外貨預金とは?やり方や仕組み・注意点を初心者にもわかりやすく解説
このあたりの理解があいまいなまま進めると、思わぬ損失に巻き込まれることも考えられます。
今回の記事では、外貨預金に興味がある人のために、基本的な仕組みや注意点を詳しく解説します。
目次
外貨預金とは?初心者向けにわかりやすく解説
外貨預金の基本的な仕組み
2.円預金口座に円で入金したのち、外貨を購入して外貨預金口座に入金する
3.外貨預金口座から引き出す際は、外貨のまま引き出すか、円に換算して引き出すかを選択する
また、外貨預金の特徴として為替レートの変動が価値に大きな影響を及ぼすことが挙げられます。例えば、1米ドル=100円の時に1万ドルを購入して外貨預金として預け、1米ドル=150円になってから1万ドルを引き出し、円に換金したとしましょう。
このとき、同じ1万ドルであっても、日本円に換算すれば150万円になっている計算です(税金、手数料等は除く)。つまり、その外貨が円安傾向にあれば為替差益が出る可能性が高く、逆に円高傾向にあれば為替差損が出る可能性が高くなります。
なお、外貨預金の金利は、各国の金利水準に基づき決定されます。例えば、米ドルの金利はアメリカの金利水準、ユーロの金利は欧州中央銀行の金利水準に基づくと考えましょう。
そして、外貨預金の金利は「年利〇%」と表示されることが多くなっていますが、これはあくまで「1年間預けた場合にもらえる利息から計算される利率」を表すに過ぎません。
外貨預金と円預金の違い
外貨預金 | 円預金 | |
---|---|---|
通貨 | 外貨(米ドル、ユーロ、豪ドル、NZドル、英ポンドなど) | 日本円 |
金利 | 外貨によって異なるが、円預金より高いケースも多い | 外貨預金より低いことがほとんど |
リスク | 円預金に比べると高い | 外貨預金に比べると低い |
手数料 | 円預金に比べると高い(為替手数料など、円預金にはない手数料がかかる) | 外貨預金に比べると安い |
主な外貨預金の種類
通貨 | 特徴 |
米ドル(USD) | 米=アメリカで流通しているドルで預金を行う。外貨預金に対応している金融機関であればほぼ扱いがある。流動性が高く、取引量も多いため相場変動は比較的小さい。 |
ユーロ(EUR) | EU(欧州連合)加盟国で流通している通貨・ユーロで預金を行う。米ドルと同様、外貨預金に対応している金融機関であればほぼ扱いがある。また、流動性が高く、取引量も多いことから相場変動は比較的小さい。 |
豪ドル(AUD) | オーストラリアで流通しているドルで預金を行う。資源が豊富な国であり、中国への輸出量も多いことから、鉄鉱石や石炭など資源価格の動向に反応しやすく、中国の景気の影響を受けやすい。 |
NZドル(NZD) | ニュージーランドで流通しているドルを使って預金を行う。酪農業が主要産業であり、主な輸出国が中国・オーストラリアであることから、両国の景気動向や乳製品などの農産物価格の影響を受けやすい。 |
英ポンド(GBP) | イギリスで流通しているポンドを使って預金を行う。米ドルやユーロに比べ投機の対象になりやすく、また、1単位あたりの円価格が大きいことから、値動きが激しくなりやすい。 |
外貨預金のメリットとデメリット
メリット | デメリット |
・円預金よりも金利が高い | ・為替手数料がかかる |
関連記事:外貨預金のメリット・デメリットとは?リスク対策や始め方を解説
外貨預金の始め方|初心者でもできる簡単な手順
1.円預金口座および外貨預金口座を開設する
2.オンラインもしくは店頭で外貨預金口座に入金する
外貨預金口座の開設方法
また、外貨預金口座を開設するためには、以下の書類が必要になります。
(身分証明書のこと、運転免許証や健康保険証など)
・個人番号が確認できる書類(マイナンバーカードや住民票)
・印鑑
外貨預金の取引方法
店頭での外貨預金取引
2.窓口もしくはATMの操作により、預入・引出をする
ただし、窓口・ATMでの対応時間に制限があるうえに、金融機関によっては「窓口での対応は口座開設店のみ」などの決まりが設けられていることがあるため注意が必要です。
自宅もしくは職場の近隣の支店で外貨預金口座を開設しており、比較的時間の融通が利く人に向いていると言えます。
インターネットバンキングでの外貨預金取引
2.お取引・残高照会」タブをクリックするなど、所定の方法で操作を行う
3.画面の表示に従い、手続きを進めていく
また、金融機関によっては入金の際、最低通貨単位が定められていることがあるため、事前に確認するのをおすすめします。
外貨預金の最低預入額と預入期間
三菱UFJ銀行「外貨普通預金」 | 1補助通貨単位以上(0.01米ドル、0.01ユーロ等) |
三井住友銀行「外貨普通預金」 | 1通貨単位以上 |
みずほ銀行「外貨普通預金」 | 1補助通貨単位以上 |
また、外貨建預金も、円預金と同様、普通預金と定期預金に分類することができます。
種類 | 特徴 |
普通預金 | 預入期間に定めがない |
定額預金(定期預金) | 「1年満期」など預入期間に定めがある |
外貨預金の金利比較と選び方
通貨 | ソニー銀行 (外貨普通預金からの預入・自動継続の場合) |
住信SBIネット銀行 (ランク1の場合) |
auじぶん銀行外貨定期預金金利 (円普通預金からの預入の場合) |
---|---|---|---|
米ドル(USD) | 4.00000% | 3.900% | 3.700% |
ユーロ(EUR) | 2.00000% | 2.300% | 1.600% |
豪ドル(AUD) | 3.70000% | 3.900% | 1.900% |
NZドル(NZD) | 3.60000% | 3.800% | 2.200% |
英ポンド(GBP) | 2.90000% | 3.000% | 扱いなし |
※金利は税引前の年利率です。利息には、「復興特別所得税」を含め、20.315%の源泉分離課税(国税15.315%、地方税5%)が適用されます。
※外貨普通預金の金利は変動金利です。金融情勢などによって変動する場合があります。また為替レートが大幅に変動するリスクや取り引きが停止となる場合もあります。契約前には、各金融機関が交付する商品説明書を必ずご確認ください。
※掲載内容は定期的に見直しを行っていますが、最新の情報と異なる場合があります。また、取引方法や優遇制度などの条件によって金利が異なる場合があります。検討の際は、必ず各社公式ウェブサイトで最新の情報をご確認ください。
※住信SBIネット銀行の定期預金については、円からの預け入れの金利を掲載しています。
※auじぶん銀行の定期預金については、円からの預け入れの金利を掲載しています。
※SMBC信託銀行の定期預金については、円からの預け入れの金利を掲載しています。
さらに、同じ金融機関・通貨であっても預入期間によって金利が大きく異なることもあるため、都度確認するのをおすすめします。
外貨預金の運用方法と為替変動のリスク管理
以下、外貨預金で効果的な資産運用をするために意識して欲しいポイントとして、以下の3つを解説します。
・外貨預金の運用戦略
・為替変動のリスクとヘッジ方法
・複利効果を活用した外貨預金の運用テクニック
外貨預金の運用戦略:長期と短期の違い
メリット | デメリット | |
---|---|---|
長期運用 | ・リスクを抑え、安定的な運用ができる ・短期の為替変動を気にする必要がない ・手数料負担が少ない |
・利益を得るまでに時間がかかる ・満期を迎えるまで資金を引き出しにくい ・長期的な予測に基づき運用を行う必要がある |
短期運用 | ・短期間で利益が獲得できる ・長期的な予測を行う必要がない |
・損失を被る可能性が高い ・素早い判断と対応が必要 |
そのため、短期投資をする場合は、金利が高い国の通貨に投資するとともに、短期的な為替レートの変動をこまめにチェックし、適切なタイミングで円に両替すると為替差益を得ることが可能です。
一方、長期投資をする場合は、米ドルやユーロなど価格変動が少ない通貨に投資をし、安定的に利息を得ていくと良いでしょう。
為替変動のリスクとヘッジ方法
為替換算リスク | 外貨建ての資産や負債の評価額が為替変動により増減するリスク |
為替取引リスク | 取引時の円建ての換算金額から、取引決済時の円建ての換算金額が変動するリスク |
為替経済性リスク | 為替相場の変動が価格競争力や企業の生産構造などに影響を与えるリスク |
例えば、100万円の元手を使い、1米ドル=100円のときに1万ドルを預け、将来的に引き出したとしましょう。
このとき、1米ドル=110円などいわゆる円安になっていれば為替差益が生じますが、1米ドル=80円など円高になっていれば為替差損が生じます。
為替換算リスクをヘッジするためには、投資する通貨を分散させることが重要です。
例えば、100万円を投資するなら全て米ドルに投資するのではなく、一部はユーロ、英ポンド、豪ドルに振り分けることで、米ドルが円高になった場合の影響を緩和することができます。
また、一度に円から外貨に換算して預け入れるのではなく、タイミングをずらすことでも為替換算リスクをヘッジすることは可能です。
複利効果を活用した外貨預金の運用テクニック
さらにその後1年間、元本と利息の運用を続けると10,078ドルになるというように、年数を重ねれば重ねるほど増えていく仕組みです。
外貨預金で複利効果を最大限に享受するためには、毎月少額ずつの積立投資をしていくと良いでしょう。預入期間が長いほど、複利効果が大きくなることが期待できるためです。
外貨預金を始める際の注意点
為替手数料と金利の関係
為替手数料の金額次第では、受け取れる金額が預入時の金額を下回ることがあるため注意が必要です。引き出す際は、手数料も含めて、具体的にいくら受け取れるのかを事前にチェックしておきましょう。
また、頻繁に預入・引出しをするとその分手数料がかかります。できるだけ手数料を掛けないよう、必要がない預入・引出しはなるべく避けましょう。
税金の取り扱い
・年収2,000万円以下
・給与所得・退職所得以外の所得と為替差益を合算した金額が20万円以下
国税電子申告・納税システム(e-Tax)を使って申告・納税することもできます。
また、外貨預金も円預金と同様利息が生じますが、これについては源泉分離課税がなされるため、確定申告は不要です。つまり、生じた利息から20.315%の税金が差し引かれた状態で受け取ることになります。
なお、外貨預金を含め、投資の利回りは「(投資の利益−コスト)÷投資元本÷運用年数×100」という式で計算します。そして、投資の利益には税金がかかるため、実質的な利回りの計算に当たっては差し引かなくてはいけません。
元本割れの可能性
例えば、1米ドル=100円で1万ドル預入した場合、1米ドル=80円になれば、20万円の損失が生じます(手数料等は除く)。
元本割れのリスクを最小限に抑える方法として考えられるのは、為替予約を行うことです。これは「1米ドル=110円」というように、満期日に外貨(ここでは米ドル)を売却する価格、数量をあらかじめ契約する取引をいいます。
相場が大幅に円高に振れた場合でも損失が膨れ上がることを避けられますが、円安になった場合に利益を得ることはできません。
また、元本割れのリスクを避けるには、前述したように複数の通貨に分散して投資をすることが有効です。
ただし、金融機関によって扱いがある通貨や手数料には差があるため、適切なポートフォリオを組むには綿密な情報収集を欠かさないようにしましょう。
解約時の注意事項
店舗で解約することもできますが、時間がかかるためスケジュールの確保が必要です。
なお、金融機関によって扱いは異なりますが、外貨定期預金は中途解約ができないことが大半であるため要注意です。やむを得ない事情で解約する場合は、中途解約費用を請求されることがあるので、事前にどのぐらいかかるかを調べておくと良いでしょう。
外貨預金のうち、外貨定期預金はできるだけ満期まで預けておくようにするのが効果的です。また、やむを得ず解約する場合でも、預入時のレートと比べ、大幅に為替差益が出ていて、手数料を差し引いてもなおプラスになるかを確認しておきましょう。
外貨預金に関するよくある質問
・外貨預金はいくらから始められる?
・外貨預金と外貨MMFの違いは?
・外貨預金の資金は保護されている?
外貨預金はいくらから始められる?
一方、外貨定期預金の場合、1通貨単位(例:1米ドル)など少額から始められるケースもあれば、1万円、10万円などある程度まとまった金額が必要なケースもあります。
外貨預金と外貨MMFの違いは?
基本的に株式を投資対象に含んでいないため、一般的な投資信託よりは安全性が高いとされています。ただし、元本保証はないため、運用実績によっては利回りが変化し、損失が出る可能性がある点に注意が必要です。
外貨預金の資金は保護されている?
しかし、外貨預金にはこのような保障がないため、金融機関が破綻した場合、価値がゼロになる恐れもあります。このような背景を考えると、外貨預金は「万が一、すべてなくなったとしても生活に支障がない金額」で続けるのが良いでしょう。
外貨預金のやり方を理解して、初心者でも資産運用にチャレンジ
定期預金か普通預金かによっても差はありますが、外貨預金は100円、1万円など少額から始められるため、まずは勉強がてらチャレンジしてみても良いでしょう。
外貨預金を始めるには、まずは使い勝手の良い口座を開設するのが重要です。「外貨預金 顧客満足度ランキング」を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。