FXと外貨預金の違いを徹底比較!メリット・デメリットも解説
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しかし、日本円の価値が下落したとしても、外貨で資産を保有していれば円安のリスクが軽減できます。そういった点から、外貨での資産運用に注目する人が増えています。
外貨預金とFX(外国為替証拠金取引)は、どちらも外貨を通じて利益を期待する投資手法です。しかし、両者の特徴やメリット・デメリットには違いがあり、理解して選ばないとトラブルになる可能性もあります。
今回は、外貨預金とFXの特徴から見る違いや、メリット・デメリットなどについて解説します。
監修者高見陽子
ファイナンシャルプランナー/金融・法律ライター
元大手銀行で個人営業を担当。現在は資産形成・相続・ライフプランなどの執筆や監修を行い、コンテンツ制作やSNSを通じた情報発信を支援している。
目次
【一覧表】FXと外貨預金の違いとは?7つのポイントを比較
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まずは、比較表で両者の違いを確認しましょう。7つの重要なポイントを理解することで、自分に適した投資手法を選びやすくなります。
比較項目 | 外貨預金 | FX |
取引コスト | 高い | 安い |
レバレッジ | 1倍 | 最大25倍 |
利益の機会 | 円安時のみ | 円高・円安両方で可能 |
金利(スワップ) | 満期時・解約時に受取 | 毎日受取可能 |
税金 | 利息20.315% | 一律20.315% |
資産保全 | 預金保険対象外 | 信託保全制度あり |
取引時間 | 金融機関の営業時間内 | 平日ほぼ24時間 |
@取引コスト(手数料)の違い
たとえば米ドル取引の場合、片道25銭〜1円程度に設定されていることが多いです 。 往復での取引を考えると、1万ドルの売買で5,000円から2万円のコストが発生することになります。
一方、FXでは買値と売値の価格差である「スプレッド」が実質的な取引コストです。
通貨の種類や取引の時間帯によっても異なりますが、米ドル/円の場合、1銭以下に設定している FX会社が多くみられます。1万ドルを取引しても、わずか100円程度のコストで済むケースがほとんどです。
上記のように、外貨預金とFXでは取引コストに大きく差があるため、取引回数が増えるほどFXの方がコスト面で有利になります。特に、短期間の売買や頻繁な通貨の交換を考えている方にとって、FXに大きなメリットがあるといえるでしょう。
Aレバレッジの有無とリスク
外貨預金は、預けた資金の範囲内でしか運用できません。100万円を預ければ、100万円分の外貨しか保有できないシンプルな仕組みです。
一方で、FXでは預けた証拠金を最大25倍にして取引できます。この仕組みをレバレッジといい、レバレッジを活用することで少ない証拠金でも大きな取引ができます。たとえば、10万円の証拠金で最大250万円分の外貨取引が可能です。為替レート変動による利益も、最大25倍に拡大します。
しかし、大きな利益が期待できる一方で、損失が拡大するリスクも抱えています。為替レートが急変した場合、証拠金以上の損失を被る可能性もあるのです。
そのため、多額の損失を抱える前に、自動的に取引を終了させる「ロスカット」という仕組みがあります。ロスカットは資産を守るための安全装置のような仕組みですが、急激な相場変動時には間に合わない場合もあるため注意が必要です・
B税金の仕組みと確定申告
外貨預金の場合、利息と為替差益のそれぞれに税金がかかります。利息は源泉分離課税に分類され、税率は20.315%です(令和19年12月31日まで)。為替差益は総合課税の対象となり、給与所得などを合算して税金が計算されます。
たとえば、所得が500万円の場合の所得税率は20%、4,000万円以上の場合は45%です。さらに、住民税と復興支援特別所得税がかかります。 所得が多いほど税負担が重くなる累進課税制度のため、高所得者ほど多くの税金を払わなくてはなりません。
FXで得た利益は、一律20.315%の申告分離課税 となり、所得額に関係なく税率が固定されています。一定の税率で計算しやすく、高所得者でも税負担が抑えられるFXのほうが税制面において有利なケースが多いでしょう。
特に為替差益を狙った投資では、外貨預金とFXの税制の違いによって最終的な手取り額が大きく変わる可能性があります。
また、1か所から給与を受けている年収2,000万円以下の会社員の場合、外貨預金の為替差益やFXで得た所得が年間20万円を超えると確定申告が必要となります。 ただし、20万円以下の場合でも、住民税の申告は必要な点に注意しましょう 。
【外貨預金とFX】それぞれのメリット・デメリットを解説
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以下の比較表で、具体的な違いを確認しましょう。
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| 外貨預金 | ・仕組みが円預金と同じでわかりやすい ・投資初心者にも理解しやすい ・レバレッジがないためリスクが限定的 ・海外送金や現地ATM利用が可能 |
・為替手数料が高い(往復で大きなコスト) ・円安時しか利益機会がない ・預金保険制度の対象外 ・金融機関の営業時間内のみ取引可能 |
| FX | ・取引コストが圧倒的に安い ・レバレッジで少額から大きな取引が可能 ・円高、円安両方で利益機会あり ・毎日スワップポイントを受取可能 ・平日ほぼ24時間取引可能 |
・証拠金以上の損失を被るリスク ・マイナススワップの支払い可能性 ・感情的な判断による損失拡大リスク ・相場分析や情報収集の必要性 |
一方で、FXは取引コストの安さやレバレッジによる資金効率の良さから、限られた資金で積極的な運用を目指す方や頻繁な取引を行いたい方に向いています。通貨間の金利差による収益である「スワップポイント」を受け取れるのもメリットのひとつです。
ただし、レバレッジによる大きな損失リスクがあるため、資金管理や相場分析のスキルが求められるでしょう。
結局どっちがいい?外貨預金とFXの目的別選び方
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以下のフローチャートで、あなたに適した投資手法を確認してみましょう。
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投資初心者の場合、まずは仕組みが理解しやすい外貨預金から始めることで、為替変動の感覚を身につけられます。ただし、為替レートの変動による元本割れリスクや預金保険制度の対象外である点は認識しておく必要があります。
長期保有目的であれば、外貨預金の安定性が魅力となりますが、為替手数料の負担が大きくなる可能性があります。一方、短期売買目的ならFXの低コストと24時間取引可能な環境が有効ですが、レバレッジによる損失拡大や感情的な判断ミスのリスクに注意が必要です。
海外出張や旅行が多い方には外貨預金の利便性が高く、効率的な資産運用を重視する方にはFXのコストパフォーマンスが魅力となるでしょう。
外貨預金に向いている人
FXのようなレバレッジがなく、自己資金のみで運用するため、大きな利益は得られにくいですがリスクも小さめです。
元本割れの恐れはありますが、長期的に運用すること、通貨をひとつでなく分散させることで、ある程度リスクは抑えられるでしょう。ただし、為替レートの変動で自分の資産の価値が変動するため、預金している通貨の国の動向や為替レートについて、情報を集めることは必要です。
海外に収入源がある、よく海外に行くという人にも、外貨預金は便利です。外貨預金の口座があれば、海外からの送金を外貨のまま受け取れたり、金融機関によっては海外でATMから外貨を引き出したり することもできます。
FXに向いている人
また、FXの相場は社会情勢や経済状況などに影響されるため、最新の情報を常に集めなければなりません。
あらかじめ決めたルールに沿って運用できる冷静さも、FXには必要です。損失が出たときに焦ったり、大きな利益が出たときに高揚したりすると、思わぬ判断ミスをする可能性があります。
レバレッジで自己資金以上の取引ができるため、大きなリターン(利益)が期待できますが、だからこそ感情に振り回されず、データに基づいて落ち着いて取引を行うことが重要です。
また、常に利益が出るとは限りませんから、資産と投資金額のバランスや、損失の範囲といったリスク管理ができることも、FXでは重要でしょう。
FXを外貨預金の代わりに!レバレッジ1倍での資産運用
レバレッジ1倍でのFX運用には、外貨預金を上回るメリットがあります。まず取引コストが格段に安い点です。外貨預金の為替手数料と比較して、FXの実質的な取引コストであるスプレッドは、10分の1以下に抑えられます。
また、外貨預金では満期時や解約時にしか利息を受け取れませんが、FXではスワップポイントが付与されるのも大きな魅力です。
外貨預金やFXの始め方と口座選びのポイント
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金融機関やFX会社を選ぶ際は、複数の重要なポイントを比較検討することが重要です。外貨預金では取扱通貨の種類と為替手数料、適用金利を重点的に確認しましょう。FXでは取引手数料やスプレッドの水準、スワップポイントの条件、取引ツールの使いやすさが選択の決め手となります。
各社で手数料体系や条件が大きく異なるため、自分の運用方針に適した金融機関を見つけることが投資成果に直結します。
金融機関選びで迷った際は、「オリコン顧客満足度ランキング」のような客観的な指標を参考にすることも有効な手段です。実際の利用者による評価は、サービス品質を判断する貴重な情報源となるでしょう。
外貨預金とFXのどちらが自分に合っているか検討しよう
外貨を利用して資産形成を考えるときは、得られる利益だけでなく、自分がどういった運用に向いているかを考えることも重要です。外貨預金とFXの特徴を踏まえて、自分に合った資産形成の方法を選びましょう。
オリコンでは、日本最大級の規模で調査を行い、毎年オリコン顧客満足度ランキングを発表しています。外貨預金についてもさまざまな視点のランキングを確認できるので、外貨預金を行う金融機関選びの参考にしてください。
監修者高見陽子
ファイナンシャルプランナー/金融・法律ライター
元大手銀行で個人営業を担当。現在は資産形成・相続・ライフプランなどの執筆や監修を行い、コンテンツ制作やSNSを通じた情報発信を支援している。