【外貨預金】おすすめしないといわれるのはなぜ?メリットや注意点も解説
その理由は、為替変動リスクや元本割れの可能性、さらには為替手数料や税負担の増加といったデメリットです。
一方で、長期的な運用や分散投資の手段として注目されるメリットも存在します。
本記事では、外貨預金のデメリットだけでなく、知っておきたいメリットやおすすめの運用タイミングについても解説します。
外貨預金に興味を持っている方や始めようか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
【外貨預金】おすすめしないといわれるデメリット
為替が変動するリスクがある
為替レートは日々刻々と変化し、外貨の価値も連動して上下します。
たとえば、1ドル100円のときに100万円を預け入れて1万ドルとなった場合、円高が進んで1ドル80円になると、円換算での価値は80万円まで目減りします。
特に問題となるのが、相場が急激に下落したときの対応の難しさです。
株式投資やFXであれば、相場の急落時、すぐに決済して損失を最小限に抑えられます。
しかし、外貨預金は払い戻しに時間がかかったり、解約手続きが必要だったりするため、迅速な対応が困難です。
また、24時間取引がおこなわれている外国為替市場では、就寝中に大きな為替変動が起こる可能性もあります。
朝起きたら大幅な円高になっていて、すでに大きな損失が発生しているということも十分にありえるのです。
元本割れリスクがある
元本が保証されない理由は、為替相場の変動によって預け入れた金額を下回る可能性があるためです。
預け入れ時よりも円高が進行すると為替差損が発生します。
先述のとおり、たとえば1万ドルを1ドル100円で預け入れた場合、円換算で100万円となりますが、円高が進んで1ドル80円になると、円換算額は80万円となり、20万円の為替差損が発生するのです。
仮に外貨預金で金利収入が得られたとしても、為替差損が金利収入を上回ってしまえば、結果として元本割れとなってしまうでしょう。
元本割れのリスクは、外貨預金が「預金」という名称を持ちながらも、実質的には投資商品に近い性質を示しているのです。
為替手数料が必要になる
大手金融機関でも、1通貨あたり片道25銭から1円程度の手数料がかかるのが一般的です。
為替手数料が25銭で1,000ドル分の外貨預金をおこなう場合、以下のような手数料が必要になります。
預け入れ時:25銭×1,000=250円
払い戻し時:25銭×1,000=250円
合計:500円
一見、500円という金額は大きくないように思えるでしょう。しかし、1,000ドルを預け入れて金利1%で運用した場合の年間利息は10ドル、日本円で1,100円程度です。
つまり、為替手数料だけで利息収入の半分近くが相殺されてしまう計算になります。
税負担が大きくなる場合がある
税負担が大きくなるのは、利息と為替差益の両方に課税されるためです。
利息に関しては、円預金と同様に20.315%(国税15.315%、地方税5%)の源泉分離課税が適用されます。
源泉分離課税は、金融機関が利息支払い時に自動的に徴収する仕組みです。
一方、為替差益は「雑所得」として総合課税の対象となり、確定申告が必要になります。
雑所得の場合、給与所得などほかの所得と合算して課税されるため、所得に応じて税率が上がっていく累進課税の影響で、税負担が予想以上に大きくなる可能性があるのです。
外貨預金の税金については以下の記事に詳細が書かれているのでご参照ください。
為替相場の動きを予測するのが難しい
為替相場は、国内外の物価変動、貿易収支、各国中央銀行の金融政策、政治的要因、国際紛争など、さまざまな要因によって変動するためです。
特にインターネットの普及により情報伝達のスピードが格段に速くなった現代では、相場の変動もより急激になっています。
じっくりと腰を据えて運用する外貨預金では、相場変動への対応が後手に回りやすい傾向があるのです。
預金保険の対象とならない
円預金の場合、金融機関が破綻しても、一金融機関あたり元本1,000万円までと破綻日までの利息が保護されます。
しかし、外貨預金には円預金のような保護制度が存在しないのです。
金融機関が破綻した場合、預金の払い戻しは金融機関の財産状況に応じておこなわれます。最悪の場合、預け入れた資産の一部または全部が返ってこない可能性があるのです。
外貨預金を始める際は、金融機関の信用力や財務状態をよく確認する必要がありますが、一般の個人投資家にとって、金融機関の経営状態を正確に把握するのは容易ではありません。
定期預金に分類される商品が多い
定期預金は一定期間の預け入れが前提となるため、中途解約すると元本割れのリスクが高まるのが特徴です。
たとえば、年利5%の外貨定期預金に預け入れたものの、為替相場が大きく動いて円高になった場合、中途解約して損失を確定するか、満期まで待って相場の回復を期待するかの二者択一を迫られます。
しかし、満期まで待ったとしても、その時点での為替相場が有利である保証はありません。
特に、新興国通貨の場合、為替レートの変動が大きいため、定期預金での運用はよりリスクが高くなるでしょう。
新興国通貨での運用を検討する場合は、FXなど、より機動的な売買が可能な手段を選択するのがおすすめです。
外貨預金がおすすめでない方の特徴
外貨預金がおすすめできないのは以下の方です。
外貨預金をおすすめしない人
短期間で収益をあげたい方
為替レートは日々変動しており、短期間で運用する場合は変動の影響を大きく受けてしまうでしょう。
特に不利な方向に為替が動いた場合、短い投資期間では相場の回復を待つ余裕がなく、損失を抱えたまま運用を終えざるを得ない状況に追い込まれるかもしれません。
また、外貨預金では取引の都度、手数料が発生します。
短期間で繰り返し取引をおこなうほど手数料負担が重くなり、収益を圧迫する要因となってしまうでしょう。
運用についての理解がない方
単に「円預金よりも金利が高い」点だけに注目して始めても、うまく運用できない場合も少なくありません。
運用する通貨によって、金利水準だけでなく値動きの特徴も大きく異なります。
たとえば、主要通貨と新興国通貨とでは、為替変動の幅や影響を受けやすい経済指標が異なるのです。
通貨ごとの特性を理解し、為替相場の変動要因やリスクを把握したうえで運用する必要があります。
また、ニュースなどで為替相場動向の定期的なチェックも欠かせないでしょう。
「円高が進む」と予想している方
逆に、これから長期的に円高が進むと予想している方にとっては、運用メリットを見出しにくい選択肢といえるでしょう。
為替相場は日本と運用する通貨の国との金利差や経済環境など、さまざまな要因の影響を受けて変動します。
日本が低金利政策を転換して利上げをおこなえば、円高が進むかもしれません。
円高が続くと予測される局面で外貨預金を始めても、為替差損が発生しやすく、金利収入以上の損失を被る恐れがあります。
今後の為替相場の見通しとして円高を予想している方には、外貨預金はおすすめできない運用手段といえるでしょう。
【外貨預金】デメリットだけではない!注目すべきメリット
長期的な視点で活用すれば、資産形成に役立つかもしれません。
外貨預金の持つメリットは以下のとおりです。
外貨預金の注目すべきメリット
高い金利が期待できる
対照的に、外貨預金では通貨によっては比較的高い金利が期待できるかもしれません。
アメリカドルの普通預金金利は年0.3%程度、期間1年の定期預金では年5%程度の金利が設定されているケースもあります。
金利収入を目的とした資産運用を検討している方にとって、外貨預金は有力な選択肢の一つとなるでしょう。
円安になれば為替差益を得られる
たとえば、1ドル100円のときに100万円を預け入れると1万ドルとなりますが、満期時に1ドル120円まで円安が進めば、円換算で120万円となり20万円の為替差益を得られるでしょう。
相場の動きの予測は難しいものの、長期的な視点で運用すれば為替差益を狙うのは可能です。
ドルコスト平均法を活用して定期的に積み立てれば、為替変動リスクを平準化しながらの運用もできるでしょう。
投資リスクを分散できる
たとえば、日本でインフレが発生して物価が上昇した場合、円預金だけでは資産価値が目減りしてしまう可能性があります。
しかし、米ドル、ユーロ、豪ドルなど複数の外貨に分散投資をしておけば、円の価値下落による影響を軽減できるかもしれません。
また、すでに日本株や国内不動産に投資している場合でも、資産の一部を外貨で保有すれば、より広範なリスク分散効果が期待できるでしょう。
投資対象を国内外のさまざまな通貨や資産に分散させれば、一つの通貨や資産の価値が下がっても、ポートフォリオ全体への影響を最小限に抑えられるのです。
投資初心者も始めやすい
為替相場の影響は受けるものの、預け入れた外貨の元本自体は変動しないため、投資初心者でも損益が生じる仕組みを理解しやすいでしょう。
多くの金融機関では、たとえばアメリカドルなら1ドルからと、1通貨単位から外貨預金を始められます。
小さな金額から始められるため、投資初心者でも気軽にチャレンジしやすい金融商品といえるでしょう。
外貨預金のメリット・デメリットについては以下の記事もご参照ください。
外貨預金はこんな方におすすめ!
外貨預金がおすすめなのは以下のような方です。
外貨預金がおすすめな人
長期的な運用を目指す方
運用期間が長くなるほど、円預金より高く設定されている金利の恩恵を受けやすくなるためです。
特に注目すべき点は、一時的な為替変動への対応です。
短期運用では不利な為替変動が直接的な損失につながりやすいものの、長期運用であれば市場の変動を徐々に吸収できる可能性が高まるでしょう。
さらに、ドルコスト平均法を活用した積立運用をおこなえば、為替変動リスクの抑制もある程度は可能です。
時間分散投資により、為替相場の山と谷を平準化しながら資産を育てていけるでしょう。
海外に行く機会が多い方
たとえば、訪問先の国の通貨で外貨預金を持っていれば、為替相場の変動に悩まされずに海外で使う資金を確保できるでしょう。
海外のATMで外貨預金口座から直接引き出す場合、為替手数料はかかりません。
円高のタイミングで外貨を購入しておけば、旅行時に円安になっていても影響を受けにくいメリットがあります。
海外からの送金収入がある方にとっても、外貨預金は便利な選択肢です。
送金された外貨をそのまま預け入れれば、為替手数料を節約できます。
また、必要に応じて外貨のまま保有したり、タイミングを見計らって円に換金したりするのも可能です。
投資初心者
先にも触れたとおり、多くの金融機関で1通貨単位から取引可能で少額から始められるからです。
主要通貨、特にアメリカドルやユーロについては、テレビや新聞で為替レートの報道が日常的で、相場動向に関する情報収集が容易です。
経済ニュースを見る習慣をつければ、為替相場に関する理解も自然と深まっていくでしょう。
「お金を預けて利息を受け取る」という基本的な仕組みは円預金と同じなため、投資初心者でも理解しやすい特徴があります。
為替変動の影響はあるものの、預け入れた外貨の額面は変動しないため、損益計算も比較的シンプルです。
外貨預金がおすすめな方については以下の記事もご参照ください。
外貨預金を始めるタイミングは?今の状況を見極めよう
適切なタイミングで始められれば、より効果的な運用が期待できるでしょう。
外貨預金を始めるのに適したタイミングは以下のとおりです。
外貨預金を始めるのにおすすめのタイミング
過去と比べて円高であると感じるとき
円高の局面では外貨を比較的安価に購入できるため、外貨預金を始めるにはよいタイミングといえるでしょう。
アメリカドルと円の為替レートが1ドル100円から95円に変動した場合、10ドルを購入するのに必要な金額は1,000円から950円に下がります。
つまり、以前より少ない円で同じ量の外貨を入手できるのです。
ただし、円安になる可能性も考慮しなければなりません。
為替相場は常に変動しているため、現在の円高水準が今後も続くとは限らないのです。そのため、一度に大きな金額を預け入れるのではなく、分散して預け入れてリスクを軽減する工夫をしましょう。
日本の経済情勢に不安を覚えたとき
経済が停滞すると株価が下落し、企業の設備投資も減少するため、円を売って外貨を買う動きが活発になるからです。
このような状況では、外貨建て資産を保有すれば円安の影響を回避できるかもしれません。
円安が進行すれば、外貨建て資産を円に換算した際の評価額が増加します。
また、日本の低金利政策が長期化する場合、円預金だけでは資産が目減りしてしまうリスクがあるでしょう。
日本経済の先行きに不安を感じ始めたときこそ、資産の一部を外貨で保有するのを検討するタイミングかもしれません。
長期の資産運用を考えるなら外貨預金がおすすめ
しかし、長期的な視点で運用をおこなえば、円預金よりも高い金利による収益や為替差益を期待できるかもしれません。
特に、海外渡航の機会が多い方や投資初心者にとっては、有効な資産運用の選択肢となるでしょう。
ただし、短期での収益を狙う場合や、為替の仕組みを十分理解していない場合は、慎重な判断が必要です。
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