資産運用でよくある失敗は?リスクや成功のためのポイントを解説

資産運用でよくある失敗は?リスクや成功のためのポイントを解説

少子高齢化や将来の年金受給額への不安、物価の上昇などにより、コツコツと納めている年金保険料だけでは老後の生活を十分に支えることが難しくなっています。ゆとりある老後を過ごすには、自己資産を効果的に運用して増やす努力が欠かせません。

しかし、資産運用にはリスクが伴います。成功が保証されているわけではなく、十分な知識を持たずに投資を始めると、大きな損失が出る可能性があります。

今回は、資産運用のリスクとよくある失敗例とともに、資産運用を成功へ導くためのポイントを解説します。

資産運用とは?

資産運用とは、現在持っている資金(資産)をさまざまな金融商品に配分することで、効率的に増やす方法です

従来の資産運用は、資産を銀行に預け、利息を得て手元の資金を増やすという方法が主流でした。しかし、現在の日本では金利が非常に低いため、日本円での預金では利息がほとんどつきません

そこで、円での預金から外貨預金へのシフトや、株式や債券、投資信託などの金融商品への投資が注目されています。投資された資金は国や地方自治体のほか、企業などの成長のために使われ、利益が出ると投資した人に還元される可能性があります。

元本割れのリスクがないわけではありませんが、単に銀行に預けておくよりも資産が増える可能性が高く、将来の不安に備える方法として有効です

資産運用のリスク

資産運用のリスクとは、投資した金融商品が持つ不確実性のことです。

一般的に「リスク」と聞くと「危険」という意味に思えますが、投資の文脈では「リターン(資産運用が成功したときに得られる収益、または失敗したときの損失)の変動幅」を意味します
資産運用で投資する金融商品は、さまざまな外部要因によって価値が変動するため、必ずしも期待どおりの利益を得られるとは限りません。

投資を始める際は、予想されるリスクを事前に理解し、不要なリスクを避けることが大切です。投資における主なリスクは、下記のとおりです

価格変動リスク

資産運用には、金融商品の価格が変動するリスクが伴います。例えば、株式に投資した場合、投資先の企業の業績や経済状況、社会情勢などによって、株価は1日のあいだ、もしくはわずか数分のあいだに大きく変動することがあります

株価を扱っている投資信託も同様に、金融商品の価格が変動します金融商品に投資する際には、常に価格変動リスクを考慮することが必要です

為替変動リスク

資産運用には、為替の変動によるリスクが存在します。外貨預金や外国の金融商品への投資を行うと、円と外貨との為替レートの変動によって、外貨建て資産の円換算額が変動します

もし、投資の対象が日本国内の金融商品に限られている場合、為替変動リスクの影響はほとんどありません。しかし、世界的に影響の大きいリーマンショックのような事態が発生した場合には、日本の市場にも影響を及ぼす可能性があります。

信用リスク

資産運用におけるリスクとしては、債券や株式を発行している国や企業が財政破綻や経営破綻によってデフォルト(債券の利払いや償還ができなくなること)に陥ってしまう信用リスクも考えられます。そういった事態が起こった場合、金融証券の価値が下落するだけでなく、投資元本が償還されないおそれもあります

リスクを避けるために、安定性のある企業に投資することや、定期的に投資先の状況を確認することを忘れないようにしましょう

流動性リスク

資産運用のリスクのひとつとして、流動性リスクも挙げられます。流動性リスクとは、投資した金融商品を売却したいときに、すぐに売ることができない、または希望どおりの価格で売ることができないリスクのことです

例えば、保有している金融商品を売ろうとした際、市場の状況が不利で、希望価格での取引が難しい状況が流動性リスクのひとつです。このリスクは、商品の現金化のしやすさを表す指標ともいえます

特に、不動産のように換金までに時間がかかる商品は、流動性リスクが高いとされます

資産運用に失敗しやすい人の特徴とは?

資産運用に失敗しやすい人の特徴とは?

適切な知識や情報を持たずに資産運用を始めると、失敗の原因になります。資産運用に失敗しやすい人には、以下のような特徴があります

資産運用の目的が明確でない人

資産運用で失敗する人の多くは、目的を持たずにお金を増やそうとする傾向があります

資産運用は、目的がマイホームの購入資金なのか、老後資金なのかといった目的によって、目指すべき金額や選ぶべき金融商品が変わります。明確な目標がない場合、日々の市場の変動に一喜一憂したり、頻繁に商品を変更したりすることで、結果的に資産を増やすことが難しくなります

金融庁の「資産運用シミュレーション」などを利用して、目標達成に向けた計画を立て、計画にもとづいた運用をしましょう

資産運用に関する知識がないまま金融商品を購入してしまう人

資産運用に関する知識を持たず、安易に金融商品を購入してしまう人は、資産運用に失敗しやすい傾向があります

特に、勉強や情報収集を怠り、知人や営業担当者のすすめだけに頼って投資するのは避けるべきです。金融商品はそれぞれリスクとリターンの特性が異なり、投資する人の目標や、投資でどの程度までのリスクを取ることができるのかを表す尺度である「リスク許容度」などによって、適切な商品も変わります。他人の意見や市場のトレンドに流されると、予期せぬ損失を出してしまうかもしれません。

手元にあるお金をすべて投資につぎ込んでしまう人

余剰資金を使わず、手持ちの資金をすべて金融商品に使ってしまう人も、資産運用に失敗する可能性が高いです。

資産運用は、日常生活に必要な資金や近い将来に必要になる資金を確保した上で、余剰資金を使って行うべきです無理のない範囲内での投資を心掛けましょう

短期間で利益を出そうとする人

焦って短期間で利益を出そうとする人も、資産運用に失敗しやすいでしょう

資産運用には、長期的な視点が必要です。短期間で大きな利益を出すことを目指すと、価格変動の大きいハイリスクな金融商品に手を出したり、小さな値上がりで慌てて売却したりしてしまい、安定的な収益を上げることが難しくなります。

分散投資をしない人

1つの金融商品に集中投資をする人も、資産運用に失敗するリスクが高いでしょう。1つの金融商品に集中投資をすると、その商品の価格が大幅に下落した際に損失が大きくなります。

回復が難しいほどの大きな損失を出してしまうと、結果として損失を出したまま資産運用から手を引かざるをえなくなることもあります。特に、ハイリスク・ハイリターンの商品への集中投資は危険です。

専門家に運用をすべて任せてしまう人

専門家に資産運用をすべて任せている人も、資産運用に失敗しやすい傾向があります

投資において絶対的な正解はなく、専門家も判断を間違えることがあります。特に、金融商品を販売する担当者がすすめる自社の商品は、必ずしも個人投資家の目標やリスク許容度に合っているとは限りません。

専門家にすべての判断を任せるのではなく、みずからも投資に関する知識を身につけ、積極的に意思決定に関わることが大切です

資産運用に失敗しないための6つのポイント

資産運用に失敗しないための6つのポイント

資産運用に失敗しないためには、資産運用の知識を身につけたり、投資のルールを決めたりするなど、いくつかポイントがあります。次に挙げる6つのポイントを押さえておきましょう

資産運用の知識を身につける

正しい知識を持つことで、資産運用の大きな失敗を避けることができます。

まずは資産運用の知識をしっかりと身につけ、各金融商品の特徴を理解し、自分の投資目標やリスク許容度に合った商品を選ぶことが重要です。また、運用をスタートした後も、経済や市場の動向、社会情勢に注目し、常に適切な投資判断を行うよう心掛けましょう

資産運用の目的を明確にする

資産運用に失敗しないためには、資産運用の目的を明確にすることも大切です投資を行う際には、「いつまでに」「いくらの資産を」「どのように使うのか」という目的を事前に決めるようにしてください

例えば、子供の教育資金を準備する目的で投資を行う場合、必要な学費や入学金、受験費用などを詳細に計算します。これにより、目標達成に適した利回りの金融商品を選ぶことができるでしょう。

投資のルールを決める

自分の投資目標やリスク許容度に沿った投資のルールを決めておくと、資産運用に失敗しにくくなります

投資ルールを設定することで、市場の日々の変動に惑わされず、適切なタイミングで追加投資や撤退の判断をすることができます運用する期間や目標の達成水準のほか、撤退・継続の判断基準などのルールを明確にしておき、そのルールを厳守することが重要です

ルールを決めることで、感情に流されることなく、計画的な資産運用を行うことができます

余剰資金を使って投資をする

資産運用の失敗を避けるために、投資は余剰資金を使って行うことをおすすめします

生活費や、近い将来に必要となる教育資金、住宅購入費用などは、現金化しやすいよう預貯金などで管理し、投資には回さないようにしましょう

分散投資・長期投資をする

分散投資・長期投資も、資産運用で失敗しないためのコツのひとつです

異なる特性を持つ複数の金融商品に投資することでリスクを分散し、長期間にわたって安定した収益を目指しましょう長期投資の理想的な期間は、20年から30年程度が目安です

手数料の安いネット証券を活用する

手数料の安いネット証券を利用し、投資で得た利益を減らさないようにすることも、資産運用での失敗を避けるために有効です

高い手数料は、資産運用で得た利益を減少させる要因となります。また、取引ごとの手数料が高いと、必要なときに迅速な取引が難しくなることもあります。そのため、コストを最小限に抑えつつ、柔軟な運用を行うために、手数料が安いネット証券の活用がおすすめです

保有資産の売却はいつすればいい?

資産運用を始める前に、保有資産の売却タイミングを決めておくことも重要です売却をする主なタイミングとしては、下記の3点が挙げられます

目標金額に達したとき

投資を開始する際に設定した目標金額に到達したタイミングで、金融商品を売却するという方法もあります。例えば、「300万円が500万円になったら売却する」といった具体的な金額目標を定めることで、達成時に迷わず売却できるようになります

ライフイベントでお金が必要になったとき

住宅購入や車の購入、子供の進学、老後資金など、ライフイベントで資金が必要になった際も売却を検討するタイミングです。ただし、長期投資の場合、早期に売却するのはデメリットがあるため、必要な資金は事前に確保しておくことをおすすめします

より魅力的な投資先が見つかったとき

投資のトレンドが変わり、現在の投資先よりも魅力的な機会が見つかったときも、売却のいいタイミングです。保有している資産を売却した資金を元手に、新たな投資を始めましょう。

初心者におすすめの資産運用方法6選

初めて資産運用をする人に向けて、おすすめの資産運用方法をご紹介します。ぜひ参考にして、資産運用に挑戦してみてください。

個人向け国債

個人向け国債は、国が発行する個人投資家向けの債券です変動10年、固定5年、固定3年の3タイプがあり、最低1万円から購入可能です満期時には元本が返還されるため、安定性を求める人に適しています

投資信託

投資信託は、多くの投資家から資金を集め、専門家がさまざまな資産に分散投資する方法です少額から始められること、運用をプロに任せられること、分散投資でリスクを軽減できることがメリットです

iDeCo

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で運用しながら積み立てる私的年金制度です掛金は所得控除の対象となり、運用益は非課税です。60歳以降に受け取ることができ、税制面でのメリットも大きい制度です

新NISAのつみたて投資枠

2024年に開始された新NISAのつみたて投資枠は、一定の投資枠から得られた利益について、税金が非課税になる少額投資非課税制度です国が定めた基準を満たす投資信託が対象で、長期的な資産形成をしたい初心者におすすめの運用方法といえます

ポイント投資

ポイント投資は、日常の買い物などで貯まるポイントを活用して行う投資です。ポイント発行元が提供している運用コースを選び、株式投資や投資信託をすることができます。少額から始められるため、投資初心者にも最適です。

外貨預金

外貨預金は、日本円を外国の通貨に替えて預ける預金です。外貨定期預金や外貨普通預金があり、一般的な円預金よりも高い金利が期待できます。将来の資産計画を立てやすく、初心者にも扱いやすいでしょう。

失敗しやすいポイントを知って、資産運用を始めよう

ライフイベントの出費や老後の生活資金の確保のために役立つ資産運用ですが、ルールや方針を決めずに始めると失敗するリスクが高くなります。

本記事で紹介したポイントを押さえ、初心者向きの商品から少しずつ資産運用を始めてみましょう。投資初心者には、外貨預金のような比較的低リスクで扱いやすい資産運用から始めてみることをおすすめします

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