為替差益確定申告は必要?不要なケースやどんな税金がかかるのかも紹介
本記事では、外貨預金で得られる利益の種類やそれぞれにかかる税金、確定申告が必要かどうかの判断基準について解説します。
また、確定申告に必要な書類や申告を怠った場合のリスクについても触れていきます。外貨預金を活用している方やこれから始めようとしている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
外貨預金で得られる利益は「為替差益」と「預金利子」
それぞれの特徴や計算方法について詳しく解説していきます。
為替差益
例えば1米ドル=150円のときに1万米ドルを購入して預け入れると、必要な日本円は150万円になります。その後、1米ドル=170円のときに払い出すと、受け取る日本円は170万円になり、20万円の為替差益が発生します。
為替差益は、以下の2つのタイミングで生じます。
まず1つ目は、保有している外貨預金を日本円に換金するタイミングです。預け入れ時と比べて為替レートが円安になっていれば、その差額分の為替差益が確定します。
2つ目は、保有している外貨預金を他の外貨預金に交換するタイミングです。例えば米ドルをユーロに交換する場合、米ドルを一度日本円に換算してからユーロを購入するため、この時点で為替差益が確定します。
なお、外貨預金をそのまま保有している間は、為替レートが変動しても為替差益は確定しません。この状態を「含み益」と呼びます。
預金利子
利子は、預け入れた外貨の金利に応じて発生します。2025年1月現在、日本の金利水準は他国と比べて低いため、外貨預金の金利は日本円の預金金利よりも高くなる傾向にあります。
【為替差益・預金利子】税金の種類と計算方法
ここでは、外貨預金の税金について詳しく説明します。
為替差益にかかる税金
税額の計算には累進課税方式が採用されているため、納める税金の額は一律ではありません。為替差益は給与所得などの他の所得と合算して課税所得が計算され、その金額に応じて税率が決まるので所得が多いほど税率も高くなります。
また、所得税に加えて住民税10% と復興特別所得税 が課税される仕組みです。復興特別所得税は基準所得税額(実際の納税額)の2.1%で、税率は個々人の所得税率によって変わります。
預金利子にかかる税金
この税金は、利子が発生した時点で金融機関が自動的に差し引き、納付を行います。そのため、利子について確定申告を行う必要はありません。なお、源泉徴収後の手取りがそのまま預金口座に入金される仕組みです。
外貨預金では確定申告が必要?不要?
為替差益が発生したときは確定申告が必要
外貨預金を日本円や他の外貨に換金した際に為替差益が発生した場合、その年の確定申告で申告する必要があります。
また、為替レートの変動により損失が生じることもあります。これを「為替差損」といい、暗号資産取引などの他の雑所得で利益がある場合、確定申告により損失を相殺(内部通算)することが可能です。
ただし、給与所得や事業所得など、雑所得以外の所得とは相殺できません。
預金利子にかかる税金の確定申告は不要
源泉分離課税とは、金融機関が利子を支払う際に、あらかじめ税金分を差し引いて納付する仕組みです。納税は利子の受け取り時点で完了するため、確定申告は不要となります。
為替差益の確定申告に必要な書類とは?
さらに、場合によってはその他の為替差益を証明できる書類も必要になることがあります。会社員の方は、源泉徴収票も併せて必要となります。
ただし、e-Tax(電子申告)を利用する場合は、これらの書類の提出は不要です。
しかし、税務署から後日問い合わせの可能性もあるため、適切に保管しておくことが大切です。確定申告の際に利用した証明書類は、申告期限から一定期間、手元に保管してきましょう。
確定申告が不要なケースもある
給与所得者かつ所得が20万円以下の場合
ただし、複数の会社から給与を受け取っている場合など、一定のケースでは例外として確定申告が必要になるので注意が必要です。
400万円以下の年金受給者で、他の所得が20万円以下の場合
年間所得が48万円以下の場合
為替差益の確定申告をしないとどうなる?
例えば、自主的に期限後申告をした場合でも、納付すべき税額の5%の無申告加算税がかかります。一方、税務署から調査の事前通知を受けた後 に期限後申告をすると、納付すべき税額の10%(50万円を超える部分は15%)の無申告加算税が課されます。
さらに、税務署の調査後に期限後申告をした場合や、税務署の決定を受けた場合には、無申告加算税は15%(50万円を超える部分20%)とより重い税率になります。
また、法定納期限(3月15日)を過ぎると、納付が遅れた日数に応じて延滞税も発生します。申告・納付の遅れが長引くほど支払う税金が増えてしまうため、期限内の適切な確定申告が重要です。
外貨預金で為替差益が発生したら確定申告をしよう
申告が必要な場合は、期限内に適切な手続きを行うことが重要です。申告を忘れると延滞税や無申告加算税などのペナルティが発生する可能性があるため、自身の状況をよく確認し、必要に応じて確定申告を行いましょう。
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※本記事では一般的な例をもとに情報をまとめています。各社の商品やプランによっては当てはまらないケースもあります。また、情報は公開日現在のものです。各種状況や法令情報等につきましては、公的機関等で最新情報をご確認ください。