外貨預金に向いている人は?メリットや金融機関の選び方も解説

外貨預金に向いている人は?メリットや金融機関の選び方も解説

外貨で資産形成をしていく外貨預金は、投資初心者向けの投資手法といわれています。とはいえ、外貨預金は為替レート変動の影響を受けるため、デメリットがないわけではありません。また、運用を行う金融機関の選び方も重要です。

そこで本記事では、外貨預金の概要やメリット・デメリットを解説した上で、向いている人と向いていない人の特徴をご紹介します。あわせて、代表的な通貨や金融機関を選ぶ際のポイントについても見ていきましょう。
AFP/2級FP技能士 吉田祐基

監修者 AFP/2級FP技能士 吉田祐基

ライター・編集者。お客様向けの会報誌や、記事、Webサイト、PDF資料といった各種コンテンツ制作のディレクション業務ほか、Webメディアの運営を担当。

mokuji目次

  1. 外貨預金とは外国の通貨で預金すること
  2. 外貨預金のメリット
    1. 高金利で資産形成できる
    2. 為替差益を獲得できる可能性がある
    3. 始め方や仕組みがわかりやすい
  3. 外貨預金のデメリット
    1. 為替差損が出る可能性がある
    2. 為替手数料がかかる
    3. 預金保険制度(ペイオフ)の対象にならない
  4. 外貨預金に向いている人の特徴
    1. 投資初心者
    2. 通貨の分散投資をしたい人
    3. 海外に行く機会が多い人
  5. 外貨預金に向いていない人の特徴
  6. 外貨預金の代表的な通貨
  7. 外貨預金を始める金融機関を選ぶ際のポイント
    1. 希望する外貨を扱っているか
    2. 為替手数料が低いか
    3. 金利が高いか
  8. 外貨預金のメリットとデメリットを踏まえて運用を検討しよう

外貨預金とは外国の通貨で預金すること

外貨預金とは、米ドルやユーロといった外国の通貨で預け入れる預金です。外貨預金を行う際は、日本円を外貨に交換することになります。

外貨預金ならではの魅力は、外貨の中には金利が高いものがあることです。また、外貨預金を解約するときに、預け入れたときよりも円安であれば、「為替差益」という利益を得られるメリットもあります。
詳しくは後述しますが、反対に預け入れるときよりも円高の場合は「為替差損」という損失を被る可能性もある点に注意が必要です。このように、外貨預金は為替レートの変動によって、利益と損失のどちらが出るのかが変わってきます。

外貨預金のメリット

外貨預金のメリット

外貨預金を始めると、どのようなメリットがあるのでしょうか。円預金では得られない3つのメリットについて見ていきましょう。

高金利で資産形成できる

外貨預金では、円建ての預金よりも高い金利が期待できることがメリットです。日本では低金利が続いているなか、海外では比較的金利の高い国が存在します。外貨預金をすることで、海外の高い金利で資産を運用できるのです。

為替差益を獲得できる可能性がある

外貨預金では、利息に加えて為替差益を獲得できる可能性があることもメリットです。為替差益とは、為替レートの変動によって得られる利益を指し、預け入れたときよりも円安になると得られます。

例えば、手数料などを無視した場合、14万円を1ドル140円のときに米ドルに交換すると、外貨預金に預け入れるのは1,000ドルです。その後、円安となって1ドル160円のときに1,000ドルを円に交換すると16万円となり、2万円の為替差益を得られます。

始め方や仕組みがわかりやすい

外貨預金は、外貨を用いる投資手法の中でも比較的仕組みがわかりやすく、少額からでもスタートできるため、初心者でも始めやすいというメリットもあります。普段から利用している金融機関を通じて運用できるため、不安な点や疑問があれば相談しやすいことも安心できるポイントです。

また、外貨預金では、どの外国の通貨で行うかを選ぶ必要はありますが、複雑な分析などをする必要がありません。株式投資をするとなると企業分析が必須となりますが、そうした専門的な知識がなくても運用しやすい点も魅力といえるでしょう。

外貨預金のデメリット

外貨預金のデメリット

外貨預金には、いくつか注意しておきたい点もあります。運用をスタートしてから後悔することのないよう、次の3つのデメリットを把握しておきましょう。

為替差損が出る可能性がある

外貨預金のメリットとして、為替差益を得られることを挙げましたが、為替レートの変動によっては為替差損が出る可能性もあります。
外貨預金は、外貨ベースでは元本が保証されますが、円ベースは元本が保証されません。為替レートの変動によって円に戻したときの金額が異なるため、預け入れたときよりも円高になっていた場合は為替差損が生じ、元本割れとなる可能性があるのです。

例えば、手数料などを無視した場合、16万円を1ドル160円のときに米ドルに交換すると、外貨預金に預け入れるのは1,000ドルです。その後円高となり、1ドル140円のときに預けた1,000ドルを円に戻すと14万円を受け取ることとなり、2万円の為替差損が生じてしまいます。
外貨で運用しているあいだは利息で増えていたとしても、換金時の為替レートによっては為替差損が発生するリスクがある点を押さえておきましょう。

為替手数料がかかる

外貨を預け入れるときと、円として引き出すとき、つまり通貨を両替する際に為替手数料がかかる点も、外貨預金のデメリットです。円から外貨へ替えるときは「TTSレート」、外貨から円へ替えるときは「TTBレート」にもとづいて、為替手数料を金融機関へ支払うこととなります。
■TTSレートとTTBレート

TTSレート

円から外貨に交換する際のレート。その日の為替レートに金融機関の手数料が加えられる。

TTBレート

外貨から円に交換する際のレート。その日の為替レートから金融機関の手数料が差し引かれる。

為替手数料は金融機関ごと、通貨ごとに異なります。外貨預金を運用し始めてすぐに解約した場合、利息が十分に増えていないために為替手数料をカバーできず、元本割れを起こす可能性もあるため注意が必要です。

預金保険制度(ペイオフ)の対象にならない

外貨預金は、預金保険制度(ペイオフ)の対象とならないというデメリットもあります。
預金保険制度とは、お金を預け入れている金融機関が破綻しても、1つの金融機関あたり1,000万円とその利息分が保護されるという制度です。円での普通預金や定期預金は預金保険制度の対象ですが、外貨預金は対象外となるため、外貨預金を始める際は破綻するリスクの低い金融機関を選びましょう。

また、1つの金融機関に多額の資金を預け入れるのではなく、複数の金融機関に分散して預け入れることも、こうしたリスクを軽減することにつながります。

外貨預金に向いている人の特徴

外貨預金に向いている人の特徴

続いては、外貨預金のメリットやデメリットを踏まえて、外貨預金がどのような人に向いているのかを見ていきましょう。運用方法を検討する際に、自分が外貨預金を始めるのに向いているのかどうか確認してください。

投資初心者

外貨預金は、金融機関に口座を開設するだけで運用開始できるという手軽さが魅力です。どの外貨で運用し始めるのかを選ぶ必要はありますが、投資信託や株式投資ほど商品の選択肢も多くなく、専門的な知識がなくても始めやすいため、投資初心者にも適しています。

通貨の分散投資をしたい人

外貨預金は、通貨の分散投資をしたい人にもおすすめの投資手法です。投資のリスクを抑えるには、1つの銘柄や通貨に多額を投資しすぎない「分散投資」が効果的といわれています。為替レートの変動の影響を受ける外貨預金も、1つの通貨だけで運用するのではなく、複数の通貨に分散して預け入れることで、為替変動による元本割れのリスクを抑えられるでしょう。

外貨預金によって外貨を保有していれば、もし円安が進んだとしても、外貨高となっていることで総合的な資産価値を維持しやすくなります。

海外に行く機会が多い人

海外旅行や海外出張などで海外へ行く機会の多い人にも、外貨預金は向いています。
金融機関によっては、外貨普通預金口座を開設しておけば、現地のATMで引き出してそのまま利用することも可能です。空港やホテルの両替所で円から現地の通貨へ両替する手間や手数料をカットできます。

外貨預金に向いていない人の特徴

外貨預金は、短期間で大きな利益を狙いたい人には不向きな投資方法といえます。外貨預金は円預金よりも高い金利を期待できる一方で、株式の売買益のような大きな収益は得にくいためです。
為替レートの変動次第で為替差益が期待できますが、大きな収益を獲得するには、その分まとまった金額を預け入れる必要があります。

外貨預金の代表的な通貨

外貨預金を運用するためには、各通貨や国ごとの特徴を押さえることが大切です。ここでは、代表的な通貨5種類の特徴をご紹介します。
■代表的な外国の通貨と特徴

通貨

特徴

米ドル(USD)

・世界の中心的な地位を占める通貨で、最も取引流通量が多い
・取扱金融機関が多く情報量も豊富なため、値動きを把握しやすい
・貨幣価値が安定している分、金利は外貨預金の中では低い傾向がある

ユーロ(EUR)

・米ドルに次いで取引流通量が多い
・経済状況の異なる複数の国家が使用するため、ユーロ圏全体の情勢を把握する必要がある
・特に経済規模の大きいドイツやフランスの経済指標を注視する

豪ドル(AUD)

・比較的値動きが大きく、米ドルよりも高金利に設定されていることもある
・取引流通量は少なめだが、政治経済が安定しているため比較的リスクを抑えやすい
・石油や石炭などのコモディティ市場、中国経済の影響を受けやすい

NZドル(NZD)

・取引流通量は少なめで、為替レートが変動する要因は豪ドルと似ている傾向がある
・乳製品などの農産物の価格も為替レートに影響を与えやすい
・中国やオーストラリアの政治経済や経済指標の影響を受けやすい

英ポンド(GBP)

・為替レートの変動する要因はユーロと比較的似ている傾向がある
・取引流通量が米ドルやユーロよりも少なく、為替レートの変動幅が比較的大きい

外貨預金を始める金融機関を選ぶ際のポイント

外貨預金を始める金融機関を選ぶ際のポイント

外貨預金は、預け先によって運用の結果が変わる可能性があるため、どの金融機関で口座を開設するのかを慎重に決めることが大切です。
ここでは、外貨預金を始める金融機関を選ぶ際に重視したい、3つのポイントについて見ていきましょう。

希望する外貨を扱っているか

金融機関によって、取り扱っている外貨や預入可能期間が異なります
運用したい外貨を取り扱っているか、運用したい期間預け入れられるかを、口座開設前に確認しておきましょう。

為替手数料が低いか

外貨預金を利用すると、円から外貨、または外貨から円に交換する際に、為替手数料が発生するのが一般的です。手数料が高ければ高いほど、円と通貨を交換するたびに利益が目減りしてしまいます。
通貨交換にかかる手数料は金融機関ごとに異なるため、複数の金融機関の手数料を比較して、より負担を抑えられる銀行を選ぶことをおすすめします。

金利が高いか

外貨預金の適用金利も、金融機関によって異なります。金利が高いところに預け入れることができれば、より効率的に資産形成ができます。

外貨預金のメリットとデメリットを踏まえて運用を検討しよう

外貨預金は比較的仕組みがわかりやすく、投資初心者にも始めやすい投資手法です。外貨預金は金利が高く為替差益が狙える一方で、為替手数料がかかる、為替差損によって元本割れを起こすリスクもあります。メリットとデメリットの両方を十分に理解した上で、外貨預金を始めるか検討しましょう。

なお、外貨預金を行う場合は、金融機関によって運用できる通貨や預入可能期間が異なるため、しっかり比較検討し、自分の運用方針に合う選択をすることが大切です。
オリコンでは、日本最大級の規模で調査を行い、毎年「外貨預金 オリコン顧客満足度ランキング」を発表しています。外貨預金を始めるにあたって知っておきたい取引メニューや手数料、金利の満足度など、さまざまな視点のランキングを発表していますので、外貨預金選びの参考にしてください。

外貨預金 オリコン顧客満足度ランキング
AFP/2級FP技能士 吉田祐基

監修者 AFP/2級FP技能士 吉田祐基

ライター・編集者。編集プロダクションで、Web・紙媒体問わず主に金融系コンテンツの制作を担当後、HRテック企業に制作ディレクターとして入社。お客様向けの会報誌や、記事、Webサイト、PDF資料といった各種コンテンツ制作のディレクション業務ほか、Webメディアの運営を担当。

外貨預金オリコン顧客満足度ランキング

  • 1位

    70.1

    ソニー銀行

  • 2位

    68.9

    住信SBIネット銀行

  • 3位

    67.9

    auじぶん銀行

  • 4位

    67.7

    SMBC信託銀行プレスティア

  • 5位

    67.6

    三井住友信託銀行

  • 6位

    67.1

    SBI新生銀行

  • 7位

    66.9

    楽天銀行

  • 8位

    66.3

    PayPay銀行

  • 9位

    65.9

    三井住友銀行

  • 10位

    65.2

    三菱UFJ銀行

  • 11位

    63.9

    イオン銀行

  • 12位

    63.1

    みずほ銀行

オリコン日本顧客満足度ランキングの調査方法について

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