外貨預金の為替差益による税金は確定申告しないとばれる?ばれない?

外貨預金の為替差益による税金は確定申告しないとばれる?ばれない?

外貨預金とは、一言でまとめると「日本円を米ドルなどの外国の通貨に両替して行う預金のこと」です。

外貨預金では利息が付くうえに、為替レート次第では為替差益を得ることができます。ただし、利息や為替差益も利益であることに変わりはない以上、条件次第で確定申告をしなくてはいけません。

この記事は、外貨預金をした場合の確定申告や税金の扱いについて、詳しく解説します。
CFP(R)/1級FP技能士 竹国弘城

監修者 CFP(R)/1級FP技能士 竹国弘城

証券会社、生損保代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。お金に関する相談や記事の執筆・監修を通じ、自ら考え行動できるようサポートを行う。

mokuji目次

  1. 外貨預金の税金は申告しないとばれる
    1. 為替差益は雑所得として確定申告が必要
    2. 外貨預金の税金は「為替差益」と「利息」の2種類
    3. 為替差益の計算方法と税率
  2. 外貨預金で確定申告が必要な場合と不要な場合
    1. 確定申告が「必要」なケース
    2. 確定申告が「不要」なケース
  3. 外貨預金の税金を確定申告しないとどうなるか
  4. 外貨預金に関する確定申告の方法
  5. 貨預金の為替差益にかかる税金の正しい知識をつけておこう

外貨預金の税金は申告しないとばれる

外貨預金の税金は申告しないとばれる

外貨預金により、利息や為替差益を得た場合は、原則として確定申告をしないといけません。確定申告が必要であるにもかかわらず確定申告をしなかった場合、税務調査の対象となりうるので注意しなくてはいけません。

なお、国税庁によれば、令和4年事務年度における実地調査の件数は63万8,000件でした。そのうち、申告漏れ等の非違があった件数は33万8,000件という報告がされています

つまり、税務調査が入ったら、半数以上が申告漏れ等の不備を指摘されているのです。いつ税務調査の対象になるかはわからないので、確定申告をする必要がある場合は必ず期限内に済ませましょう。

為替差益は雑所得として確定申告が必要

為替差益は、雑所得として確定申告をしなくてはいけません。前提として、所得税法において、所得は以下の10種類に分類されます。

所得の種類

内容

課税方式

利子所得

公社債、預貯金の利子など

源泉分離課税

配当所得

法人から受ける配当など

申告不要・総合課税・申告分離課税

不動産所得

不動産、船舶、航空機などの貸付による収入

総合課税

事業所得

事業を営むことにより得られる収入

総合課税

給与所得

勤務先から受け取る給与、賞与

総合課税

退職所得

勤務先から受け取る退職金

分離課税

山林所得

山林の譲渡による収入

分離課税

譲渡所得

資産の譲渡による収入

総合課税
分離課税(一部※)

一時所得

営利目的でない一度きりでサービスや物品の販売の対価ではない収入

総合課税

雑所得

上記の所得のいずれにも当てはまらないもの

総合課税
分離課税(一部※)

※株式等の譲渡による所得、土地等の譲渡による所得、先物取引による所得などは、分離課税として取り扱われる

為替差益は、他の種類の所得のいずれにも当てはまらないことから、雑所得として総合課税の対象となります。なお、総合課税と分離課税の違いは以下のとおりです。
総合課税…対象となる所得を合算したうえで、納めるべき税額を計算する
分離課税…他の所得と合算せず、その所得のみで納めるべき税額を計算する

外貨預金の税金は「為替差益」と「利息」の2種類

外貨預金では、為替差益と利息に税金がかかります。
為替差益… 取引時の為替レートの変動によって生じる利益
利息… お金を銀行に貸す(預ける)ことで受け取れる対価 (円建預金と同様)
為替差益の場合、前述したように雑所得として扱われるため、他の所得と合算した金額をもとに税率・税額が決まります。

一方、利息の場合は分離課税であるため、他の所得とは分けて税額が計算される仕組みです。

税額は利息に20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)をかけて計算され、利息からあらかじめ税金が差し引かれた額を受け取ることになります。

為替差益の計算方法と税率

為替差益の計算方法について、具体例を用いて解説します。
例)1米ドル=100円のときに1万ドルを預け、1米ドル=150円になったタイミングで引き出した。

この場合、為替差益は(150円−100円)×1万ドル=50万円となる
なお、適用される税率は、他の収入の金額によって異なります。前述したように、為替差益は雑所得として扱われるため、総合課税の対象となる他の所得と合算した金額をベースにして税率が決まるためです。

所得税の速算表【所得税税額=課税される所得金額×税率−控除額】
課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円
参考:国税庁|No.2260 所得税の税率

外貨預金で確定申告が必要な場合と不要な場合

外貨預金で確定申告が必要な場合と不要な場合

外貨預金をしているからといって、必ずしも確定申告が必要とは限りません。ここでは、具体的に確定申告が必要になるケースとそうでないケースについて解説します。

確定申告が「必要」なケース

以下の2つのケースでは、確定申告が必要になります。

為替差益が出ているとき(不要な場合もある)
為替差損を他の雑所得と相殺するとき

為替差益が出ているとき

以下の理由により、為替差益が出た場合は確定申告をしなくてはいけません。
・外貨預金を日本円や他の外貨に交換する場合
・外貨預金に預けているお金を使って(払い出して)外国株式など金融商品を購入する場合
なお、外貨預金を保有しているだけでは利益が確定しないため、為替差益が出ることはありません。そのため、確定申告の必要がない点に注意が必要です。

為替差損を他の雑所得と相殺するとき

為替差益は為替レートによって生じる利益ですが、逆に損失が出ることもあり得ます。この場合の損失を為替差損といい、他の雑所得と相殺することが可能です。たとえば個人の為替差損の場合、以下のような収入と相殺できます。
・公的年金等
・非営業用貸金の利子
・副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)
相殺することで結果として課税所得が減るため、節税することが可能です。
ただし、相殺するためには確定申告が必要になるため、期限内に必ず終わらせましょう。

確定申告が「不要」なケース

一方、以下のケースの場合は所得税の確定申告が不要となります。ただし、住民税の申告は必要なので注意して下さい。

給与所得・年金所得以外の所得の合計額が20万円以下

会社員などの給与所得者や年金受給者の場合、一定の要件を満たせば所得税の確定申告が不要となります。

給与所得者かつ年収2,000万円以下

為替差益を含めた給与所得以外の所得が年間20万円以下であれば確定申告は不要

年金収入400万円以下の年金所得者

為替差益を含めた年金所得以外の所得が年間20万円以下であれば確定申告は不要

年間の所得が48万円以下

所得税の計算にあたって所得から差し引ける所得控除のうち、すべての人に適用されるのが48万円の「基礎控除」です。

為替差益を含む、総合課税対象の年間所得の合計金額(総所得金額)が48万円以下であれば、課税対象となる所得がゼロになるため、確定申告は不要です

所得税の確定申告が不要な場合であっても、医療費控除や住宅ローン控除(初年度)など、確定申告により適用される税制優遇策を利用したい場合は、給与所得・年金所得以外の所得の合計額が20万円以下でも確定申告が必要です。

確定申告をする場合は、1円でも利益があれば申告する必要があります。

外貨預金の税金を確定申告しないとどうなるか

外貨預金の税金を確定申告しないとどうなるか

仮に、確定申告が必要だったにもかかわらず、確定申告をしなかった場合、ペナルティとして延滞税や無申告加算税が課せられます
項目 概要 税率
延滞税 本来の所得税の納付期限までに完了しなかったことに対するペナルティ @納期限までの期間及び納期限の翌日から2か月を経過する日までは「年7.3%」または「延滞税特例基準割合(※1)+1%」のいずれか低いほう、Aそれ以降は「14.6%」または「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低いほう(※2)
無申告加算税 本来、確定申告が必要だったにもかかわらず申告していないことに対するペナルティ 税務署からの指摘(調査の事前通知)前に自主的に申告すれば5%、指摘後は10%(※3)
※1:延滞税特例基準割合とは、各年の前々年の9月から前年の8月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の11月30日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合
※2:2024(令和6)年分の税率は、@2.4%、A8.7%(延滞税特例基準割合1.4%)
※3:納付すべき税額が50万円までの部分は10%、50万円超300万円までの部分は15%、300万円を超える部分は25%(2023(令和5)年分以降)

いずれにしても、確定申告が必要だと気付いた時点で、税務署に相談して早急に手続きすることをおすすめします。

外貨預金に関する確定申告の方法

外貨預金に関する確定申告の方法

まず、為替差益を雑所得として申告する場合、以下の書類を用意しましょう。
為替差益の確定申告の必要書類
・年間取引報告書
・銀行または証券会社等が発行するレポート等
・その他為替差益を証明する書類
なお、これらは紙面で確定申告書を作成・提出する際に使います。国税電子申告・納税システム(e-Tax)を使う場合は不要ですが、税務署から問い合わせがあった時に備えてすぐに出せるようにしておきましょう。

また、所得税の確定申告は、為替差益が生じた翌年の2月16日〜3月15日に済ませないといけません

確定申告の基本的な流れは以下のとおりです。
確定申告の仕方
1.必要書類の準備
2.確定申告書を作成する
3.税務署に確定申告書を提出する
4.税金を納付する
なお、確定申告書は手書きでも作成できますが、国税庁「確定申告書作成コーナー」を使えば、指示に従って入力するだけなので簡単です。

作成した確定申告書は、郵送もしくは窓口へ持参して提出しましょう。e-Taxを使う場合は、以下の流れで手続きを進めます。
e-Taxを確定申告に使う場合の流れ
1.入力に必要な書類を準備する
2.作成方法を選択する
3.税務署への提出方法を選択する(e-Taxによる送信を選択(マイナンバーカード方式、ID・パスワード方式))
4.確定申告書を作成する
5.申告書データを送信する
6.送信結果を確認する
7.税金を納付する(電子納税、クレジットカード納付、スマホアプリ納付、コンビニ納付)
マイナンバーカード方式で送信する場合には、マイナンバーカードとマイナンバーカード読み取り対応のスマートフォン、またはICカードリーダライタが必要です。

ID・パスワード方式で送信する場合には、事前に税務署へ届出を行い、発行されたe-Tax用のID・パスワードが必要になります。

貨預金の為替差益にかかる税金の正しい知識をつけておこう

外貨預金口座に残高があるだけでは、確定申告をしなくても問題はありません。しかし、円を含めた他の通貨に両替して為替差益が出たり、払い出して金融商品を購入したりした場合、確定申告が必要になります。

期限を守らないと延滞税、無申告加算税などが課されるため注意してください

また、これから外貨預金を始めようと思っているなら、使い勝手が良い口座を選ぶのが重要です。オリコンの「外貨預金 顧客満足度ランキング」では、評判の良い外貨預金を紹介しているのでぜひ参考にしてください。
CFP(R)/1級FP技能士 竹国弘城

監修者 CFP(R)/1級FP技能士 竹国弘城

証券会社、生損保代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。お金に関する相談や記事の執筆・監修を通じ、自分のお金の問題について自ら考え、行動できるようになってもらうためのサポートを行う。

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