地方財政の収入を支える「地方債」とは

 「地方債」とは、都道府県や市区町村などが財政収入不足を補うために発行する債券のこと。債券発行という方法で資金を調達している。地方公共団体が発行する公共債ということで、国債や政府保証債に次いで、信用度、安全度が高い債券とされており、購入価格も手ごろな金額がそろう。地域発展に貢献できるメリットもあるが、発行する自治体の財政状況によって利率が異なるため「利回り格差」が生じてしまう側面もある。地方債の特有の特徴やリスク、種類など概要をおさえよう。

「地方債」ってどんな債券? 概要を理解しよう

 「地方債」とは地方自治体が発行する債券のこと。地方自治体は税収や国庫支出金だけで財源が足りないとき、その不足分を補うために地方債を発行する。国債による財源が国の事業に使われるように、地方債による財源は債券を発行した地方自治体内のインフラ整備や公共施設の建築などに使われる。なお、地方債は債務の返済が一会計年度を越えるもののみを指し、会計年度内において返済されるものは「一時借入金」と呼ばれ地方債とは区別される。
 いつ、どんな地方債が発行されるのかは、都道府県や政令市のホームページで確認でき、ほかにも財団法人「地方債協会」や「共同発行団体連絡協議会」もホームページ上でも近日発行予定の地方債の情報などを公開している。
 購入は証券会社や銀行などの金融機関で可能だが、どの金融機関で発行されるかは各地方債によって異なるため確認しておこう。

<表1>地方債の概要

売買

いつ買える

各地方債の発売期間内に購入可能だが、売り切れることがある

どこで買える

証券会社、金融機関

いくらから買える

商品により異なる(1万円以上1万円単位〜)

売買時チェックポイント

中途売却時の市場価格

売買コスト

購入時:なし
中途売却時:あり

途中解約(中途売却)

可能だが手数料がかかる

保有

保有期間

2年〜10年

保有コスト

なし

利率

商品により異なる
(埼玉県5年債:0.254%、大阪府10年債:0.762%など)

性格

使い勝手

満期まで待てばリスクなし

リスク

中途売却価格は市場動向に影響される

リターン

・半年毎の利払い
・中途売却の売却益

利益が出る条件

・満期まで待つ
・市場に売る

損が出る可能性

中途売却の場合、市場動向により可能性あり

こんな人が買い

満期まで待てる人

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地方債の種類

 個人が購入できる地方債には、大きく分けて「公募地方債」と「銀行等引受地方債」がある。公募地方債は「全国型市場公募地方債」、「住民参加型市場公募地方債」、「共同発行市場公募地方債」と種類がある。

【公募地方債】
 公募地方債とは、広く投資家に購入を募る方法により発行される地方債である。発行団体や購入対象者などで3種類に分類される。

全国型市場公募地方債

都道府県と政令指定都市が発行する債券。発行情報は「地方債協会」サイトで公開される。

住民参加型市場公募地方債

債券を発行する自治体に住んでいる地域住民や法人などが購入できる債券。発行情報は「地方債協会」サイトで公開される。

共同発行市場公募地方債

複数の都道府県や市区町村等が共同で発行して、連帯債務を負う債券。発行情報は「共同発行団体連絡協議会」のサイトで公開される。

【銀行等引受地方債】
 銀行等引受地方債とは、地方公共団体の指定金融機関等から借り入れ、または引き受け方法により発行される地方債。
 銀行等引受地方債は縁故債(非公募債)のひとつで「縁故地方債」とも呼ばれ、銀行や保険会社などを対象とした「銀行等縁故債」、地方共済組合などを対象とした「共済等縁故債」などがある。基本的には特定の関係者、縁故者を対象として発行されている。ただし銀行等引受地方債には、証券発行による方法と証書借入による方法があり、すでに発行された銀行等引受地方債のうち、証券発行の方法による銀行等引受地方債は購入できる場合がある。
 銀行等引受地方債は市場公募地方債よりも利率は高いのだが、知名度が低く、発行団体数が多いわりに発行額が小さな銘柄も多い。さらに保有者も偏っていて、流動性(市場での売却のしやすさ)は市場公募地方債に比べて大きく劣っているため、購入時には注意が必要である。

地方債のメリット・デメリット 〜発行団体と財政状況に応じた「利回り格差」とは

 地方債は国債と似ていて、固定金利制で半年毎に利払いがあり、5〜20年の償還期限(満期)がくると元金が償還される仕組みである。購入額は1〜10万円程度のことが多いので購入しやすく、国債同様に安全性が高い点が魅力。一方、発行する地方自治体によって利率が異なるため、そのデメリットも知っておこう。

≪メリット≫
 地方債の大きな特徴は、財政赤字などの場合は新規の発行が制限されることである。また、その償還金の支払いに支障が生じないように、国から交付される地方交付税などによって財源が確保されているため、非常に安全性が高い。
 さらに国債よりも利率が高く、たとえば埼玉県の5年地方債で0.254%(国債固定5年債0.17%)、大阪府の10年地方債で0.762%(国債変動10年債0.48%)となっている。また、自分の生まれ故郷や現在生活している自治体の地方債を購入することで、地域発展に貢献できる点もメリットだろう。

≪デメリット≫
 地方債は償還期間が長期にわたる点と、中途売却すると売却損が発生する可能性が挙げられる。
 次に、地方債は発行する地方自治体によって利率が異なり、一般的に財政がしっかりしている都道府県等の地方債は金利が低く、財政状況の厳しい都道府県等の地方債は金利が高めである。
 2006年には北海道夕張市の財政破たんが明らかになり、地方債の利回り格差が拡大した。現在この利回り格差は縮小傾向にあるが、地方債の流通市場においても地方債の発行団体の財政状況に応じた「利回り格差」は生じている。地方債を購入、中途売却する際には十分注意する必要がある。
※今回の特集内で紹介している情報やデータは2014年1月現在のものです。変更される場合もありますので、ご注意ください。