ペット保険はいらない?加入の必要性について解説

ペット保険はいらない?加入の必要性について解説

ペット保険とは、ペットが病気やケガをしたときに補償が受けられる、民間の医療保険です。いざというときに頼りになる存在ですが、「ペットに保険はいらない」「保険料が高いから入らない」「まだ赤ちゃんだから、必要ない」などという声が聞かれることもあります。

この記事では、ペット保険の概要や、加入が必要なケース・必要ないケースなどについて解説します。

ペット保険は治療費の一部を補償する保険

ペット保険とは、犬や猫をはじめとするペットが病気やケガをしたとき、その治療費の一部を補償してくれる医療保険です。基本的に「通院」「入院」「手術」の3つが補償されますが、保険会社や保険商品によって特色が異なります。

人間と違ってペットには公的な保険がありませんから、動物病院でかかった費用はすべて飼い主の自己負担です。入院や手術が必要になった場合は、医療費が数十万円に上ることもあり、家計への大きな負担となるでしょう。場合によっては、費用によって治療をあきらめざるをえないということが起こるかもしれません。

そういった際に、ペット保険に加入していれば一部の治療費が補償されるため、安心してペットに必要な治療を受けさせられます。

ペット保険はいらないと思われている理由

ペット保険には、人の保険のように返戻金や蓄えの要素がなく、税制の控除もありません。基本的には掛け捨てで、病気やケガがなければ無駄になってしまうという考え方もあります。

保険に加入せずに「自分で積み立てて貯蓄する」という考え方もありますが、万が一、ペットが早期に大きな病気になったり、長期の通院が必要になったりするなど、医療費がかさむ可能性があります。ここでは、ペット保険がいらないと思われる理由について見ていきましょう。

すべての病気やケガが補償されるわけではない

ペット保険は、すべての病気やケガが補償されるわけではなく、健康診断や予防接種、避妊手術、サプリメント、時間外費用や往診料などは補償されません。

また、過去にかかった病気によっては、加入できない場合もあります。

掛け捨てである

ペット保険の多くは掛け捨て型であり、保険料が戻ってきません。そのため、「使わなかったらもったいない」と加入をためらう人もいます。

ペットが健康だから必要ない

今のところペットの健康に問題ない、病院に行く機会が少ないという人は、ペット保険が不要に思うようです。

全額補償されない

ペット保険は全額補償されるわけではなく、補償割合(加入者が受け取れる保証金の割合)は多くの場合50%か70%に設定されています。また、支払限度額や利用回数制限が設定されている場合もあります。

免責金額がある

ペット保険には免責金額(加入者が必ず自己負担しなければならない金額)が設定されている場合があります。例えば、免責金額が5,000円に設定されている場合、補償対象となる診療費が5,000円以下の場合は自己負担になります。

ペット保険で補償対象外になるもの

ペット保険で補償対象外になるもの

ペット保険は、ペットの診察費に備えるための保険です。しかし、前述のようにすべての病気やケガが補償されるわけではなく、補償対象外となるものもあります。
ここでは、ペット保険で補償対象外になるものについて見ていきましょう。

既往症や先天性異常の治療

過去に病気が見つかって治療したことがあったり、先天性異常(生まれつきの病気)があったりすると、補償対象外となることがあります。

また、歯周病、膝蓋骨脱臼(パテラ)、椎間板ヘルニア、股関節形成不全など、基本的な病気やケガでも、保険会社によっては補償対象とならない場合があるので注意が必要です。

予防行為

予防接種ワクチン健康診断の費用は補償対象外とされています。これは、予防接種やワクチンが病気の治療ではなく、予防に関わる費用であるためです。

サプリメントや一部の漢方薬

サプリメント一部の漢方薬は民間療法にあたるため、補償の対象外となります。入院中の食餌や療法食 をのぞく、健康食品なども対象外です。

健康体に施す処置(避妊手術など)

去勢や避妊手術の費用は、補償対象外となっています。これは、ペット保険が基本的に病気やケガの治療費を補償するものであり、去勢や避妊手術は健康体に施す処置であるためです。

ただし、ほかの病気(乳腺腫瘍など)の治療の一環として避妊手術を行った場合には、その治療費が補償対象となることもあります。

なお、自治体によっては、犬・猫の去勢・避妊手術の費用の一部を補助してくれるところもありますので、自治体に確認してみてください。

歯石取り

犬が歯周病にかかるケースはとても多く、3歳の犬の80%以上が歯周病にかかっているといわれています。歯周病予防のためには、こまめな歯石取りが大切ですが、歯石取りは、予防美容を目的とした歯科治療となるため、一般的に補償の対象外となります。

ただし、すでに歯肉炎や歯周病などにかかっていて、治療の一環として行われた場合は、補償の対象になることもあります。

なぜペット保険に加入したほうがいい?

なぜペット保険に加入したほうがいい?

ペット保険は任意ですから、必ずしも加入する必要はありません。さらに、上記のように補償の対象とならない病気やケガ、施術もあり、「ペット保険はいらないのでは」と考える人もいるようです。

しかし、そういったことを踏まえても、ペット保険の加入は検討すべきといえます。ここでは、ペット保険に加入したほうがいい主な理由について見ていきましょう。

治療費が高額になってきている

物価の上昇とともに、ペットにかかる治療費も年々増加しています。公益社団法人日本獣医師会の調査によると、前回調査時(2015年)と比較して2021年の診療費の中央値は、初診料で1,386円から1,500円、再診料は726円から750円、時間外診療(深夜)は4,513円から6,250円、健康診断料(1日ドック)は14,021円から16,250円へと上がっています。全体的に診療料金の平均値が引き上げられていることがわかり、高額な治療費に備えるためにも、ペット保険が必要だといえます。

病院によって治療費に差がある

動物病院は自由診療です。診療の料金は病院の規模やスタッフの数などでも変わり、同じ病気・ケガを同じように治療した場合でも、病院によって金額は大きく変わる場合があります。

ペットの病気やケガは予測できるものではなく、いざというときは診療費の安い病院を探す余裕があるとは限らないでしょう。どの病院でもペットに万全な治療を受けさせるため、ペット保険に加入しておくと安心です。

ペットの治療費は自己負担である

人間の場合、国民健康保険などの公的な保険制度があるため、病院の窓口で支払う自己負担額は1〜3割で済みますが、犬や猫などのペットには公的な保険制度がありません。ですから、ペット保険がなければ治療費は全額自己負担です。前述したように、治療費が高額になってきている中で、すべて自己負担だと支払うのが難しい場合もあるでしょう。

また、日本獣医師会が2015年に実施した「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査」では、犬・猫の一般飼育者へのアンケートが行われました。その結果によると、1ヵ月あたりの動物病院での費用犬(大型犬)が平均9,281円、猫は6,991円となっており、月に一度通院すると仮定して、1年間で数万円〜10万円前後の金額が必要になることがわかります。手術や入院が必要になる場合は、さらに治療費が高額になることもあり、1日の入院で数万円、数日の入院と手術で20万〜30万円程かかるケースもあります。

高額の請求に慌てないため、またペットに万全の治療を受けさせるために、前もってペット保険に加入しておくことをおすすめします。

ペットが長寿命化している

一般社団法人ペットフード協会が行った「令和4年 全国犬猫飼育実態調査」 によると、犬の平均寿命は14.76歳(2010年に比べて+0.89歳)、猫の平均寿命は15.62歳(2010年に比べて+1.26歳)となっており、平均寿命は犬・猫ともに延びています。

このように、ペットの平均寿命が延びている背景には、動物医療の発展や飼育環境の向上、ペットフードの品質の向上などが考えられていますが、高齢になるほど病気やケガのリスクは高まります。

加入の制限がある

ペット保険の加入に際しては、多くの場合、年齢制限があり、一般的に8〜12歳程度までとされています。また、過去に病気にかかったことがある場合や、持病がある場合は加入できないことがあります

ペットが年を取って病気やケガが多くなってきて、いざペット保険が必要になったときには、既に年齢条件や持病のために加入できない、などということもあるでしょう。少しでもペット保険の必要性を感じるなら、早めに加入しておいたほうがいいかもしれません。

犬種や猫種でかかりやすい病気がある

ペットの種類や、犬種・猫種によって、かかりやすい病気があります。そういった病気がわかっていれば、治療の費用がかかることも予測できるため、事前にペット保険に加入しておくと安心です。

犬の場合、チワワやマルチーズは心疾患にかかりやすく 、ミニチュアダックスフンドは椎間板ヘルニアにかかりやすいことがわかっています。また、基本的にどの犬種でも発症しやすいのが外耳炎です。軽度の場合は点耳薬を差すだけですが、重症の場合は何度も通院して治療を受けなければなりません。

皮膚炎にかかる犬も多く、通院して薬をもらったり、シャンプーやトリミングに通ったりするケースもあります。さらに、子犬は環境の変化に弱く、免疫力や体力が低いため、ウイルスや寄生虫が原因で下痢・嘔吐が起こりやすくなります。

猫はそもそも虫歯になりにくいですが、歯石の付着により細菌感染が起こると、歯周病になりやすくなります。混血猫の場合はかかりやすい病気が特定しにくいため、歯周病や歯肉炎に注意するといいでしょう。アメリカン・ショートヘアーは、遺伝的に腎泌尿器疾患にかかりやすいとされており、糖尿病などの肥満につながる疾患も多く報告されています。スコティッシュフォールドは、骨軟骨異形成症心疾患にかかりやすいことがわかっています。

日頃からペットの健康管理・口腔管理に気をつけて、健康に過ごせているとしても、長く暮らしているうちに、何らかの病気やケガに見舞われる可能性は否定できません。特に高齢になると、どうしても病気にかかりやすくなってしまうので、治療を受ける頻度も高くなります。

特約を利用できる

保険会社により異なりますが、特約が付帯している保険もあります。特約とは、主契約の補償内容を充実させるためにセットで加入できるオプションのことで、保険会社によって提供される特約や内容は異なります。治療費の補償とは別にさまざまなサービスが受けられますから、そういった面でペット保険への加入を検討してもいいでしょう。ペット保険の主な特約は下記のとおりです。

賠償責任特約
賠償責任特約とは、他人を咬んだり、物を壊したり、他のペットと喧嘩をしたりと、ペットが他人や他人の物に損害を与えたことで、法律上の賠償責任が発生した際の費用をサポートする特約です。

火葬費用特約
火葬費用特約とは、ペットが亡くなったときの火葬費用をサポートする特約です。「葬祭保険金特約」や「セレモニー費用特約」と呼んでいる保険会社もあります。

ペット保険がいらないケース

ペット保険はペットの病気やケガの際に役立つ保険ですが、任意であり、誰でも加入すべきものではありません。下記にあてはまる人は、必ずしもペット保険に加入しなくてもいい可能性があります。

必要な治療内容が補償対象ではない

前述のように、予防のためのワクチン接種や去勢・避妊手術などは、ペット保険では補償されません。また、一部の病気や予防のための歯科治療が補償対象外となっている保険もあります。

このように、受けたい治療が補償対象外になっている場合は、ペット保険は不要と判断してもいいかもしれません。

大切な家族のためにペット保険の加入を

今回は、ペット保険のメリットとデメリットをそれぞれご紹介した上で、ペット保険の必要性について解説しました。ペット保険には、年齢や既往歴などの加入条件があったり、すべての治療費がカバーされなかったりするため、「ペット保険はいらないのでは」との声も聞かれます。

しかし、年々ペットの医療費は上がっており、ある日急に高額な医療費が必要になることもあります。そのようなシーンに備えておくためにも、やはりペット保険は必要といえるでしょう。補償の範囲は保険会社やプランによってさまざまですが、月の保険料が1,000円前後といった低価格に設定されているプランもありますので、お守り代わりとして加入しておくと安心です。

家庭の経済状況やリスクの許容度を考慮した上で、ご自身とペットにぴったり合ったプランを選ぶことをおすすめします。
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