鳥類はペット保険に入るべき?よくある病気や寿命、注意点を解説

鳥類はペット保険に入るべき?よくある病気や寿命、注意点を解説

 インコやオウム、文鳥などの鳥類でも、病気にかかったりケガをしたりすることはありますし、動物病院を利用すれば高額な診療費が必要になる場合もあります。

 万が一のとき、ペット保険に加入していれば、診療費の一部または全部を補償してもらうことができますが、犬や猫と違って、鳥類もペット保険に加入することができるのでしょうか。

 この記事では、鳥類がかかりやすい病気と平均寿命のほか、実際に飼うときのポイントやペット保険の使い方を解説します。  

mokuji目次

  1. 鳥類も入れるペット保険
  2. 鳥類の診療費はどれくらい?
  3. よくある鳥類の病気
    1. 感染症
    2. 消化器疾患
    3. そのほかの疾患
  4. 主な鳥類の特徴と平均寿命
    1. セキセイインコ
    2. コザクラインコ
    3. 文鳥
    4. オカメインコ
    5. ヨウム
    6. コンゴウインコ
  5. 鳥類が健康的に過ごすための注意点
    1. 適度な運動をさせる
    2. 適切な室温と体温管理を行う
    3. 有害物質の誤飲に注意する
    4. フォージングでストレスを発散させる
  6. 鳥類のペット保険に入る際の注意点
    1. 保険金の受け取り方は希望どおりか
    2. 加入の条件が合致しているか
    3. 支払い条件や補償の内容は適切か
    4. ペット保険で補償されない治療もある
  7. 大切な家族である鳥を守るため、ペット保険への加入を

鳥類も入れるペット保険

 人間と違ってペットには健康保険制度がないため、ケガや病気で動物病院を受診したら、その費用は飼い主の全額負担です。ペット保険に加入していれば、規定にもとづいて診療費が補償され、銭的負担を軽減できますが、鳥類も加入できるのか、不安に思う人もいるでしょう。

 しかし、数は少ないものの、鳥類を対象としたペット保険を提供する保険会社はあります。万一のときのために加入しておくと安心です。

 なお、繁殖や売買などのビジネス目的で鳥類を飼っている場合は、ペット保険の対象外です。

鳥類の診療費はどれくらい?

鳥類にペット保険は必要?

 鳥類は万が一病気やケガをしても、犬や猫と比べると診療費は安めです。しかし、鳥類も加齢とともに疾患のリスクは高まり、診療費も高額になっていきます。

 「アニコム 家庭どうぶつ白書2019」によると、0〜2歳までの鳥類の平均年間診療費は6,000〜8,000円未満程度。しかし、3〜4歳になると1万5,000円前後になり、5歳では3万4,000円程度にまで跳ね上がります。各種検査や手術が加わると、さらに高額になる場合もあるでしょう。

 インコや文鳥の寿命はおよそ5〜10歳といわれますから、かわいいペットと長く過ごすためには、それなりの出費があることを覚悟しておく必要があります。

■鳥の年齢別の平均年間診療費

鳥の年齢別平均年間診療費(1羽あたり)

※アニコム損害保険株式会社「アニコム 家庭どうぶつ白書2019」より

よくある鳥類の病気

 鳥類のかかりやすい病気は、ほかの動物とは違って独特です。その中から、代表的な疾患を紹介します。

感染症

 細菌やウイルスに感染すると、嘔吐や下痢をはじめ、羽根の異常やくちばしの変形などさまざまな症状が表れます。呼吸器疾患であれば、人間のように咳やくしゃみをすることもあります。小鳥にとって呼吸器疾患は命に関わりますから、早めの受診をおすすめします。
鳥類の主な感染症
メガバクテリア症(AGY)
サーコウイルス症(PBFD)
セキセイインコのヒナ病(BFD)
オウム病(鳥クラミジア症)
ロックジョー症
カンジダ症
疥癬症 など

消化器疾患

 消化器疾患とは、消化器官が炎症を起こしている状態で、嘔吐や下痢を起こします。前述したメガバクテリア症(AGY)も消化器症状を引き起こすため、消化器疾患のひとつといえます。
鳥類の主な消化器疾患
胃炎
そのう炎
腺胃拡張症候群 など

そのほかの疾患

 そのほか鳥類がかかりやすい病気として、ストレスや寄生虫の原因により、自分の羽根を引き抜いてしまう毛引き症、メスが卵をうまく排出できなくなる卵詰まりなどがあります。

 また、腎機能の低下によって高尿酸血症になり、痛風発作を起こすこともあります。痛風はインコ類に多く、脚の関節に強い痛みが生じることから、止まり木に止まらない、止まり木からよく落ちるなどの行動が見られるようになります。
鳥類そのほかの疾患
毛引き症(自咬症)
卵詰まり
痛風 など

主な鳥類の特徴と平均寿命

主な鳥類の特徴と平均寿命

 鳥類といっても、その寿命はさまざまで、一般的に小型の鳥は短命で、大型の鳥ほど長生きです。しかし、個体差はありますし、飼育環境によっても寿命は左右されます。鳥ごとの体質や特性を知って好ましい飼育環境を整えることが、ペットと長く過ごすためのポイントです。

 また、鳥類もほかの動物と同じく、高齢になるにつれて病気やケガのリスクが高まります。その分、診療費も高額になっていくため、ペット保険は若いうちに加入を検討することをおすすめします。

 ここでは、日本でペットとして飼育されている主な鳥種の特徴と、その平均的な寿命を紹介します。

セキセイインコ

 小型で飼いやすく、体色が鮮やかなセキセイインコは、ペットとして根強い人気を持つ鳥種です。

 体温が平均42℃と高いため、1歳未満の幼鳥期と7歳以上の高齢期は25〜30℃くらい、それ以外は20〜25℃くらいがインコにとって快適な室温です。寒さが苦手なので、冬は風邪を引かないよう、ヒーターなどで温度管理してください。平均寿命は5〜10年です。

コザクラインコ

 飼い主や別の個体など、気に入った相手に強い愛情を向けるコザクラインコラブバードとも呼ばれ、人なつこく遊び好きという特徴があります。そのため、しっかりコミュニケーションをとることが飼育のポイントです。十分に遊んでもらえないと、ストレスから毛引き症を発症することもあります。

 また、セキセイインコと同様に寒さに弱いため、冬の寒さ対策は不可欠です。平均寿命は10〜15年です。  

文鳥

 文鳥は、純白の体に赤いくちばしの白文鳥灰色の体色に黒い頭と赤いくちばしを持つ並文鳥など、体色によっていくつもの種類があります。頭が良く人なつこいため、インコとともに人気の鳥種です。

 体温が高く寒さに弱いのはインコと同じ。冬場はヒーターを使い、冷え込む朝晩はケージをカバーで覆うなどの寒さ対策を施しましょう。平均寿命は8〜10年です。

オカメインコ

 オカメインコは、成長すると体長が30cm程になるオウムの仲間です。性格が穏やかで人にもなつきやすく、コミュニケーションが好きという特徴を持ちます。

 一方で、臆病な性質もあわせ持ち、普段聞きなれない大きな物音がしたときや、地震や雷などの災害時には、「オカメパニック」と呼ばれる状態に陥ることもあるので注意が必要です。この状態になると、ケージの中や室内をかなり激しく動き回り、時には大きなケガにもつながります。オカメパニックが起こったら、穏やかに声をかけ続けることで、様子が落ち着くのを待ちましょう。

 平均寿命は15〜20年ですが、30年生きた個体もいるといわれます。

ヨウム

 ヨウムは成鳥になると体長30cmを超える、存在感抜群の大型インコです。知能が高く声まねが上手で、人の言葉をよく覚えます。単にまねているだけでなく、言葉の意味を理解して会話をしているのではないかともいわれています。

 人が快適に過ごせる室温で飼育可能ですが、個体差もあるので調整は必要です。平均寿命は40〜60年と、かなり長生きします。

コンゴウインコ

 コンゴウインコは、赤や青、緑をベースに色彩豊かな体色を持つ、大型のインコです。種類によって体長は異なりますが、小さなもので約30cm、大きなものでは90cm近くに達するものもあります。

 室温は人が快適に過ごせる程度で飼育できます。とても大きな声で鳴き、人の言葉をまねしておしゃべりすることもあるようです。平均寿命は40〜50年という、長命な鳥種です。

鳥類が健康的に過ごすための注意点

 鳥類を自宅で飼う場合、病気やケガを避けるために注意しておきたいポイントがいくつかあります。下記のような点を押さえておき、ペットにとって快適な生活環境を整えましょう。

適度な運動をさせる

 普段はケージの中で飼っている鳥も、1日に1時間程度はケージから出して、部屋の中で自由に遊ばせましょう。「放鳥」といい、鳥類のストレス解消や運動不足の予防に役立ちます。また、インコや文鳥などは人なつこく、飼い主と遊びたがる鳥種ですから、大切なコミュニケーションの時間にもなります。

 ただし、放鳥をする際は、下記のような点に注意してください。

放鳥時の注意点
・窓やドアを閉め、外に出て行かないようにする
・ほかのペットと同時に放さない
・有毒物質や口にしてはいけないものはしまっておく
・排便で汚されないよう、汚したくないものにはカバーをかけておく
・様子を見守り、危険がないように気を付ける

適切な室温と体温管理を行う

 鳥類は体温が高いために寒さが苦手で、急激な温度変化に弱い個体が多いです。ケージの置き場所の温度を日頃からチェックし、冬なら暖房や保温器具を使い、夏なら直射日光をさえぎって冷房を使うなどして、一定の室温を保てるように工夫してください。

有害物質の誤飲に注意する

 人間にとっては害がなくても、鳥類にとっては有害となるものが身の回りには数多くあります。放鳥やエサやりの際には、これらが鳥類の口に入らないよう、くれぐれも注意してください

 また、インコ類はくちばしの力が強く、金属をかじって重金属中毒を起こすことがあります。放鳥する際には特に注意が必要です。

鳥類にとって有害となるものの例>
・チョコレート
・アボカド
・ネギ類
・アルコール類
・コーヒー
・亜鉛
・観葉植物
・たばこ など

フォージングでストレスを発散させる

 フォージングとは、「採餌行動」を指します。自然界で鳥類は、1日の多くの時間をエサ探しに費やしています。しかし、人に飼育されているペットは、エサ探しの必要がありません。

 そこで、より自然に近い能力をペットに発揮してもらうため、エサを封入した「フォージングトイ」で遊ばせるのがフォージングです。

 フォージングは放鳥の際に行いますが、有害物質の誤飲や排便による汚れを避けられるよう、事前に準備しておきましょう。

鳥類のペット保険に入る際の注意点

鳥類のペット保険に入る際の注意点

 鳥類を対象にしたペット保険に加入する際には、チェックしておくべきことがいくつかあります。ペット保険に関する知識をつけておき、その上で最適なペット保険を探してください。

保険金の受け取り方は希望どおりか

 ペット保険には、保険金の受け取り方によって「窓口精算」と「後日精算」があります。

 窓口精算は、保険会社が発行した保険証を動物病院の窓口で提示して、自己負担分のみを支払う方法で、人間の健康保険と同じやり方です。一方の後日精算は、動物病院で診療費の全額を支払った後で、保険会社に保険金を請求する方法です。

 窓口精算のほうが手間はかからず、負担感が少ないというメリットがありますが、保険料は割高になりますし、窓口精算に対応していない動物病院もあります。

 ペット保険を選ぶ際にはメリット・デメリットを見比べながら、どちらが良いか検討することが大切です。

 窓口精算、後日精算については、下記の記事をご覧ください。
 ●関連記事:
 ペット保険の請求方法は?流れと請求方法で変わるメリットを解説

加入の条件が合致しているか

 ペット保険に加入するには、対象となるペットにさまざまな条件が設定されています。これらの条件に合致していないと、保険に加入することはできません。

 特にペットは、高齢になるほど病気のリスクが高まるため、加入できる年齢が定められています。ですから、ペット保険に加入するなら、年齢が若いうちに加入するのがおすすめです。

<ペット保険の契約条件の例>
・鳥種がペット保険の対象になっている
・新規加入の年齢が上限を超えに達していない
・健康体であること
・継続の場合は、継続対象の年齢である
・補償の対象外となる要素に該当しない など
 ペット保険の加入条件については、下記の記事をご覧ください。
 ●関連記事:
 知っておきたいペット保険の加入条件!治療中や病気でも入れる?

支払い条件や補償の内容は適切か

 ペット保険は補償の内容に加えて、「どのような場合に、いくらまでの保険金が支払われるか」という条件が細かく定められています

 こうした細かな点をないがしろにしてしまうと、いざというときに「保険金が支払われない」ということにもなりかねません。そうしたことのないよう、しっかりチェックして検討してください。

ペット保険補償に関する注意点
・通院、入院、手術の補償限度額
・治療日数と回数の限度
・一部補償の場合の自己負担額(補償割合)
 ペット保険の補償内容については、下記の記事をご覧ください。
 ●関連記事:
 ペット保険の補償内容はどこまで?種類と注意点について解説

ペット保険で補償されない治療もある

 ペット保険は、ペットの病気やケガの治療と、それに関わる費用を補償するものです。そのため、健康診断やワクチン接種、去勢・避妊手術、妊娠・出産費用など、「病気やケガとはいえないもの」に関する費用は、補償の対象外となります。

 どこまで補償されるのか、どこから補償されないのかを、事前によく調べておくことが肝心です。

大切な家族である鳥を守るため、ペット保険への加入を

 体は小さくても、癒やしと安らぎを与えてくれる鳥たちは、飼い主にとって大切な家族です。しかし、鳥類は犬や猫と違って表情や動作を把握しにくく、病気の兆候に気付きにくい傾向があります。

 もしも体の状態や行動におかしな点があれば、早めに動物病院を受診しましょう。同時に、万一に備えて、ペット保険の加入を検討するのがおすすめです。

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