NISA・つみたてNISA口座開設の流れ 注意したい“二重口座”判定とは? 開設前のチェックポイント

投資で得た利益に税金がかからないため、資産形成の手段としてますます関心が高まるNISA(少額投資非課税制度)。実際に一般NISA、つみたてNISAを始めるとなったら、まずは「NISA口座」を開設する必要がある。投資が初めての人にとっては口座開設にハードルを高く感じることもあるだろう。ここでは、口座開設手続きの流れと併せて、口座開設前にチェックしておきたいポイントを紹介する。
【目次】
口座開設と取引開始までのステップ
 準備する書類
 基本の流れ
NISA口座の開設手続き、注意したいポイント
 「審査完了前に取引できるけど…」 “二重口座”に注意、購入分は課税口座に移管
 金融機関変更も可能だが、まずは総合口座で使い勝手を判断する手も

口座開設と取引開始までのステップ

NISAを始めるには、まず「NISA口座」の開設を申し込み、そこから実際に購入するときは「一般NISA」か「つみたてNISA」かの一方を選ぶ流れだ。また、申請者が2つ以上のNISA口座を持っていないかを税務署が審査がある。準備する書類や、開設までの流れについては次の通りだ。

準備する書類

●申請書類(郵送の手続きのみ、ウェブ申請では不可)
●本人確認書類
●マイナンバー確認書類(※1)

(※1) 2018年1月以降の制度改正で、マイナンバー登録が必要に。それ以前に開設した人も、新たな買い付けや買い増しには登録が必要となっている。

開設までの基本の流れ

@ 金融機関(主に銀行、証券会社、ネット証券)に口座開設を申請 (ウェブもしくは書類郵送)
 郵送での手続きの場合は、窓口やHPから申請書を取り寄せる。
 また、証券会社でNISA口座を開設するには証券総合口座の開設も必要となる。
A NISA口座開設、取引が可能に
 ウェブ上の手続きでは当日〜5営業日程度で取引可能に。郵送では7営業日ほどかかる。
B 税務署審査(NISA口座を二重に持っていないことを確認)
 金融機関と税務署とのやりとりなので、申請者側で行う新たな手続きは不要。 

NISA口座の開設手続きと注意したいポイント

NISA口座開設は、必要書類の準備さえ整えば最短当日で取り引きが可能となる。ただ、思い立ったときに気軽で簡単に開設できるメリットがある一方、注意しなくてはならないこともある。

「審査完了前に取り引きできるけれど……」 “二重口座”に注意、購入分は課税口座に移管

2019年1月の開設以降、申し込みから取引開始までの時間短縮のため、税務署の確認が完了する前に口座開設ができ、取り引きも開始できるようになった。これによって、最短で申し込み当日から取り引きが開始できるケースも。

ただし、NISA口座は“1人1口座”が原則のため、後から二重口座だと判明した場合、NISA口座で購入した商品を買い付け日にさかのぼって課税口座に移管することとなる。「全然使ってないけれど、以前に口座座開設だけはしたことがあるかもしれない」と心当たりがある人は、口座の有無を確認した方がいいだろう。すでに別の金融機関で開設されていた場合は、変更手続きをすれば希望する金融機関で取り引きができるようになる。

金融機関変更も可能だが、まずは総合口座で使い勝手を判断する方法も

NISA口座は“1人1口座”が原則だが、手続きをすれば1年に1回変更が可能となる。ただし変更を希望する年の9月末までに、変更の手続きを完了する必要がある。また、その年にすでに購入しているものがある場合、変更できるのは翌年の投資分からとなるので、変更のタイミングには注意が必要だ。
金融機関変更の流れ【変更前のNISA口座で取り扱ったものを保有し続ける場合】

@ 現在NISA口座を利用している金融機関に変更を申し込み、「金融商品取引業者変更届出書」を郵送してもらう
A「金融商品取引業者変更届出書」に必要事項を記入、「本人確認書類」を同封して返送する
B 返送後、金融機関から「勘定廃止通知書」が郵送される(※)
C新たに開設する金融機関に申請し、「非課税口座開設届出書」を郵送してもらう
D「非課税口座開設届出書」に必要事項を記入、Bで受け取った「勘定廃止通知書(※)「本人確認書類」をCの金融機関に送付

(※) 変更前の金融機関のNISA口座を廃止する場合には、「勘定廃止通知書」の代わりに、「非課税口座廃止通知書」の取り寄せ・提出が必要となる。変更前のNISA口座の残高は、売却(解約)するか課税口座に移管することになる。
変更できるとはいえ、書類が必要で手続きには手間がかかるので、なるべく避けたい人も多いだろう。そこで口座開設の前に、なるべく自分に最適な金融機関を選びたいところ。取り扱い商品をチェックする人は多いと思うが、取り引き画面やツールとの相性の良さも大事なポイントだ。

気になる人は、NISA口座開設前にまず1社だけではなく、複数の金融機関で総合口座を開設し、それらを比較した上で使いやすい金融機関でNISA口座を開設すると失敗が少なくなるだろう。
●ご利用の際のご注意事項(必ずお読みください)(外部リンク)

この記事の監修者

市川雄一郎
生活者目線の自由なトークが持ち味。物腰やわらかで明快な講義は、全国に多数のファンがいる。
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP(R)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産運用設計業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。1969年生まれ。グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、金融機関の職員や顧客に対する講義や講演も行う。「日本経済新聞」「日経ヴェリタス」「朝日新聞」「東洋経済」「週刊ダイヤモンド」などへの原稿執筆・コメント提供のほか、ラジオ日経などのメディア出演も多数。主な著書に『投資で利益を出している人たちが大事にしている45の教え』(日本経済新聞出版)がある。
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