「子ども版NISA」なぜ導入? 生前贈与対策として活性化の鍵に??
若者の資産運用活性化を狙うも食指鈍く…「NISA」はシルバー世代がメイン
買い付け額で見ても、3月末までの総買い付け額1兆円のなかで、60代が3318億円、70代が2494億円とシルバーパワーが全開。20〜30代は、口座数で全体の10.9%、買い付け額で8.5%に留まっている。
なぜ、若い人に利用されないのか? 金融庁が6月発表した意識調査「NISA(ニーサ)口座の利用状況等について」によると、【金銭的な余裕がないから】が65.1%、【理解不足】や【ネガティブなイメージ】も30%超え。今後も若い世代によるNISA(ニーサ)口座の運用開始については、苦戦が続きそうだ。
NISA活性化の火付け役に「子ども版NISA」 狙いは“孫に残せる”資産運用?
表1:検討中の『子ども版NISA』概要案
創設予定 | 2016年 |
制度期間 | 未定 |
利用対象者 | 利用対象は日本在住の0〜18歳。 |
非課税枠 | 祖父母や両親が子ども名義で投資する場合、年間100万円以下であれば売却益や配当が非課税 |
非課税期間 | 5年間 |
資産の引き出し | 原則、18歳までは非課税で引き出せない |
この内容から、さらにNISA(ニーサ)活性化を促したい政府は、来年から改正が予定されている相続増税に的を絞ったのでは、という意見がある。
現行、妻と子ども2人なら8000万円ある非課税枠が、来年1月からは4800万円と大幅に縮小される。そこで、相続財産を減らすのに有効な手立てのひとつが、生前贈与だ。それも直系の子どもではなく、その次の代の孫に財産を残せるとなれば、今、NISA(ニーサ)口座の中心世代となっている60〜70代が、さらにNISA(ニーサ)による投資を増やすだろうという算段だ。
実際、昨年導入され来年いっぱいまでの時限優遇制度となっている「教育資金贈与の非課税制度」は、1500万円を非課税で孫に残せるとあって現在大ブレイク中。例えば、三菱UFJ信託銀行が発売した専門口座「まごよろこぶ」は今年5月末時点で3万件を超える契約があったほか、三井住友信託銀行の「孫への想い」など各銀行が商品を展開している。
非課税枠の上限金額や期間が限られていることで「使いにくい」という声も多くあり、本家・イギリスのように“誰でも持っている口座”として浸透するには、まだまだ時間がかかりそうなNISA(ニーサ)。子ども版の登場が現行版の普及の起爆剤となるか、今後の動向に注目したい。