ペットの手術費用が払えない場合の対処法と事前の備えを徹底解説

ペットの手術費用が払えない場合の対処法と事前の備えを徹底解説

ペットには人間のような公的医療保険制度がないため、動物病院での診療費は原則として自己負担です。また、動物病院は基本的に自由診療のため、診療費は動物病院ごとに違います。

そのため、ペットが病気やケガで手術が必要なとき、費用が思わぬ高額に上る可能性もあります。もしも手術費用が払えなければ、ペットの命に関わるかもしれません。

今回は、ペットの手術費用の目安や、高額で払えないときにどうすべきか、対処法を解説します。
まさの森・動物病院 院長 安田賢

監修者まさの森・動物病院 院長 安田賢

日本獣医生命科学大学卒業。
幼少期より動物に興味を持ち、さまざまな動物の飼育経験を持つ。
2012年11月、石川県金沢市にまさの森・動物病院を開業。

※監修は医療情報についてのみであり、ペット保険への加入を推奨するものではありません。

mokuji目次

  1. ペットの手術費用の目安
  2. ペットの治療費・手術費用が高額になる理由
    1. 公的医療保険がなく全額自己負担になるため
    2. 動物病院ごとに料金が異なるため
  3. ペットの手術費用が払えないときはどうする?
    1. 支払いを分割できないか確認する
    2. クレジットカードで支払う
    3. セカンドオピニオンで治療方針を比較する
    4. クラウドファンディングで支援を募る
    5. お金を借りる
    6. ペットローンを利用する
    7. カードローン(フリーローン)を利用する
    8. 助成制度を利用する
  4. ペットの治療を諦める前に知っておきたい大切なこと
  5. ペットの手術費用を払えない事態にならないために
    1. 定期的に健康診断を受ける
    2. ペットの健康を心掛ける
    3. ペットのための貯金をしておく
    4. ペット保険に加入しておく
  6. ペットの手術費用を払えるように備えよう

ペットの手術費用の目安

ペットの手術費用の目安

ペットが病気やケガで手術を受ける場合、手術そのものの費用に加えて、検査費用や入院費、麻酔費用、薬代、術後の通院費などがかかります。そのため、手術費用は内容によって数万円から数十万円に上ることもあります。

公益社団法人日本獣医師会の「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査」(2023年9月発表)によると、ペット(犬と猫)の手術費用は、下記のようになっています。
犬と猫の手術に関する費用(中央値)

内容

費用

全身麻酔

1万1,250円

垂直耳道切除

3万5,000円

胃切除

6万2,500円

膀胱腫瘍切除

6万2,500円

腎臓摘出

6万2,500円

乳腺腫瘍部分切除

2万7,500円

肛門嚢切除

3万5,000円

※公益社団法人日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査」より
ただし、上記はあくまで各診療項目の中央値です。

実際は、このほかに手術前後の検査や入院、手術後の投薬などの費用がかかり、その後も通院が必要になる可能性もあります。

また、ペットのサイズや体重によって使用する薬剤の量が変わるため、同じような治療内容でも費用が異なることがあります。手術の内容や入院日数にもよりますが、比較的よくある手術(異物誤飲による胃切除など)の場合、小型犬や中型犬で20万円程度大型犬で30万円程度猫では20万円程度になることが多いようです。
ただし、椎間板ヘルニアや心臓の手術、進行した腫瘍の全摘手術、難治性の骨折といったケースでは、小型犬や猫であっても50万〜100万円以上になることも珍しくはありません。

手術を検討する際は、必ず事前にかかりつけの獣医師に見積もりを相談しましょう。

ペットの平均寿命は年々延びており、医療に関する費用も増加傾向にあります。ペットに健康に長生きしてもらいたいと思ったら、医療費の備えも必要になってきます。

ペットの治療費・手術費用が高額になる理由

ペットの治療費・手術費用が高額になる理由

ペットの医療費が「思っていたより高かった」と感じる飼い主は少なくありません。その背景には、ペット医療特有の仕組みがあります。

大きく分けると、公的な医療保険制度がないこと、そして動物病院が自由に料金を設定できることの2点が主な理由として挙げられます。

公的医療保険がなく全額自己負担になるため

人間が病院を受診する際、健康保険証を提示すれば原則として費用の3割のみ負担すれば済みます。残りの7割は公的医療保険によって賄われる仕組みです。

一方、犬や猫などのペットには、人間のような公的医療保険制度がありません。動物病院で診察や検査、手術、入院を受けた場合、かかった費用は原則として飼い主が全額自己負担します。

特に手術や入院が必要になった場合には10万円以上になることも珍しくなく、突然の高額出費に直面する飼い主もいます。だからこそ、元気なうちからペット保険や貯蓄といった備えを講じておくことが大切です。

動物病院ごとに料金が異なるため

動物病院の診療費には、一律の公定価格がありません

独占禁止法の規定により、獣医師会などの団体が基準料金を決めたり、獣医師同士で料金を設定したりすることは禁じられています。
※参考:公益社団法人 日本獣医師会|小動物診療料金
つまり、動物病院ではそれぞれの病院が診療料金を設定しているため、同じ手術であっても病院によって費用が大きく異なることがあります。立地や設備、医師の経験・専門性などによっても料金は変動し、場合によっては10万円から50万円と大きな差が生じることもあるのです。

もし提示された手術費用が高額だと感じた場合は、費用の内訳を確認したうえで、必要に応じて別の動物病院でセカンドオピニオンを受けることも検討しましょう。

ペットの手術費用が払えないときはどうする?

ペットの手術費用が払えないときはどうする?

ペットの手術費用を払えなければ、ペットの命に関わる可能性があります。とはいえ、どうしても持ち合わせがないということもあるでしょう。

ここでは、ペットの手術費用が払えない場合に考えられる対処法をご紹介します。

支払いを分割できないか確認する

まずは、動物病院で診療費の分割払いにできないかを相談してみましょう。病院によっては、クレジットカード払いや医療ローン、後日支払いなどに対応している場合があります。

ただし、すべての動物病院が分割払いに対応しているわけではありません。元々分割払いに対応している病院でない限り、対応してもらえた場合は病院側の好意ということになります。
当然のことと思わず、次回また高額な診療費がかかったときに支払えるよう、備えておくことも大切です。

クレジットカードで支払う

動物病院が対応している場合、クレジットカード払いを選択する方法もあります。

クレジットカード会社によっては、一括払いを選択しても、後から分割払いやリボ払いに変更もでき、一時的な支出を抑えつつ、返済を月々に分散させられる点がメリットです。

ただし、リボ払いは手数料が高くなりやすいため、返済計画はあらかじめ確認しておきましょう。

セカンドオピニオンで治療方針を比較する

提示された手術費用が高額だと感じた場合や、治療方針に迷いがある場合は、セカンドオピニオンを受けることも選択肢のひとつです。

セカンドオピニオンとは、現在診てもらっている獣医師とは別の獣医師に、診断内容や治療方針について意見を求めることです。手術が本当に必要なのか、ほかの治療方法があるのかなど、別の専門家の視点から意見を聞くことで、飼い主自身が納得して判断するきっかけになります。
ただし、動物病院の診療費は立地や設備、獣医師の経験・専門性などによっても異なるため、単純な費用の比較にはなじまない点には注意が必要です。

なお、セカンドオピニオンは転院を前提としたものではありません。あくまで別の意見を聞いたうえで、飼い主が納得して治療方針を判断する必要があります。

クラウドファンディングで支援を募る

手術費用を自分だけで用意するのが難しい場合は、クラウドファンディングで支援を募る方法もあります。

クラウドファンディングとは、インターネット上で不特定多数の人から資金を募る仕組みです。ペットの病状や治療内容、必要な費用、支援金の使い道などを説明し、賛同した人から支援を受ける形になります。

ペットの高額な治療費を目的としたプロジェクトも多く立ち上げられており、腎不全や腫瘍の手術費用などに対して、数十万円もの支援が集まった事例もあります。
ただし、実際にはプロジェクトを立ち上げても目標金額に届かないケースも多く、SNSなどでの発信力や共感を呼ぶストーリーがなければ支援が集まりにくいのが実情です。
また、集まった支援金に対して17%前後の手数料が差し引かれるプラットフォームもあるため、手元に残る金額は目標額より少なくなる点にも注意が必要です。

さらに、目標金額に達するまでには一定の時間がかかるのが一般的で、緊急性の高い治療が必要な状況では間に合わない可能性もあります。クラウドファンディングはあくまで選択肢のひとつとして捉え、ほかの資金調達方法とあわせて検討するのがよいでしょう。

お金を借りる

親戚や友人・知人などにお金を借り、ペットの手術費用を工面する方法もあります。

ただし、身内とはいえ、お金の貸し借りはトラブルにつながる可能性があります。借りる場合は、使用目的を説明して納得してもらい、いつ頃どのように返済するのかも話しておく必要があるでしょう。

可能であれば、借用書を作成しておくと安心です。返済の予定を明確にして、期日に遅れないようにしましょう。

ペットローンを利用する

ペットローンは、ペットに関する費用に利用できるローン商品です。

ただし、どの金融機関でも取り扱いがあるわけでははありません。また、用途がペットの購入費用に限定されている場合もあるため、手術費用に使えるかどうかを事前に確認しましょう。

また、基本的にペットローンでは担保や保証人は不要ですが、審査を受ける必要はあります。申し込んでも必ず利用できるとは限らず、即日融資が受けられない場合があることに注意してください。

事前に金利や毎月の返済額を確認し、無理なく返済できるかも検討しましょう。

カードローン(フリーローン)を利用する

カードローンフリーローン)は、用途を限定しないローン商品です。多くの金融機関が取り扱っており、中には申し込んだ当日に融資が受けられるものもあります。

カードローン(フリーローン)もペットローンと同様に担保や保証人が不要ですが、その分金利も高めに設定されている傾向があります。

必要以上に借りると返済の負担が大きくなるるため、手術費用や当面の通院費など、必要な金額を確認したうえで利用を検討しましょう。

助成制度を利用する

ペットの手術費用が不妊・去勢手術に関するものの場合、自治体や獣医師会による助成制度を利用できる場合があります。

動物の過剰繁殖を防ぐ動物愛護の観点から設けられ、一部を負担してもらえる制度です。対象は多くの場合、犬と猫に限られます。

また自治体に犬や猫を登録していること、飼い主がその自治体に住民登録をしていることといった要件を満たす必要があります。
助成制度の有無や金額、申請の方法などは、居住している自治体などで確認してください。

ペットの治療を諦める前に知っておきたい大切なこと

ペットの治療を諦める前に知っておきたい大切なこと

ペットの治療費が高額で、すぐに支払えないと感じたときでも、治療を諦める前にできることがあります

動物病院への相談、支払い方法の確認、セカンドオピニオン、借り入れ、助成制度の確認など、状況によって検討できる方法は一つではありません。

大切なのは、費用だけを理由に自己判断で治療を中断したり、症状を放置したりしないことです。

動物の愛護及び管理に関する法律では、みだりに動物を虐待した者や、正当な理由なく動物を放置して衰弱させた者などに対して罰則が定められています。必要な治療を受けさせないまま放置することも虐待にあたる可能性があります。
※参考:e-GOV法令検索|動物の愛護及び管理に関する法律 第四十四条
「もう年だから仕方ない」、「そこまで重症には見えない」といった自己判断も禁物です。

ペットは痛みや不調を言葉で伝えられないため、見た目だけでは状態を正しく把握することは難しく、症状を軽く見たことで手遅れになるケースもあります。費用面に不安があるとしても、まずは獣医師に相談することを優先してください。

ペットの手術費用を払えない事態にならないために

ペットの手術費用を払えない事態にならないために

ペットの手術費用が払えない場合でも、分割払いやクレジットカード払い、借り入れ、助成制度の確認など、検討できる方法はあります。しかし、高額な治療費が必要になってから慌てないためにも、普段から備えておくことが大切です。

ここでは、飼い主がしておきたいことをご紹介します。

定期的に健康診断を受ける

ペットの病気や体調不良は、初期段階では見た目で判断できないことがあります。

飼い主が気づいたときには症状が進行し、検査や手術、入院が必要になるケースもあります。
健康なときから定期的に健康診断を受け、病気の早期発見につなげることが大切です。早い段階で異変に気づければ、治療の選択肢が広がり、結果的にペットへの負担や診療費を抑えられる可能性があります。

ペットの健康に問題があれば早期に発見できるよう、定期的にペットの健康診断を受けることをおすすめします。

ペットの健康を心掛ける

日頃の健康管理も、医療費への備えにつながります。

ペットの年齢や体調に合ったフードを選ぶ、適度な運動を取り入れる、毎日しっかりコミュニケーションをとるなど、飼い主ができることはたくさんあります。
また、普段からペットの様子をよく見ておくことも非常に大切です。

食欲や飲水量、排泄の状態、歩き方、呼吸の様子、体重の変化などを把握しておくと、いつもと違う変化に気づきやすくなります。
気になる症状がある場合は、早めに動物病院へ相談しましょう。

ペットのための貯金をしておく

ペットが病気やケガをしたときや、ペットのための大きな買い物をするときなどに備えて、ペット専用の貯金をしておくことも必要です。

ただし、生活費や他の目的のための貯金とまとめておくと、うっかり使ってしまうこともあります。いざというときに残高が不足しているという事態を防ぐために、ペットのためだけの貯金として独立させておくことをおすすめします。

ペット保険に加入しておく

ペット保険は、ペットが病気やケガで動物病院を利用した際、診療費の一部、または全額を補償してくれます。

補償内容は保険会社やプランによって異なります。加入する前に手術費用が補償されるのか、補償の割合はどのくらいかなどを確認しておきましょう。
また、ペット保険には加入条件があり、どのペットでも加入できるとは限りません。

特に、持病のあるペットや高齢のペットは加入できない場合があるため、若くて健康なうちに検討することをおすすめします。

詳細な加入条件については、ペット保険会社のWebサイトなどで確認してください。

ペットの手術費用を払えるように備えよう

ペットには公的な医療保険制度がなく、動物病院の診療費は基本的に飼い主が全額負担します。また、自由診療のため、診療費が高額になることがあり、手術を受けることになった場合は、費用が数万円から数十万円に上ることもあるかもしれません。

費用が支払えずにペットに適切な治療を受けさせられない…ということがないよう、日頃から備えておきましょう。お金を貯めておくだけでなく、ペットの健康維持に注意したり、ペット保険の加入を検討したりすることも重要です。

オリコンでは、日本最大級の規模で調査を行い、毎年「ペット保険 オリコン顧客満足度ランキング」を発表しています。保険料はもちろん、ペットの種類別や精算方法別など、さまざまな視点でのランキングをご確認いただけますので、ぜひ保険会社選びの参考にしてください。
まさの森・動物病院 院長 安田賢

監修者まさの森・動物病院 院長 安田賢

日本獣医生命科学大学卒業。
幼少期より動物に興味を持ち、さまざまな動物の飼育経験を持つ。
2012年11月、石川県金沢市にまさの森・動物病院を開業。
・獣医がん学会
・日本エキゾチックペット学会
・鳥類臨床研究会(鳥類臨床研究会認定医)
・爬虫類・両生類の臨床と病理のための研究会
 ●まさの森・動物病院

※監修は医療情報についてのみであり、ペット保険への加入を推奨するものではありません。

PR

ペット保険オリコン顧客満足度ランキング

オリコン日本顧客満足度ランキングの調査方法について
PR

\ 4,662人が選んだ /
ペット保険ランキングを見る