新NISAは50代で始めても遅くない?運用のポイントを解説

新NISAは50代で始めても遅くない?運用のポイントを解説

2024年1月にNISAの制度がリニューアルされたことに伴い、資産運用に活用したいと考えている人は多いのではないでしょうか。一方、50代の人の中には、今から新NISA(※)を始めるべきか迷っている人もいることでしょう。

今回は、新NISAを50代からでも始めたほうがいい理由や、新NISAを始めるにあたって押さえておきたいポイントを解説します。新NISAを始める際の金融機関の選び方にもふれていますので、ぜひ参考にしてください。
※本記事では2024年よりスタートしたNISAを「新NISA」と表記しています。
AFP/2級FP技能士 吉田祐基

監修者 AFP/2級FP技能士 吉田祐基

ライター・編集者。お客様向けの会報誌や、記事、Webサイト、PDF資料といった各種コンテンツ制作のディレクション業務ほか、Webメディアの運営を担当。

mokuji目次

  1. 新NISAを50代からでも始めたほうがいい理由
    1. 資金を投資に回しやすい時期
    2. 預貯金だけでは資産形成が難しい
    3. 50代からでも時間の猶予はある
  2. 新NISAの特徴
    1. 運用益に税金がかからない
    2. 非課税保有期間が無期限
    3. つみたて投資枠と成長投資枠を併用できる
    4. 売却で投資枠の再利用ができる
  3. 50代は新NISAとiDeCoどちらがおすすめ?
  4. 50代で新NISAを始める際のポイント
    1. 老後資金の確保など運用目的を明確にする
    2. 余剰資金で運用する
    3. 長期的に運用する
    4. 夫婦がそれぞれ新NISA口座を開設する
    5. 投資初心者ならつみたて投資枠から運用を
  5. 50代で新NISAを始める際の金融機関の選び方
  6. 新NISAは50代で始めてもメリットがある

新NISAを50代からでも始めたほうがいい理由

結論からお伝えすると、50代から新NISAを始めても決して遅くはありません。50代からでも新NISAを始めたほうがいい主な理由として、下記の3点が挙げられます。

資金を投資に回しやすい時期

50代は資金を投資に回しやすくなる時期といえます。一般的に、50代は子どもが独立し始める人が増えるなど、家計の支出のピークを過ぎる時期にあたるからです。

40代までは子どもの学費や生活費といった支出が重なり、投資に回す資金を確保する余裕のなかった人も、まとまった資金を準備しやすくなっていきます。一度家計を整理し、余剰資金をいくら確保できるのか確認した上で、新NISAで資産運用を行うといいでしょう。

預貯金だけでは資産形成が難しい

預貯金だけでは資産を形成するのが現実的に難しいことも、50代から新NISAを始めたほうがいい理由のひとつです。預貯金は資産運用のひとつの方法ではありますが、日本では長年にわたって超低金利が続いていることから、預貯金に利子はほとんどつかないのが実情です。老後の生活に備えてより積極的に資産形成を目指していくのであれば、投資も視野に入れて資産を運用していくのが賢明といえます。

また、預貯金にはインフレに弱いというデメリットがあります。金融機関の口座に預けている金額は変わっていないように見えても、物価が上昇すればお金の価値が相対的に下がり、預貯金が目減りしたことになるからです。近年は物価高の傾向が見られることから、資産を目減りさせないためにも、よりインフレに強い投資を検討することをおすすめします。
新NISAは初心者にも活用しやすい制度であることから、これから投資を始める人にも適した選択肢といえるでしょう。

50代からでも時間の猶予はある

50代からでも資産を増やせる可能性があることも、新NISAの活用をおすすめする理由のひとつです。会社員の場合、60歳や65歳で定年退職を迎えるまでには、まだ時間の猶予があります。新NISAには対象年齢の上限がないことから、定年退職までの期間はもちろんのこと、退職後も運用を継続することが可能です。運用期間を確保できることを踏まえると、まとまった資産の形成につながる可能性は十分にあるでしょう。

新NISAの特徴

新NISAの特徴

新NISAは、投資初心者にも始めやすい資産運用方法です。新NISAとはどのような制度なのか、主な特徴を4つご紹介します。

運用益に税金がかからない

新NISAの正式名称は、「少額投資非課税制度」です。名称のとおり、新NISAの運用益には税金がかからないという大きな特徴があります。
一般的な資産運用の場合、利益に対して20.315%の税金が課されます。一方、新NISAは運用益が非課税となるため、利益がすべて手元に残る点が大きなメリットです。節税を実践しつつ、効率良く資産を形成していきたい人にとって、新NISAは適した資産運用方法といえるでしょう。

非課税保有期間が無期限

2023年までのNISAは非課税保有期間が最大20年でしたが、新NISAでは非課税保有期間が無期限となりました。従来のNISAよりも、さらに長期的な資産運用に適した制度になったといえるでしょう。

金融商品を長期間保有するメリットとして、複利効果を得られる点が挙げられます。複利効果とは、投資によって得られた利益を再び投資に回すことにより、利益がさらに利益を生む効果のことです。運用期間が長いほど得られる複利効果も高くなるため、効率良く資産を増やすことができます。

つみたて投資枠と成長投資枠を併用できる

新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という2つの非課税投資枠があります。つみたて投資枠は少額ずつ積み立てることを目的とした投資枠、成長投資枠は一度にまとまった金額を投資することも可能な投資枠です。年間の投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円と定められています。2つの投資枠は併用できるため、年間360万円まで非課税で投資が可能です。

2023年までの旧制度では「つみたてNISA」か「一般NISA」のいずれか片方しか選べませんでしたが、新NISAでは投資枠の併用で、より幅広い目的に対応できる制度になったといえるでしょう。

売却で投資枠の再利用ができる

新NISAには、生涯を通じて非課税で投資できる枠(非課税保有限度額)が設けられています。新NISAの非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)です。旧制度では投資枠の再利用ができませんでしたが、新NISAでは再利用が可能になりました。

資金が必要なタイミングで保有資産を売却した場合、翌年に投資枠が復活するため、再び投資枠を活用できます。旧制度と比べて柔軟に資産運用ができるようになり、年齢層を問わず活用しやすくなった点が大きなメリットです。

50代は新NISAとiDeCoどちらがおすすめ?

長期的な資産形成に活用できる制度には、新NISAのほかに「iDeCo」があります。iDeCoとは「個人型確定拠出年金」のことです。月5,000円の掛金から始められ、掛金は全額非課税となります。

iDeCoも新NISAと同様に節税効果があるものの、iDeCoはあくまでも私的年金である点が新NISAと大きく異なります。老齢給付金は原則60歳以降に給付されるため、iDeCoは60歳に達する前に資金を引き出せません。将来的に急な出費が発生する可能性もあることを踏まえると、基本的には新NISAで資産を運用し、資金に余裕がある場合にはiDeCoも併用するのがおすすめです

50代で新NISAを始める際のポイント

50代で新NISAを始める際のポイント

50代で新NISAを始めるにあたって、どのような点を意識しておくといいのでしょうか。ここでは、押さえておきたい5つのポイントをご紹介します。

老後資金の確保など運用目的を明確にする

新NISAを始める前に、資産運用の目的を明確にしておくことが大切です。新NISAは柔軟性が高い制度のため、幅広い目的に活用できます。別の見方をすると、運用目的が曖昧なまま気軽に活用できてしまうことは、デメリットにもなりうる特徴です。老後資金の確保など、何のために投資をするのかをしっかりと見定めておく必要があります。

運用目的が定まれば、目標額も自ずと明確になっていくはずです。目標額から必要な資金を逆算することで、投資にどれだけの資金を回すべきか判断しやすくなります。何に使うのか、いつまでにいくらの資産を形成したいのかを考えておきましょう。

余剰資金で運用する

投資は余剰資金で行うのが基本です。余剰資金とは、当面の生活費や近い将来必要になる可能性の高いお金を除いた資金のことを指します。無理なく投資に回せる余剰資金を割り出し、余剰資金の範囲内で新NISAを活用していくことを心掛けましょう。

当面必要なお金まで投資に回してしまうと、いざというときに資金不足に陥り、資産を取り崩すことになるおそれがあります。結果として、保有している金融商品を短期間で売却したり、売却のタイミングを見誤ったりする原因にもなりかねません。生活に支障をきたさない範囲で資金を用意し、投資に回していくことが大切です。

長期的に運用する

資産運用は長期的に取り組むことが重要です。新NISAは投資枠の再利用ができるのが特徴ですが、投資信託や株式は価値が常に変化しているため、短期間で売却すると値下がりしているタイミングで資産を手放すリスクが高まります。場合によっては金融商品を購入した時点よりも低い価額で売却することにもなりかねません。運用により、かえって資産を減らしてしまうようでは本末転倒です。

新NISAで運用しているあいだに、必要に応じて資産の一部を取り崩すこともあるでしょう。このような場合も、金融資産のすべてを一度に売却するのではなく、保有し続ける部分も残しておき、資産運用を続けていくことをおすすめします。長期的に運用することで、複利効果の恩恵を受けやすくなる点も大きなメリットです。

夫婦がそれぞれ新NISA口座を開設する

新NISAのデメリットとして、1人あたり1口座しか開設できない点が挙げられます。そのため、夫婦の場合はそれぞれ新NISA口座を開設するのがいいでしょう。夫婦それぞれが新NISA口座を開設すれば、一世帯の非課税投資枠を年間360万円×2人分=720万円まで増やせます。

また、夫婦でそれぞれ新NISA口座を保有することにより、投資対象を分散させやすくなるというメリットもあります。幅広い金融商品に投資していくことで、特定の金融商品が一時的に値下がりしても別の商品の値上がりでカバーできる可能性があるからです。リスクを軽減する意味でも、夫婦それぞれが新NISA口座を開設することをおすすめします。

投資初心者ならつみたて投資枠から運用を

50代から初めて投資を始める人や投資経験が浅い人は、新NISAのつみたて投資枠を活用するのがおすすめです。少額ずつ積み立てていくことで購入時期を分散でき、特定の時期に価額が上下するリスクを回避しやすくなります。

資金に余裕があり、投資の知識がある人は、成長投資枠を活用するのもひとつの方法です。その場合にも、購入する金融商品を集中させずに幅広く保有することによって、値下がりのリスクを抑える効果が期待できます。短期間で大きな利益を得ようとするのは避け、資産を減らしてしまわないためにも、積立投資や分散投資によってリスクを分散させましょう

50代で新NISAを始める際の金融機関の選び方

50代で新NISAを始める際には、金融機関選びも重要なポイントとなります。新NISAに対応した金融商品の取り扱い数は、金融機関ごとに異なります。手数料も金融機関によって差があることから、できるだけ商品の種類が豊富で手数料が低い金融機関を選ぶことが大切です。

また、金融機関によってはクレジットカードでの投資が可能な場合もあります。クレジットカードを利用して投資することにより、ポイントが貯まっていく点がメリットです。クレジットカードの種類によって貯まるポイント数は異なるため、複数の金融機関を比較検討しておくことをおすすめします。

新NISAは50代で始めてもメリットがある

新NISAは50代から始めても、決して遅いということはありません。投資に回す資金を用意しやすい年代であり、定年退職までにはまだ猶予があることから、長期的に資産を運用していくことで目標とする資産を形成できる可能性は十分にあります。

手軽に新NISA制度を利用するなら、自宅にいながら新NISA口座を開設できるネット証券をおすすめします。ネット証券にも多くの種類があり、取扱商品数や手数料が異なりますので、複数のネット証券を比較検討しておくことが大切です。

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AFP/2級FP技能士 吉田祐基

監修者 AFP/2級FP技能士 吉田祐基

ライター・編集者。編集プロダクションで、Web・紙媒体問わず主に金融系コンテンツの制作を担当後、HRテック企業に制作ディレクターとして入社。お客様向けの会報誌や、記事、Webサイト、PDF資料といった各種コンテンツ制作のディレクション業務ほか、Webメディアの運営を担当。

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