておきたいポイントもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
AFP/2級FP技能士 吉田祐基

監修者 AFP/2級FP技能士 吉田祐基

ライター・編集者。お客様向けの会報誌や、記事、Webサイト、PDF資料といった各種コンテンツ制作のディレクション業務ほか、Webメディアの運営を担当。

mokuji目次

  1. 70代でも資産運用が必要になる理由
    1. 老後のゆとりある生活は年金だけではカバーできない
    2. 物価上昇に対応できる
  2. 70代の資産運用目標の考え方
  3. 70代におすすめの資産運用方法
    1. 投資信託
    2. 債券投資
    3. 外貨預金
    4. NISA
  4. 70代の資産運用のポイント
    1. ハイリスクな金融商品・投資方法は避ける
    2. 手数料の高い金融商品は避ける
    3. 相続や贈与を考えて金融商品を整理する
    4. 退職金の大部分を資産運用にあてない
    5. 生活に影響しない範囲の余剰資金で資産運用する
  5. 計画的な資産運用は70代以降も必要

70代でも資産運用が必要になる理由

70代でも資産運用が必要になる理由

結論からお伝えすると、70代以降も計画的に資産運用をしていくことが大切です。70代でも資産運用が必要な理由として、主に下記の2点が挙げられます。

老後のゆとりある生活は年金だけではカバーできない

一般的に老後生活の収入は、公的年金が中心となります。厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、70代の年金の平均受給額は下記のとおりです。
■70代の年金の平均受給額(月額)

年齢

厚生年金平均受給額

国民年金平均受給額

70歳

14万1,350円

5万7,320円

71歳

14万212円

5万7,294円

72歳

14万2,013円

5万7,092円

73歳

14万5,203円

5万6,945円

74歳

14万4,865円

5万6,852円

75歳

14万4,523円

5万6,659円

76歳

14万4,407円

5万6,453円

77歳

14万6,518円

5万6,017円

78歳

14万7,166円

5万5,981円

79歳

14万8,877円

5万5,652円

※厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに当社が独自に作成
例えば、70歳の同い年の夫婦で、夫が厚生年金、妻が国民年金を受給する場合、両者の年金額を合わせると月額19万8,670円です。では、老後生活には実際に、どの程度の生活費が必要になるのでしょうか。

<老後の生活費の目安>
・最低日常生活費:平均23万2,000円
・ゆとりある老後生活費:平均37万9,000円
※公益財団法人生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査

先程の例の場合、老後の最低日常生活費と比較しても、公的年金のみでは毎月3万〜4万円程の不足があることがわかります。また、夫婦ともに厚生年金を受給する場合は、最低日常生活費を年金でカバーできますが、自営業夫婦などで国民年金の受給のみの場合、毎月11万円以上不足してしまいます。

さらに、将来的に介護費用など、現在の生活費以外の支出が増えていくこともあるでしょう。このように、老後の暮らしに必要な資金を公的年金だけでカバーするのは、あまり現実的とはいえません。不足分を補うためには、資産運用に取り組むことが必要なのです。

物価上昇に対応できる

昨今、食品や日用品などさまざまな物品やサービスの値上げが相次いでいるように、今後も物価が上がる可能性は十分にあります。年金額は物価のほか、賃金の変動などを考慮して改定されているものの、物価上昇分をカバーできるほど年金額が増えるかどうかは不透明です。年金の増加分を上回って物価が上昇した場合、生活が苦しくなっていくことも想定されます。

資産運用には大きく分けて「預貯金」と「投資」の2種類がありますが、預貯金は物価上昇に弱いのがデメリットです。物価上昇リスクに備えていくには、70代以降も投資を視野に入れて資産運用に取り組むのが望ましいでしょう。

70代の資産運用目標の考え方

70代から資産運用を始めるなら、まずは現状をきちんと把握しておくことが大切です。現在の生活を維持しつつ預貯金を取り崩していくと仮定した場合、資産がどれくらいの期間で尽きるのか、資産寿命を確認しておきましょう
例えば、現在70歳で3,000万円の金融資産を保有している人が毎年200万円ずつ資産を取り崩す場合、資産寿命は15年です。

現状の資産寿命を把握したら、次に、資産寿命をあと何年延ばしたいのかを考え、不足する金額を算出します。先程の例の人が資産寿命を5年延ばして20年としたい場合、不足する金額は1,000万円です。そのため、20年間で1,000万円の資産を増やすための運用が必要だとわかり、目標が明確になります。
なお、資産寿命を延ばすためにどのくらいの利回りが必要なのかは、シミュレーションができる金融機関のWebサイトで確認するのがおすすめです。

70代におすすめの資産運用方法

70代におすすめの資産運用方法

続いては、70代から資産運用を始めるにあたって、おすすめの運用方法を紹介します。それぞれの資産運用方法についてメリット・デメリットの両面も紹介しますので、自分に合った運用方法を探す際にお役立てください。

投資信託

投資信託は、投資家から集めた資金をファンドマネージャーが運用し、運用益を各投資家へと配分する仕組みの金融商品です。株式や債券など、数多くの投資先に資産を分散して運用することができます。

メリット:投資のプロに委ねられる
投資信託は投資のプロに運用を委ねられるため、投資経験がない人でも比較的リスクを抑えた資産運用が可能になる点が大きなメリットです。個別の銘柄を選定したり、売買のタイミングを自分で見極めたりする必要がなく、手軽に始められます。長期・分散投資に適していることから、初心者向きの資産運用方法といえるでしょう。

デメリット:短期間で大きな利益を得ることは難しい
投資信託はリスクを分散させられる反面、短期間で大きなリターンを得られることはあまり多くありません。また、金融機関によって手数料にも差があるため、利益が全額手元に残るわけではない点にも注意が必要です。投資信託に資産を全額預けてしまうのではなく、ほかの運用方法と組み合わせて検討することをおすすめします。

債券投資

債券とは、国や地方自治体、企業などが投資家から資金を調達するために発行する有価証券のことです。債券には満期日(償還日)が定められており、償還日が到来すると額面金額に利息をつけた金額が投資家に払い戻されます。

メリット:比較的リスクが低く、計画的な資産運用ができる
債券投資は償還日が明確に決められており、あらかじめ支払われる利息が決まっているため計画的に資産運用に取り組める点が大きなメリットです。また、債券の発行体が破綻しない限り基本的には元本が保証されているため、比較的リスクの低い資産運用方法といえます。大きなリターンを得ることよりも、リスクを抑えた運用を重視したい人におすすめです。

デメリット:大きなリターンは期待できない
比較的リスクが低い反面、大きなリターンは期待できない点が債券投資のデメリットです。基本的には元本が保証されているとはいえ、債券の発行体が財政破綻や経営破綻するようなことがあれば、元本が返ってこない可能性もあります。

外貨預金

円建てによる預貯金ではなく、米ドルや豪ドルといった外国通貨で預金することを外貨預金といいます。円安になった際には、為替差益(為替レートの変動によって生じる利益)によって資産を増やすことができます。

メリット:円預金よりも高い金利が期待できる
日本では長年にわたって超低金利が続いていますが、外貨預金であれば円建ての預金よりも高い金利が期待できます。日本円と外国通貨という違いはあるものの、あくまでも預貯金のため、ほかの外貨建て商品と比べて仕組みがシンプルでわかりやすい点もメリットと言えるかもしれません。

デメリット:金融機関によって手数料が異なる
外貨預金のデメリットとして、為替レートによっては元本割れのリスクがあることと、金融機関によって手数料が異なる点が挙げられます。手数料が高い預け先を選んでしまうと為替差益が目減りすることになるため、できるだけ手数料の低い金融機関を見つけることが大切です。
外貨預金をどの金融機関で行うか検討する際には、「外貨預金 オリコン顧客満足度ランキング」を参考にしてみてはいかがでしょうか。

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NISA

NISA(少額投資非課税制度)とは、投資信託や個別株への投資で得た運用益が全額非課税になる制度のことです。投資信託のうち、国が選定した銘柄に投資することが条件となります。NISAには「つみたて投資枠」(120万円)と「成長投資枠」(240万円)の2種類が設けられており、これらの範囲内であれば非課税で資産運用が可能です。

メリット:運用によって得た利益に税金がかからない
資産運用によって得た利益には、通常20.315%の税金が課されます。一方、NISAで得た利益にはこの税金がかからない点が大きなメリットです。
また、金融機関によっては少額から始められる商品も提供されているため、初心者でも始めやすいでしょう。

デメリット:元本保証ではないため、必ずしも利益を得られるとは限らない
NISAの投資対象となるのは投資信託や個別株となるため、運用結果によっては元本割れとなるリスクもゼロではありません。
初心者向きの資産運用方法ではあるものの、資産の全額をNISAで運用するのではなく、ほかの運用方法と組み合わせて活用していくことをおすすめします。

70代の資産運用のポイント

70代の資産運用のポイント

70代から資産運用を始めるにあたって、いくつか押さえておきたいポイントがあります。リスクをできるだけ抑えつつ資産を効果的に増やすには、下記の5点を実践していくことが重要です。

ハイリスクな金融商品・投資方法は避ける

資産運用に活用できる金融商品は、商品ごとに特徴やリスクが異なります。一般的に高いリターンが期待できる金融商品ほどリスクも大きくなることから、ハイリスク・ハイリターンの投資方法は避けたほうが無難です。

投資の基本は「長期・分散・積立」といわれています。70代の人が資産運用に取り組むのであれば、このうち特に、「長期」と「分散」の2点を意識していくことが大切です。短期間で大きな利益を得ようとしたり、特定の金融商品に資産を集中させたりするのは避けましょう。

手数料の高い金融商品は避ける

金融商品を選ぶ際には、利回りだけでなく手数料も確認しておく必要があります。手数料が高い金融商品を選んでしまうと、資産運用によって得られた利益が目減りしてしまい、結果的に手元に残る資産が少なくなってしまうからです。

一例として、金融商品の購入時や売買取引を行う際、資産を引き出す際などに手数料がかかります。それぞれ、どれくらいの手数料がかかるかを明確に把握しておくことが大切です。複数の金融機関や金融商品を比較し、できるだけ手数料を抑えられる投資先を選びましょう。

相続や贈与を考えて金融商品を整理する

70代で資産運用を始める場合、将来的に子供や孫への相続や生前贈与をすることを踏まえて検討することも大切です。例えば、複数の投資先に資産を分散させておくことは重要なポイントではあるものの、投資先が多くなりすぎると相続や贈与が煩雑になることが想定されます。できるだけ銘柄をまとめておくなど、将来を見越して金融商品を整理していくことも意識しましょう

また、資産の相続・贈与を受ける人の金融リテラシーも考慮する必要があります。あまり投資経験がない人が資産を受け取る場合には、初心者にもわかりやすい仕組みの商品を選ぶのがおすすめです。

退職金の大部分を資産運用にあてない

まとまった金額の退職金を受け取った場合には、その大部分を資産運用にあててしまうことのないよう注意してください。退職金は老後生活を支える原資であり、守っていくべき資産でもあるからです。資産運用にはリスクが伴うことを理解した上で、無理のない範囲で退職金を活用していく必要があります。

退職金のほとんどを資産運用に回した場合、運用実績によっては資産が大きく減ってしまうこともありえます。重要な原資である退職金が大きく減るようなことになれば、老後生活に破綻をきたす原因にもなりかねません。長期・分散の基本を徹底して守るとともに、退職金の一部は流動性の高い預貯金で確保し、安定した老後生活を実現しましょう。

生活に影響しない範囲の余剰資金で資産運用する

資産運用は、余剰資金で行うのが基本です。前述のとおり、老後生活には一定以上の生活資金が必要であり、公的年金のみで生活費をまかなうのは現実的ではないケースも少なくありません。当面の生活はもちろんのこと、子供への援助や孫の進学・就職に際して贈る予定のお祝い金なども見越して、必要な資金を確保しておくことが大切です。

生活に影響を及ぼすほど資金を運用に回してしまうと、生活資金が不足し、資産運用もできなくなる可能性があります。短期間で資産運用をやめてしまった場合、価格の変動幅が大きくなりやすく、損失を被るリスクも高まります。
長期にわたって資産運用に取り組むためにも、当面の暮らしに必要な資金と今後必要になる可能性が高い資金を計算し、残った分の資金を運用に回すようにしましょう。

計画的な資産運用は70代以降も必要

70代以降の暮らしを公的年金のみでまかなうのは、現実的とはいえないケースも多いはずです。物価上昇に備えつつ、老後のゆとりある生活を実現していくためにも、70代以降も計画的に資産を運用していくことが求められます。
一方で、資産を短期間で増やそうとするあまり、ハイリスクな金融商品を選んでしまったり、手持ちの資金の大部分を運用に回してしまったりすると、老後生活を支える重要な原資を失う結果にもなりかねません。今回ご紹介した資産運用目標の算出方法やおすすめの資産運用方法を参考に、ぜひ自分に合った投資先を見つけてください。

資産運用方法の中でも、外貨預金は仕組みが比較的わかりやすく、初心者の人にもおすすめです。オリコンでは、日本最大級の規模で調査を行い、毎年「外貨預金 オリコン顧客満足度ランキング」を発表しています。外貨預金を始めるにあたって知っておきたい取引メニューや手数料、金利の満足度など、さまざまな視点のランキングを発表していますので、外貨預金選びの参考にしてください。

外貨預金 オリコン顧客満足度ランキング
AFP/2級FP技能士 吉田祐基

監修者 AFP/2級FP技能士 吉田祐基

ライター・編集者。編集プロダクションで、Web・紙媒体問わず主に金融系コンテンツの制作を担当後、HRテック企業に制作ディレクターとして入社。お客様向けの会報誌や、記事、Webサイト、PDF資料といった各種コンテンツ制作のディレクション業務ほか、Webメディアの運営を担当。

外貨預金オリコン顧客満足度ランキング

  • 1位

    70.1

    ソニー銀行

  • 2位

    68.9

    住信SBIネット銀行

  • 3位

    67.9

    auじぶん銀行

  • 4位

    67.7

    SMBC信託銀行プレスティア

  • 5位

    67.6

    三井住友信託銀行

  • 6位

    67.1

    SBI新生銀行

  • 7位

    66.9

    楽天銀行

  • 8位

    66.3

    PayPay銀行

  • 9位

    65.9

    三井住友銀行

  • 10位

    65.2

    三菱UFJ銀行

  • 11位

    63.9

    イオン銀行

  • 12位

    63.1

    みずほ銀行

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