犬も風邪をひくの?鼻水やくしゃみなど主な症状・治療法を解説
鼻水やくしゃみ、咳などの症状は「もしかして風邪かな?」と思わせるものですが、犬の場合、これらの症状が単なる風邪ではなく、ほかの病気の兆候である可能性も否定できません。
犬の健康を守るためには、風邪の主な症状や原因を正しく理解し、適切な治療や予防を行うことが大切です。
この記事では、犬の風邪についての基本情報から症状、原因、治療法、予防方法までを解説します。また愛犬が元気を取り戻すためのポイントや、日頃から注意すべきケアについても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

監修者まさの森・動物病院 院長 安田賢
日本獣医生命科学大学卒業。
幼少期より動物に興味を持ち、さまざまな動物の飼育経験を持つ。
2012年11月、石川県金沢市にまさの森・動物病院を開業。
※監修は医療情報についてのみであり、ペット保険への加入を推奨するものではありません。
目次
犬の風邪とはどんな病気?
特徴的な症状として、くしゃみや咳、鼻水、発熱などが見られます。注目すべきは、これらの症状が人間の風邪と似ているものの、犬特有の病原体による感染であるため、人間と犬の間での感染はないという点です。
これは、子犬の場合、母犬から受け継いだ免疫力が徐々に低下する時期と重なるためです。また、高齢犬や持病のある犬は、免疫機能が低下していることが多く、感染症に対する抵抗力が弱いことが要因となっています。
また、軽度の症状であっても、安易に様子見をせず、動物病院を受診することをおすすめします。
犬の風邪の主な症状
これらの症状は、ウイルスや細菌への感染によって引き起こされ、特に注意が必要なのが「ケンネルコフ」と呼ばれる咳を主な症状とする上部呼吸器感染症です。
犬の風邪の症状としては、以下が挙げられます。
<犬の風邪の主な症状>
●咳
●鼻水
●くしゃみ
●呼吸困難
●食欲の低下
以降では、それぞれの症状について説明します。
咳
一度咳が出始めると連続して咳き込むことが多く、首やのど周辺に触れただけでも咳が誘発されることがあります。咳が激しい場合は嘔吐を伴うこともあります。
鼻水
重症化すると出血を伴うこともあり、鼻づまりにより嗅覚が鈍って食欲が低下する場合もあります。
くしゃみ
くしゃみが続く場合は鼻腔での炎症が起きている可能性があり、時には鼻血を伴うこともあります。
呼吸困難
肺炎になると、呼吸をするのが明らかに苦しそうな呼吸困難の様子が見て取れます。
息を吸うときに胸やのどの周りがへこんだり、口を大きく開けて呼吸したり、肩で息をするなどの呼吸困難の症状が見られたら、早めの受診が必要です。
食欲の低下
元気なときには喜んで食べていたメニューにも興味を示さなくなったり、食事の量が減ったりすることがあります。
犬の風邪の原因
特に多頭飼育の環境や、ペットホテル、ペットショップなど多くの犬が集まる場所で感染するケースが目立ちます。
飼い主として知っておくべき感染の仕組みと予防のポイントについて、解説していきます。
犬の風邪を引き起こす病原体
これらの病原体は、単独での感染もありますが、複数が同時に感染することで症状が重くなる場合もあります。
感染経路としては、感染した犬のくしゃみや咳による飛沫感染が最も多く見られます。また、感染した犬の唾液や鼻水が付着した水飲み場や食器、おもちゃなどを介した接触感染も考えられます。
感染から発症までの期間は3日から10日程度とされており、この間に他の犬にも感染を広げる可能性があります。
人や他の犬からの感染の可能性
これは、風邪の原因となるウイルスや細菌が、種によって異なるためです。そのため、飼い主が風邪をひいていても愛犬に感染することはなく、逆に愛犬の風邪が飼い主にうつることもありません。
ただし、犬同士の感染には十分な注意が必要です。
特に多頭飼育をしている家庭では、1頭が発症した場合、他の犬への感染を防ぐため、速やかに隔離などの対策を取ることが重要です。また、発症した犬がいる場合は、ドッグランやペットホテルの利用は控えるべきでしょう。
犬の風邪の治療法
症状や重症度に応じて治療方法は異なりますが、早期発見・早期治療が回復への近道となります。
病院での治療|検査・薬・点滴など
治療は、原因となる病原体や二次感染に対する抗生物質の投与のほか、症状に合わせた対症療法を実施します。
鼻水やくしゃみがひどい場合は点鼻薬を、目に症状が出ている場合は点眼薬を使用します。
また、発熱で食欲が落ちている場合は解熱剤の投与や点滴による水分補給を行うことも。免疫力を高めるためにインターフェロンを使用することもあります。
ただし、動物病院によって治療費は異なるので、詳しくは受診時に確認しましょう。
家庭でのケア|保温・栄養・水分補給など
●安静にする
激しい運動は避け、興奮を抑えて安静に過ごさせることが大切です。
特に2週間程度は散歩を控え、他の犬への感染を防ぐとともに、十分な休養を取らせましょう。症状が良くならないまま運動をさせると、回復が遅れる原因となります。
●保温する
室温は22〜25℃、湿度は50〜60%を目安に管理します。
体を冷やさないよう、温度管理には特に注意を払いましょう。温度変化が大きいと症状が悪化する可能性があるため、就寝中や外出中もエアコンなどで室温を一定に保つことが重要です。
●栄養補給する
普段から食べ慣れている食事を与え、十分な栄養を摂取できるようにします。
食欲が落ちている場合は、少量ずつ複数回に分けて与えるなど、愛犬の様子を見ながら工夫しましょう。
●水分補給する
十分な水分補給は、症状の改善に重要な役割を果たします。
水飲み場は常に新鮮な水で満たし、必要に応じてフードに水を混ぜるなどの工夫も効果的です。
犬の風邪の予防方法
特に子犬は生後6週齢を過ぎた頃から風邪にかかりやすくなるため、以下の予防対策をしっかりと実施しましょう。
<犬の風邪 予防対策>
●ワクチン接種
●衛生管理
●免疫力維持
これらの予防策を適切に組み合わせることで、愛犬を風邪から守ることができます。
ワクチン接種
現在、国内で流通している混合ワクチンには、犬パラインフルエンザウイルスや犬アデノウイルスに対応したコアワクチンと、生活環境やライフスタイルに応じて推奨されるノンコアワクチンが含まれています。
子犬の場合、8週齢頃からワクチン接種を開始し、16週齢までの間に2〜4週間の間隔で接種を行います。成犬の場合は年1回の接種で予防が可能です。
ワクチン接種の費用は、動物病院によって異なりますが、一般的に5,000〜10,000円程度です。
衛生管理
特に多頭飼育の場合、1頭が風邪にかかると他の犬にも感染しやすいため、風邪をひいた犬と元気な犬が直接接触しないように気をつけましょう。また、使用した物品はしっかりと消毒する必要があります。
ペットホテルやペットショップなど、不特定多数の犬が出入りする場所での感染にも注意が必要です。このような場所を利用する際は、施設の衛生状態を確認し、適切な管理が行われているところを選びましょう。
免疫力維持
寒暖差が激しい時期や、引っ越しなどの環境変化によるストレスは、免疫力の低下を招く原因となります。
特に子犬を新しく迎え入れた際は、環境の変化による強いストレスを感じやすいため、自宅に慣れるまではゆっくりと過ごさせることが大切です。
温度や湿度の管理を徹底し、十分な休息を取らせることで、免疫力の低下を防ぐことができます。
犬の風邪は早期発見・早期受診が大切
しかし、子犬や高齢犬、持病のある犬では、肺炎など重症化しやすく、命に関わるような深刻な状態に陥ってしまう可能性もあります。風邪の症状に気づいたら、すぐに動物病院を受診することが大切です。
治療には、抗生物質の投与や点滴、吸入治療など、症状に応じてさまざまな処置が必要となる場合があります。診療費の心配なく適切な治療を受けられるよう、ペット保険に加入しておくことをおすすめします。
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監修者まさの森・動物病院 院長 安田賢
日本獣医生命科学大学卒業。
幼少期より動物に興味を持ち、さまざまな動物の飼育経験を持つ。
2012年11月、石川県金沢市にまさの森・動物病院を開業。
・獣医がん学会
・日本エキゾチックペット学会
・鳥類臨床研究会(鳥類臨床研究会認定医)
・爬虫類・両生類の臨床と病理のための研究会
●まさの森・動物病院
※監修は医療情報についてのみであり、ペット保険への加入を推奨するものではありません。