保護猫を迎えるといくらかかる?初期費用と飼育費を解説

保護猫を迎えるといくらかかる?初期費用と飼育費を解説

動物愛護センターなどで保護されている「保護猫」を迎え、猫の里親になるには、さまざまな条件があります。

また、保護猫を迎えるためには、譲渡料や初期グッズの購入費、動物病院の受診費用、毎月の飼育費なども必要です。では、保護猫を迎えるには、全体でいくらくらい準備しておけばよいのでしょうか。

本記事では、猫の里親になるための条件保護猫を迎えるための費用について解説します。猫の里親になるまでの流れや、ペット保険の加入についてもご紹介しますので、これから里親になりたい人や保護猫を迎える準備をしている人は、ぜひ参考にしてください。
まさの森・動物病院 院長 安田賢

監修者まさの森・動物病院 院長 安田賢

日本獣医生命科学大学卒業。
幼少期より動物に興味を持ち、さまざまな動物の飼育経験を持つ。
2012年11月、石川県金沢市にまさの森・動物病院を開業。

※監修は医療情報についてのみであり、ペット保険への加入を推奨するものではありません。

mokuji目次

  1. 保護猫とは動物愛護センターなどで保護されている猫
  2. 猫の里親になるための条件は?
    1. 改正動物愛護法が定める、猫を飼う人義務と責任
  3. 保護猫を迎える際にかかる費用はいくら?
    1. 譲渡料
    2. 迎え入れに必要な初期グッズの費用
    3. 迎え入れ後にかかる動物病院の費用
    4. 保護猫を飼い続けるためにかかる月々の費用
  4. 保護猫の里親になるまでの流れ
    1. 1. 里親募集に応募
    2. 2. 譲渡元のスタッフと面談
    3. 3. トライアルで飼育
    4. 4. 正式に譲渡
  5. 保護猫を迎えたらペット保険への加入がおすすめ
    1. ペット保険加入の際の告知義務
  6. 里親になる際は、保護猫を迎えるためにいくら必要かを確認しておこう

保護猫とは動物愛護センターなどで保護されている猫

保護猫とは動物愛護センターなどで保護されている猫

保護猫とは、飼い主がいない、または何らかの理由で飼い主と暮らせなくなり、動物愛護センターなどで一時的に保護されている猫のことです。動物愛護センターのほか、自治体の保健所、民間の動物愛護団体、個人の保護活動者のもとで保護されているケースもあります。

保護猫が保護されるまでの経緯はさまざまです。迷子になった後に保護された猫や飼い主に捨てられた猫、飼い主の病気や高齢化、引っ越しなどによって飼えなくなった猫などがいます。生後間もない子猫から高齢の猫まで、年齢も幅広い点が特徴です。

環境省の「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」によると、2024年4月1日から2025年3月31日までの猫の引取り数は2万2,010匹頭でした。

また、負傷動物として収容された猫は7,394匹頭で、引取りと負傷動物の収容を合わせると約2万9,400匹頭の猫が自治体などに保護されています。
環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」
猫の引取り数は以前と比べると減少傾向にありますが、今も多くの猫が新しい飼い主を待っている状況です。保護猫を迎えることは、ひとつの命を家族として引き受ける選択でもあります。

迎え入れる前に、費用や飼育環境、最後まで飼い続ける責任について確認しておきましょう。

猫の里親になるための条件は?

猫の里親になるための条件は?

里親とは、保護猫を家族として迎え、一緒に暮らしていく人のことです。

保護猫は、過去に人との生活に慣れていた猫もいれば、屋外で暮らしていた猫、人に対して警戒心が強い猫もいます。そのため、里親になるには、猫の性格や健康状態を理解し、長く安心して暮らせる環境を整えることが求められます。

里親になるための条件は、保護元によって異なります。一般的には、下記のような条件が設けられています。
<猫の里親になるための主な条件>
■家族全員が里親になることに同意している
■最後まで責任を持って飼うことができる
■猫を飼うことができる住居に住んでいる
■室内飼育できる環境がある
■必要に応じて不妊・去勢手術やワクチン接種などを行える
■脱走防止や健康管理に取り組める
単身者や高齢者だけの家庭の場合には、上記の条件に加えて保証人を求められることがあります。これは、万が一飼育が難しくなった場合でも、猫の生活を守れる体制を確認するためです。

また、審査の過程で身分証明書、住居の状況がわかる書類、ペット飼育可能であることを示す書類などの提出を求められることがあります。保護元によっては、収入状況を確認する書類の提出が必要になるケースもあります。

改正動物愛護法が定める、猫を飼う人義務と責任

保護猫の里親になることは、猫を家族として迎えるだけでなく、飼い主としての責任を引き受けることでもあります。令和2年6月に施行された改正動物愛護管理法では、動物取扱業者への規制強化に加え、飼い主の責務もより明確に示されました。

ペットショップやブリーダーなどの業者だけでなく、保護猫の里親を含む一般の飼い主にも、猫の健康や安全を守り、周囲に迷惑をかけないよう適切に飼う責任があります。保護猫を迎える前に、猫を飼う人に求められる主な義務と責任を確認しておきましょう。
改正動物愛護管理法で定める飼い主の主な義務と責任

@飼養保管基準の遵守義務

動物愛護管理法第7条では、動物の所有者や占有者は、環境大臣が定める「動物の飼養及び保管に関する基準」によるものとされています。猫の習性や健康状態に合わせて、適切な食事、住環境、衛生管理、脱走防止などを行うことが必要です。

A終生飼養の原則

飼い始めた猫は、生涯にわたって責任を持って飼うことが原則です。「世話が大変」「引っ越しをするから」などの理由で安易に飼育を放棄することは、動物愛護管理法の理念に反します。やむを得ず飼い続けることが難しくなった場合も、自治体や動物愛護団体に相談したり、譲渡先を探したりするなど、猫の生活を守るための最善の努力が求められます。

B繁殖制限措置の義務化

犬や猫がみだりに繁殖し、適正に飼い続けることが難しくなるおそれがある場合は、不妊・去勢手術などの繁殖防止措置を講じる必要があります。保護猫は譲渡前に不妊・去勢手術が済んでいることも多いため、引き取り前に保護元へ確認しておきましょう。

Cマイクロチップ装着の努力義務と変更登録義務

一般の飼い主によるマイクロチップの装着は努力義務ですが、マイクロチップが装着された猫を譲り受けた場合は、所有者情報を自分の情報に変更登録する必要があります。住所や電話番号など飼い主情報に変更があった場合は、30日以内に変更の届出を行いましょう

D罰則の強化

動物の虐待や遺棄に対する罰則も強化されています。愛護動物をみだりに殺傷した場合は5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金、虐待や遺棄をした場合は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科されることがあります。

※参考:環境省|改正動物愛護管理法の概要動物の愛護及び管理に関する法律が改正されました〈一般飼い主編〉家庭動物等の飼養及び保管に関する基準

かわいさや一時的な気持ちだけで判断せず、猫の一生を支えられるかを家族で話し合ったうえで迎え入れましょう。

保護猫を迎える際にかかる費用はいくら?

保護猫を迎える際にかかる費用はいくら?

保護猫を迎える際には、譲渡料だけでなく、初期グッズの購入費、保護元から自宅までの運搬費、動物病院の受診費用、毎月の飼育費などがかかります。

費用は保護元や猫の健康状態、住んでいる地域、用意するグッズの種類によって異なりますが、目安としては、譲渡料が3万〜5万円程度、初期グッズが2万〜3万円程度です。さらに、初回の動物病院受診や交通費を含めると、迎え入れ時には7万〜10万円前後を見込んでおくと安心です。

譲渡料

保護猫を迎える際に必要になる費用のひとつが、保護元である動物愛護団体や保護施設などに支払う譲渡料です。ペットショップで猫を購入する場合と異なり、保護猫の譲渡料には、猫そのものの価格は含まれないのが一般的です。

譲渡料の主な内訳は、保護中に実施したワクチン接種、不妊・去勢手術、血液検査、寄生虫駆除、マイクロチップ装着、日々の飼育管理などにかかった費用です。金額は保護元によって異なりますが、3万〜5万円程度がひとつの目安になります。
保護時に治療が必要だった猫や、複数回の検査・処置を受けている猫の場合は、譲渡料が高くなることもあります。一方で、自治体の動物愛護センターでは譲渡料がかからない、または実費の一部のみを負担するケースもあります。

譲渡料の有無や金額は保護元によって大きく異なるため、応募前には必ず確認しましょう。

迎え入れに必要な初期グッズの費用

保護猫を迎える際には、自宅で安全に暮らせるよう環境を整える必要があります。最初に最低限必要なものとしては、ケージ、キャットフード、食器、トイレ、猫砂などがあります。

初めて猫を飼う場合は、これらを一から買いそろえることになるため、2万〜3万円程度を目安に準備しておくとよいでしょう。キャットタワーや自動給水器などを追加で用意する場合は、さらに費用がかかります。
迎え入れに必要な主な初期グッズと費用

アイテム

費用目安

ケージ

10,000円〜

キャットフード(初回)

2,000〜6,000円/月

猫用食器円

1,000〜3,000

猫用トイレ+猫砂

2,000〜5,000円

キャットタワー

10,000〜30,000円

おもちゃ・爪とぎなど

1,500〜5,000円

猫が新しい環境に慣れるまでは、落ち着いて過ごせる場所が必要です。ケージは必須ではない場合もありますが、トライアル期間中や先住猫がいる家庭では、生活スペースを分けるために役立ちます。

また、保護元から自宅まで猫を運ぶための交通費も必要です。保護元が遠方の場合は、電車代やガソリン代、高速道路料金などがかかります。譲渡元によっては、スタッフが自宅まで猫を連れてくる際の交通費を里親が負担するケースもあります。

迎え入れ後にかかる動物病院の費用

保護猫を迎えたら、なるべく早い段階で動物病院を受診し、健康状態を見てもらうと安心です。保護元で健康診断やワクチン接種を受けている場合でも、生活環境が変わった後に体調を崩すことがあります。

特に先住猫がいる家庭では、猫エイズウイルス感染症や猫白血病ウイルス感染症などの検査が重要です。保護直後の検査結果だけでは判断が難しい場合もあるため、月齢や保護時の状況によっては、一定期間を空けて再検査を勧められることがあります。
初回の動物病院受診にかかる費用は、検査内容や病院によって異なりますが、下記を目安にしておきましょう。
迎え入れ後にかかる動物病院の主な費用

料金項目

目安金額

初診料

1,000〜3,000円

健康診断

8,000〜15,000円

ウイルス検査(猫エイズ・猫白血病)

3,000〜6,000円

混合ワクチン接種(3種)

4,000〜6,000円

ノミ・ダニ・寄生虫駆除

1,500〜5,000円

合計目安

20,000〜35,000円程度

保護元で検査やワクチン接種が済んでいる場合は、同じ検査をすぐに受ける必要がないこともあります。譲渡時には、ワクチン証明書や検査結果、処置履歴を受け取り、動物病院で見せられるようにしておきましょう。

保護猫を飼い続けるためにかかる月々の費用

保護猫を迎えた後は、毎月の飼育費もかかります。主な費用は、キャットフードやおやつ、猫砂などの日用品、動物病院の費用、ペット保険料などです。

アニコム損害保険株式会社の「家庭どうぶつ白書2025」によると、猫にかける年間支出のうち、2024年の「フード・おやつ」は6万1,283円、「日用品」は1万1,079円、「ワクチン・健康診断等の予防費」は1万3,977円、「ペット保険料」は2万9,791円でした。
※参考:アニコム損害保険株式会社「家庭どうぶつ白書2025

これらを月割りにすると、月々の目安は下記のようになります。
保護猫の毎月の飼育費の目安

料金項目

月々の目安

キャットフード・おやつ

約5,100円

猫砂と日用品

約900円

動物病院(年1回の健康診断・ワクチンを月割)

約1,200円

ペット保険料

約2,500円

上記のほか、病気やケガの治療費、暖房・冷房などの光熱費、キャットタワーやベッドの買い替え費用がかかることもあります。

猫の年齢が上がると、通院や検査の機会が増える可能性もあるため、毎月の費用に加えて、急な医療費に備える余裕も持っておくと安心です。

保護猫の里親になるまでの流れ

保護猫の里親になるまでの流れ

保護猫の里親になるためには、動物愛護センターなどの保護元に問い合わせ、所定の手続きを行う必要があります。里親になるまでの流れは、主に下記のとおりです。

1. 里親募集に応募

保護猫の里親になるには、まず保護元が行っている里親募集に応募します。募集情報は、動物愛護センター、動物愛護団体、動物病院、保護猫カフェなどのWebサイトやSNSで確認できることが多いです。

また、動物愛護団体などが主催する譲渡会で、保護猫と直接会える場合もあります。写真や紹介文だけではわからない性格や雰囲気を知る機会にもなるため、近くで譲渡会が開催されている場合は足を運んでみるのもよいでしょう。
応募時には、家族構成、住居形態、猫の飼育経験、先住ペットの有無、留守番時間などを記入することがあります。猫との相性を確認するための大切な情報なので、正確に回答しましょう。

2. 譲渡元のスタッフと面談

親募集に応募すると、次に譲渡元のスタッフとの面談が行われます。面談の場所は、保護猫がいる施設や譲渡会の会場、または里親希望者の自宅になることがあります。

面談は、保護猫が新しい家庭で安心して暮らせるかどうかを確認するための重要な機会です。スタッフは、猫の性格や健康状態をよく知る立場から、里親希望者の生活環境や希望と合うかどうかを確認します。
面談で主に確認されるのは、生活状況、ペットの飼育歴、家族全員の同意、先住ペットの有無、留守番時間などです。これらを踏まえて、里親希望者の暮らし方と保護猫の性格が合うかどうかが検討されます。

なお、面談時には、提出が必要となる書類や写真があります。忘れずに準備しておきましょう。
<面談を行う際に必要な主な書類等>
■自宅など飼育する場所の写真
■ペットが飼育可能であることを証明する書類(集合住宅や賃貸住宅の場合)
■身分証明書
■家族構成や飼育環境を確認できる書類など
また、植物の中には、猫が誤って口にすると中毒などの症状を起こすものがあります。そのため、自宅にある観葉植物の写真の提出や、室内環境の確認を求められることもあります。

3. トライアルで飼育

面談の結果、保護猫との相性や飼育環境に大きな問題がないと判断されたら、トライアル飼育に進みます。

トライアルとは、正式譲渡の前に、実際に保護猫と暮らしてみる期間のことです。期間は保護元によって異なりますが、数週間から1ヵ月程度設けられることが多いです。

実際に一緒に暮らしてみると、面談だけではわからなかった様子が見えてくることがあります。猫が環境に慣れるまで時間がかかったり、先住猫との相性を確認する必要があったりするためです。
里親希望者は、トライアル期間中に猫との相性や、日々の世話を続けられるかを確認します。また、トライアル中の食事、排せつ、体調、先住ペットとの関係などについて、譲渡元へ報告を求められるケースもあります。

4. 正式に譲渡

トライアル飼育を行い、猫と里親希望者の双方に大きな問題がなければ、正式に譲渡されます。

正式譲渡の際には、譲渡契約書の取り交わしや、譲渡料の支払い、医療記録の受け取りなどが行われます。
以後、保護猫は新たな家族として一緒に暮らしていくことになります。正式譲渡後も、一定期間は譲渡元へ近況報告が必要な場合があります。

保護猫を迎えたらペット保険への加入がおすすめ

保護猫を迎えたらペット保険への加入がおすすめ

猫は環境の変化に敏感な動物です。新しい家に来たばかりの時期は、緊張やストレスから食欲が落ちたり、下痢や嘔吐などの体調不良が見られたりすることがあります。

また、保護猫は保護される前の生活環境がわからないこともあります。見た目には元気でも、後から病気がわかる場合や、年齢を重ねて通院治療が必要になる場合もあるでしょう。

猫の医療費は公的な健康保険の対象外で、基本的に全額自己負担です。病気やケガの内容によっては、治療費が高額になることもあります。
そのため、保護猫を迎えたら、ペット保険に加入しておくと安心です。ペット保険は、保険会社に問い合わせて手続きを行うほか、譲渡元の紹介などで加入できる場合もあります。

ペット保険で受けられる補償は、保険会社やプラン、猫の年齢、健康状態によって異なります。通院・入院・手術の補償範囲、補償割合、支払限度額、免責金額、待機期間などを事前に確認しましょう。

なお、猫が高齢である場合や、すでに病気がある場合は、加入できない、または特定の病気が補償対象外になることがあります。

ペット保険加入の際の告知義務

ペット保険に加入する際は、猫の生年月日、種類、ワクチン接種状況、既往症などを申告する必要があります。これを告知義務といいます。

申告内容に虚偽があると、補償を受けられない、もしくは契約を解除されたりすることがあるため、わかる範囲で正確に伝えましょう。
なお、保護猫のため生年月日や年齢、過去の健康状態がわからない場合は、動物病院で相談し、歯や毛づや、体格などから年齢を推定してもらうとよいでしょう。

譲渡元から受け取った医療記録やワクチン証明書がある場合は、保険加入時にも確認できるよう保管しておくことが大切です。

里親になる際は、保護猫を迎えるためにいくら必要かを確認しておこう

自治体の動物愛護センターなどで保護されている保護猫は、所定の手続きを行うことで譲渡を受け、一緒に生きていくことができます。

ただし、保護猫を迎えるにあたっては、一定の費用がかかるため、いくら必要になるかを事前に確認しておくことが大切です。

なお、保護猫を迎えたら、ペット保険への加入をおすすめします。ペット保険に加入すれば、病気やケガなどの際に適切な補償を受けることができ、基本的に全額自己負担となる費用も軽減できるため安心できるでしょう。

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まさの森・動物病院 院長 安田賢

監修者まさの森・動物病院 院長 安田賢

日本獣医生命科学大学卒業。
幼少期より動物に興味を持ち、さまざまな動物の飼育経験を持つ。
2012年11月、石川県金沢市にまさの森・動物病院を開業。
・獣医がん学会
・日本エキゾチックペット学会
・鳥類臨床研究会(鳥類臨床研究会認定医)
・爬虫類・両生類の臨床と病理のための研究会
まさの森・動物病院

※監修は医療情報についてのみであり、ペット保険への加入を推奨するものではありません。

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