猫の尿路結石になったら?症状や原因、治療法を解説
今回は、猫の尿路結石の症状や予防法、治療法などについてご紹介します。
監修者 ガイア動物病院 院長 松田唯
北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。2019年7月、ガイア動物病院開設、院長となる。
※監修は医療情報についてのみであり、ペット保険への加入を推奨するものではありません。
目次
猫に多い尿路結石
尿路の中でも膀胱や尿道などの「下部尿路」と呼ばれる部分に多く発生する「下部尿路疾患(FLUTD)」のひとつであり、結晶や結石が尿路の壁を傷付けて、痛みや炎症を起こします。
尿路結石になると、排尿しづらくなったり、重度だと尿道閉塞になったりして、急性腎不全や尿毒症を引き起こせば命に関わることもある病気です。
猫ならオスでもメスでも尿路結石はよくある病気ですが、尿道が細く長いオスは結石が詰まりやすいので、より注意が必要といえるでしょう。
猫の尿路結石の原因
ストルバイトは若い猫に多い結石の成分で、おしっこのpHがアルカリ性に傾くことで結晶化しやすくなります。シュウ酸カルシウムは中年以降に多い結石の成分で、おしっこのpHが酸性に傾くことで結晶化しやすくなります。
猫のおしっこのpHバランスが崩れる原因は、水分不足や偏った食事のほか、肥満や運動不足で水を飲む量が減ることなどが関係しているといわれます。猫は元々あまり水を飲まないため、尿の成分が凝縮されて結晶化しやすくなるのです。
オスの場合は尿道が細長く、結石のリスクが高いことに加え、肥満になると尿道が脂肪で圧迫されやすくなるため、避妊手術後は特に注意してください。そのほか、遺伝や体質によって結石ができやすい猫もいます。
尿路結石の症状
また、尿に混じってキラキラとした結晶が見えることもあります。そのほか痛みや残尿感の不快さからか、粗相をしたり、避妊手術後でも縄張りを主張するスプレー尿をしたりと、猫が普段とは違う行動をとることもあるようです。
なお、尿道結石の症状が進むと、尿道に結石が詰まって尿道閉塞を起こすこともあります。1日以上排尿がなければ尿毒症になる危険性もあり、そうなれば食欲不振や嘔吐、下痢、脱水などが起こり、放置すれば命に関わることも。
尿道が細く長いオスの場合は結石が詰まりやすいので、特に注意しなければなりません。特に、尿道閉塞と膀胱炎は症状で見分けがつきにくいため、すぐに動物病院の受信が望ましいです。
尿路結石は、人間では「三大激痛のひとつ」とも呼ばれていますが、猫も非常に強い痛みを感じる病気です。
猫の血尿については、下記の記事をご覧ください。
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猫の尿路結石の治療法
結石の大きさや種類で治療は異なり、結石の成分がストルバイトの場合、療法食で溶かすことが基本です。結石の成分がシュウ酸カルシウムの場合は療法食で溶かすことはできませんが、療法食によって今後、結石ができにくくすることはできます。
結石が大きめの場合は、尿道口からカテーテルを入れて結石を取り除いて膀胱を洗浄したり、超音波で結石を破壊したりして、つまりを改善することもあります。
結石が大きすぎたり、尿毒症などの重篤な症状を起こしたりしている場合は、除去のために手術を行うこともあるでしょう。
猫の尿路結石は再発しやすいため、一度尿路結石にかかった猫の場合、少しでもおしっこに異常を感じたら、早めに動物病院で相談することが重要です。
猫の尿路結石を予防するには?
猫の尿路結石を予防するため、飼い主がすべきことをご紹介します。
水を飲ませる
それでも飲まないときは、猫の好きなにおいをつけたフレーバーウォーターにする、ウェットフードやスープを与えるなども、水分量を増やす方法として有効です。
トイレ環境を整備する
トイレの数は、飼っている猫の数プラス1を基本に、いつでも清潔にしておいてください。トイレの形はもちろん、猫砂の種類や使う洗剤などにもこだわりが必要です。
食事内容を改善する
一度尿路結石になった猫は、結石の成分によってとるべき栄養素が違うため、獣医師の判断に従ってください。
肥満を予防する
食事量に気をつけるとともに、キャットタワーなど猫が運動しやすい環境を作り、定期的に飼い主が遊んであげることも大切です。
猫の尿路結石は生活習慣で予防しよう
尿路結石は猫の生活習慣によって発症しやすくなりますが、それは飼い主の工夫で予防しやすくなるともいえます。食事内容や水の飲み方などに注意して、猫の尿路結石を予防しましょう。
なお、尿路結石でどのような検査や治療が必要になるかは、実際に動物病院に行ってみないとわかりません。診療費が不安な場合は、ペット保険に加入しておくことをおすすめします。
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監修者 ガイア動物病院 院長 松田 唯
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬について分かりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解して飼い主さまが選択できる診療を心掛けるようにしています。
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