外貨預金を預け入れるタイミング、引き出すタイミングはいつがおすすめ?
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ドルを購入する方法のひとつとして、外貨預金があります。
外貨預金は比較的わかりやすく、初心者でも始めやすい投資の方法ですが、為替相場は常に変動しており、始める時期や解約の時期を間違えると損失が出ることもあります。
今回は、外貨預金についての基礎知識やメリット・デメリットのほか、外貨預金を預け入れるタイミングや、引き出すタイミング、円安・円高の影響まで詳しく解説します。
※本記事の情報は、2025年10月16日時点を元に記載しております。
目次
外貨預金とは日本円を外貨に交換して預け入れること
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預け入れた外貨は、払い戻しの際に再び日本円に交換することが可能です。
外貨預金には「普通預金」と「定期預金」の2種類があります。
普通預金はいつでも入出金が可能で、金利は変動し、為替レートの変動によって元本が増えることも減ることもあります。
一方、定期預金は、あらかじめ定められた1ヵ月、3ヵ月、1年などの期間で預ける形式で、金利は固定されており、満期まで預金の引き出しはできません。
外貨預金は今やるべき?
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現在は1ドル=150円前後で、過去数十年で見ても円安傾向にあります。
しかし、今から始める場合でも長期運用を前提にすれば、十分に外貨預金を始めるタイミングとなり得ます。
円安時に外貨を購入すると、円高に戻った場合は損失が出るリスクがあります。
また、外貨預金では、為替手数料や利息への課税も発生するため、短期的に利益を狙うのは難しいのが現実です。
一方で、長期的に円安が続けば、保有している外貨の評価額は増加し、利息収入や為替差益を得られる可能性もあります。
外貨預金を行う場合は、余裕資金で円高時に分散購入し、長期的に運用することが重要です。
外貨を預け入れるおすすめのタイミング
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ここでは、預け入れるおすすめのタイミングを紹介します。
円高のとき
円高時は、同じ日本円でより多くの外貨を購入できるため、将来的な円安局面で為替差益を得やすくなります。
例えば1ドル=120円のときに10ドルを購入すると1,200円ですが、円安で1ドル=140円になった時に円に戻すと、円換算で1,400円になります。
日本の経済情勢が不安定なとき
為替レートは、その国の経済状況や景気動向に大きく左右されるからです。
日本の経済が停滞したり、将来に対する不確実性が高まったりすると、円の価値が下がる可能性があります。
そういった状況を見越して事前に円を外貨に交換し、外貨預金に回すことで、将来的に円に対する為替差益を得ることができます。
外貨を引き出すおすすめのタイミング
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ここでは、おすすめの引き出すタイミングを紹介します。
外貨の購入時より円安になったとき
円安の状況下では、預け入れた外貨の価値が相対的に高まり、その外貨を円に換えた際に、購入時に支払った円よりも多くの円を手に入れることが可能になります。
金融機関同士の取引に用いられる為替レートと顧客向けのレートは異なり、顧客向けのレートには手数料が加算されることが一般的です。
そのため、実際に引き出す際には、顧客向けのレートが円安であることを確認しましょう。
保有する外貨の国の経済情勢に不安を感じるとき
通貨を発行している国の経済が停滞しているか、将来に対する不安が高まっているとき、その国の通貨価値は下がる傾向があります。
このような状況下で通貨を保持し続けると、外貨安・円高が進行するため、預金を円に換えて引き出す際に為替差損(為替レートの変動により生じる損失)が発生してしまいます。
保有している通貨を発行する国の情勢に不安を感じた際は、為替レートが急激に動く前に、外貨預金を円に換えて引き出しておきましょう。
外貨預金のメリット
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ここでは、主な2つのメリットをご紹介します。
円預金に比べて高金利であることが多い
日本の普通預金の金利は、日本の長期にわたる金融緩和政策の影響で長らくほぼゼロに近い状態が続いてきました。
直近では、日本銀行が金融引き締めの出口戦略を模索し始めていますが、依然として世界的に見て高金利とは言えない水準にとどまっています。
一方、外貨の金利は日本円の金利と比べて高く設定されていることが一般的であるため、外貨で預金することで、より高い利息を受け取れる可能性があるのです。
さらに、外貨預金で得た利息を再投資することで、時間をかけて資産を増やす複利効果を期待することもできます。
為替の動きにより利益を得ることができる
為替変動とは、通貨の需要と供給のバランスが変わることによって、円と外貨の為替レートが変動することです。
例えば、多くの人がドルを売って円を買うと、円の価値が上がって「円高」になり、円を売ってドルを買う人が多いと、円の価値が下がって「円安」になります。
この原理を利用して、円高のときに外貨を購入し、円安の時に払い戻すことで、預け入れた外貨の価値が上昇し、為替差益(為替レートの変動により生じる利益)を得ることができるのです。
外貨預金のデメリット
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下記3つのデメリットを理解してから、外貨預金を検討しましょう。
元本割れのリスクがある
外貨預金では、為替レートの変動により利益を得ることが可能ですが、この変動は損失を生むリスクも伴います。
預け入れ時と払い戻し時の為替レートが不利に動くと、払い戻される円の額が元本を下回ることがあります。
これが元本割れの状態です。
元本割れが発生すると資産が減少してしまうため、外貨預金を行う際はこのリスクを十分に理解し、慎重に投資を行う必要があります。
金融機関が破綻しても預金は守られない
このため、金融機関が破綻すると、外貨預金が損失になるリスクがあります。
日本におけるペイオフ制度では、金融機関が破綻した際に、一金融機関あたり最大1,000万円までの預金とその利息が保護されます。
しかし、この制度は日本円での預金にのみ適用され、外貨預金はこの保護の範囲外となっているのです。
為替手数料がかかる
外貨預金では、日本円を外貨に換えて預け入れ、払い戻す際に日本円に換えなければなりませんが、この際に金融機関に為替手数料を支払う必要があります。
少額の取引をする場合は、為替手数料の金額によっては損失が出てしまう可能性があるため、事前に金額を確認しておきましょう。
円安になると外貨預金はどうなる?
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では、円安局面では、外貨預金はどうなっていくのかを解説します。
円安では外貨に対し円の価値が下がる
円安になると、外貨預金を持っている場合、円に換算したときの外貨の評価額が増え、為替差益を得られる可能性があります。
つまり、円安は外貨を保有する人にとって利益のチャンスです。
ただし、円安時に外貨を追加で購入すると1ドルあたりの円コストが高くなるため、購入のタイミングについては慎重に検討する必要があります。
円安になったときの外貨預金の対応方法とは?
預入時より円安になった場合は、利益確定のタイミングを意識すると良いでしょう。
ただし、さらに円安が続く可能性もあるため、引き出さずに保持して、さらなる為替差益を狙うことも可能ですが、相場の変動リスクを理解した上で行うことが大切です。
円高になると外貨預金はどうなる?
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では、円高になると外貨預金はどうなってしまうのかを解説します。
円高では外貨に対し円の価値が高くなる
例えば、1ドル110円だった為替が1ドル100円になると、1ドルあたりの円換算額は減少し、円の価値が上がったことになります。
円高局面で外貨を円に戻すと、受け取る円が少なくなり、損失につながることがあります。
特に購入時点が円安水準だった場合は、大きな差損となるリスクがあるため注意が必要です。
円高になったときの外貨預金の対応方法とは?
例えば1ドル110円で購入した外貨を、1ドル100円の円高時に円に戻すと、購入時より円換算額が減り差損となります。
しかし、これから外貨預金を始める場合は、円高で購入して円安に戻ったときに引き出せば為替差益を狙えます。
また、すでに保有している場合は、利息収入を得ながら円安を待つ戦略も可能です。
したがって円高局面では、外貨預金の引出し・追加購入を長期的視点で判断し、利益確定や損失回避のタイミングを慎重に見極めることが重要です。
外貨預金におすすめの通貨
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外貨預金といっても、対象となる通貨は多岐にわたります。
外貨預金で人気のある通貨には、米ドルや豪ドルのほか、ユーロ、英ポンド、ニュージーランドドル、スイスフランなどがあり、それぞれ特徴が異なります。
投資経験が豊富な人は、それぞれの通貨の値動きや経済状況、国際情勢などを考慮して購入する通貨を選びますが、初心者にとってはハードルが高い場合も少なくありません。
まずは、世界の基軸通貨であり、情報が多く値動きをつかみやすい米ドルがおすすめです。
また、外貨預金をする際には、扱っている通貨の種類や金利、手数料などを総合的に比較検討した上で、取引を行う金融機関を選ぶことも重要です。
外貨預金をする上で金融機関やサービス選びに迷った際には、オリコン顧客満足度ランキングをはじめとする、比較サイトが参考になります。
外貨預金を行う際の注意点
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預け入れるタイミングを分ける
一括で大量の外貨を購入し預金する場合、その全額に同一の為替レートが適用されるため、もし為替レートが不利な方向に動いた場合、大きな損失が出てしまうリスクがあります。
しかし預金のタイミングを分けることにより、それぞれのタイミングで異なる為替レートが適用されるので、リスクを分散することが可能です。
余剰資金を使って投資をする
生活費や教育費、医療費などの生活に必要な資金と、近い将来に必要となる可能性がある住宅の購入費用や結婚資金などは、別途確保しておくべきです。
投資はリスクを伴うので、家計に余裕があるときに、その余剰部分を外貨預金にあてましょう。
長期運用を行う
為替は日々のニュースや政治的な動きなどの要因によって、短期的に大きな変動を見せることがあります。
しかし、長期的に見ると、これらの変動は相対的に小さくなり、安定した運用が期待できます。
外貨預金をする際には、日々の値動きに一喜一憂せず、長期的に金利収入を積み上げ、着実に資産を増やすようにしてください。
外貨預金のよくある質問
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ここでは、外貨預金のよくある質問と回答をまとめています。
外貨預金のよくある質問
外貨預金を始める適切なタイミングを教えて下さい
相対的に円が強いときに外貨を購入すれば、その後円安に進んだ際に為替差益を得られる可能性があります。
また、余剰資金が手に入ったタイミングで始めることも資産を守る視点で大切です。
1ドル150円台のときに外貨預金を始めても損しませんか?
そのまま円高に進めば損失が出る可能性がありますが、分散購入や長期保有を前提にすればリスクは軽減できます。
外貨預金では、短期的に結果を求めず、長期的に資産を育てる意識が重要です。
外貨預金はいつ解約すれば為替差益を得られますか?
ただし相場の先行きは誰にも正確には予測できないため、利益確定の目標ラインをあらかじめ決めておくと安心です。
外貨預金を活用して資産運用をしてみよう
今回ご紹介した外貨預金のメリットやデメリット、注意点などを理解した上で、外貨預金による資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。
外貨預金サービスを選ぶ際には、オリコンの「外貨預金 オリコン顧客満足度ランキング」がおすすめです。
このランキングでは、手数料や金利、入出金のしやすさなど、さまざまな視点から評価された外貨預金サービスを比較することができます。
資産運用の一環として外貨預金を検討する際に、ぜひこのランキングを参考にしてみてください。
監修者金子 賢司
東証一部上場企業(現在は東証スタンダード)で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。
以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
・CFP®資格(資格番号:90260739)
・日本FP(ファイナンシャルプランナー協会)幹事
ホームページ:https://fp-kane.com/