NISA口座は複数開設できる?金融機関の選び方や変更方法も紹介

NISA口座は複数開設できる?金融機関の選び方や変更方法も紹介

NISAは「少額投資非課税制度」の略で、投資で得た利益が非課税になる、お得な制度です。

2024年からは制度が新しくなり、さらに注目する人が増えました。

「せっかくお得になる制度なら、複数の口座を持ってたくさん投資したい」と考える人もいるかもしれませんが、NISA口座は複数持てるのでしょうか。

この記事では、NISA口座を複数持てるかどうかについて解説します。

併せて、NISA口座のある金融機関を変更する方法や、誤って二重で申し込んだ場合にどうなるのかについてもご紹介しましょう。
松田 聡子

監修者松田 聡子

明治大学法学部卒。
金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て独立系FPとして開業。
企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在はFP業務に加え、金融ライターとしても活動中。

mokuji目次

  1. NISA口座は複数開設可能?
    1. 例外として複数のNISA口座を持てることも
    2. 家族なら複数のNISA口座を開設できる
  2. 複数のNISA口座を申し込んだらどうなる?
    1. 2つ目以降のNISA口座申し込みは自動的に却下される
    2. 複数申し込み時は処理が早い金融機関で口座開設される
  3. NISA口座の金融機関の変更方法
    1. 1.「金融商品取引業者等変更届」を提出する
    2. 2.「非課税口座廃止通知書」が届く
    3. 3.「非課税口座開設届出書」を提出する
  4. NISA口座の金融機関を変更する際の注意点
    1. 変更できる時期は年に1回だけ
    2. 変更年に買付していると変更できない
    3. 保有している投資商品は移せない
    4. 変更後の金融機関でのみ新規買付ができる
    5. 手続きには時間がかかる
  5. NISA口座は複数持てないので金融機関選びはしっかりと!

NISA口座は複数開設可能?

一般的な証券口座は複数開設できますが、NISA口座はすべての金融機関をとおし、1人につき1口座しか持つことができません

NISA口座を開設するときは金融機関と税務署による審査があり、申し込んでもそこで発覚するため、複数のNISA口座を持つことは不可能でしょう。

ただし、2024年から始まった新NISAでは、これまでのNISA制度であった「つみたてNISA」と「一般NISA」が併用可能になりました

旧制度ではどちらか一方を選ぶ必要がありましたが、併用できるようになったことで、1つの口座で2つのNISAを利用できるようになったといえます。

例外として複数のNISA口座を持てることも

NISA口座の金融機関は変更が可能ですが、その際NISA口座が併存することはあります。

変更前のNISA口座で購入した金融商品は、変更後の新口座に移動はできません。

すべて売却することも可能ですが、変更前の口座で金融商品を保有し続けることも可能です。

その場合、変更前の口座で新たに投資はできませんが、口座自体はあり続ける形になります。

非課税期間中は課税もされません。

家族なら複数のNISA口座を開設できる

NISA口座は1人1口座しか開設できませんが、家族がいる場合はそれぞれがNISA口座を開設することで、家計としては複数のNISA口座を持つことができます

新NISAの場合、年間に投資できる上限は、つみたて投資枠で120万円、成長投資枠で240万円です。

例えば、夫婦で1つずつNISA口座を持てば、1年間につみたて投資枠で240万円、成長投資枠で480万円の投資が非課税で可能になります。

複数のNISA口座を申し込んだらどうなる?

複数のNISA口座を申し込んだらどうなる?

NISA口座を開く金融機関に迷っていて、誤って同時に複数の口座開設を申し込んだり、過去に口座開設したことを忘れていたりといったこともあるかもしれません。

NISA制度では原則として1人1口座しか開設できないため、複数の申し込みをしても有効になるのは1つだけです。

たとえ複数の金融機関で同時に申し込みをしても、税務署の審査を経て、最も処理が早かった金融機関でのみNISA口座が開設されます。

ここからは、2つ目以降の申し込みが却下される理由や、実際にどの金融機関で口座が開設されるのかについて、詳しく解説していきます。

2つ目以降のNISA口座申し込みは自動的に却下される

NISAは国の税制優遇制度であり、1人が申し込めるのは1口座までです。

金融機関からNISA口座の開設申請を受け取ると、税務署はマイナンバーをもとに申請者の情報を確認します。

この時に、すでに他の金融機関でNISA口座が開設されていないかの重複チェックが行われます。

そのため、すでにNISA口座を持っている方が新たに別の金融機関で申し込んでも、この税務署の審査によって必ず重複が判明し、2つ目以降の申し込みは無効となるのです。

複数申し込み時は処理が早い金融機関で口座開設される

複数の金融機関に同時にNISA口座の申し込みを行った場合、どの金融機関で口座が開設されるかは、申し込み順ではなく、税務署での処理完了順によって決まります

例えば、A銀行、B証券の順で申し込んだとしても、B証券の社内手続きの方が早く、先に税務署へ申請が届けば、NISA口座はB証券で開設されます。

つまり、どの金融機関で開設されるかを申込者が選ぶことはできず、意図しない金融機関でNISA口座が作られてしまう可能性がある点には、十分に注意が必要です。

間違いに気づいた場合は、速やかに希望しない金融機関へ連絡し、申し込みの取り消しを依頼しましょう。

なお、NISA口座の開設状況は税務署で確認が可能です。

過去にe-Tax(国税電子申告・納税システム)でマイナンバーを記載した申告書などを提出したことがある場合は、マイページでも確認ができます。

自分がNISA口座を申し込んでいるかわからない場合は、調べてみてください。

NISA口座の金融機関の変更方法

NISA口座の金融機関の変更方法

間違って希望と違う金融機関でNISA口座を開設した場合は、変更手続きを行うことができます。

単純にNISA口座のある金融機関を変更したい場合でも、変更手続きは可能です。

NISA口座にある金融機関を変更する場合は、変更したい年の前年10月1日から、変更したい年の9月末までに手続きが必要になります。

例えば、2026年からNISA口座を変更したい場合は、2025年10月1日から2026年9月30日までが変更のタイミングです。

ただし、変更したい年の1月1日以降、この例では2026年1月1日以降に新規で金融商品を購入すると、2026年に変更はできません

一度でもNISA口座で購入した場合、変更できるのは2027年分からということになります。

では、具体的にNISA口座の変更手続きはどのように行えばいいのでしょうか。

ここでは、NISA口座のある金融機関を変更する方法を3つのステップでご紹介します。

NISA口座のある金融機関を変更する方法

  1. 「金融商品取引業者等変更届」を提出する
  2. 「非課税口座廃止通知書」が届く
  3. 「非課税口座開設届出書」を提出する

1.「金融商品取引業者等変更届」を提出する

現在NISA口座のある金融機関から「金融商品取引業者等変更届」をもらいます。

金融商品取引業者等変更届は、Webから申請したり、金融機関に問い合わせたりすることで入手が可能です。

入手したら、必要事項を記入して現在NISA口座のある金融機関に提出しましょう。

2.「非課税口座廃止通知書」が届く

金融商品取引業者等変更届を提出すると、金融機関で確認され、終了すると「非課税口座廃止通知書」または「勘定廃止通知書」が届きます。

これらは新しくNISA口座を開設する金融機関に提出が必要なため、大切に保管してください。

3.「非課税口座開設届出書」を提出する

変更先の金融機関に「非課税口座開設届出書」と「非課税口座廃止通知書」または「勘定廃止通知書」を提出します。

「非課税口座開設届出書」は、金融機関に問い合わせて入手し、必要事項を記入しましょう。

開設時は、本人確認書類やマイナンバーカードか個人番号通知書の提示が必要になるため、事前に準備しておいてください。

必要書類が到着すると、金融機関と税務書で審査が行われ、問題なければNISA口座の変更手続きは完了です。

変更手続きが完了するまでの期間は金融機関で異なりますが、数週間から1ヵ月程度とされています。

NISA口座の金融機関を変更する際の注意点

NISA口座の金融機関を変更する際の注意点

NISA口座は1人1口座までという制限のもとで運用される制度ですが、金融機関の変更は年に1回まで可能です。

ただし、変更には時期や取引状況に関する細かいルールがあり、準備を怠ると変更できないケースもあります。

ここでは、NISA口座の金融機関を変更する際に押さえておくべき注意点について詳しく解説していきます。

変更できる時期は年に1回だけ

NISA口座を変更するタイミング

NISA口座の金融機関を変更できるのは、毎年1回までと制度で定められています。

また、変更可能な申請期間も限られており、「変更したい年の前年10月1日から当年9月30日まで」となっています。

例えば、2026年にNISA口座を他の金融機関に移したい場合は、2025年10月1日から2026年9月30日までの間に手続きを完了させる必要があります。

この期間を過ぎると、その年の変更はできず、翌年以降に回す必要があります

したがって、金融機関の変更を考えている場合は、早めに予定を立てておきましょう。

変更年に買付していると変更できない

変更したい年に、変更前のNISA口座で一度でも金融商品を購入(買付)してしまうと、その年の金融機関の変更はできなくなります

たとえ少額の買付であっても、取引が成立した時点でその年の非課税枠を利用したとみなされ、変更は翌年以降に持ち越しとなります。

特に見落としがちなのが、自動積立設定です。

変更を決意したにもかかわらず積立設定の解除を忘れてしまい、年明けの1月に自動で買付が行われた結果、その年は変更できなくなってしまった、というケースも考えられます。

変更を検討している場合は、年末までに必ず自動積立の設定を見直しましょう

保有している投資商品は移せない

NISA口座で保有している投資信託や株式などの金融商品は、他の金融機関へ移すことができません。

以前の金融機関で保有していた商品はそのまま保有し続けるか、いったん売却する必要があります

売却して現金化し、変更後の口座で同じ商品を買い直すことも可能ですが、その間の価格変動や売買手数料によって損失が出るリスクもあります。

このように、資産の移行ができない点は、NISA口座変更時の大きな制約といえるでしょう。

変更後の金融機関でのみ新規買付ができる

金融機関の変更手続きが完了すると、商品の新規購入ができるのは、変更後の新しいNISA口座のみとなります。

変更前の金融機関では、既存商品の売却や配当金の受け取りは引き続き可能であり、それらにも非課税のメリットは得られます。

つまり、NISA口座を変更しても、すでに保有している商品は旧口座で非課税のまま保有し続けられます

また、新たな買付を希望する場合は、新しく開設した口座で行う必要があります。

以下に、変更前・変更後の金融機関でできる操作についてまとめました。

金融機関でできる操作

変更前の金融機関

変更後の金融機関

新規買付

×

売却

配当金受取

非課税メリット

○(継続)

○(新規買い付け)

手続きには時間がかかる

NISA口座の金融機関の変更には、提出書類の取り寄せ・記入・審査といった複数のステップがあり、一般的に完了までに数週間〜1か月ほどかかります

特に年末に近い時期や繁忙期には、処理にさらに時間がかかる可能性があるため、ギリギリの申請は避け、余裕を持ったスケジュールで準備を進めましょう。

NISA口座は複数持てないので金融機関選びはしっかりと!

NISA口座はすべての金融機関をとおして1人1口座しか持つことはできません

例外的にNISA口座が併存することはありますが、金融商品の購入ができる口座はひとつだけです。

NISA口座がある金融機関は変更することもできますが、手続きを行ったり、意外と時間がかかったりと、デメリットもあります。

ひとつしか持てないNISA口座ですから、金融機関選びは慎重に行いましょう。

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項目ごとのランキングや、利用者の口コミ・評判なども確認できるので、新NISAで金融機関を選ぶ際は参考にしてみてください。
松田 聡子

監修者松田 聡子

明治大学法学部卒。
金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て独立系FPとして開業。
企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在はFP業務に加え、金融ライターとしても活動中。
保有資格:日本FP協会認定CFP®・DCアドバイザー・証券外務員2種

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