つみたてNISA(積立NISA)の出金方法は?注意点も解説
2024年から新NISAが始まりましたが、旧NISA口座内の金融商品も引き続き最長20年間非課税で保有し続けられます。
NISAで投資をしている人の中には、新NISAが始まったことに伴い、つみたてNISAで運用している商品を売却したいと考えているケースもあるでしょう。
今回は、つみたてNISAの売却を考えている人に向けて、売却・出金方法や手数料の有無、出金する際の注意点について解説します。非課税期間終了前につみたてNISAを出金することで懸念されるデメリットにもふれていますので、投資判断の参考にしてください。
目次
つみたてNISA(積立NISA)は非課税期間内でも出金できる
・新NISAはいつから?2024年からの変更ポイントと注意点を解説
制度自体は終了しましたが、つみたてNISA口座内の投資商品は、引き続き非課税で保有可能です。
2024年から始まった新NISAでは非課税保有期間が無制限となりましたが、つみたてNISAの場合には非課税期間が20年に制限されています。
例えば、2023年につみたてNISAで購入した投資信託は、2042年まで非課税で運用可能ということです。
つみたてNISAは、非課税期間内でも保有商品を売却できます。
売却額が証券口座や銀行口座に反映された後は、ATMなどから出金可能です。
売却や出金の時期および回数に制限は設けられておらず、所定の手続きを行うことによっていつでも現金化できます。
つみたてNISA(積立NISA)の出金方法
なお、つみたてNISAの対象商品は、金融庁が定めた長期積立投資に適した投資信託のみ(ETF含む)です。
つみたてNISAの出金方法
- 保有商品のうち、売却する投資信託を選ぶ
- 金額指定・口数指定をする
- 売却する
- 受渡日後に、証券会社や銀行などの指定口座に売却代金が反映される
- 口座に反映された代金をATMから出金、または別の口座に送金する
1回の手続きで複数の商品を売却することはできません。
複数の商品を売却したいときには、商品ごとに手続きを行うことになります。
金額・口数の指定については、保有している商品の全額または全口数を指定することも、一部を指定することも可能です。
保有している商品を、すべて売却する必要はありません。
つみたてNISA(積立NISA)の出金に手数料はかかる?
ここでは、商品の売却時にかかる手数料と、証券口座などから指定の銀行口座に資金を出金するときにかかる手数料について解説します。
売却時の手数料は基本無料
ただし、一部の投資信託では、「信託財産留保額」がかかる場合があります。
信託財産留保額は、投資信託を解約するにあたって投資家自身が負担する費用です。
この費用は、解約時に別途手数料を支払うのではなく、解約代金から基準価額の数%が自動的に引かれる仕組みとなっています。
つみたてNISAの場合、信託財産留保額の目安は0.3%程度です。
信託財産留保額の有無は、投資信託説明書(交付目論見書)で確認できます。
出金手数料は金融機関ごとに異なる
大手ネット証券の場合、指定の銀行口座への出金は基本的には無料です。
ただし、大手ネット証券であっても、即時入金サービスなどを利用した場合、所定の出金手数料がかかるケースもあります。
なお、証券口座に入っている資金を、銀行口座を経由せずにコンビニや銀行などのATMから出金する場合、利用するATMによっては出金手数料がかかる点には注意が必要です。
つみたてNISA(積立NISA)を出金する際の注意点
特に押さえておきたいのは下記の2点です。
即日現金化できるわけではない
銀行などの普通預金口座から預金を引き出すときのように、即日現金化されるわけではない点に注意が必要です。
投資信託において、注文日と約定日、受渡日(出金日)はそれぞれ異なります。
通常、受渡日後に出金が可能になります。注文日とは売却手続きを完了させた日、約定日とは投資信託の売却が成立した日、受渡日は指定した金融機関の口座に売却代金が反映される日のことです。
つまり、注文日から受渡日までに、タイムラグが発生するのです。
なお、投資信託の約定日は、注文当日または翌営業日以降の2パターンがあり、銘柄によって異なります。
また、受渡日も投資信託によって違うので、事前に投資信託説明書(交付目論見書)を確認しておくことが大切です。
売却するタイミングの判断が難しい
一方で、相場が上昇しているタイミングで売却できれば、利益を得られる可能性があるものの、市場の動きを正確に予測することは容易ではありません。
特に、つみたてNISAは長期積立投資を前提としているため、一時的な相場の変動に惑わされず、長期的な視点で資産を運用することが求められます。
保有商品の売却や出金については、慎重に判断する必要があるでしょう。
つみたてNISA(積立NISA)を出金するデメリット
出金すべきか迷った際には、下記の2点を考慮した上で判断することが大切です。
売却すると複利効果が得られない
よって、NISA口座で運用している投資信託を売却して資金を出金した場合、それ以降の複利効果の恩恵を得られなくなってしまいます。
複利効果を最大限に活かすのであれば、つみたてNISAの非課税期間として定められている、最長20年間は積立を続けるのが望ましいです。
複利効果は積立投資によって得られる大きなメリットのひとつのため、非課税期間内に商品を売却することで生じるデメリットについて慎重に評価する必要があります。
非課税枠を再利用できない
新NISAでは保有商品を売却した場合、翌年に非課税枠の再利用が可能です。新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」で、合計1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)の非課税保有限度額が設けられています。
例えば、非課税保有限度額の1,800万円のうち、つみたて投資枠で600万円、成長投資枠で1,200万円投資していた場合を考えてみます。
このとき、つみたて投資枠で保有している600万円分の商品を売却すると、翌年以降に再び600万円分の非課税枠を利用できるという仕組みです(ただし、つみたて投資枠の年間投資限度額は120万円)。
一方、つみたてNISAでは非課税枠を再利用できません。
そもそもつみたてNISAの投資期間は2023年末に終了しており、新たに投資信託などを購入できないのが実状です。
また、つみたてNISAで保有している商品を売却したとしても、新NISAのつみたて投資枠が増えるわけではありません。
つみたてNISAと新NISAは、別の制度である点に注意が必要です。
・新NISAはつみたてNISAと併用可能?2つの投資枠と活用方法を解説
つみたてNISA(積立NISA)の売却資金を使って、新NISAでの運用を始めよう
また、NISA口座内の投資信託を売却・出金することで、複利効果が得られなくなるというデメリットもあるので、売却については慎重な判断が求められます。
現在は、2024年に始まった新NISA制度を活用して、投資信託や株式を非課税で運用できます。このタイミングで新たにNISA口座を開設することや、金融機関を変更することを検討している人は、複数の金融機関を比較検討した上で、自分に合った金融機関を選ぶことが大切です。
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