ワクチン接種はペット保険の補償対象?防げる病気や費用について解説
ワクチン代は病気やケガの有無にかかわらず、ほとんどのペットに必要な支出です。そのため、実際の費用の目安と、ペット保険の対象になるかどうかは知っておきたいもの。この記事では、犬や猫のワクチン接種とペット保険の補償範囲のほか、ワクチンの役割や費用について解説します。
■ペットのワクチン接種は保険の補償対象外
■ワクチンで防げる病気
・ワクチンで防げる犬の病気
・ワクチンで防げる猫の病気
■ペットにワクチンは必須?
■ワクチン未接種ではペット保険に加入できない?
■ワクチン接種に必要な費用の目安
・犬のワクチンの費用
・猫のワクチンの費用
■ワクチン接種で注意したいこと
・副反応の可能性がある
・ワクチンには接種回数がある
■ワクチン接種では防げない病気のためにペット保険に加入しよう
ペットのワクチン接種は保険の補償対象外
ペットのワクチン接種は、ほとんどのペット保険で補償対象外です。ペット保険の補償対象はペットの病気やケガの治療費のため、ワクチン接種のように、病気を予防するためにかかる費用や、避妊・去勢手術などの費用は対象とはなりません。
また、ワクチンを接種すれば防げる病気についても補償対象外とするペット保険が多いです。ただし、ワクチン接種後、その有効期間内に病気が発症した場合は補償対象とするペット保険もあります。
ワクチン接種が原因で生じたケガや病気の場合も補償の対象となることがあるため、補償内容は確認しておきましょう。
ワクチンで防げる病気
ワクチンで防げる犬の病気
狂犬病予防接種は狂犬病を予防するもので、犬の飼い主には接種させることが義務付けられています。狂犬病は犬だけでなく人にも感染する、致死率の高い非常に危険な病気のため、必ず接種させなければなりません。
混合ワクチンは複数のワクチンの成分を1つの薬液にまとめたもので、1回の注射で複数の病気を防ぐことができます。混合ワクチンで防げる病気は、下記のとおりです。なお、動物病院によって、含まれるワクチンの種類は異なる場合があります。
3種―犬ジステンパー、犬伝染性肝炎、犬アデノウイルス2型感染症
5種―3種+犬パルボウイルス感染症、犬パラインフルエンザ感染症
6種―5種+犬コロナウイルス感染症
8種―6種+犬レプトスピラ感染症(イクテモヘモラジー)、犬レプトスピラ感染症(カニコーラ)
例えば、犬レプトスピラ感染症は、感染症にかかった動物の糞尿などに傷や粘膜がふれることで感染します。公園の水辺や川などで感染するリスクが高い病気ですから、高齢でリスクの高い場所へ出掛けることがない高齢犬などは、接種の必要性は低いでしょう。
ワクチンで防げる猫の病気
3種―猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症
5種―3種+猫クラミジア感染病、猫白血病ウイルス感染症
このように、ワクチンはペットの生活に応じて選択することが大切です。かかりつけ医と相談の上、検討してください。
なお、猫のワクチンには、混合でなく単体で受けるものもあります。猫白血病ウイルス感染症(FeLV)は混合ワクチンではなく単体でワクチン接種する場合があり、猫エイズ(FIV)を予防するワクチンもあります。
ペットにワクチンは必須?
ペットを連れての海外渡航にはさまざまな定めがあるため、あらかじめ農林水産省の動物検疫所「日本からの犬、猫の持ち出しについて」や、外務省の「駐日外国公館リスト」から各国の大使館のWebサイトなどを確認しておいてください。なお、海外から犬や猫を輸入する場合は、狂犬病の予防接種が必須です。
犬や猫の混合ワクチンについては、義務ではありません。しかし、ワクチンを打つことによって、大切なペットが命に関わる重大な病気にかかることを防げます。健康に問題がないのであれば、ワクチン接種は受けさせておくことをおすすめします。
また、ドッグランやペットホテルなど、利用時に狂犬病だけでなく混合ワクチンの接種証明書を求める施設も少なくありません。ペットと安心してレジャーを楽しむためにも、定期的なワクチン接種が求められます。
とはいえ、ワクチンはペットに負担をかけるものであり、ペットの体調が良くなかったり、アレルギーがあったりすれば、ワクチンを打てないこともあります。そのようなペットは完全室内飼いにする、ほかのペットと密接に関わる場を避けるといった工夫をしましょう。闘病中のペットやアレルギーがあるペットは、かかりつけ医と相談してワクチン接種をするかどうかを決めてください。
ワクチン未接種ではペット保険に加入できない?
申込時にワクチンの接種の有無や接種日などを記入しなければならないこともありますから、接種証明書は大切に保管しておいてください。
ペットの病気は、ワクチンの接種で予防できるものも少なくありません。ワクチンが補償の対象外だからと接種しなかった場合、病気になっても補償が受けられないリスクがあるばかりか、大切なペットの命にも関わります。かかりつけ医と相談の上、適切なワクチン接種を心掛けましょう。
ワクチン接種に必要な費用の目安
※参考:
公益社団法人日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査」
犬のワクチンの費用
狂犬病予防接種は、3,000〜5,000円未満と答えた病院が最も多く59.0%を占めています。次いで2,000〜3,000円未満が37.0%で、中央値は4,000円でした。
狂犬病予防接種の場合、自治体による集団接種で受けることもできます。費用は自治体によって違いますが、3,000円前後の費用のほか、550円の狂犬病予防注射済票の交付手数料がかかります。
・犬混合ワクチン(5種・6種)
犬混合ワクチンは、何種類の病気を防げるかによって価格が違います。多いほど防げる病気は増えますが、その分アレルギー反応が出る可能性が高くなるため、年齢や体調などに合わせて選択する必要があります。
5種・6種の場合は、5,000〜7,500円未満が72.4%と多くを占めていました。中央値は6,250円です。
・犬混合ワクチン(8種・9種・10種)
犬混合ワクチン(8種・9種・10種)の費用は、7,500〜1万円未満が51.7%と最多でした。次いで多いのが、5,000〜7,500円未満の31.1%です。中央値は8,750円でした。
猫のワクチンの費用
猫白血病ウイルス感染症(FeLV)は、感染した猫との接触が主な発症原因です。そのため、完全室内飼いの猫はリスクが低く、猫白血病ウイルス感染症(FeLV)を含まないワクチンを選択する場合もあるでしょう。
費用は、3,000〜5,000円未満の65.4%が最多で、中央値は4,000円でした。
・猫混合ワクチン(FeLVを含む)
外に行くことがある猫は、猫白血病ウイルス感染症(FeLV)のリスクがあるといえます。猫白血病ウイルス感染症(FeLV)は命に関わる病気ですから、リスクが高い猫は接種を検討しましょう。
費用は5,000〜7,500円未満が55.8%で最多、中央値は6,250円です。
・猫ワクチン(FIV)
FIVとは、「猫免疫不全ウイルス」、つまり猫エイズのことです。FIVを防ぐためのワクチンは、混合ワクチンとは別に用意されています。発症の原因は感染している猫との接触と考えられていますが、接種しても100%防げるわけではないとされるため、かかりつけ医と相談して接種を検討しましょう。
ただし、FIVのワクチンは対応外と答えた病院が44.5%で最も多くなっています。費用は、対応している病院では3,000〜5,000円未満が29.6%と1位で、中央値は4,000円でした。
・猫ワクチン(FeLV)
外飼いの猫などに接種するFeLVワクチンも、FIVのワクチンと同様に、対応外の病院が60.4%と半数以上を占めています。対応している病院の中では、ワクチンの費用は3,000〜5,000円未満が20.3%と最も多く、中央値は4,000円です。
ワクチン接種で注意したいこと
副反応の可能性がある
なお、ワクチン接種の費用はペット保険の対象外ですが、ワクチンのアレルギー反応で病院にかかった場合は補償の対象になる可能性があります。詳細は、加入しているペット保険に確認してください。
ワクチンには接種回数がある
接種は、飼い主がワクチンの接種歴を記録して、必要に応じて受けさせなければいけません。かかりつけの動物病院がある場合は、ワクチンのお知らせはがきなどを送ってくれる場合もあります。
子犬や子猫は、混合ワクチンを2〜3回接種することが望ましいです。1回目と2回目のワクチンは、1ヵ月程度あいだを空けましょう。一般的に、子猫は2回、子犬は3回接種します。
子犬は、上記に加えて狂犬病のワクチン接種も必要です。接種するワクチンによっても異なりますが、混合ワクチンを接種後、1ヵ月程度空けて狂犬病ワクチンを接種するなど、間隔を空けて接種することが多いです。そのため、子犬を迎えた後は、定期的に病院に通うことになります。
・成犬、成猫の場合
成犬や成猫は、1〜3年に1回程度ワクチンの接種をします。子犬や子猫の2回目(または3回目)のワクチン接種から1年後を目安に接種しましょう。
狂犬病の予防接種は、通常、毎年4月1日〜6月30日に接種します。ただし、前回の接種がその年の3月2日以降だった場合、その年の接種は必要ありません。
ワクチン接種では防げない病気のためにペット保険に加入しよう
併せて、万一のときを想定した治療費の準備も大切です。ペットが入院や手術をすると、高額な治療費がかかります。安心して治療を受けさせるために、ペット保険への加入を検討しましょう。
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