インフレとデフレの違いは?生活への影響やお金の守り方も紹介
政府が公表した2025年度の「経済見通し」では、消費者物価上昇率は2023年度+3.0%(実績)、2024年度+2.5%(実績見込み)、2025年度+2.0%(見通し)と、依然高い水準で推移する予測です。
デフレが続いていた日本にとっては久しぶりのインフレで、家計管理や将来への備えに悩む人も多いのではないでしょうか。
若い世代の中には、初めて物価上昇を経験する人もいると考えられます。
今回は、インフレとデフレの違いや、インフレとデフレが生活に及ぼす影響のほか、対策などについて解説します。
目次
インフレ・デフレとは?
インフレとは物価が継続的に上昇すること
インフレが起こる主な要因は、商品やサービスに対する需要の増加、製品や原材料の供給不足、労働コストの上昇などです。
インフレが続くと、食料品や生活用品の価格、住宅ローンの金利などが上昇します。
しかし、適度に物価が上昇すれば働き手の賃金も増え、経済に良い影響をもたらすことがあります。
これは、インフレのポジティブな側面です。
一方、物価の上昇が賃金の増加を伴わない場合や、原材料の高騰により物価が極端に上昇するといった、ネガティブなインフレも起こりえます。
デフレとは物価が継続的に下落すること
デフレの主な要因は、市場における物やサービスの需要の減少、物やサービスの供給過剰による価格競争、債務者の増加による消費や投資の抑制などです。
デフレが続くと企業の収益は減少し、それによって従業員の賃金が減少して家計が苦しくなります。
その結果、消費が冷え込み、企業の製品開発や設備投資などもしづらくなります。
デフレは不況時に発生することが多く、経済成長を妨げる要因だといえるでしょう。
インフレのメリット・デメリット
インフレのメリット・デメリットを解説します。
メリット:経済活動の活発化による好景気が期待できる
インフレにより物価が上昇すると、消費者は価格がさらに上がる前に欲しい物を購入する傾向が強くなります。
消費活動が活発になることで企業の収益が増え、結果として従業員の給料の増加にもつながることがあります。
これによってさらなる需要が生まれ、お金の循環が活発になることによって、景気が良くなる可能性があるのです。
デメリット:実質的なお金の価値および資産価値が下がる
物の値段が上がれば、相対的にお金の価値は下がります。
例えば、以前は100円で買えたノートが200円に値上がりした場合、同じ商品を購入するのに以前の2倍の金額が必要になります。
これは、お金の価値が実質的に半分になったということです。
インフレが起きると、現金や定期預金、債券などの資産価値が落ちることにも注意が必要です。
デフレのメリット・デメリット
インフレとは異なり、デフレがもたらすメリットは限定的です。
メリット:より低い価格で物やサービスが購入できる
また、お金の価値が上昇するため、資産を持っている人にとっては、資産価値が上昇するというメリットがあります。
しかし、経済全体にとっては長期的なメリットがなく、格差の拡大にもつながるため、デフレのメリットはほとんどありません。
デメリット:経済活動が停滞する
物価の低下が続くと、企業の収益が減り賃金も上がらなくなるため、消費者は支出を減らし、企業の収益はさらに悪化します。
この悪循環は「デフレスパイラル」と呼ばれ、長期的な経済の停滞につながる可能性があるのです。
さらに、債務を抱えている人にとっては、お金の価値が上昇することで実質的な債務負担が増えるというデメリットもあります。
インフレが起きると生活のお金はどう変わる?
ここからは、インフレによる生活のお金への影響について、「消費」「住宅ローン」「銀行預金」の3つの観点から見ていきます。
消費
まずは「消費の活発化」についてです。
インフレで物価の上昇が続くと、「これ以上値上がりしないうちに買おう」という心理が働き、消費が活発になります。
将来的に買うはずの物を、予定を前倒しして買うことが多くなるでしょう。
このような消費活動の増加で、さらに物価が上昇する可能性があります。
次に、「消費の停滞」の可能性です。
インフレになると、これまでと同じ金額で買える物やサービスが少なくなるため、消費が減るという考え方もあります。
例えば、毎朝立ち寄っていたカフェのコーヒーが値上がりしたため、立ち寄るのを週3回に減らしたり、いつも2つ買っていたパンを1つに減らしたりといった具合です。
また、将来への不安から、「いざというときに備えてお金を貯めておこう」と考え、消費を控える人が増える可能性もあります。
住宅ローン
日本銀行はこれまで、金利を低く保つマイナス金利やゼロ金利などの政策でお金の流通を促し、2%のインフレ率を目標にしてきました。
この金利政策が維持されているあいだは、住宅ローンの金利が大幅に上昇する可能性は低いと考えられていますが、今後マイナス金利やゼロ金利が解除された際には、住宅ローンの金利は上昇すると予想されています。
一方で、インフレの影響で不動産価格が上昇することもあるため、物件を売却する際には有利な条件が期待できます。
銀行預金
たとえ預金残高が変わらなくても、物価が上昇すると同じ金額で購入できる物やサービスの量や質が低下するため、購買力が低下するのです。
資産運用でインフレに強い資産を作ることが重要
万が一の事態に備えるため、預金をインフレに強い資産に変えておくことがおすすめです。
インフレに強い資産とは、「株式」や「外貨」「不動産」など、物価の上昇に合わせて価値が上昇する金融資産のことです。
インフレが進むと、消費が増えて物やサービスの価格が上昇し、企業の業績や株価も上昇するという好循環が期待できます。
物価が上昇するときには不動産価格も上昇する傾向があるため、預金を不動産に変えておくことでも、資産価値の低下を防ぐことが可能です。
さらに、国内のインフレは円の価値を低下させるため、円の預金を米ドルやユーロなどの外貨にして保有することも有効です。
為替の変動によって預け入れ時より円安になると、為替差益が出る可能性があります。
また、外貨は円に比べて金利が高いのもメリットです。
インフレによる資産価値の目減りを防ぐため、現在の資産を株式投資や外貨預金、投資信託、不動産などに再配分し、資産を増やすことを検討しましょう。
インフレ対策として外貨預金を始めてみよう
そればかりか、インフレの影響で、手元の現金や預金の資産価値が低下する可能性すらあるのです。
インフレ対策として、積極的に資産運用を検討しましょう。
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