投資信託の売り時はいつ?失敗しないポイントや売却時の注意点を解説

投資信託の売り時はいつ?失敗しないポイントや売却時の注意点を解説

投資信託で長期投資を行う場合、いつ売却するのかについても考えておかなければなりません。
投資信託は投資商品であるため、最終的には現金化する必要があります。いくら含み益が出ていても、売却のタイミングで値下がりしていれば損失につながるため、投資信託を購入する場合は売り時についても考えておきましょう。

ここでは、投資信託の基本的な考え方や売り時の例、売り時で失敗しないためのポイントのほか、売却時の注意点などについて解説します。

投資信託については、下記の記事をご覧ください。
投資信託とは?始め方やメリット・デメリット、注意点を解説

投資信託の基本は長期保有

投資信託の購入や売却は、いつでも好きなタイミングで行えます。しかし、基本的にはある程度長期的に保有して資産形成を目指すのがおすすめです。
長期保有に向いている投資信託の特長としては、下記の2点が挙げられます。

複利効果が得られる

投資信託には、運用益を投資家に還元する分配金がありますが、分配金を受け取るのではなく、その投資信託に再投資することで複利効果を得ることが可能です。

複利効果とは、再投資された利益がさらなる利益を生むことによって、資産が膨らんでいく効果のことです。

例えば、1万円分購入している投資信託で年4%の分配金が支払われる場合、1年で400円の利益が出ます。これをそのまま受け取った場合は翌年の利益も400円ですが、利益を再投資して元本を1万400円にすれば、翌年の利益は416円になります。税金を考慮しなければ、再投資しなかった場合の2年間の運用益は800円ですが、再投資した場合の運用益は816円です。

16円という差を小さな差と考える人もいるかもしれませんが、長期運用するほど、この複利効果による差は大きくなります。

価格変動の振れ幅を安定させられる

積立形式で定期的に一定額の投資信託を購入する場合は、長期投資によって価格変動の振れ幅をある程度安定させることが可能です。

投資信託は、基準価額が低いときに購入して、高いときに売却すれば利益を獲得できます。
しかし、価格の変動を予測することは困難です。そこで、長期的な積立購入によって、基準価額が高いときも低いときも一定額を購入することで購入価格を平準化し、景気の浮き沈みによる影響を抑える方法があります。このような投資手法を、ドルコスト平均法と呼びます。

金額を指定して積立購入できる投資信託は、ドルコスト平均法による投資を行いやすい投資商品です。
なお、投資信託は積立形式ではなく、スポットで購入することも可能です。

投資信託の売り時

投資信託の最適な売り時は、状況に応じて異なります。売り時に迷う場合は、下記のような考え方を参考にしてください。

目的としていた売却時期が到来したとき

投資信託による資産形成の目的が、結婚、住宅購入、教育費、車の購入費用、老後資金といった形で明確になっている場合は、目的に応じた資金が必要なタイミングで現金化しましょう。

ただし、現金化したいタイミングで基準価額が値下がりしている可能性もあります。資金が必要になる時期が近づいてきたら、売却タイミングを見計らっておくことをおすすめします。

目標金額を達成した時

投資を始めるときに「◯年後までに◯◯◯万円貯める」といった目標を設定している人は、目標額に到達した時点で投資信託を売却するのもひとつの方法です。
売却すれば、基準価額が値下がりして資産が目減りするリスクもありません。

とはいえ、目標達成時点で現金が必要ないのであれば、リスクを覚悟の上でさらに長期保有して、より大きな資産形成を目指すという選択肢もあります。

今後の値上がりが期待できないとき

投資している銘柄の値上がりが期待できない場合も、投資信託の売り時といえます。

投資信託の中には、特定の地域や産業に対して投資を行う銘柄があり、投資先の地域・産業について今後の成長が見込めない場合は、値上がりが期待できません。そのような銘柄を購入している場合は、一度売却して、別の成長を見込める銘柄に投資し直したほうがリターンを期待できるかもしれません。

自分が投資している銘柄の投資先・投資方針を理解して、政治情勢や経済情勢などを随時チェックしておくことが重要です。

長期的な暴落が始まりそうなとき

投資信託の基準価額が暴落して、長期的に回復の見込みがないと考えられる場合は、売却を検討するタイミングです。

長期的に値下がりが続くかどうかは、社会情勢や過去の値動き、専門家の意見などを参考に自分で判断しなければなりません。「基準価額が◯円を下回った場合」など、あらかじめ基準を決めておくと判断しやすいでしょう。

ただし、当面資産を現金化する必要がなく、10年や20年といった長期間保有を続けて値上がりを待てるのであれば、急いで売却しなくても良いケースもあります。

現状よりリターンが見込める投資先を見つけたとき

保有中の投資信託よりも高いリターンを見込める投資商品を見つけた場合、投資信託を売却して別の投資先への投資資金として活用するのもひとつの選択肢です。

投資信託を長期保有していると、社会情勢などの変化により、保有中の投資信託よりもリターンが期待できる投資商品が出てくる可能性があります。

ただし、投資先の信頼性やリスクについては、十分に確認してください。

ポートフォリオの見直しが必要になったとき

ポートフォリオの見直しが必要になったときも、投資信託の売り時といえます。

ポートフォリオとは、資産の構成のこと。どのような投資商品をどの程度の割合で持つかによって、リスクとリターンのバランスが変わります。ポートフォリオを見直す際などに、投資信託を一部売却するケースも少なくありません。

例えば、株式型投資信託と債券型投資信託を50%ずつ保有するポートフォリオを組んでいる場合、株式が値上がりするとバランスが崩れます。そこで、リスクとリターンのバランスを戻すために、株式型投資信託を一部売却して債券型投資信託を購入するといった調整を行うのです。

ほかにも、ライフステージや金融情勢に応じてポートフォリオを組み替えることもあります。

投資信託の売り時を見極めるためのポイント

投資信託の売り時を見極めるためのポイント

投資信託の売り時を見誤ると、損失が発生したり、得られたはずの利益が得られなかったりする可能性があります。投資信託の売り時を見極める際は、下記の2点に注意しましょう。

一時的な値下がりに動揺しない

投資信託の基準価額は日々変動するため、一時的な値下がりに動揺しないことが重要です。基準価額が値下がりしていると不安に感じたりすることもあるかもしれませんが、常に値下がり状態が続くとは限りません。

長期保有を前提として投資信託を購入したのであれば、短期的な値動きを意識しすぎることなく、長い目で利益を目指すことをおすすめします。値下がりの原因を分析して、現金が必要なタイミングや投資の目的なども考慮に入れて冷静に判断することが大切です。

利益が出ただけで全額売却しない

保有している投資信託が値上がりすると、利益を確定させるために売却したくなることもありますが、安易に全額売却しないようにしましょう。値上がりしたからといって即座に保有資産をすべて売却してしまうと、複利効果を得られなくなります。

投資信託で資産形成を行う目的は、住宅の購入や教育資金の用意、老後資金など、さまざまなケースが考えられます。資金が必要なタイミングではないのに早期売却してしまうと、目的を達成するための資産形成ができないかもしれません。値上がりしたからといって、慌てて売却しないようにしてください。

とはいえ、資金が必要なタイミングでも、値下がりしていると売却の判断ができない可能性もあります。一時的に大きく値上がりしているタイミングで利益を確定させたい場合は、一部を売却して一部の保有を継続するという方法も考えられます。

投資信託を売却する際の注意点

投資信託を売却する際には、「期待したほどの利益が得られなかった」という結果にならないよう、あらかじめ売却に関する手続きや制度を理解しておかなければなりません。少なくとも、下記の2点は押さえておきましょう。

申込日と売却・入金まではタイムラグがある

投資信託では、売却の申込みをしてから実際に売却され、入金されるまでにタイムラグがある点に注意してください。

投資信託は、売却注文をしてからすぐに入金されるわけではありません。売却の際の基準価額も、売却注文の後で決定される価格が適用されます。特に、資金が必要で売却を行う場合、間に合うように余裕を持って売却の申込みを行う必要があります。

売却時には税金と手数料がかかる

投資信託の売却益には原則として税金がかかり、売却時の手数料が差し引かれるケースがある点にも注意が必要です。
税金については口座の種別に応じて、下記のように対応が変わります。
<投資信託の税金に関する口座種別ごとの対応>
NISA口座
売却益は非課税のため、確定申告などの手続きは不要
特定口座(源泉徴収あり)
売却額から利益の20.315%の税金を差し引いた金額が入金されるため、確定申告などの手続きは原則として不要
特定口座(源泉徴収なし)
売却額を受け取った後、証券会社が発行する年間取引報告書をもとに必要に応じて確定申告を行い、利益の20.315%の税金を納付
一般口座
売却額を受け取った後、自身で年間の取引状況をまとめ、必要に応じて確定申告を行い、利益の20.315%の税金を納付
また、投資信託の中には、売却額から一定割合を信託財産留保額として差し引く銘柄もあります。
投資信託を売却したからといって、「基準価額×売却口数分の金額」を全額受け取れるとは限らない点に注意してください。

NISAについては、下記の記事をご覧ください。
NISAとは? 初心者が知っておきたい、基本の仕組みと注意点 2024年からの新NISA制度も紹介

投資信託の売り時は、事前に考えておこう

投資信託を現金化するためには売却する必要がありますが、売却のタイミングを誤ると損失につながるおそれがあります。できるだけ多くの利益を得られるように、売却のタイミングや方法について、あらかじめ考えておきましょう。また、リアルタイムでの売却ができない点にも注意しておかなければなりません。

なお、投資信託の購入・売却をしたい場合は、銀行や証券会社での口座開設が必要です。投資信託は銘柄によって運用時・売却時のコストも異なるため銘柄選びが重要ですが、取扱銘柄は金融機関によって異なります。希望に合った投資ができるよう、口座を開設する金融機関も慎重に選んでください。

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