税金はどう支払うの?「ネット証券」の確定申告方法とは
しかし実際には、口座の種類と取引状況によって、確定申告をすべきかどうかが違ってきます。
最初に、「一般口座」の場合を見ていきましょう。一般口座は、1年間の取引による損益を自分自身で計算し、会社員等であれば利益が20万円を超えたら確定申告をしなくてはなりません。利益が年間20万円に満たない程度の少額の取引を長期的に続けたいという人なら、節税効果があるといえるでしょう。
なお、「源泉徴収なしの特定口座」も、取引による年間の損益計算は証券会社が代行してくれますが、利益が年間20万円を超えたら送付される年間取引報告書を基に、自身で確定申告をしなくてはなりません。
ただし、利益が20万円を超えないと税金だけが引かれていくことになりますので、利益が少額にならないよう気を付けましょう。また、上場株式などを売却したことによって生じた損失のうち、その年に控除できない金額分については、確定申告を行うことによって以降3年間は上場株式等の譲渡益や上場株式等の配当所得等から繰越控除ができます。
通算して損失が出た場合には「譲渡損失の3年間繰越控除制度」が利用できると覚えておきましょう。
投資の“損失”は、確定申告で節税!「損益通算」の仕組みを解説
なお、源泉徴収ありの特定口座を別々の証券会社で開設している場合には、一方で損失が出ていたとしても、利益が出ているほうの特定口座で株式を売却すれば税金が引かれてしまうので注意が必要です。損益通算をしても年間で損失が残ることが判明したら、翌年の3月15日までに税務署で確定申告し、損失分をこの先3年の利益と相殺できる「譲渡損失の3年間繰越控除」を利用することをおすすめします。
「所有しているすべての口座の損益を計算し、損をしていることがわかった場合は確定申告する」と覚えておけばいいでしょう。
ネット証券の口座は複数開設するべき?使い分けて利益を増やす方法
通常、特定口座や一般口座で得た取引の利益にかかる税率20.315%に対する税金が、「NISA」を利用した取引にはかからないため、売却益がそのまま手に入るというのが最大のメリットでしょう。このNISA口座のみの取引の場合、損益額に関わらず、確定申告をする必要はありません。
ただし、一人につき1つの口座しか開設できないこと、NISA口座の120万円の未使用の非課税枠の翌年への繰越しはできないこと、購入できる金融商品が年間120万円までであることなど、制限事項もあります。また、売却益や配当金は、購入年を含めて5年間しか非課税にならないことも覚えておいたほうがいいでしょう。
また、NISA口座のほかに複数の証券口座を所有している場合、特定口座と一般口座であれば別々の証券会社でも利益と損失を相殺できますが、片方がNISA口座である場合は損益通算できません。例えば、特定口座で利益が出て、NISA口座で損失が出た場合、NISA口座内の損失分は特定口座の利益と通算ができません。また、NISA口座での損失は、繰越控除ができませんので注意しましょう。
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