新NISAに年齢制限はある?20〜60代の運用ポイントも解説
今回は、新NISAの対象年齢のほか、従来のNISAから変更された点について解説します。新NISAの運用にあたって、年齢層別に押さえておきたいポイントもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
※本記事では2024年よりスタートしたNISAを「新NISA」と表記しています。
監修者 AFP/2級FP技能士 吉田祐基
ライター・編集者。お客様向けの会報誌や、記事、Webサイト、PDF資料といった各種コンテンツ制作のディレクション業務ほか、Webメディアの運営を担当。
目次
新NISAの対象年齢は18歳以上
通常、株式投資や投資信託によって得た利益には、20.315%の税金が課されます。これに対し、NISA口座で投資した金融商品から得られる利益については、非課税となる点が大きな特徴です。NISAでは投資によって得た利益をより多く手元に残せることから、幅広い年齢層から注目を集めています。
新NISAは、18歳以上の人を対象とした制度です。新NISAを利用する年の1月1日時点で18歳以上であれば、新NISA口座を開設できます。なお、新NISA口座を開設できるのは、1人1口座のみです。
ジュニアNISAは2023年末に廃止された
ただし、2023年までにジュニアNISA口座で投資した商品については、5年の非課税期間を終えても18歳まで非課税で保有し続けることができます。
また、ジュニアNISA口座で新規の投資はできないものの、すでに保有している資産を非課税で売却することは可能です。ジュニアNISA口座で保有している株式や投資信託等および金銭の全額は、年齢や事由を問わず非課税での払い出しに対応しています。なお、払い出しを行う際は、一部の商品だけ払い出すことはできず、保有するすべての金融商品を払い出した上で、ジュニアNISA口座を廃止しなければなりません。
対象年齢以外に新NISAで変わったこと
より長期的な非課税投資が可能に
新NISAでは長期的な投資が可能になることによって、複利効果の恩恵をより多く受けやすくなります。複利効果とは投資によって得た利益を再投資し、利益がさらに利益を生むことで資産が効率良く増えていく効果のことです。投資期間が長くなるほど再投資できる利益も多くなることから、より大きな複利効果が期待できます。
また、長期にわたって投資を続けることは、リスクの軽減にも役立ちます。保有商品の価値はたえず上がったり下がったりしますが、長期運用であれば値が戻るまで待つという選択をしやすくなるからです。
このように、より長期的な非課税投資が可能になったことは、資産運用に取り組む上で大きなメリットといえます。
投資枠の併用が可能になり、年間投資枠・非課税保有限度額が拡大
従来は異なる投資枠との併用ができませんでしたが、新NISAでは併用可能となったのも大きな変更点のひとつです。これにより、従来と比べて大きな金額を運用できるようになりました。具体的にはつみたて投資枠が年間120万円まで、成長投資枠が年間240万円まで、計360万円が年間の非課税枠となっています。
さらに、年間360万円まで非課税で投資できるようになったことに加え、非課税保有限度額が1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)に拡大されました。新NISAは従来のNISAと比べて投資額を設定する際の自由度が上がり、資金の活用の幅も広がったといえます。
■新NISAと従来のNISAの投資枠・非課税保有限度額の違い
新NISA | 従来のNISA | |||
---|---|---|---|---|
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | つみたてNISA | 一般NISA | |
併用可否 | 併用可能 | 併用不可 | ||
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 | 40万円 | 120万円 |
非課税保有限度額 | 1,800万円 (成長投資枠は1,200万円まで) |
800万円 | 600万円 |
ライフイベントに合わせた柔軟な運用が可能
従来のNISAでは、非課税保有限度額に達した場合、保有している資産を売却しても新規の投資はできませんでした。従来のNISAでは、非課税投資枠の再利用ができなかったためです。一方、新NISAでは、売却によって非課税投資枠が復活し、再利用が可能になりました。これにより、必要に応じて運用途中で保有商品を売却しても、翌年以降に復活した枠で新たな金融商品を購入できます。
非課税投資枠の再利用が可能になったことは、年齢を問わずどの世代にも利用しやすい制度になったことを意味しています。急な出費が必要な際に資産を取り崩したり、保有資産の値動きにあわせて売却したりと、状況に応じた運用ができるからです。新NISAは老後への備えとしてはもちろん、住宅購入費や教育費など、比較的近い将来のライフイベントへの備えとしても、有力な選択肢のひとつとなりえるでしょう。
また、60代以降は年収が減少するのが一般的です。年金だけで生活することは難しいケースも多く、その場合は預貯金や資産を取り崩さなければなりません。新NISAであれば、運用を継続しながら必要な分を売却して生活費にあてるといったことも可能になります。
新NISAの詳しい変更点については、下記の記事をご覧ください。
年齢層別・新NISA運用のポイント
20代:期間の優位性を活かし、積極的な運用を
投資の基本は「長期・分散・積立」といわれています。長期にわたって少額ずつ分散投資していくことで、リスクを抑える効果が期待できます。非課税保有期間が無期限となった新NISAのメリットを活かし、長期的な視点で資産を運用していくのがおすすめです。少額からでもいいので、できるだけ早く資産運用を始めることをおすすめします。
30〜40代:ライフイベントを考慮し、運用は無理のない範囲で
投資は、余剰資金で行うのが基本といわれています。余剰資金とは、今すぐに必要な生活費や、近い将来必要になることがわかっているお金を除いた資金のことです。余剰資金を超えて資産運用にお金を回してしまうと、万が一生活費が足りなくなってしまったとき、短期間で売却することにもなりかねません。
結果として取得時よりも低い価額で手放さなくてはならなかったり、売却する時期を適切に見極められなかったりするおそれがあります。今後のライフイベントで必要になる可能性の高い資金を見極めつつ、無理のない範囲で新NISAを活用していくといいでしょう。
50〜60代:老後の生活に備えて、守りの運用を心掛けて
50〜60代の人が特に意識しておきたいのは、投資の基本とされる「長期・分散・積立」のうち「分散」の要素です。特定の金融商品などに一点集中で投資するのではなく、幅広い商品に分散投資することを心掛けましょう。複数の金融商品を組み合わせることで、いずれかの商品が値下がりしたとしても別の商品で補える可能性が高まります。
また、60代以降は定年退職を迎え、退職金を手にする人も現れ始めます。退職金での運用を検討する際には、退職金をすべて投資するのは避けたほうが無難です。
退職金は、老後の生活を支える重要な資産でもあります。投資リスクを抑えるためにも、新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠をバランス良く活用し、年間投資枠の範囲内で分散投資を心掛けていくことが大切です。
新NISAは、18歳以上ならどの年齢層にも利用しやすい制度
なお、新NISAを始める際には、金融機関選びも重要なポイントとなります。金融機関によって取扱商品や手数料が異なるため、できるだけ手数料が低く、取扱商品が豊富なところを選ぶことが大切です。
新NISAの口座を開設できるのは1つだけとなっているため、複数の金融機関を比較検討した上で口座の開設先を選定判断することをおすすめします。
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監修者 AFP/2級FP技能士 吉田祐基
ライター・編集者。編集プロダクションで、Web・紙媒体問わず主に金融系コンテンツの制作を担当後、HRテック企業に制作ディレクターとして入社。お客様向けの会報誌や、記事、Webサイト、PDF資料といった各種コンテンツ制作のディレクション業務ほか、Webメディアの運営を担当。