地震保険の保険料はいくら?保険料の抑え方も解説

地震保険の保険料はいくら?保険料の抑え方も解説

地震保険保険料は、政策によって規定されています。そのため、保険会社による違いはありません。

一方で、家屋の所在地や構造、耐震性能などによる保険料の違いは発生します。

本記事では、地震保険の補償の対象、保険料がいくらになるかを決める要素、保険料の負担をできるだけ抑える方法など、基礎知識をご紹介します。

地震保険への加入を検討している人や、保険料を抑えたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
AFP/2級FP技能士 吉田祐基

監修者 AFP/2級FP技能士 吉田祐基

ライター・編集者。お客様向けの会報誌や、記事、Webサイト、PDF資料といった各種コンテンツ制作のディレクション業務ほか、Webメディアの運営を担当。

mokuji目次

  1. 地震保険は地震・噴火・津波の損害を補償する保険
  2. 地震保険に加入したほうがいい理由
    1. 大規模な地震に備えるため
    2. 地震の損害は地震保険でしか補償されないため
  3. 地震保険の補償対象
    1. 戸建て住宅の場合
    2. 集合住宅の場合
  4. 地震保険の保険料がいくらになるかを決める要素
    1. 所在地
    2. 構造
    3. 免震・耐震性能
  5. 地震保険の保険金を決める損害区分
  6. 地震保険の保険金が支払われないケース
  7. 地震保険の保険料の抑え方
    1. 長期で契約する
    2. 地震保険料控除を受ける
  8. 地震保険がいくらになるかを把握し、火災保険に付帯しよう

地震保険は地震・噴火・津波の損害を補償する保険

地震保険とは、地震・噴火・津波といった自然災害に備えるための保険です。

地震・噴火・津波によって所有している家屋や家財が損害を受けたときに、損害額が補償されます。

地震・噴火・津波に備えるためには、火災保険に付帯する形で地震保険に加入する必要があります。

通常は、地震保険に単独で加入することはできません。

家屋や家財の損害に備える保険としては火災保険がありますが、火災保険は火災や水災などに備える保険であり、地震・噴火・津波は補償の対象外です。

これは、地震・噴火・津波が発生した際の被害が甚大かつ広範囲に及ぶ可能性があることや、発生確率などが予測しにくいためです。

地震保険は「地震保険に関する法律」にもとづいて運用されており、地震保険料控除といった公的な支援制度も整備されています。

加入率は年々増加傾向にあり、損害保険料率算出機構が公表している「グラフで見る!地震保険統計速報」によると、火災保険に地震保険を付帯する割合は2023年度には69.7%となっています。

地震保険に加入したほうがいい理由

分譲マンションや戸建て住宅などの持ち家に住んでいる人は、地震保険に加入しておくと安心です。

続いては、地震保険への加入をおすすめする2つの理由をご紹介します。

大規模な地震に備えるため

日本は、海洋プレートと大陸プレートの境界上に位置していることから、大規模な地震が発生しやすい環境にあります。

また、四方を海に囲まれていることから、地震に伴って津波の被害が発生しやすいのも特徴です。

地震は自然災害であるため、発生しないようにすることはできません。

地震が起こったときの損害をできるだけ減らし、生活を守れるように備えておくことが大切です。

地震保険に加入することで地震による損害に備えることができ、万一の事態が起きた際も、生活を再建しやすくなります。

地震の損害は地震保険でしか補償されないため

地震による損害は、基本的に地震保険に加入しないと補償を受けられません。

火災や水災などによる家屋や家財の損害は、火災保険でカバーできます。

しかし、火災保険は地震・噴火・津波による被害が対象外です。

地震によるリスクに備えるためには、自分自身で貯蓄しておくか、地震保険に加入するしかありません。

家屋の再建には多大な費用がかかりますから、預貯金ではカバーできない場合が多いでしょう。

このような大きな被害に備えるために、地震保険が必要です。

地震保険の補償対象

地震保険の補償対象

地震保険の補償の対象になるのは、自宅と家財の損害です。

実際の損害額にもとづいて定められた保険金額を上限として、補償を受けることができます。

ただし、現金や有価証券、自動車などは補償対象になりません。30万円を超える貴金属や骨董品も同様です。

30万円を超える貴金属などについては、家財保険の対象にすることは可能ですが、地震保険の対象にはならない点に注意しましょう。

また、自宅の補償については、下記のように戸建て住宅と集合住宅で考え方が変わります。

戸建て住宅の場合

戸建て住宅では、居住用の建物の損害が補償されます。

店舗兼住宅などの場合、店舗部分の損害は補償対象外です。

また、居住用の建物以外の塀や門などが崩れた場合も、補償を受けることはできません。

集合住宅の場合

分譲マンションのような集合住宅では、個人が所有する専有部分が地震保険の補償対象です。

地震で自宅の部屋の天井がはがれた、壁紙がはがれたといった場合は、補償の対象になります。

一方で、マンションのエレベーターやエントランス、階段のような共用部分は、個人の地震保険の補償対象にはなりません。

通常は、管理組合が別途地震保険に加入して補償を受けられるようにします。

また、窓ガラスやベランダについては、マンションの管理規約などによって扱いが異なるため、個別に確認してください。

地震保険の保険料がいくらになるかを決める要素

地震保険は政策にもとづく保険であるため、保険料や補償内容は、どの保険会社で契約しても同一です。

ただし、保険の契約期間や支払方法によって、保険料に違いが生じることもあります。

契約期間や支払方法は任意で決められるため、家計などの状況に合った方法を選びましょう。

地震保険の保険料がいくらになるかは、家屋の「所在地」「構造」「免震・耐震性能」の3つの要素によって決まります。

所在地

地震保険の保険料を決める要素のひとつは所在地です。

地震の発生リスクは地域によって異なるため、都道府県をリスクごとに3つの等地区分を設定し、リスクに応じた保険料率が設定されています。

リスクごとの区分は下記のとおりです。
地震保険の保険料を決める等地区分
・1等地(リスクが低い):
北海道、青森県、岩手県、秋田県、山形県、栃木県、群馬県、新潟県、富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県、滋賀県、京都府、兵庫県、奈良県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、鹿児島県
・2等地(リスクが中程度):
宮城県、福島県、山梨県、愛知県、三重県、大阪府、和歌山県、香川県、愛媛県、宮崎県、沖縄県
・3等地(リスクが高い):
茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県、徳島県、高知県
なお、過去の料率改定の履歴などに応じて、同じ区分の都道府県でも保険料率が異なる場合があります。

構造

家屋の構造も、地震保険の保険料を決める要素のひとつです。

地震保険料の計算では、建物の構造を「イ構造」と「ロ構造」に分類して、保険料に違いを設けています。

地震保険における家屋の構造

  • イ構造:耐火性能または準耐火性能を持つ建物
  • ロ構造:木造などの、イ構造以外の建物
イ構造のほうが、地震発生の際の損害リスクが低くなるため、保険料が低く設定されます。

免震・耐震性能

免震・耐震性能も、地震保険の保険料を決める要素です。

免震・耐震性能に優れた建物に対しては、保険料が割引されます。

割引の種類は下記の4種類で、重複することはありません。

そのため、複数に該当する場合は、最も高い割引率が適用されます。なお、下記の割引率は、住宅と家財の両方に適用されます。
免震・耐震性能による地震保険の保険料の割引の種類
・住宅性能表示制度の「免震建築物」に該当する:50%割引
・住宅性能表示制度の「耐震等級1・2・3」に該当する:等級に応じて10%・30%・50%割引
・現行の耐震基準を満たす:10%割引
・1981年6月1日以降に新築している:10%割引

地震保険の保険金を決める損害区分

地震保険の保険金は、損害を受けた建物や家財の程度に応じて決まるのが一般的です。

実費を請求できるわけではないため、実際にかかった修理費用と保険金の額が一致しない可能性もあります。

損害区分に応じた保険金額は下記のとおりです。

■地震保険の損害区分と保険金額
損害区分 住居の損害 家財の損害 保険金
主要構造部の損害割合 焼失または流出した床面積
全損 時価額の50%以上 70%以上 時価額の80%以上 時価額の100%
大半損 40%以上50%未満 50%以上70%未満 60%以上80%未満 60%
小半損 20%以上40%未満 20%以上50%未満 30%以上60%未満 30%
一部損 3%以上20%未満 なし 10%以上30%未満 5%
実際の損害区分は、保険会社による被害状況の立ち会い調査を経て決まります。

立ち会い調査までに一定の時間がかかることもあるため、片付けなどをする際は被害状況を写真に残しておくことが大切です。

なお、時価額とは、地震保険を契約した際の限度額を指します。

地震保険の保険金が支払われないケース

地震保険の保険金が支払われないケース

地震・噴火・津波によって損害を受けたとしても、地震保険の保険金が支払われないことがあります。

下記に該当する場合、補償の対象になりません。
地震保険の保険金が支払われない主なケース
・損害が一部損未満の場合
・地震発生してから10日以降に損害が生じた場合
・門・塀・垣のみが損害を受けた場合
・補償対象が紛失・盗難に遭った場合
地震保険の対象はあくまでも家屋と家財であり、門や塀などは補償対象外です。

また、損害が一定以下である場合や、地震発生から10日を過ぎてから損害が生じた場合も、保険金は支払われません。

なお、補償対象の紛失・盗難とは、いわゆる火事場泥棒のようなケースなどが該当します。

災害に乗じた盗難や、災害時に家財を紛失した場合は、地震保険でも火災保険でも保険金は支払われません。

地震保険の保険料の抑え方

地震保険の保険料を抑えるには、複数の方法があります。

主な抑え方は下記のとおりです。

長期で契約する

地震保険は長期で契約すると、保険料を抑えることができます。

地震保険には、2年以上の長期契約をして保険料を一括払いすると割引が適用される「長期係数」があります。

長期係数とは、地震保険を長期契約して、保険料を一括払いにすると適用される割引係数のことです。

地震保険の契約期間は最長5年で、契約期間ごとの長期係数と割引率は下記のとおりです。

■地震保険の契約期間ごとの長期係数と割引率

契約期間

長期係数

割引率

2年

1.90

5%

3年

2.85

5%

4年

3.75

6.25%

5年

4.70

6%

例えば、1年間の保険料が4万円の場合、5年間で20万円になりますが、5年契約で一括払いをすると6%割引(1万2,000円引き)で18万8,000円となります。

地震保険料控除を受ける

地震保険料控除は、地震保険料を支払った人が利用できる所得控除制度のこと。

適用を受けることで、所得税や住民税の税額を抑えることが可能です。

具体的な節税額は、収入や支払った保険料によって変動します。

また、地震保険料控除は自己申告制です。

適用を受けるためには、年末調整または確定申告で申告しなければなりませんので、忘れずに毎年申告してください。

地震保険がいくらになるかを把握し、火災保険に付帯しよう

地震保険がいくらになるかを把握し、火災保険に付帯しよう

火災保険に加入する際は、地震保険の付帯も検討することをおすすめします。

大規模な地震が発生する可能性がある日本では、火災保険だけでなく、地震保険にも加入しておくと安心です。

地震保険の保険料は、家屋の所在地や構造などによって決まります。

加入を検討する際は、まずは見積もりを取ってみてください。

保険料がいくらになるかを知ることで、加入期間などを検討しやすくなるでしょう。

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AFP/2級FP技能士 吉田祐基

監修者 AFP/2級FP技能士 吉田祐基

ライター・編集者。編集プロダクションで、Web・紙媒体問わず主に金融系コンテンツの制作を担当後、HRテック企業に制作ディレクターとして入社。お客様向けの会報誌や、記事、Webサイト、PDF資料といった各種コンテンツ制作のディレクション業務ほか、Webメディアの運営を担当。

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