資産運用は30代で始めるべき?始め方やおすすめの運用方法を解説
今回は、30代で資産運用を始めたほうがいい理由や、具体的な資産運用の始め方について解説します。30代の人におすすめの資産運用方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
監修者 AFP/2級FP技能士 吉田祐基
ライター・編集者。お客様向けの会報誌や、記事、Webサイト、PDF資料といった各種コンテンツ制作のディレクション業務ほか、Webメディアの運営を担当。
目次
30代で資産運用を始めたほうがいい理由
20代よりも資産運用できる資金が多い
国税庁が公表している「令和4年分 民間給与実態統計調査」によれば、20代と30代では下記のように平均年収に差があります。
<20代・30代の平均年収>
・20〜24歳:273万円
・25〜29歳:389万円
・30〜34歳:425万円
・35〜39歳:462万円
※国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」
同調査によると全年代の平均年収は458万円であるため、30代後半は平均年収を上回っている人も少なくないことがわかります。月々の支出は人によって差があるものの、20代と比べて30代は余剰資金を確保しやすく、資産運用を始めやすい年代といえるでしょう。
複利効果を長く得られる
例えば、300万円を年利3%で運用するとします。単利の場合、利息は毎年9万円で一定です。複利の場合、2年目以降は元本に利息を加えた金額に対して利息が発生するため、利息が増えます。10年運用した場合の差は次のとおりです。
運用年数 |
単利 |
複利 |
差額 |
1年 |
309万円 |
309万円 |
0円 |
2年 |
318万円 |
318万2,700円 |
2,700円 |
3年 |
327万円 |
327万8,181円 |
8,181円 |
4年 |
336万円 |
337万6,526円 |
1万6,526円 |
5年 |
345万円 |
347万7,822円 |
2万7,822円 |
6年 |
354万円 |
358万2,157円 |
4万2,157円 |
7年 |
363万円 |
368万9,622円 |
5万9,622円 |
8年 |
372万円 |
380万310円 |
8万310円 |
9年 |
381万円 |
391万4,320円 |
10万4,320円 |
10年 |
390万円 |
403万1,749円 |
13万1,749円 |
ライフイベントへの備えが必要になる
備えとして預貯金を増やすという方法もありますが、それだけでは難しいケースが多いと考えられます。金融広報中央委員会の「家計の消費行動に関する世論調査」によれば、各年代の預貯金平均額は下記のとおりです。
<年代別・平均預貯金額>
・20代:131万円
・30代:419万円
・40代:496万円
・50代:705万円
・60代:1,090万円
・70代:954万円
※金融広報中央委員会「(参考)家計の消費行動に関する世論調査[総世帯](令和5年)」
調査結果を見ると、平均預貯金額が最も多い60代であっても1,000万円程度にとどまっているのが実情です。老後の資金も必要であることを考えると、やはり預貯金ですべてをカバーすることは困難でしょう。将来への備えを計画的に進めていくためにも、30代から資産運用を始めたほうが良いといえます。
より詳しい30代の平均資産保有額や預貯金額については、下記の記事をご覧ください。
30代の平均資産保有額・預貯金額は?効率良く資産を増やす方法も解説
30代の資産運用の始め方
1. 目的・目標金額・期間を明確にする
漠然と資産運用を始めるのではなく、「何のために(目的)」「いくら(目標金額)」「いつまでに(期間)」資産を形成するのかを明確にしておきましょう。
2. 現在の資産の合計を把握する
仮に目標金額が2,000万円で現状の資産合計額が300万円なら、残りの1,700万円が運用によって形成すべき資産とわかります。
3. 資産運用に回せる資金を確認する
資産運用に回せる資金を確認することは、現状の収支を見直すきっかけにもなります。使っていないサブスクリプションサービスがないか、補償内容が重複している保険がないかなどを確認・整理していきましょう。家計の見直しを通じて、資産運用に回せる資金を確保していくことも重要なポイントのひとつです。
30代におすすめの資産運用方法
投資信託
・メリット:投資のプロに資産運用を委ねられるため初心者にも始めやすい
投資信託は、投資のプロに資産運用を委ねられるため、資産運用が初めての人でも安心して始められるほか、相場のチェックや売買に時間が割けない人でも資産運用に取り組むことが可能です。複数銘柄へ分散投資ができるため、リスクを抑えることもできます。商品によっては少額から積立投資が可能なものもあるため、まずは少額から資産運用を始めたいという人にも適しているでしょう。
・デメリット:短期間で大きな利益を得ることは難しい
特に積立投資の場合は、短期間で大きな利益を期待するのは現実的ではありません。近い将来に必要な資金を貯めたい場合には、投資信託以外の資産運用方法を検討したほうが良いといえます。また、運用にあたり手数料がかかる点もデメリットのひとつです。商品や手数料は金融機関によって異なることから、複数の商品を比較検討した上で選ぶ必要があるでしょう。
株式投資
・メリット:配当金に加え、株主優待を受けられる場合がある
株式投資では配当金や売却益を得られるだけでなく、企業によっては株主優待を受けられる場合があります。企業が提供するサービスをお得に利用できたり、株主向けの特別なサービスを活用できたりする点は株式投資に特有のメリットです。
また、株主総会にも参加することにより、株主の一人として会社の意思決定に関わることもできます。
・デメリット:株価が下落する影響を受けやすい
株式投資のデメリットとして、株価が短期間で上下することの影響を受けやすい点が挙げられます。企業の業績や経済・社会情勢、国際情勢など、多種多様な要因によって株価が大きく下落することも決して珍しくありません。取得時の株価よりも下落すれば、結果として損をしてしまうこともありえます。すべての資産を株式投資に回すのではなく、ほかの運用方法と組み合わせるのが得策です。
債券投資
・メリット:計画的な資産運用を行いやすく比較的リスクが低い
債券には償還日が定められており、あらかじめ支払われる利息が決まっているため計画的に資産運用に取り組みやすい点がメリットです。また、債券の発行体が破綻しない限り基本的に元本は保証されているため、比較的リスクの低い資産運用方法といえます。リスクを抑えて資産運用に取り組みたい人におすすめの投資先です。
・デメリット:大きなリターンは期待できない
債券投資は比較的リスクが低い一方で、大きなリターンは期待できない点がデメリットです。基本的にローリスク・ローリターンの資産運用方法と捉える必要があります。
また、債券には償還日が定められているとはいえ、万が一発行体が破綻するようなことになれば元本が返ってこない可能性もゼロではありません。
外貨預金
また、円安になった際には為替差益(為替レートの変動により生じる利益)を得られるため、資産を増やすことも可能です。
・メリット:円預金と比べて金利が高い傾向にある
外貨預金は円貯金と比べて高い金利を期待できます。また、あくまでも預貯金であることから、ほかの外貨建て商品と比べて仕組みがシンプルでわかりやすい点もメリットと言えるかもしれません。
・デメリット:為替レートの変動で資産価値が下がる可能性がある
為替レートによっては、預金した時点よりも資産価値が下がる可能性があります。元本が保証されているわけではないため、為替レートを注視していく必要があるでしょう。
また、預け先の金融機関によって手数料が異なる点にも注意が必要です。外貨預金を選ぶ際には、「外貨預金 オリコン顧客満足度ランキング」を参考に比較検討してみてはいかがでしょうか。
外貨預金 オリコン顧客満足度ランキング
NISA
・メリット:運用で得た利益に税金がかからない
資産運用によって得た利益には、通常20.315%の税金が課されます。一方、NISAであれば利益が非課税となるため、手元に残る利益が減らないという点が大きなメリットです。
また、金融機関によっては数百円など少額からでも始められるため、資産運用が初めての人にとってハードルが低いというメリットもあります。
・デメリット:元本割れのリスクがある
NISAの投資対象となるのは投資信託や個別株となるため、運用結果によっては元本割れとなるリスクもゼロではありません。必ず利益が出ると保証されているわけではない点に注意が必要です。
iDeCo
・メリット:節税効果が期待できる
毎月の掛金が全額所得控除されることに加え、運用益が非課税となるため、節税効果が期待できる点がiDeCoの大きなメリットです。月5,000円の掛金から始められるため、まずは少額から資産運用に取り組みたい初心者にも適しています。
・デメリット:60歳まで資産を引き出せない
iDeCoは、原則60歳まで運用する必要があります。そのため、資金繰りが苦しくなったり、教育費などまとまった費用が必要になったりした場合に、iDeCoに積み立てたお金を引き出すことはできません。iDeCoは老後資金を準備するためのひとつの手段と捉え、ほかの資産運用方法も組み合わせて考える必要があるでしょう。
30代で資産運用を始めるときの注意点
また、余剰資金の範囲内で運用するよう徹底していくことも重要です。直近で必要な資産や、近い将来必要になる可能性の高いお金をあらかじめ洗い出し、余裕を持って資産運用に回せる金額を明確にしておいてください。
なお、金融機関によって手数料は異なります。手数料が高ければ高いほど、売買したり引き出したりする際に手元に残るお金が少なくなってしまいます。投資先を選ぶ際には、必ず複数の金融機関を比較検討しておくことが大切です。
30代は資産運用を始めるのに適したタイミング
資産運用方法は複数ありますが、円貯金よりも金利が高い傾向にあり、仕組みが比較的わかりやすい、外貨預金も選択肢のひとつです。金融機関によって手数料や金利などが異なるため、外貨預金を始める際には、十分に比較検討することをおすすめします。
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外貨預金 オリコン顧客満足度ランキング
監修者 AFP/2級FP技能士 吉田祐基
ライター・編集者。編集プロダクションで、Web・紙媒体問わず主に金融系コンテンツの制作を担当後、HRテック企業に制作ディレクターとして入社。お客様向けの会報誌や、記事、Webサイト、PDF資料といった各種コンテンツ制作のディレクション業務ほか、Webメディアの運営を担当。