外貨建てMMFをおすすめしない理由は?メリットも含めて解説
この記事では、外貨建てMMFの特徴や外貨預金との違い、デメリットとメリット、始め方などを詳しく解説します。外貨投資に関心のある方は、ぜひ参考にしてください。
目次
外貨建てMMFとは?外貨預金との違いは?
外貨建てMMFとは?
運用対象は高格付けの国債や社債などの債券が中心となっており、安全性を重視した商品設計です。分配金は月末に再投資される1ヵ月複利となっています。
証券会社によって最低買付単位は異なりますが、一般的に10米ドル程度からの少額投資が可能です。
外貨預金との違い
比較項目 | 外貨建てMMF | 外貨預金 |
商品性 | 投資信託 | 預金 |
元本保証 | 保証なし | 外貨ベースで保証あり |
運用収益 | 運用実績により変動 | 預入時に金利確定 |
手数料 | 為替手数料+運用管理費用 | 為替手数料のみ |
資産保護 | 分別管理で保全される | 預金保険対象外 |
資産保護の面では、外貨建てMMFは分別管理により保全される一方、外貨預金は預金保険の対象外です。
知っておきたい外貨建てMMFのデメリット4つ
円高になると損をする可能性がある
例えば、1米ドル140円のときに10,000米ドル購入した外貨建てMMFがあるとします(円換算で140万円)。
その後に円高が進み1米ドル100円になったときに解約すると、10,000米ドルは100万円になってしまいます(分配金は考慮しない)。 つまり、40万円の損失が出てしまうわけです。
このように、外貨建てMMFは円高のときに解約すると損失が出るリスクがあります。投資する際は為替リスクを考慮し、慎重に検討することが大切です。
信託報酬や為替手数料などの費用がかかる
また、円からドルへの換金時や、ドルから円への換金時には為替手数料が必要です。為替手数料は取引金融機関や通貨によって異なり、1米ドルあたり25銭から50銭程度が相場です。
運用期間や金額によっては、これらの手数料が運用収益を減少させる可能性がある点を理解しておく必要があります。
元本保証がない
2008年のリーマン・ショック時には、米国で販売されていた「リザーブ・プライマリー・ファンド」というMMFが元本割れを起こした事例があります。なお、この商品は日本では販売されていませんでした。
外貨建てMMFは投資信託である以上、元本保証がない点を理解しておきましょう。特に経済情勢が悪化した際には、ファンドが保有している債券が不良債権化するリスクも考慮する必要があります。
取引可能な通貨が少ない
しかし、外貨建てMMFの選択肢は米ドルや南アフリカランド、トルコリラの3通貨程度に限定されます。通貨の選択肢が限られるために、為替リスクの分散も難しくなってしまうのです。
例えば、高金利通貨として人気の豪ドルに投資したい場合、外貨建てMMFを取り扱う証券会社はほとんどありません。しかし、外貨預金であれば、多くの金融機関で豪ドルの預金ができます。
このように、外貨建てMMFは投資対象となる通貨が限られているため、為替リスク分散の観点から見ると外貨預金よりも不利な点があります。投資する際は事前に取引可能な通貨を確認し、自身の投資戦略に合うかを検討する必要があります。
外貨建てMMFのメリットは?
外貨預金に比べて利回りが高い
また、外貨建てMMFでは毎月末に分配金が自動的に再投資される仕組みとなっているため、複利効果による資産の成長を期待できます。分配金は直接現金として受け取るのではなく、再投資されることで投資元本が増えていく仕組みです。
ただし、外貨建てMMFの利回りは、市場の短期金利動向を反映して日々変動する点に注意が必要です。
少額から投資できる
このように、外貨建てMMFは投資額のハードルが低く、投資経験の少ない人でも気軽に外貨投資を始められる商品設計が特徴です。
売買の際に手数料が発生しない
ただし、円貨での取引をする場合は為替手数料(スプレッド)が必要となります。外貨建ての資産への投資では為替手数料は避けられないコストなので、取引手数料自体がかからないことで投資家の実質的な負担は抑えられているといえます。
好きなタイミングで解約できる
また、中途解約によるペナルティも発生しないため、急にお金が必要になった際にも柔軟に対応できます。解約手続きも簡単で、オンラインで全部解約や一部解約の指示を出すだけです。
このような特徴から、外貨建てMMFは余剰資金の一時的な運用先としても活用できます。
分散投資に活用できる
株式投資は高いリターンが期待できる一方で、価格変動リスクも大きくなります。これに対し、外貨建てMMFは格付けの高い債券を中心に運用されるため、価格変動が比較的小さく、安定的な値動きが特徴です。
このような値動きの異なる商品を組み合わせると、資産全体の価格変動リスクを軽減できます。
外貨建てMMFが向いている方
・いつでも換金できる投資先を求める方
・株の売却代金を次の投資まで運用したい方
・日本株との組み合わせで地域分散を図りたい方
また、すでに株式投資などをしている方の投資資金の預け先としてや、リスク分散のための投資先としても役立ちます。
例えば、株の売却代金を預かり金として証券口座に置いていても、利息は付きません。しかし、次の買い付けまでの間に短期間でも外貨建てMMFで運用して入れば、投資元本を増やせます。
外貨建てMMFが向いていない方
・急激な価格変動リスクを許容できない方
・短期間で大きな利益を狙う方
外貨建てMMFは比較的低リスクですが、預金とは異なり元本保証がなく、為替変動や運用先の信用リスクにより資産が目減りする可能性があるためです。
また、短期的なトレードで利益を得たい投資家にも適していません。外貨建てMMFは主に格付けの高い国債や社債などの安全資産で運用されているため、基準価格の変動が小さく、短期的な値上がり益を得にくい金融商品です。
外貨建てMMFを始める方法
まずは証券会社に申し込む
証券会社によって、取り扱う通貨の種類やサービス内容が異なります。そのため、複数の証券会社を比較検討し、自分に合った証券会社を選びましょう。
証券会社が決まったら、口座開設を申し込みます。口座開設は、オンラインで完結する金融機関がほとんどです。口座開設の際には、以下の書類が必要です。
・マイナンバーが確認できる書類(マイナンバーカード、通知カード、マイナンバー記載のある住民票など)
・金融機関の口座情報
資金を口座に入金する
円貨で入金する場合は、銀行振込やATMなど、さまざまな方法が利用できます。一方、外貨で入金する方法は、証券会社によって異なります。また、取り扱う外貨の種類も証券会社によって異なるため、注意が必要です。
また、円貨で入金する際には、為替レートの確認が欠かせません。為替レートは常に変動しているため、少しでも有利なレートで入金できるタイミングを見計らいましょう。
外貨を選択して注文する
外貨を選んだら、購入する外貨建てMMFの銘柄を決定します。同じ通貨建てのMMFでも、運用会社や信託報酬などが異なる場合があります。複数の銘柄を比較検討しましょう。
取引を始める前に、以下の点を必ず確認します。
・追加申し込みの単位
・取引可能な時間帯
外貨建てMMFはリスクをチェックして始めよう
それぞれのメリット・デメリットを確認し、自分の投資目的に合うのはどちらかを判断すると良いでしょう。
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