新NISAの成長投資枠とは?つみたて投資枠との違いや気になる疑問を解説
この記事では、新NISAの成長投資枠とつみたて投資枠の違い、成長投資枠での投資のポイントや投資できる商品などについて詳しく解説します。これからNISAを始める人や、成長投資枠の有効活用について関心のある人は参考にしてください。
目次
新NISAにおける成長投資枠とは
新NISAには「成長投資枠」と「つみたて投資枠」というふたつの投資枠が設けられており、投資家は自身の投資スタイルに合わせて両方の枠の併用が可能です。
成長投資枠とは
つみたて投資枠が長期の積み立て・分散投資に適した投資信託に限定されているのに対し、成長投資枠ではより多様な商品を選択できます。
例えば、国内外株式への投資や、市場平均(インデックス)を上回る運用成果を目指すアクティブファンドへの投資も可能です。また、一括での買い付けや投信積立、株式の積み立てといった投資方法も柔軟に選択でき、投資の自由度が高い点も魅力です。
つみたて投資枠とは
つみたて投資枠で購入できる商品は、金融庁が定めた基準を満たした投資信託に限られています。
また、つみたて投資枠の買い方は、毎月一定額を自動的に積み立てる積立投資のみです。一度積み立ての設定をするとその後は自動的に買い付けられるため、コツコツと資産運用を続けられる仕組みとなっています。
成長投資枠 | つみたて投資枠 | |
---|---|---|
年間投資枠 | 240万円 | 120万円 |
非課税保有期間 | 無期限 | |
非課税保有限度額 | 総枠1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで) | |
口座開設期間 | 恒久化 | |
投資対象商品 | 長期の積み立て・分散投資に適した一定の投資信託 | 上場株式、投資信託、ETF等 |
投資方法 | 積立投資のみ | 一括投資・積立投資が可能 |
旧NISAとは何が違う?新NISAでの変更点
旧NISAと新NISAを比較しよう
新NISA | 旧NISA | |||
---|---|---|---|---|
成長投資枠 | つみたて投資枠 | 一般NISA | つみたてNISA | |
年間投資枠 | 240万円 | 120万円 | 120万円 | 40万円 |
非課税保有限度額 | 1800万円(うち成長投資枠は1200万円まで) | 600万円 | 800万円 | |
非課税保有期間 | 無期限 | 5年間 | 20年間 | |
投資対象商品 | 上場株式、投資信託、ETF等(一部除外あり) | 長期の積み立て・分散投資に適した一定の投資信託(金融庁が選定) | 上場株式、投資信託、ETF等 | 長期の積み立て・分散投資に適した一定の投資信託(金融庁が選定) |
購入方法 | 一括、積み立て | 積み立てのみ | 一括、積み立て | 積み立てのみ |
制度の併用 | 可能 | 不可 | ||
口座開設期間 | 恒久化 | 2023年まで | 2023年まで |
投資可能な上限額が上がる
いつでも口座開設が可能になった
旧NISAは時限的な制度のため、始める時期によっては非課税投資枠を最大限活用できないケースもありましたが、新制度ではそうした心配がなくなっています。
時期を気にせず、自分のライフプランや資金計画に合わせて柔軟に投資を始められるようになったのは、新NISAの大きなメリットといえるでしょう。
つみたて投資枠と併用できるようになった
例えば、つみたて投資枠で毎月の積立投資をしながら、成長投資枠で気になる株式を購入するといった投資プランが立てられます。
非課税保有期間の期限がなくなった
しかし、新制度ではそうした手続きは不要です。自分のライフプランに合わせて引き出したいタイミングを自由に決められるようになり、より長期的な視点で資産形成が可能になりました。
非課税保有限度額が増えた
非課税保有限度額は購入金額(簿価)で管理 されるため、保有している間に値上がりして残高が限度額を超えても問題ありません。
新NISAで成長投資枠を活用する際のポイント
幅広い金融商品から投資したいものを選ぶ
例えば、国内株式では株主優待や配当金の受け取りも可能で、外国株式では世界の成長企業への投資機会が得られます。また投資信託ではつみたて投資枠の対象商品に加えて、アクティブファンドも選択できるため、より積極的な運用も可能です。
このように成長投資枠は投資対象の選択肢が豊富なため、投資経験や知識に応じて自分に合った投資商品で運用できます。
つみたて投資枠と併用すると投資の方向性が広がる
つみたて投資枠ではインデックスファンドの積立投資で着実に資産形成を進め、成長投資枠ではハイリターンな投資をするといった使い分けができるためです。
例えば、つみたて投資枠で世界株式のインデックスファンドを毎月積み立てながら、成長投資枠で注目の成長企業の株式を購入するといった戦略を取れます。
ただし、個別の銘柄への株式投資には知識やスキルが必要なため、投資初心者はまずつみたて投資枠を優先すると良いでしょう。
資金に余裕があるときに一括購入する
例えば、注目していた銘柄の株価が大きく下落したタイミングで買い付けたり、ボーナスや臨時収入があったときにつみたて投資枠の投資信託を追加購入したりするなど、さまざまな方法が考えられます。
このように、投資のタイミングと金額を柔軟に決められる点が、成長投資枠を活用する際の重要なポイントとなっています。
年間240万円まで投資できる
投資枠が大きいと余裕資金のないときは控えめに、手元にお金があるときは集中的にといった、自分の都合に合わせた投資ができます。
例えば、住宅ローンの完済後や子どもの独立後といった、投資に回せるお金ができたときに、その資金を効率的に運用できるでしょう。
このように、成長投資枠の大きな非課税投資枠は、ライフステージごとの資産形成を支援する重要な特徴となっているのです。
売却すると来年以降の枠が復活する
例えば、2024年に100万円で購入した株式を売却した場合、2025年から100万円分の投資枠が再度使えるようになります。
ただし、年間投資枠(成長投資枠240万円、つみたて投資枠120万円)の上限は変わらないため、復活した枠を含めても年間360万円までしか投資できない点には注意が必要です。
成長投資枠で購入できる商品
国内株式
株式投資は企業の成長による株価上昇や、企業から支払われる配当金による収益を期待できる投資方法です。成長投資枠を利用すると、これらの利益を非課税で受け取れます。
成長投資枠では上場株式以外に、ETF、ETN、REITといった上場している金融商品も投資対象です。また、上場株式のうち、PO、IPOも多くの証券会社で成長投資枠での購入が可能です。
ただし、証券会社によって手続きや条件が異なり、事前に確認する必要があります。
IPO(新規公開株式) | 未上場企業が新たに証券取引所に上場する際に発行される株式 |
PO(公募増資・売出) | 上場企業が新たに株式を発行したり、既存の株主が保有する株式を売却したりすること |
ETF(上場投資信託) | 証券取引所に上場する特定の指数(日経平均株価、TOPIXなど)に連動するように運用される投資信託 |
ETN(上場投資証券) | 証券取引所に上場する、特定の指数に連動するように設計された証券で、発行体である金融機関の信用力に基づいて発行される |
REIT(不動産投資信託) | 投資家から集めた資金で不動産に投資し、賃料収入や不動産売買益を投資家に分配する商品 |
外国株式
また、証券会社によっては米国株式の積み立てを取り扱っており、毎月一定額での購入も可能です。
成長投資枠では、海外の市場に上場しているS&P500やNYダウのような指数に連動する海外ETFも購入できます。海外ETFならひとつの商品で多くの銘柄への分散投資が可能です。
ただし、外国株式への投資には為替リスクや、各国の政治・経済情勢の影響を受けるリスクといった、国内株式投資とは異なるリスクが存在します。また、外国株式で取り扱う商品やサービス内容は証券会社によって異なる点にも注意が必要です。
投資信託
集められた資金は株式、債券、不動産のような、さまざまな資産に分散投資されます。
投資信託の大きな特徴は、少額から投資を始められる点です。証券会社によっては100円から投資できるところもあり、まとまった資金がない人でも気軽に投資を始められます。
成長投資枠では投資家の目的やリスク許容度に応じて、つみたて投資枠よりも多様な商品から選べます。
新NISAについてよくある疑問
新NISAはいつから始めるのがおすすめ?
複利とは投資から得られた利益を再投資して、その利益からさらに利益を生み出す仕組みです。期間が長ければ長いほど、複利の効果は大きくなります。
口座開設には1〜3週間程度の期間を要するため、投資を検討する段階で先に口座を開設しておくと良いでしょう。
NISA口座は複数開設できますか?
複数の金融機関に同時に申し込んだ場合、税務署での審査により最初に手続きが完了した金融機関の口座のみが有効となります。
NISAの口座はどこで開設すると良いの?
ただし、投資の経験が浅く、対面でのアドバイスを希望する人は、銀行や店舗のある証券会社も選択肢となります。選択の際は取扱商品数や手数料といったサービス内容と、自身の投資スタイルを照らし合わせましょう。
新NISAの成長投資枠なら幅広い商品に投資できる
投資経験や資金状況に応じて商品を選択し、長期的な資産形成を目指せます。NISAは少額から始められるので、早めの口座開設をおすすめします。
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※本記事では一般的な例をもとに情報をまとめています。各社の商品やプランによっては当てはまらないケースもあります。また、情報は公開日現在のものです。各種状況や法令情報等につきましては、公的機関等で最新情報をご確認ください。