株式投資の始め方を解説!メリット・デメリットや銘柄の選び方も紹介
本記事では、株式投資の始め方やメリット・デメリット、銘柄選びのポイントのほか、株式投資以外の投資方法について解説します。株式投資を始める際の参考にしてください。
監修者 AFP/2級FP技能士 吉田祐基
ライター・編集者。お客様向けの会報誌や、記事、Webサイト、PDF資料といった各種コンテンツ制作のディレクション業務ほか、Webメディアの運営を担当。
目次
株式投資は、株式を購入して利益獲得を目指す投資手法
株式を購入した後、保有している株式の株価が上昇したタイミングで売却すれば、差額で利益を得ることが可能です。このような投資商品の値上がりによる利益を、「キャピタルゲイン」と呼びます。
また、株式投資では、株を保有していることで「インカムゲイン」と呼ばれる利益を獲得することも可能です。配当金や株主優待などが、インカムゲインに該当します。
なお、すべての株式会社は株式を発行していますが、一般の投資家が購入できるのは、基本的には株式市場に上場された株式だけです。上場株式は、証券会社を通して売買します。売却したい人が多い株は値下がりし、購入したい人が多い株は値上がりします。
株式は、株式会社が投資家に出資をしてもらうために発行している有価証券です。株主は株式を購入することで企業に出資を行い、配当金という形で利益の分配を受けたり、値上がりした株式を売却したりすることで利益を得ます。
株式投資には、出資することで企業を応援する側面もあります。
そのため、株式投資を行う際、どのような目的で株式を購入し、どのくらいの期間保有するつもりなのかを決めておくと、売却タイミングなどの迷いが少なくなるでしょう。
株式投資の始め方
株式投資で、証券会社を選んで口座を開設してから売却するまでには、下記のようなステップに沿って手続きを行う必要があります。
1. 証券会社を選んで口座を開設する
とはいえ、具体的な特徴は証券会社ごとに異なります。例えば、株式取引の手数料は、証券会社ごとに異なるため注意が必要です。できるだけ手数料が低い証券会社を選べば、それだけ手元に残る利益は大きくなります。
また、取り扱っている商品の種類やPC、スマートフォンで取引する際のツールの使い勝手も、証券会社それぞれに特徴があります。情報を集めて、自分に合っていそうな証券会社を探してください。
証券会社が決まったら、下記の3種類の中から開設する証券口座の種類を検討します。
・特定口座(源泉徴収あり):投資利益から所得税が源泉徴収される口座で、確定申告は不要
・特定口座(源泉徴収なし):投資利益からの所得税の源泉徴収がない口座で、利益額などによっては確定申告が必要。確定申告に必要な情報が記載された「年間取引報告書」が証券会社から交付される
・一般口座:投資利益からの所得税の源泉徴収がなく、年間取引報告書の交付もない口座
特定口座と一般口座の違いについては、下記の記事をご覧ください。
2. 証券口座に入金する
また、同じグループ内の証券会社と銀行でそれぞれ口座を作成して連携させれば、証券口座に事前入金を行わなくても、自動的に預金口座から資金が移動されるサービスを用意している証券会社もあります。そのような証券会社では、このステップは不要です。
3. 株式を選ぶ
なお、株式を売買する際、証券会社を通じて証券取引所で取引を行います。日本の証券取引所の中で最も規模が大きいのは、東京証券取引所です。東京証券取引所の中では、下記の3種類に市場が分けられており、市場ごとに取引できる株式が異なります。
・プライム市場:流動性、ガバナンス、経営成績などに関する基準を満たす企業が上場している市場。新規上場時は流通株式時価総額100億円以上、または直近2年間の利益の合計25億円以上などの基準があり、その後も上場維持基準が定められている。
・スタンダード市場:プライム市場の基準には届かないものの、基本的な流動性、ガバナンス、経営成績などの基準を満たす企業が上場している市場。
・グロース市場:ベンチャー企業など、上場企業の中では成長途上の企業が上場している市場。
4. 株式を購入する
・指値注文:あらかじめ希望する購入額・売却額を指定しておく注文方法。指定金額より有利な金額で売買が成立した場合のみ購入が可能
・成行注文:希望購入額・売却額を指定せず、注文を出したタイミングで最も有利な価格で売買する方法
5. 株式を保有、売却する
売却後、通常は3営業日目に売却額が入金されます。入金までに一定の時間がかかる点に注意してください。
株式投資のメリット
値上がり益が期待できる
例えば、1株1,000円で300株買った株式を1株1,500円の時にすべて売却した場合、購入額30万円に対して売却額は45万円になるため、取引手数料や税金を考慮しなければ利益は15万円です。
デイトレードのような短期売買を繰り返す株式投資は、短期間で上下する株価を見ながらタイミング良く株式を購入・売却し、何度も値上がり益を獲得することを目指します。
また、短期売買を行わず長期間株式を保有する場合も、何年も保有しているあいだに企業が成長して株価が上がれば、売却時に利益を得られます。
世界を代表する大企業も、最初に株式を上場したときは企業規模が小さく、株価も安かったというケースは少なくありません。企業の成長を見守ることで将来的に大きな利益が得られる可能性があるのも、株式投資の魅力です。
配当金が得られる
国内株式では本決算の後の1回、または中間決算を含む年2回といったタイミングで、配当金を支払う企業が一般的です。
株式投資は、企業に対する出資の一種であるため、企業は出資をしてくれた株主に対して利益の一部を配当金で還元します。配当金によって、株式を売却していないあいだも利益を得ることが可能です。
ただし、具体的にどの程度の配当金を出すのかは、企業によって異なります。業績が悪くても配当金が出るケースもあれば、利益が出ていても配当金が出ないケースもあります。購入したい株式があったら、過去の配当金の実績などもチェックしてみてください。
なお、配当金を得るためには、権利確定日に株主として株主名簿に記載されている必要があります。 そのためには、権利確定日から起算して2営業日前(権利付最終売買日)までに株式を購入しなければなりません。
株主優待が得られる
株主優待は、特定のタイミングで株式を保有している株主に対し、企業が優待品を提供する制度です。自社製品や、自社サービスで利用できる割引券、ポイント、金券など、企業によってさまざまな優待品が用意されています。
ただし、株主優待制度はすべての企業が用意しているわけではありません。また、優待の内容や受け取れる条件も企業によってさまざまです。株主優待を期待して投資を行う場合、事前に優待の有無や、優待をもらうのに必要な株式数、優待品の内容などを確認しておきましょう。
同時に注意すべきなのが、優待の対象株主が決まるタイミングです。配当金と同様に、権利付最終売買日の前に株式を売却してしまうと株主優待をもらえません。売却や購入のタイミングに注意してください。
議決権を行使できる
議決権は、株主総会で議決される議案に対して、賛成または反対の意思表示を行う権利です。
株主は、原則として1株につき1つの議決権を持っています。株主総会に参加するか、議決権行使書を提出することで意思を表示することが可能です。
自分の応援している企業や、経営方針に対して要望を伝えたい企業、生活に深くかかわる企業などの株主になれば、株主総会の議決権行使という形で経営に参加できます。保有する株式数が多ければ、その分だけ大きな影響力を持つこともできるでしょう。
また、株主は株主総会で質問を行ったり、株主総会で議案を提案したりすることも可能です。ただし、株主が議案を提案するためには、株式の保有期間や保有数に条件があるため、株主であれば誰でも提案できるわけではありません。
株式投資のデメリット
元本割れのリスクがある
株価は、市場が開いているあいだはさまざまな要因で常に変動しているため、企業に悪影響を与える事実が公表された場合、数分で株価が下落してしまうこともあります。元本割れするリスクを許容できない人は、株式投資には向かないでしょう。
ただし、自己資金のみで行う株式投資であれば、投資した金額以上の損失が出ることはありません。あくまでも、投資額が損失の最大値です。そのため、すべて損失になっても許容できるような金額の範囲内で投資を行うのがおすすめです。
銘柄によっては高額な投資資金が必要になる
国内株式は原則として、100株単位で売買します。1株1万円の株式を買いたい場合、100株が最低売買単位であるため、100万円用意しなければなりません。
ただし、証券会社の中には、単元未満株を取り扱っているところもあります。単元未満株とは、100株未満の単位で株式を売買できるサービスで、1株単位で株式投資ができるのが一般的です。
株価が高額な銘柄に投資したい場合や、少額で株式投資を経験してみたい場合は、単元未満株の利用を検討してみましょう。
株式投資の銘柄選びのポイント
専門的な知識のない人が株式投資の銘柄選びに迷ったときは、下記のポイントをチェックしてみてください。
株主優待や配当金で選ぶ
優待や配当金は、株式を保有しているだけで受け取れるメリットであるため、長期保有を前提としている場合には、過去の実績などを確認しておくことをおすすめします。
元々利用する頻度が高いサービスの優待を受けられるような投資先があれば、魅力的な選択肢になります。
例えば、株価が1,000円で、株主優待として自社商品の5%割引サービスを受けられる銘柄の場合、基本的な売買単位は100株であるため10万円を投資すれば、優待を受けることが可能です。その企業の商品を毎年20万円程度購入している人なら、10年間株式を保有すると、優待だけで投資額を回収できます。
また、高配当株を購入して、副収入にするという投資方法も可能です。毎年高い配当を分配している銘柄を長期的に保有し続ければ、売却しなくても投資した金額を回収できるかもしれません。
普段から商品・サービスを利用している企業を選ぶ
普段から利用している商品やサービスを提供している企業であれば、サービスの内容や業界での立ち位置なども理解しているため、業績の予測もしやすくなります。
「最近、利用者が増えて人気が集まっている」「サービスが低下している」「新しいキャンペーンは利用者のニーズに合致している」といったことを実体験として把握できるため、投資初心者でも購入や売却の判断を行いやすいでしょう。
好感を抱いている商品・サービスを提供している企業の株を買うことは、企業を応援することにもつながります。株主総会に参加したり、優待商品をもらったりすることも可能になるため、目先の利益だけではない株式投資の楽しさを感じられるかもしれません。
少額から投資できる銘柄を選ぶ
市場で売買されている株式の中には、最低10万円以下から始められる銘柄も存在します。自分に合った投資の仕方を見つけられるまで、少額から株式投資を試してみるのもおすすめです。
株式投資以外の投資方法
・投資信託:資産運用のプロに資金を預けて運用してもらい、利益の分配を受ける投資商品。運用方針などをもとに銘柄を選んで投資する
・ETF:金融商品取引所に上場されている投資信託。株式のようにリアルタイムでの売買が可能
・FX:外貨を売買して為替の値動きで利益獲得を目指す投資商品。売買の価格差で生じるお金だけをやりとりする「差金決済」が行われる
株式投資では、自分に合った証券会社を選ぼう
株式投資を始める際、自分に合った証券会社を選ぶことも重要です。手数料や対面相談窓口の有無、取扱銘柄の豊富さなど、重視するポイントは人によって変わります。複数の証券会社の情報を確認して、自分に合う口座開設先を見つけてください。
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監修者 AFP/2級FP技能士 吉田祐基
ライター・編集者。編集プロダクションで、Web・紙媒体問わず主に金融系コンテンツの制作を担当後、HRテック企業に制作ディレクターとして入社。お客様向けの会報誌や、記事、Webサイト、PDF資料といった各種コンテンツ制作のディレクション業務ほか、Webメディアの運営を担当。