独身者の老後資金はいくら必要?かかる費用や準備する方法を解説

独身者の老後資金はいくら必要?かかる費用や準備する方法を解説

独身で定年退職を迎えた場合、老後資金はいくら必要なのか気になっていませんか?2020年時点で1人世帯は一般世帯の38.0%を占めており、2000年時点の27.6%から1割以上増加しています(※)。今後、独身者の老後資金はますます大きな関心事のひとつとなっていくでしょう。

今回は、独身者に必要な老後資金の金額や種類のほか、老後資金を準備するための具体的な方法についてわかりやすく解説します。老後資金をしっかり準備するためのポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
※総務省統計局「令和2年国勢調査 人口等基本集計結果 結果の概要
金子賢司

監修者 ファイナンシャルプランナー 金子賢司

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東証一部上場企業(現在は東証スタンダード)で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。

以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。

・CFP® 資格(資格番号:90260739)
・日本FP(ファイナンシャルプランナー協会)幹事

mokuji目次

  1. 独身者に必要な老後資金
  2. 定年後の独身者の家計収支は?
  3. 独身者が特に備えておくべきリスク
    1. 独身は夫婦に比べて1人あたりの生活費負担が重い
    2. 医療費リスク:高齢になるほど増加する医療費に備える
  4. 生活費以外で準備したい老後資金
    1. 介護費用
    2. 住居費用
    3. 葬儀費用
  5. 独身者が老後資金を準備する方法
    1. 年金受給総額や退職金額を把握する
    2. 年金の繰下受給を検討する
    3. 保険を活用する
    4. 資産運用をする
  6. 老後資金をしっかり準備するためのポイント
    1. 早くから準備を始める
    2. 制度を活用する
    3. 自分が何歳まで働くかを考える
  7. 独身者が老後資金を準備する際には、資産運用がおすすめ

独身者に必要な老後資金

独身者に必要な老後資金

独身者に必要な老後資金は、平均余命と家計収支から算出できます

厚生労働省の「令和6年簡易生命表の概況」によれば、2024年時点の日本人の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.13歳です。一方、65歳の人が平均してあと何年生きるかを示す「65歳の平均余命」は、男性が19.47年、女性が24.38年です。

65歳で定年退職すると仮定した場合、男性は19年以上、女性は24年以上分の老後資金が必要になります。

多くの人にとって年金だけで老後資金をまかなうのは難しく、計画的に老後資金を準備しておくことが重要です。

定年後の家計収支を想定した上で、準備が必要な資金を洗い出しておきましょう。

定年後の独身者の家計収支は?

定年後の独身者の家計収支は?

定年後の独身者の家計収支は、支出が収入を上回るケースが多いと想定されます。総務省の調査によると、65歳以上の単身無職世帯の平均的な家計収支は、下記のとおりです。

65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支

※総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要」をもとに当社が独自に作成
65歳以上の単身者の実収入は月額13万1,456円であるのに対して、消費支出と非消費支出(税金や社会保険料など)の合計は16万1,436円であり、毎月2万9,980円分が不足しています。

これらの不足金額と平均余命をもとに計算すると、男性は定年後に700万円程度、女性は880万円程度足りなくなることがわかります。人によって家計収支や老後の年数は異なるものの、独身者に必要な老後資金としてひとつの目安となるでしょう。

ただし、持ち家の有無や健康状態、介護の状況などによっては、支出が大幅に増える可能性もあるため注意が必要です。

こうした毎月の収支不足は、いわゆる「老後2000万円問題」とも関わっています。これは2019年に金融庁の金融審議会がまとめた報告書がきっかけで広まった考え方です。

同報告書では、夫65歳以上・妻60歳以上の無職夫婦世帯をモデルに、毎月の不足額を平均約5万円とし、20〜30年で1,300万〜2,000万円が必要になると示されました。

あくまで夫婦世帯を前提とした試算であり、独身者にそのまま当てはまるわけではありません。ただし、年金収入だけでは生活費が不足しやすいという点は、ひとり暮らしの場合にも共通します。

独身者が特に備えておくべきリスク

独身者が特に備えておくべきリスク

独身者の老後資金を考えるうえでは、夫婦世帯とは異なる独身者ならではのリスクにも目を向けておきたいところです。

ここでは、特に意識しておきたい2つのリスクを取り上げます。1つは1人あたりの生活費負担が重くなりやすい点もう1つは高齢期に増えやすい医療費の問題です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

独身は夫婦に比べて1人あたりの生活費負担が重い

独身者の生活費は、夫婦2人世帯の半分で済むとは限りません。むしろ1人あたりで見ると、夫婦世帯より割高になりやすい点に注意が必要です。

理由は、住居費や光熱・水道費といった固定費にあります。これらの費用は世帯人数が2人でも単純に2倍にはならず、2人で分け合える夫婦世帯のほうが1人あたりの負担を抑えられる傾向があります。

実際、総務省統計局の調査では、高齢単身無職世帯の消費支出が月約14万8,000円であるのに対し、高齢夫婦無職世帯は月約26万4,000円です。

単純に1人あたりに直すと夫婦世帯は約13万2,000円となり、ひとり暮らしのほうが月々の生活費が高くなっています。光熱・水道費だけを見ても、単身世帯の約1万5,600円に対し、夫婦世帯は1人あたり約1万1,800円にとどまります。

独身の場合、こうした固定費を1人で抱える前提で資金計画を立てることが大切です。

医療費リスク:高齢になるほど増加する医療費に備える

年齢を重ねるほど、病気やけがで医療を受ける機会は増えていきます。

厚生労働省の推計では、一人が生涯にかかる医療費の総額(生涯医療費)は約3,000万円です。このうち約55%は65歳以降にかかるとされ、医療費が高齢期に集中していることがわかります。

あくまでもこれは公的医療給付分と患者負担分を合わせた医療費保険が適用される前の総額であり、実際に自分で支払うのはその一部です。

独身者の場合、入院や治療が必要になっても、配偶者や子どもといった家族の手助けを受けにくい点がリスクになり得ます。身の回りの世話や手続きを担ってくれる人がいないと、状況によっては有料のサービスを利用する場面も出てくるでしょう。

また、公的医療保険の窓口負担は年齢によって変わります。75歳以上になると後期高齢者医療制度の対象となり、医療費の窓口負担は原則1割、一定以上の所得がある人は2割、現役世代並みの所得がある人は3割です。

負担割合は所得や世帯状況によって変わるため、自分がどの区分に当てはまるかを早めに確認しておくと、医療費の見通しを立てやすくなります。

生活費以外で準備したい老後資金

生活費以外で準備したい老後資金

老後生活では、生活費以外にもさまざまなお金がかかることが予想されます。必要な老後資金を算出する際に考慮しておきたい主な費用は、「介護費用」「住居費用」「葬儀費用」です。それぞれの費用について、詳しく見ていきましょう。

介護費用

将来的に介護が必要な状況になった場合、介護サービスの利用費がかかります。介護サービスのうち、所定のサービスを利用した際には公的介護保険が適用されるため、実際の自己負担額は1〜3割です。

ただし、利用する介護サービスの種類や利用頻度によっては、介護費用の自己負担額が家計にとって大きな負担となる可能性があります。生命保険文化センターによると、平均的な介護費用や介護期間は下記のとおりです。
<平均的な介護費用や期間>
・介護費用(月額):9.0万円
・一時的な介護費用(住宅改造や介護用ベッドの購入費など):約47万円
・介護期間:4年7ヵ月(55.0ヵ月)

住居費用

老後に必要となる住居費用は、住居事情によってさまざまです。住居の形態別にまとめると、主に下記のような費用がかかることが想定されます。
<老後に想定される住居費用の例>
・戸建て:スロープや手すりの設置、外壁などのメンテナンス費用
・集合住宅:専有部分へのスロープや手すりの設置、壁・床・水回りの老朽化に対応するためのメンテナンス費用
・介護付き有料老人ホームや高齢者向け住宅:入居一時金、月額利用料
なお、定年退職後も住宅ローンの返済が残っている場合、月々の返済額についても考慮しておかなければなりません。無理のない範囲で繰上返済を検討するなど、老後資金の準備と併せて計画的に返済していくことが大切です。

葬儀費用

自分が亡くなった際にかかる葬儀費用も考慮しておきましょう。葬儀にかかる費用の内訳は、下記のとおりです。
<葬儀費用の内訳>
・基本料金(斎場利用料、火葬場利用料、祭壇、棺、遺影、搬送費など):72.02万円
・飲食費:11.67万円
・返礼品費:13.03万円
※株式会社鎌倉新書「第7回お葬式に関する全国調査(2026年)
総額は96.73万円となっています。葬儀会場や葬儀の規模によって費用は異なるため、希望する葬儀の形式も含めて検討しておくことが大切です。

独身者が老後資金を準備する方法

独身者が老後資金を準備する方法

ここまでに見てきたとおり、定年後もさまざまな出費が想定されます。経済的な不安を感じることなく豊かな老後を過ごすためにも、若いうちから老後資金をしっかりと準備しておくことが大切です。

続いては、独身者が老後資金を準備する方法をご紹介します。

年金受給総額や退職金額を把握する

必要な老後資金を把握するには、まず年金受給見込み額や退職金額を確認しておく必要があります。

年金受給見込み額は、日本年金機構から毎年送付される「ねんきん定期便」、もしくは「ねんきんネット」を確認してください。50歳未満の人は、国民年金や厚生年金などのこれまでの加入実績に応じた年金額を確認することができます。

50歳以上の人であれば、老齢年金の見込額も記載されているため、必要な老後資金をより具体的に計算しやすいはずです。なお、「ねんきんネット」では、今後の働き方や受給開始年齢などの条件を設定して、将来受け取る年金の見込額を試算できます。

退職金額は、勤務先の就業規則や退職金規程(退職手当規程)などで算出方法を確認します。年金受給額と退職金額を押さえた上で、準備が必要な老後資金の目安を把握しましょう。

年金の繰下受給を検討する

老後資金を準備する上で、年金の繰下受給を検討することも大切です。年金の受給が始まるのは原則65歳ですが、希望すれば66〜75歳までの範囲で受給開始時期を繰り下げられます

受給開始時期を繰り下げた場合、繰り下げた月数に応じて1か月当たり0.7%増額されます。66歳から受給する場合は8.4%、75歳まで繰り下げた場合は最大84.0%増額されます。

一度決定された割増率は生涯変わらないため、無理のない範囲で繰下受給をすることにより年金額を増やせます。

ただし、年金の受給を開始するまでのあいだは、繰り下げた老齢年金を受け取れなくなってしまう点に注意が必要です。働けるあいだは働いて賃金を得たり、資産運用で資金を用意しておいたりと、計画的な準備が必要になるでしょう。

保険を活用する

民間の保険に加入し、老後資金を準備するという方法もあります。保険には貯蓄機能のない掛け捨て型と、貯蓄型が存在しますが、老後資金を準備することが目的であれば「個人年金保険」や「終身保険」といった貯蓄型の保険がおすすめです。

個人年金保険

個人年金保険は、毎月保険料を払い込み、一定の年齢に達すると年金を受け取れるタイプの保険です。年金の受け取り期間は商品によって異なりますが、10年間や15年間などの一定期間、もしくは生涯にわたり受け取れるものもあります。

終身保険

終身保険は、生涯にわたって死亡保障が続き、商品によっては所定の高度障害状態となった場合にも保険金が支払われるタイプの保険です。葬儀費用や自分が死亡した後の家族の生活費などを準備したい場合に適しています。

また、解約返戻金のある終身保険であれば、保険料の払込期間終了後に解約して受け取った解約返戻金を、老後資金として役立てることも可能です。

注意点として、保険料の払込期間中に解約すると払い込んだ保険料の総額を解約返戻金が下回り、元本割れが生じるケースがあります。長期間にわたって保険料を支払い続けられるかどうか、慎重に判断する必要があるでしょう。

資産運用をする

NISAやiDeCoなどの制度を活用した資産運用も、老後に備えるための方法としておすすめです。

<資産運用で活用したい制度>
NISA:年間120万円(つみたて投資枠)と240万円(成長投資枠)の投資で得た利益が非課税になる制度
iDeCo:掛金と運用益をもとに給付を受け取れる私的年金制度(運用益が非課税になり、掛金は所得控除の対象)

いずれも税制上の優遇が受けられる制度ですが、お金を引き出せる時期に違いがある点に注意が必要です。NISAで運用するお金はいつでも引き出せるのに対して、iDeCoで運用するお金は原則60歳まで引き出せません

なお、60歳から受け取るには、60歳時点で確定拠出年金の通算加入者等期間が10年以上必要です。

住宅購入やリフォームなど、60歳に達する前に出費が想定される場合にはNISAを、60歳以降に受け取る年金を積み立てたい場合にはiDeCoをおすすめします。

老後資金をしっかり準備するためのポイント

老後資金をしっかり準備するためのポイント

老後資金をしっかりと準備し、安心して老後を迎えるためには、いくつかのポイントがあります。下記のポイントを参考に、貯蓄や資産運用、定年退職のタイミングなどを検討しましょう。

早くから準備を始める

老後資金の準備は、始める時期が早ければ早いほど効果的です。例えば、25歳から資産運用を始めれば65歳までの40年間運用できるのに対して、55歳から始めた場合には運用期間が10年間となります。

資産運用の基本は「長期・積立・分散」です。無理のない金額をなく少しずつ積み立てていくことで、購入リスクを分散できます。

また、値動きの異なる複数の資産や地域に分散して投資することで、価格変動をある程度抑えるさせる効果も期待できます。金融庁も、長期・積立・分散投資を安定的な資産形成の基本として紹介しています。

資産形成の基本:NISA特設サイト|金融庁

また、早くから老後資金の準備を始めることで、家計の収支管理やお金の使い道に対する意識が高まるというメリットもあります。

制度を活用する

今の生活費を補ったり、老後の年金を増やしたりできる制度を活用するのもおすすめの方法です。一例として、フリーランスや自営業者であれば小規模企業共済に加入しておくことにより、将来受け取れる退職金(老後資金)を増やせます。

シングルマザーやシングルファザーの人は、児童扶養手当などの補助制度を活用することで生活に余裕が生まれ、老後資金の準備もしやすくなるはずです。

これらの制度は申請しない限り活用できないため、どのような制度があるのか、どういった人が対象になるのかを知っておく必要があります。定期的に情報収集を行い、自分が該当する制度がないかチェックしましょう。

自分が何歳まで働くかを考える

現在の体力や体調、今後のキャリアプランなどを総合的に検討し、何歳まで働くのか、その後のセカンドライフプラン(退職後の生活設計)をどう描くのかを想定しておくことも大切です。

65歳まで働く場合と70歳まで働く場合とでは、給与収入を得られる期間や老後資金を取り崩し始める時期が異なるため、必要な老後資金に差が生じます。

さらに、厚生年金に加入して長く働けば、その分だけ多くの保険料を納めることになり、将来受け取る老齢厚生年金を増やせます。働く期間は、公的年金をいつから受け取り始めるかを判断するうえでも、考えておきたいところです。

今後の働き方を考えておくと老後の資金計画を立てやすくなるでしょう。

ただし、現状は健康で体力に自信がある方も、年齢とともに体力や気力が衰えたり、病気などのリスクが高まったりすることが考えられます。

老後資金の準備を早めに始め、長期・積立・分散という資産運用の基本を忠実に守っていくことが、経済的な不安のない老後生活を実現する上で重要なポイントです。

独身者が老後資金を準備する際には、資産運用がおすすめ

独身者が老後資金を準備する際には、資産運用がおすすめ

独身者が老後資金を準備するには、預貯金だけでなく投資も視野に入れて資産運用することをおすすめします。早めに始めておくことで運用期間を長く確保でき、資産を増やす効果がより高くなるでしょう。

資産運用にはさまざまな方法がありますが、初心者には、仕組みがわかりやすくお金の出し入れも比較的しやすい外貨預金がおすすめです。オリコンでは日本最大級の規模で調査を行い、毎年「外貨預金 オリコン顧客満足度ランキング」を発表しています。

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