NISAの売却タイミングはいつ?ベストな売り時や注意点を解説!

NISAの売却タイミングはいつ?ベストな売り時や注意点を解説!

NISA(少額投資非課税制度)は、投資初心者からベテラン投資家まで幅広く利用されている非課税制度です。しかし、「NISAを売却するタイミングはいつがよいのか」と悩む方も多いのではないでしょうか。

売却のタイミング次第で利益を最大化したり、予期せぬリスクを回避したりすることが可能です。

この記事では、NISAの基本的な特徴や売却のベストタイミング、売却後の注意点について解説します。2024年からスタートした新NISAについても触れながら、制度を最大限に活用するためのコツをお伝えします。

NISAの運用に悩んでいる方や売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

mokuji目次

  1. NISAの特徴をおさらい
    1. 2024年から新NISAがスタート
    2. 新NISAを始める方法
    3. NISAはいつでも売却できる
  2. NISAの売却タイミングでベストなのは?
    1. 目的のライフイベントが発生するとき
    2. 目標金額に達したとき
    3. 利益が出ているとき
    4. 不測の事態でお金が必要になったとき
  3. NISAを売却したらどうなる?
    1. NISAの売却方法
    2. 新NISAでは売却した分の非課税枠が復活する
  4. NISAを売却するときの注意点
    1. 約定日の基準価額が売却時の価格になる
    2. 保有商品によっては手数料がかかる
    3. 売却後はお金の受け渡しまで数日かかる
    4. 配当金の受け取りは「株式数比例配分方式」を選ぶ
  5. 新・旧NISAの活用ポイント
    1. 旧NISAの資産は新NISAへ移せない
    2. つみたてNISAは長期運用が成功のカギ
    3. 新NISAはつみたて投資枠と成長投資枠の併用がオススメ
    4. バランスよくファンドを選ぶのがポイント
  6. NISAは自分にとってベストなタイミングで売却しよう

NISAの特徴をおさらい

NISAの特徴をおさらい

NISA(ニーサ)とは、少額からの投資をおこなう方のために、2014年1月にスタートした小額投資非課税制度です。株式投資や投資信託などの運用で得られた利益(売却益・配当金)が非課税となる制度で、毎年一定額までの投資枠が設けられています。

2024年から新NISAがスタート

2024年1月から、制度を大きく見直した新NISAの運用が始まりました。新NISAでは、従来の一般NISAとつみたてNISAを1つに統合し、より使いやすい制度として生まれ変わっています。

以下の表で旧NISAと新旧NISAの主な違いを確認してみましょう。
旧NISA 新NISA
仕組み 一般NISA つみたてNISA 成長投資枠 つみたて投資枠
年間投資枠 120万円 40万円 240万円 120万円
非課税保有限度額 600万円 800万円 1,800万円
(成長投資枠は内数として
1,200万円)
非課税保有期間 5年間 20年間 無期限 無期限

新NISAを始める方法

新NISAを始めるための手続きは、旧NISA口座の有無によって異なります。旧NISA口座をもっていない方が、新NISAを始める際は、銀行や証券会社などにNISA口座を開設する必要があります。

新NISA口座を開設する流れは以下のとおりです。
1.NISA口座を開設する金融機関を選び、申請をする。新NISAは2024年1月1日時点で18歳以上の成人であれば利用可能。

2.選んだ金融機関で口座開設の手続きをおこなう。この際、申請書類のほか、本人確認書類とマイナンバー確認書類が必要となる。

3.つみたて投資枠と成長投資枠のどちらを利用するか、または両方を併用するかを決める。

4.選んだ枠に応じて投資商品を選択し、実際の投資を開始する。
すでに旧NISA口座をもっている方は、原則として自動的に新NISA口座が開設されます。この場合、旧NISA口座で購入した投資商品は、非課税期間中においては、新NISA口座とは別に保有が可能です。

NISAはいつでも売却できる

新旧NISAともに、投資商品の売却自体はいつでも可能です。旧NISAでは非課税保有期間が一般NISAは5年間、つみたてNISAは20年間と定められているため、その期間を意識した売却計画を立てる必要がありました。

新NISAでは非課税保有期間が恒久化され、期間の制限なく非課税のメリットを享受できるようになりました。投資家は市場環境や個人の資金ニーズに応じて、より柔軟に売却タイミングを決められるようになったと言えるでしょう。

非課税期間に制限がなくなった点を活かし、自身に合った最適な売却タイミングを見極める必要があります。想定される売却のタイミングについては、次の章で解説します。

NISAの売却タイミングでベストなのは?

NISAの売却タイミングでベストなのは?

NISAの売却時期は投資家それぞれの目的や状況によって異なります。ここでは、代表的な売却タイミングについて解説します。適切な売却時期を判断する際の参考にしてください。

目的のライフイベントが発生するとき

将来的に大きな出費が見込まれるライフイベントがある場合、それに合わせた売却計画を立てることが重要です。マイホーム購入の頭金やお子様の教育資金、結婚資金などが必要になる時期が分かっている場合は、計画的に売却を進めていきましょう

長期投資の場合、5年、10年といった具体的な期間を設定し、目標とする金額を決めておくと、より効率的な資産形成が可能になります。売却時期が明確にできれば、徐々にリスクを抑えた運用に切り替えていくなど、柔軟な投資戦略を取れます。

資金が必要な時期が近づいてきたら、段階的な売却がオススメです。一度に全額を売却するのではなく、市場の状況を見ながら分散して売却することで、相場の変動リスクを軽減できるでしょう。

目標金額に達したとき

目標金額に達したときに売却する選択もあります。投資を始める際に、具体的な目標金額を設定しておければ、売却の判断基準として非常に有効です

目標金額は、将来必要となる資金や自身の投資スタイルに応じて設定するのがオススメです。運用益が目標に到達した時点で売却を検討するという明確な基準があれば、感情に左右されずに冷静な判断が可能になります。

市場が上昇傾向のときは「もう少し待てば」という欲が出てきがちですが、目標金額が明確であれば、感情的な判断にとらわれずに売却できるでしょう。

目標金額はかならずしも固定である必要はありません。市場環境や自身の生活環境の変化に応じて、適切に見直してもよいでしょう。定期的に目標金額の妥当性を検証し、必要に応じて修正を加えれば、より効果的な資産運用が可能になります。

利益が出ているとき

利益が出ているときに確実に売却をする選択肢もあります。この戦略は「利益確定」と呼ばれ、投資家にとって重要な選択肢のひとつです。

新NISAでは、売却による利益は非課税となるため、税金を気にせずに利益を確定できるメリットがあります。また、売却した分の非課税枠が翌年以降に復活するため、再投資の機会も確保できます。

旧NISAでの運用では、非課税期間が終了に近づいてきた際の売却タイミングが重要です。期間終了の2〜3年前から、含み益が出ている時期を見計らって売却できれば、最終局面での急激な値下がりリスクを回避できるでしょう。

ただし、売却のタイミングは市場環境や個別銘柄の状況を十分に見極めて判断する必要があります。

不測の事態でお金が必要になったとき

突然の病気や事故、自然災害など、急にお金が必要になったときに、NISA口座で運用している資産を活用するのも選択肢のひとつです。

不測の事態に備えて、運用資産の一部は換金しやすい状態で保有しておくのがオススメです。必要なときにすぐ換金できる流動性が高い商品を組み入れ、すぐに現金化できる体制を整えましょう

しかし、不測の事態に備えるためには、NISA以外にも十分な緊急資金を確保しておくことも重要です。余裕のある資金計画を立てられれば、投資資産を急いで売却する必要性が減らせます。

NISAを売却したらどうなる?

NISAを売却したらどうなる?

NISAでの運用を終了し、資金を現金化する際は、売却の手順や制度上の仕組みを理解しておく必要があります。

2024年からスタートした新NISAでは、売却後の非課税枠の取り扱いが大きく変更されています。NISAを売却したらどうなるかについて、以下のとおり解説します。

NISAの売却方法
新NISAでは売却した分の非課税枠が復活する

NISAの売却方法

NISAで保有している投資商品の売却は、通常の株式投資と同様に証券会社をとおしておこないます。多くの場合、証券会社が提供するインターネットの取引ツールを利用して売却手続きを進めます

インターネットでの売却手続きは、証券会社のウェブサイトにログインし、保有商品の一覧から売却したい商品を選択します。その後、売却株数や価格などの取引条件を入力し、内容を確認して注文を確定させます。

特別な書類の提出は不要で、通常の投資口座と同様の手順で売却が可能です。

売却時のタイミングによっては約定までに時間がかかる場合もありますが、約定後は売却代金が証券口座に入金されます。資金が必要な方は、その後銀行口座への出金手続きをおこなえば現金化できます。

新NISAでは売却した分の非課税枠が復活する

2024年に導入された新NISAでは、非課税保有限度額の扱いが大きく変更され、売却した分の非課税枠が復活するようになりました

たとえば、非課税保有限度額を使い切っている状態でも、同じ年に保有している投資商品の一部を売却すれば、翌年以降から売却した分の非課税枠が復活するのです。

ただし、年間投資枠(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円)の上限は変わらないため、その範囲内での再利用となります。

非課税枠の復活により、投資家は市場環境や資金需要に応じて柔軟に売却判断をおこなえるようになりました。非課税枠を失うことを懸念して売却を躊躇する必要がなくなり、より効率的な資産運用が可能となったと言えるでしょう。

NISAを売却するときの注意点

NISAを売却するときの注意点

NISAでの投資商品を売却する際は、いくつかの重要な点に注意をはらう必要があります。NISAを売却するときの注意点について、以下の内容で解説します。

約定日の基準価額が実際の売却価格になる
保有商品によっては手数料がかかる
売却後はお金の受け渡しまで数日かかる
配当金の受け取りは「株式数比例配分方式」を選ぶ

約定日の基準価額が売却時の価格になる

投資信託を売却する場合、約定日の基準価額が実際の売却価格として適用されます。基準価額は運用会社が1日1回算出する価格であり、市場が開いている時間中でもリアルタイムでの価格変動はありません。

また、売却注文した日の当日が約定日となる場合と、注文日の翌営業日以降が約定日となる場合があり、株式のように即座に売却価格が確定するわけではないため注意が必要です。

基準価額の算出タイミングを把握しておけば、より適切な売却タイミングを判断できるでしょう。

保有商品によっては手数料がかかる

投資信託の売却時には、信託財産留保額や解約手数料が発生する場合があります。手数料は金融機関や商品によって異なり、売却時の収益に影響を与える要因となります。

信託財産留保額は、売却にかかるさまざまなコストを、継続保有する投資家に負担させないように、去っていく投資家が残す純資産です。売却金額の0.1〜0.3%程度の場合が多いですが、費用がかからないケースもあります。

解約する投資家と継続保有する投資家との公平性を保つための仕組みですが、売却時の実質的なコストとして考慮しておく必要があります

売却後はお金の受け渡しまで数日かかる

投資信託を売却してから実際に資金が手元に届くまでには、数日かかります。資金の受渡日は投資信託の目論見書に記載されており、金融機関や商品によって異なるため確認が必要です。

緊急で資金が必要な場合は、資金の入金までに時間がかかるため、受け渡しまでにかかる期間を考慮した売却計画を立てる必要があります。とくに、大きな出費が予定されている場合は、余裕をもって売却手続きを進めましょう。

配当金の受け取りは「株式数比例配分方式」を選ぶ

NISA口座で保有している株式からの配当金を非課税で受け取るためには、「株式数比例配分方式」の申し込みが必要です。株式数比例配分方式を選択していない場合、配当金に対して課税されてしまう可能性があります

証券会社での口座開設時に受取方法を選択できますが、すでに口座を開設している場合でも変更は可能です。確実に非課税のメリットを得るために、配当金の受取方法を今一度確認しておきましょう。

新・旧NISAの活用ポイント

新・旧NISAの活用ポイント

NISAで効率的な資産運用をおこなうためには、新・旧それぞれの制度の特徴を理解した活用が重要です。新・旧NISAの活用ポイントは以下のとおりです。

旧NISAの資産は新NISAへ移せない
つみたてNISAは長期運用が成功のカギ
新NISAはつみたて投資枠と成長投資枠の併用がオススメ
バランスよくファンドを選ぶのがポイント

それぞれ解説します。

旧NISAの資産は新NISAへ移せない

2024年から始まった新NISA制度では、旧NISAで保有している資産を移管することはできません。ただし、旧NISAの非課税保有期間が終了するまでは、これまでどおり非課税での運用が継続できます。

旧NISAでは非課税期間が終了すると、保有している資産は自動的に課税口座へ移管されます。非課税期間終了前に売却タイミングを慎重に検討しましょう。

つみたてNISAは長期運用が成功のカギ

つみたてNISAは、長期的な視点での資産形成に適しおり、成功するパターンのひとつです。積立投資をコツコツ継続できれば、市場の上下動による影響を平準化でき、時間の経過とともに収益が安定する傾向があります。

複利効果を最大限に活用できる長期運用では、運用期間が長くなるほど収益機会が高まる可能性があります。市場の変動に一喜一憂せず、継続的な積立をおこなえれば、より大きな資産形成が期待できるでしょう

自身のライフプランに合わせて長期的に積立投資をおこない、無理ない資産形成の継続がオススメです。

新NISAはつみたて投資枠と成長投資枠の併用がオススメ

新NISAはつみたて投資枠成長投資枠の併用がオススメです。新NISAの特徴は、つみたて投資枠と成長投資枠を同時に利用できる点です。つみたて投資枠で安定的な積立投資をしながら、成長投資枠では市場の動向に応じて個別銘柄に一括投資がおこなえます

2つの投資枠を組み合わせると、安定性と収益性のバランスの取れたポートフォリオを構築できます。市場環境や投資目的に応じて、それぞれの投資枠の配分を調整していきましょう。

バランスよくファンドを選ぶのがポイント

NISAでの運用成功のカギは、バランスのよいファンド選択にあります。長期投資、積立投資、分散投資という3つの基本原則に基づき、バランス型ファンドやインデックスファンドなど、運用コストの低い商品を中心に選びましょう。

投資対象や地域、運用スタイルの異なる商品をバランスよく組み合わせられれば、リスクの分散が図れます。また、手数料の低い商品を選べば、長期的な収益への影響を抑えられます

NISAは自分にとってベストなタイミングで売却しよう

NISA口座での投資は、非課税というメリットを活かした長期運用が基本となります。しかし、人生の重要な場面で資金が必要になったり、非課税期間の終了が近づいたりと、さまざまな理由で売却を検討する機会が訪れます。

売却のタイミングは、ライフイベントの予定や目標金額の達成、市場環境など、複数の要素を考慮して判断する必要があります。

2024年からスタートした新NISAでは、売却後の非課税枠が復活する仕組みが導入され、より柔軟な運用が可能になりました。投資の成功は、自分の状況に合った適切な売却タイミングの見極めにかかっています。

市場の動向だけでなく、自身の生活設計やリスク許容度も考慮しながら、最適な売却時期を判断していきましょう

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