資産運用の適切な割合は?預貯金と投資のバランスや注意点を解説

資産運用の適切な割合は?預貯金と投資のバランスや注意点を解説

資産運用には大きく分けて「預貯金」と「投資」という2つの方法があります。資産運用を始めるにあたって、手元の資産のうちどれだけの割合を投資に回したらいいのか、迷っている人も多いのではないでしょうか。

今回は、資産運用における預貯金と投資の適切な割合を考える際のポイントを解説します。初心者におすすめの資産運用方法や、知っておきたい制度も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
高見陽子

監修者高見陽子

ファイナンシャルプランナー/金融・法律ライター
元大手銀行で個人営業を担当。現在は資産形成・相続・ライフプランなどの執筆や監修を行い、コンテンツ制作やSNSを通じた情報発信を支援している。

mokuji目次

  1. 日本人と世界の資産運用における割合の現状
    1. 【データで比較】日本人と欧米の金融資産の割合
  2. 【年代・世帯別】日本の平均的な貯金と投資の割合
  3. あなたに最適な貯金と投資の割合を決める3つのステップ
    1. ステップ1:投資に回せる「余剰資金」を計算する
    2. ステップ2:リスク許容度から投資と貯金のバランスを考える
    3. ステップ3:年代別のモデルを参考に資産の割合を調整する
  4. 投資割合が決まったら|初心者におすすめの資産運用と制度
    1. 少額から始めやすい投資信託や外貨預金
    2. 税金の負担を減らせるNISA・iDeCoの活用
    3. 定期的な見直しで理想の資産バランスを維持する
  5. 預貯金・投資の適切な割合を理解して資産運用を始めよう

日本人と世界の資産運用における割合の現状

日本人と世界の資産運用における割合の現状

資産運用を始める前に、まずは日本人の資産配分の現状を把握することが重要です。日本は諸外国と比較して現金・預貯金の保有比率が非常に高く、投資に対して消極的な傾向が見られます。

とはいえ、資産運用への取り組み方は、年代や世帯構成によってさまざまです。ここでは、具体的なデータを使って日本と欧米の金融資産の違いを比較し、年代・世帯別の平均的な貯金と投資の割合を解説していきます。

【データで比較】日本人と欧米の金融資産の割合

初めに、日本と世界の資産運用の割合を比較してみましょう。結論からお伝えすると、日本は米国やユーロ圏に比べて現金や預貯金の保有比率が高く、投資に対して消極的な傾向が見られます。

各国やエリアの平均的な金融資産構成は、下記のとおりです。

日本と米国、ユーロ圏の平均的な金融資産構成

日本と米国、ユーロ圏の平均的な金融資産構成

※日本銀行調査統計局「資金循環の日米比較」(2023年8月)
日本における平均的な金融資産構成のうち、現金・預貯金が占める割合は54.2%であるのに対して、米国では12.6%、ユーロ圏では35.5%といずれも日本より低いことがわかります。

しかし、日本では長年にわたって超低金利が続いており、預貯金による利息収入はほとんど期待できません。よって、投資によって積極的に資産を増やすことが求められます

【年代・世帯別】日本の平均的な貯金と投資の割合

次に、世帯構成と年代による資産配分の違いを見てみましょう。金融広報中央委員会の調査によると、単身世帯の金融資産保有額は平均989万円2人以上世帯では1,374万円となっています。

興味深いのは、どちらも預貯金の割合が30%台とほぼ同水準である点です。ただし単身世帯では投資の割合が45%と高く、2人以上世帯では保険の割合が22%と高くなっています。これは家族を持つ世帯がリスクに備える傾向を示しています
■単身世帯と2人以上世帯の資産運用の割合
単身世帯 2人以上世帯
金額 割合 金額 割合
金融資産保有額 989万円 100% 1,374万円 100%
預貯金 362万円 37% 582万円 42%
保険 152万円 15% 250万円 18%
投資(有価証券) 449万円 45% 481万円 35%
そのほか 28万円 3% 60万円 4%
参考:J-FLEC「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)のポイント」をもとに、当社が作成
年代別では、20代から70代まで金融資産保有額は増加しますが、預貯金の割合は常に約40〜50%を維持しています。投資の割合も30%台で安定しており、年齢を重ねても日本人の保守的な資産運用スタイルが続いていることがわかります。

あなたの年代や世帯構成と比較して、現在の資産配分を見直してみましょう。
■年代別 金融資産保有額と割合

金融資産保有額

預貯金

保険

投資

その他

20代

151万円

49.7%

17.9%

31.1%

2.0%

30代

599万円

47.9%

11.7%

37.2%

3.2%

40代

811万円

41.9%

20.7%

32.9%

4.2%

50代

1,212万円

39.8%

20.3%

33.9%

5.9%

60代

1,862万円

43.6%

18.1%

35.7%

2.7%

70代

1,683万円

44.1%

17.0%

37.6%

1.3%

※金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[総世帯](令和5年)」をもとに、当社が作成

あなたに最適な貯金と投資の割合を決める3つのステップ

あなたに最適な貯金と投資の割合を決める3つのステップ

次は、あなた自身に最適な貯金と投資の割合を決めていきましょう。適切なバランスを見つけるためには、資産額や将来の計画を総合的に考える必要があります。

ここでは、実践的な3つのステップを紹介します。ひとつめは、投資に回せる「余剰資金」の計算です。次に、あなたのリスク許容度を把握して投資と貯金のバランスを決定します。最後に年代別のモデルを参考にして、現実的な資産配分に調整していきます。

この3ステップに沿って進めることで、無理のない範囲で効果的な資産運用を始められるでしょう。

ステップ1:投資に回せる「余剰資金」を計算する

資産運用の第一歩は、投資に回せる「余剰資金」を正確に把握することです。余剰資金とは、日々の生活に必要な資金と、近い将来使い道が決まっている資金を差し引いた残りの資金を指します。

まずは手持ちの資産を3つに色分けしましょう。「資産を色分けする」とは、「生活に必要な資金」「近い将来使う資金」「当面使わない資金」に分類することを指します。

「生活に必要な資金」は、食費や住宅費、急な医療費などがあてはまります。目安として3〜6ヶ月分の生活費を確保し、予期せぬ出費に対応できるようにしましょう。「近い将来使う資金」は、住宅購入費や子供の教育費など、数年以内に支払う必要がある資金を指します。

これらを差し引いた「当面使わない資金」が、投資に回せる余剰資金です。生活に必要な資金まで投資に回してしまうと、急な出費や人生設計計画に支障をきたすリスクがあるため、慎重にお金を色分け計算しましょう。
■資産運用における預貯金と投資の割合

資産運用における預貯金と投資の割合

ステップ2:リスク許容度から投資と貯金のバランスを考える

次に、自分のリスク許容度に応じて預貯金と投資のバランスを決めましょう。リスク許容度とは、投資でどの程度の損失まで許容できるかを表す度合いのことです。

基本的な資産配分のモデルは3つあります。
安全性重視型…預金70%、投資30%で、老後資金の運用や短期の資金需要に適しています。
バランス型…50%ずつで、現役世代の中長期運用に最適です。
積極運用型…預金30%、投資70%で、若年層の長期投資に向いています。
安定した収入がある場合や緊急時の予備費が十分にある場合は、比較的高いリスクを許容できるでしょう。一方で、将来の収入が不透明な場合や家族を養う責任がある場合は、リスク許容度を低めに設定することが重要です。

ステップ3:年代別のモデルを参考に資産の割合を調整する

最後に、年代に応じたモデルを参考にして資産配分を調整しましょう。年齢によってリスクの取り方や運用期間が変わるため、それぞれに適した割合があります。

若年層(20代・30代)は将来の収入増加が期待でき、運用期間も長いため積極運用型(預金30%・投資70%)が適しています。

中年層(40代・50代)は収入が安定する一方で支出も増えるため、バランス型(50%ずつ)が現実的です。

高年層(60代以降)は蓄えた資産を守ることが中心となるため、安全性重視型(預金70%・投資30%)がおすすめです。

また、投資金額によっても戦略を変える必要があります。投資金額が50万円以下の少額の場合は、では積立投資でリスク分散を図りましょう。一方で、100万円以上のまとまった資金がある場合は、株式や外貨預金などに分散投資することが効果的です。

投資割合が決まったら|初心者におすすめの資産運用と制度

投資割合が決まったら|初心者におすすめの資産運用と制度

投資に回す資金の割合が決まったら、次は具体的な運用方法を選択していきましょう。資産運用の初心者には、仕組みがわかりやすく少額から始められる方法がおすすめです。

ここでは、初心者でも取り組みやすい投資信託や外貨預金の特徴について解説し、税制優遇制度であるNISAやiDeCoの活用方法もご紹介します。

また、資産運用は一度始めたら終わりではなく、長期的に続けていくものです。定期的な見直しによって理想的な資産バランスを維持する方法についても説明していきます。

これらのポイントを押さえることで、安心して資産運用をスタートできるでしょう。

少額から始めやすい投資信託や外貨預金

初心者が資産運用を始める際は、投資信託と外貨預金がおすすめです。

投資信託は多数の投資家から集めた資金を金融の専門家が運用する仕組みです。専門家に運用を任せられるため、個別銘柄の選択や売買のタイミングで悩む必要がありません。少額から投資できるため、初心者でも始めやすいでしょう。

デメリットは販売手数料や信託報酬などのコストがかかる点です。元本保証がないため、市場の変動によって元本割れのリスクがあります。

一方、外貨預金は円を米ドルやユーロなどの外国通貨に換えて預金する方法です。国内での預貯金よりも高い利息収入を得られることが多く、円安が進めば為替変動による利益も、為替変動による利益や利息収入が期待できます。

仕組みがわかりやすくお金の出し入れも比較的容易なため、こちらも初心者向けの資産運用方法として人気があります。

どちらも少額から始められるため、まずは無理のない範囲でスタートしてみましょう。

税金の負担を減らせるNISA・iDeCoの活用

資産運用の効率を高めるためには、NISAやiDeCoといった税制優遇制度のを活用するのもひとつの方法です。NISAは、株式や投資信託によって得た売却益や配当金に対し、一定額まで税金がかからない制度です。

NISAには「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の2つの投資枠があります。

「成長投資枠」は積極的な資産増加を目的とし、年間240万円まで非課税で投資できる投資枠です。「つみたて投資枠」は、長期的な視点で資産を積み立て、リスクを分散しながら運用するのに適しており、年間120万円までが非課税対象となっています。

iDeCoは、自分で決めた金額を積み立てて運用し、60歳以降に受け取る私的年金制度です。所得税や住民税の節税効果に加えて運用益も非課税になります。

ただしiDeCoで積み立てたお金は原則として60歳まで引き出せないため、老後の資金作りなど長期的な資産形成を目的とする場合に適しています。

NISAとiDeCoの両制度とも、節税しながら資産形成ができる魅力的な制度です。

定期的な見直しで理想の資産バランスを維持する

資産運用は開始後も定期的な見直しが欠かせません。市場の変動により投資商品の価値が上下すると、当初設定した預貯金と投資の割合が変わってしまうためです。預貯金と投資の割合が変化した場合、元の配分に戻す「リバランス」という調整を行います。

例えば、投資信託の価値が上がって投資の割合が増えると、リスク許容度を超える可能性があるため、一部を売却して預貯金に移すことで元の配分に戻します。

資産バランスの見直しは、年1〜2回の定期的なチェックに加えて、結婚や住宅購入、転職など生活に変化があったタイミングがおすすめです。ライフイベントによってリスク許容度が変化する場合があるため、収入と支出の状況に合わせて資産配分を見直す必要があります。

継続的な見直しにより、理想の資産配分を維持しながら安心して資産運用を続けられるでしょう。

預貯金・投資の適切な割合を理解して資産運用を始めよう

資産運用における預貯金と投資の割合は、目標額や資産運用の期間のほか、リスク許容度、投資できる金額など、複数の要素を総合的に判断して決めることが重要です。資産運用の基本と注意点を理解したら、実際に資産運用に挑戦してみましょう。

初心者には、仕組みがわかりやすくお金の出し入れも比較的しやすい外貨預金がおすすめです。オリコンでは日本最大級の規模で調査を行い、毎年「外貨預金 オリコン顧客満足度ランキング」を発表しています。

外貨預金を始めるにあたって知っておきたい取引メニューや手数料、金利の満足度など、さまざまな視点のランキングを発表していますので、外貨預金選びの参考にしてください。
高見陽子

監修者高見陽子

ファイナンシャルプランナー/金融・法律ライター
元大手銀行で個人営業を担当。現在は資産形成・相続・ライフプランなどの執筆や監修を行い、コンテンツ制作やSNSを通じた情報発信を支援している。

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