NISAとは? 初心者が知っておきたい、基本の仕組みと注意点 2024年からの新NISA制度も紹介
■NISAとは?
■NISAの基本の仕組み
3つのNISAの特徴を比較、2024年からの新制度も紹介
一般NISAとつみたてNISAのちがい? 非課税対象の上限額と期間
一般NISAとつみたてNISAのちがい? 対象商品と購入方法
一般NISAは「短期向き」、つみたてNISAは「中長期向き」
■一般NISAとつみたてNISAの注意点
注意点? 一般NISAとつみたてNISA、併用できない
注意点? “非課税投資枠”は、翌年に繰り越せない
注意点? 「損益通算」ができない
注意点? つみたてNISAでは、スポット購入ができない
■非課税期間の終了後は、3つ選択肢
■NISAの特徴を知って、自分にあった制度を選ぼう
NISAとは?
ちなみに通常の投資では、配当金や分配金、売却益(株価の値上がりによって売却時に得られる利益)には所得税15.315%、住民税5%の合計20.315%の税金がかかる。
2022年6月現在、NISAには20歳以上を対象にした一般NISA、つみたてNISA、そして20歳未満を対象にしたジュニアNISAの3種類がある。ただしジュニアNISAは、新規口座の開設は2023年までとなっている。
“NISAは1人1口座が原則”のため、一般NISAとつみたてNISAを併用することはできず、口座開設時に一方を選び、1年ごとに変更することはできる。
各NISAは、非課税の期間、年間非課税枠のほかに、運用の仕方も異なる部分があるので、基本的な仕組みを理解して、自分に合った制度を選ぼう。
NISAの基本の仕組み
3つのNISAを比較、2024年からの新制度も紹介
(※2)(※3) 2023年1月以降、成人年齢の変更に伴い18歳以上となる。
(※4) 2023年1月以降、成人年齢の変更に伴い17歳以下となる。
(※5) 現行の制度での投資期間は、2023年12月末まで。2024年1月以降は“新しいNISA”として開始。
(※6) 2024年以降、18歳になる前でも払い出し可能になる。
新NISAは、「積み立て・分散」投資をさらに推奨する制度になっている。大きく変わるのは、新NISAでは、「2階建て」になるということ。一見、複雑に見えるが、1階は「つみたてNISA」と、2階は現在の一般NISAと基本的に同じ仕組みだ。
新NISA | つみたてNISA | |
対象者 | 18歳以上の日本国内居住者 | 18歳以上の日本国内居住者 |
年間の投資上限額(非課税枠) | 2階 102万円 | 40万円 |
非課税期間 | 投資した年から5年間 (1階部分のみ終了後つみたてNISAに移管可能) | 投資した年から20年間 |
口座開設可能期間 | 2014年〜2028年 | 2018年〜2042年 |
投資できる金融商品 | 2階 上場株式・公募株式投資信託等(※1) | 一定の条件を満たし、金融庁に届け出のあった投資信託とETF(上場投資信託) |
投資方法 | 2階 金額・タイミングは自由。積み立てでの購入も選択可能 | 定期・定額での積み立て購入 |
資金の払い出し | いつでも非課税で払い出し可能 | いつでも非課税で払い出し可能 |
一般NISAとつみたてNISAの違い? 非課税対象の上限額と期間
例えば、一般NISAの非課税期間は、初めての投資から最長5年間で、非課税枠は年間120万円。2018年に始め、年間120万円の投資を2022年までの5年続けると、最大120万円×5年分=600万円の投資で得られた利益が無制限に非課税となる。
投資対象期間が最長で2061年まで、非課税枠は年間40万円のつみたてNISAでは、今年始めた場合、非課税期間いっぱいの20年間分が対象となり、最大40万円×20年分=800万円の投資で得られた利益が非課税となる。
一般NISAとつみたてNISAの違い? 対象商品と購入方法
つみたてNISAの投資対象は、金融庁の設定する条件を満たした投資信託とETF(上場投資信託)のみで、限られた本数の中から選択する必要がある。また、株式を購入することはできない。
これに対して、一般NISAでは、株式投資信託、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)、に加えて株式など、より幅広い商品を購入することができる。
購入方法についても、つみたてNISAではその名の通り、積み立て購入のみであるのに対して、一般NISAは積み立てで買う必要がなく(積み立てでも購入可能)、相場を見ながら「下がったから買いたい」といったことにも対応できる。
投資家たちが投資したお金をまとめて資金とし、専門家がいろいろな商品に分散して投資・運用し、その利益を投資家に分配する仕組みの金融商品のこと。
一般NISAは「短期向き」、つみたてNISAは「中長期向き」
一方で、つみたてNISAは、株を購入するよりも、投資信託を少しずつ長い期間で積み立てていき、「中長期で分散投資をしたい」という人向きだ。非課税期間は20年間と長いので、老後資金や子どもの大学資金など目的とした資産形成に向いている。
つみたてNISAは、一定の条件を満たし、金融庁に届け出のあった投資信託とETF(上場投資信託)から選ぶことになり、その本数は限られている。また、株の売買はできない。「投資信託といっても、どれを選べばいいのか分からない」という投資初心者にとっては、比較的選びやすいという点で、より始めやすい制度といえる。
一般NISAとつみたてNISAの注意点
注意点? 一般NISAとつみたてNISAは併用できない
ただし年1回、手続きによって切り替えが可能だ。切り替え前に購入した投資商品については、引き続き保有できる。
注意点? “非課税投資枠”は翌年に繰り越せない
注意点? 損失を出したときに「損益通算」ができない
損益通算とは、赤字の所得(損失)をそのほかの所得(利益)から差し引くことで、税金を少なくできる制度だ。損益通算を行うことで、複数の口座の利益と損失を相殺し、トータルの利益に対してのみ税金がかかる。
ところが、NISAで損失が出て、ほかの口座では儲けが出た場合は、NISAのマイナス分を差し引くことができない。
また、株式や投資信託で損失が出た場合には、確定申告によって損失を3年間繰り越して、翌年以降の利益と相殺できる「繰越控除」という制度(「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」という)もあるが、これもNISAでは利用ができない。
つまり、NISA口座では“プラスが出ればお得だが、マイナスが出たときの救済措置が使えない”と覚えておこう。マイナス面については、すでにほかに運用口座を持っている人は特に注意する必要がある。
注意点? つみたてNISAではスポット購入ができない
仮に「相場がものすごく下がっているから、今がチャンス! たくさん買いたい」と思っても、つみたてNISAは定期・定額の“積み立てのみ”での利用のため、スポット購入はできない。あくまでも“積み立て”だということを頭に入れておこう。
非課税期間の終了後の選択肢は?
? 売却【一般NISA ○/つみたてNISA ○】
? 課税口座へ移管【一般NISA ○/つみたてNISA ○】
ただし、課税口座に移管する際には、そのときの時価が取得価格と見なされるので注意が必要。もし買い付けたときよりも値下がりしたタイミングで移管し、その後値上がりすると、実際には損失が出ているにもかかわらず、利益があったと見なされ課税されてしまう。
NISA口座から課税口座への移管はいつでも行うことができるので、値上がりしたタイミングで移管しておくのがベストだ。
? 一般NISAへロールオーバー【一般NISA ○/つみたてNISA ×】
手続きが必要だが、ロールオーバーによって非課税期間が最長10年間まで延びるので、長く運用したい人にとってはぴったりの制度だろう。
さらに、時価が一般NISAの年間非課税枠120万円を上回っていたとしても、非課税枠として移すことができるのも大きな特長の一つ。
一般NISAの投資可能期間は2023年12月末で終了するので、2024年1月以降にロールオーバーをする際には、新NISAの制度に合わせることとなる。
なお、つみたてNISAはロールオーバーできないので注意が必要だ。
一般NISA | つみたてNISA | |
売却 | ○ | ○ |
課税口座への移管 | ○ | ○ |
一般NISA口座へのロールオーバー | ○ | × |
NISAの特徴を知って、自分に合った制度を選ぼう
一般NISAは「短期間で非課税のメリットを得たい」人向き、つみたてNISAは「中長期で投資をしたい」人向きなど、特徴を理解して、自分の投資方針に合った制度を選ぶことが大事だ。
また各証券会社のNISA口座は、「コスパよく投資したい人」向け、「少額から始めたい人」向けなど、それぞれの特徴がある。また取り扱い商品も異なる。各社のサイトで実際にサービスや取り扱い商品を見比べてみるのもいいだろう。
この記事の監修者
生活者目線の自由なトークが持ち味。物腰やわらかで明快な講義は、全国に多数のファンがいる。
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP(R)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。1969年生まれ。グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、金融機関の職員や顧客に対する講義や講演も行う。「日本経済新聞」「日経ヴェリタス」「朝日新聞」「東洋経済」「週刊ダイヤモンド」などへの原稿執筆・コメント提供のほか、ラジオ日経などのメディア出演も多数。主な著書に『投資で利益を出している人たちが大事にしている45の教え』(日本経済新聞出版)がある。
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